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愛が怖いのに

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匿名ユーザー

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愛が怖いのに



 こなたの大きな瞳が目の前にあった。
 綺麗で、好きな瞳。
 なのに、今この瞬間、私は恐怖で身を強張らせている。
 腕が動かせない。
 痛くはないけど、全然動かせない。
 私の手は、タオルで後ろ手に縛られていたから。
「こなた…ねぇ、やめましょう? 先生、来るよ…」
 私は泣きながら懇願する。
 場所は保健室。
 今は授業中だった。

 一時間目の後、休み時間にこなたが私のクラスに来て、こっそりと告げた。
 かがみ、次の時間、腹痛起こしてね、と。
 私は血の気が引いた。
 おもちゃを買って貰った子供みたいに上機嫌で帰って行ったこなたを見送った後、席に戻ると日下部が心配そうに言ってくれた。
「ひいらぎぃ、どした? 顔色悪いぞ?」
「う、うん…なんでもない…」
「具合が悪いのなら、保健室に行った方がいいわよ」
 峰岸も心配してくれる。
 嬉しいけど、複雑だった。
 これじゃ、こなたの思う壺。
 私がこんな気持ちで顔色を悪くしているなんて毛頭思って無いだろうけど、結果的にこなたに積極的に協力している事になっちゃう。
 でも、気が重くてなんだか本当にお腹が痛い気がしてきた。
 やだな、なんか、アレの時みたい…。
 私は授業が始まってすぐ、先生に保健室に行きたいと告げた。
 …行かなくちゃ、いけない。
 幸い、先生は私の事を信用してくれ、気をつけろと言って送り出してくれる。
 ありがとう、それと、ごめんなさい。
「失礼します」
 ノックして保健室に入る。
 そこに先生はおらず、代わりに先生の椅子に座って聴診器をぶらさげたこなたが居た。
「おや、かがみさん、どうかしましたか?」
「…あんたが呼んだのよ」
 かろうじて普段の口調で話せる。
 でも、正直足が震えていた。
「ふふ、ちゃんと来てくれて嬉しいな」
 こなたが、滑る様に私に近づき、そして胸に顔を埋めて抱きついた。
 あったかい…。
 それなのに…。
「よっと!」
「きゃっ!」
 突然、こなたは私の背中に回した腕に力を入れ、正面から持ち上げた。
 この小さい体のどこにそんな力があるのか分からない。
「こ、こなた!」
「ふんもっふ!」
 こなたが、パイプベッドに私を押し倒してそのまま跨る様に乗り上がる。
「ほいっと」
「ま、まって…!」
「まちませ~ん」
「むぐぅ!」

 こなたは私の唇を唇で塞ぎ、体を密着させる。
 唇を舐め、そのまま舌を顎、首筋、セーラーの襟ぎりぎりまでなぞらせ、最終的に胸に顔を埋めた。
「いいにおいだお…」
 可愛い、愛くるしい声なのに、それなのに…。
 私は未だ慣れないその声と行動の落差に、堪らず涙を浮かべた。
 こなたは密着したまま器用に背中に手を回すと、私の両腕をあっというまに引き寄せて交差させ、そのままいつ手にしていたのか
分からないタオルで両腕を結んでしまった。
 後ろ手に手を縛られるまで、十秒もなかった。
「こな…た…」
 もう、動けない。
 服の上から胸の頂上をついばんでいたこなたが顔を上げ、微笑んだ。
「かがみ…そんなに怯えた顔しないで…。でも…とっても綺麗だよ…」
 こなたは馬乗り状態から後ろに下がり、私の足の間に座る。
 当然、私の足はみっともなく開く。
 下着も…見えている。
「ふむふむ、今日のかがみんのおぱんつは清楚なブルーですか」
「い、いわないで…」
 羞恥で涙がこぼれ、私はたまらず顔を背けた。
 でも、こなたはそのまま顔を近づけ、私の股間に鼻をこすりつけ、思い切り深呼吸する。
「い…いやぁっ!」
 下着の上から、こなたの吐息が感じられた。
 嫌なのに、体がびくりと波打つ。
「う~ん、今日もいい香りだよ、かがみ」
「やめて…やめて…」
 涙が止まらない。
 どうして?
 それだけが頭の中をぐるぐると回った。
「ふふふ、ツンデレさんはこれだから、心も体も、本当は嫌じゃないくせにぃ」
 そんなこと…。
 言いかけ、こなたは意地悪な表情で続ける。
「だって、そんなタオル簡単に解けるんだよ? かがみんったら、縛られるのが好きなんだからぁ」
 びくり、と体が震えた。
 わかっているよ、かがみんの事だもん、とこなたはにこにこしている。
 …そう、この手かせは、本当はちょっと腕をひねれば解けてしまう。
 いくらなんでも、あんな体制で縛ったものが、しかもタオルなんだから逃げられない程縛れる訳がない。
 でも…。
 私は、それをほどく訳にはいかない。
 喜んでいるんじゃない。
 怖いの。
 解くのが。
 解いた後のこなたが。
「かがみ…大好き…」
 こなたがまた私の口を塞ぎ、遠い方の手を下着の中に滑らせる。
 大切な部分が、爪の先でつつかれた。
「んー…!」
 声が上げられない。
 塞がれているから。
 こなたは、更に上着の裾を押し上げ、ブラもあっさり外して胸を露わにさせる。
 直接触れる空気が冷たくて、私は身を震わせた。
 でも、もう片方の腕が伸びて胸の上をまさぐりだすと、別の感覚が沸き上がってまた震えてしまう。
「うりゃ」
 こなたはそれを感じて次の段階へと進んだ。
 下着の中に入れていた手を下着にかけ、そのままずり降ろそうとする。
 でも、ちっちゃい体のこなた。
 下着はちょっと下がっただけで腕が伸びきってしまう。
「むー、こういう時はちっちゃい体が恨めしいなぁ。かがみ、腰上げて」
 すごい事をさりげなく言う。

 でも、私は言われるままに腰を上げ、あまつさえ脱がしやすい様に足を上げる。
「ふふ…嬉しいよ、素直なかがみも大好き…」
 こなたはもう一度深いキスをして、その顔を私の股間に近づけた。
「こ、こなたっ! もう、もういいでしょう? 先生…来ちゃうよ」
「そっかなー?」
 その時、がらりと扉が開いた。
 こなたは滑る様な動作で私の足下から下がり、布団を私に掛けて横の腰掛けに座る。
「あら、どうしたの? 具合悪い?」
 カーテンが開き、保険医の先生が問いかける。
「はい、かがみがちょっとお腹いたくて気分が悪くなっちゃったみたいなんです」
「熱、計る?」
「いえ、もう少し横になっていれば大丈夫みたいです。薬は手持ちを飲みましたから」
「そう、用意が良かったわね。ところでこなたちゃん、足は大丈夫? この前あんなことがあったからびっくりしたけど」
「うは、やっぱり名前覚えられちゃった」
「当然よ。ちゃんと治るまで無理しないでよ。まだ成長期だから大丈夫とは思うけど、変に残ったら一生引きずるかもしれないんだから。
…あら、寝ている子、かがみちゃんじゃない? あらあら、こんどはかがみちゃんが看病されていたのね。仲がいいわ」
「えへへ、かがみは大事な友達ですから」
「ふふ、いいわね。それじゃ、私また出なくちゃいけないから、帰るなら布団は直してね」
「はーい」
 模範的な会話が終わり、先生は再び扉の向こうに行ってしまった。
 私は、何度声を上げたかったか分からない。
 決して、それは出来ないけど…。
「ふふふ…かがみん、これで暫く邪魔はないねぇ。帰るなら…って事は、暫く戻らないって意味だもんね。それにしても、やっぱり覚えられ
ちゃったか。目立たずに生きてきたつもりだったんだけどなぁ」
 にこにこしながら、自分の足をさするこなた。
「でも、おかげでかがみんが心をひらいてくれたんだもん。名誉の負傷だね」
 その笑みに私は息が止まる。
「…もう…しないで…」
 あの光景がフラッシュバックする。
 堰を切った様に涙があふれた。
「…しないよ。かがみは、私のものだもん。そして、私はかがみのもの。だから、かがみが悲しむ真似はもうしないよ…。かがみが、
わたしを見ていてくれるなら…わたしだけを…ね」
 こなたが布団をはぎ取り、布団の下であられもない格好のままの私を舐める様に眺める。
「綺麗だよ」
 そう言って、こなたは胸にかじりつく。
 はしたない声が出る。
 でも、とても我慢できない。
「気持ちいいよね? 私に我慢しなくていいんだよ。この前みたいにおしっこしてもいいから。私、ぜんぶ飲んであげる。…あ、なんか
飲みたくなっちゃったかも…ねぇ…出して…」
「こな…た…」
 私は、焦点がぼやけかけているこなたの笑顔を見て背筋を凍らせた。
 やめて、と言いたい。
 でも、そう言ったら、また…。
「……」
 私は、少しだけ腰を上げた。
 こなたは嬉々として股間に飛びつく。
 まだ? まだ? と口をあそこに吸い付かせ、私を見ている。
 お願い。そんな目で見ないで。
 今からでもいい、おしっこ飲むなんて嫌って言って。
 そう願っているのに…。
「あっ! ん…」
 待ちきれない、とこなたの舌が尿道口を刺激する。
「ま、待って…あ…で、出る…」
「ちょうだい…ん…んく…」
 声を合図に、私はまたこなたの口の中で出してしまった。
「…ん…かがみ…おいしかった…。素敵だよ…」
 そう言い、こなたは、本当に嬉しそうにまた行為を続けた。
 胸にも、あそこにも、もう、こなたが舐めた事のない場所なんて無い。
「うふふ…かがみ…かがみ…」
 それから暫くの間、保健室に取り留めのない笑い声と、湿った水音が響き続けた。

 つかさの事は好き。
 こなたの事も好き。
 ただ、それだけなのに、どうしてこうなったの?
 私には涙を流し続ける事しかできない。
 自分の意志とは無関係に、断続的に下半身に走る刺激に身を反らせながら…。

「んむ…かがみぃ…」
 あの日、屋上で私は唇を奪われた。
 相手はこなた。
 オタクで、無気力で、そのくせ好きな事には集中する、ダメ少女。
 でも、好きな子。
 なのに…。
「や、やめてぇっ!」
 私はこなたを突き飛ばした。
 瞬間、つかさのあの自傷行為が頭に突き刺さり、はっとこなたを見る。
 ぺたんと尻餅をついたこなたは、呆然としていた。
「こ、こなた! ごめん!」
 慌てて駆け寄り、抱え起こそうとするが、逆に腕を思い切り引っ張られてこなたに抱き寄せられてしまった。
「…こな…た?」
「つかさにはいいのに?」
 心臓が止まりかけた。
「なん…で?」
「やっぱり」
「!」
 カマをかけられた。
「もしかしたらって思っていたんだ。最近、つかさのかがみを見る目がおかしいんだもん」
「そ、そんな事…」
 言いかけ、首に手をかけたこなたの手に力がこもった。
 首の後ろから絞められる様な感覚に、思わず目を瞑って身を強張らせる。
「分かり易いよ、かがみは」
 手の力がゆるみ、頭を撫でられる。
「かがみは…ううん、私、かがみのものだから。だから、かがみには笑っていてほしい。喜ばせるのがお仕事だから」
「ま、待って! 別にそんな…」
「私には素直になって欲しいよ」
 首筋を舌がべろりと這う。
 ねっとりと舌がからみ、首筋をがぶがぶと甘噛みされる。
 舌が首筋から耳に上がり、耳の中に舌が刺さった。
「かがみぃ…」
 鼓膜から、脳を叩かれる様な甘い声で名前を呼ばれた。
「い、嫌っ!」
 私はこなたを押しのけ、また逃げ出した。
 でも、逃げたくて仕方がなかった。
 いつもつかさやお姉ちゃん達に、私は強いっていわれるけど、絶対に違う。
 多分、一番精神的には弱い。
 こんなに、こんなに弱い。
 そして、ドジだ。
 がしゃん、と金網にぶつかった。
 信じられない。
 私、出口に行くはずが前も見ずに走ったから、出口とは正反対の方向に行ってしまった。
 そんな…。
 絶望で足が崩れた。
「…かがみぃ、どうしてかがみはそんなに理性が強いのかなぁ?」
 違う! 違う! 理性なんか無い!
 逃げたいだけ! 逃げたいだけ!
「分かったよ、かがみ」
「え…」
 こなたが笑った。

 それは、いつものこなた。
 お昼休みや放課後、いつも馬鹿話をしているときの、屈託のない、大好きな笑顔。
「こなた…」
 胸の中の真っ黒な不安が一呼吸毎に流れ出ていった。
 こなたが、正気に戻ってくれた。
 私は心から喜び、笑った。
「こなた…」
「んふ、素直に笑うかがみん萌え」
「う、うるさいのよ」
 こなたが手を差し伸べる。
 私は、こなたを信じてその手を握った。
「かがみ」
「…何?」
 屋上の扉から入り、階段にさしかかった時、こなたが不意に私を見上げて言う。
「かがみをすなおにしてあげるのもお仕事だから」
「え…」
 こたなの手が、私から離れた。
 こなたは私の方を向いて微笑んでいた。
 こなたは後ろも見ずに、階段からいっぽ踏み出す。
 こなたの体が、空に浮かんだみたいに、宙に浮いた。
 時間が止まった様な感覚。
 でも、次の瞬間、大きな音がしてこなたが後ろ向きに階段から落ちた。
「こなたーーっ!」
 私は悲鳴を上げた。
 その後、音を聞いて駆けつけた他の生徒から少し遅れて、つかさ達も来てくれた。
 みんな青い顔で倒れているこなたに駆け寄る。
 その後、先生が来てまずはと言う事で保健室にこなたを連れて行ってくれた。
 幸い気絶はしてなく、痛さで声が出なかったけど、そぶりで意識もはっきりしている事が分かった。
 保険医の先生も、あちこちに打撲があり、特に足がちょっと良くないけど、固定して治療すれば問題ないと言ってくれた。
 私達は、ほっと胸をなで下ろした。
 その日の帰り、連絡を受けたゆいさんがこなたを車で迎えに来てくれた。
 おじさんは取材旅行中という事だけど、電話の向こうでパニックだったとか。
「いやー、馬鹿親はこまったもんだねぇ」
 ゆいさんはそう言い、大急ぎで帰ってこようとするおじさんを押しとどめたと笑っていた。
 私は、みんなに言ってこなたと一緒させて貰う事にした。
 つかさがわたしも、と言っていたけど、大勢で行っても仕方ない、と宥める。
 結局折れてくれたけど、正直帰った後のことが怖い。
 つかさの笑みが、あの笑みだったから。
「ゆうちゃんはみなみちゃんの所だから、誰もいないんだ」
 家に着いた後、こなたは今晩泊まろうかと気遣ってくれたゆいさんの申し出を丁寧に断り、私がこなたに肩を貸して家に入った。
 何度も来たことのある家だけど、他に誰もいない、そして今のこなたと二人きりという状況に今更ながら来て良かったのかとほんの
少し後悔の念がわき出る。
 そしてそれは容赦なく現実となった。
 部屋でベッドにこなたを座らせたつぎの瞬間、こなたは私をベッドに押し倒す。
「こな…!」
 そして、屋上と同じように唇を奪われていた。
「だ、ダメ! 足、怪我しているのに…!」
「うん、痛い」
「だったら! こんなこと…」
「でも、これでかがみが素直になってくれるなら、全然平気だよ」
「…え…」
「骨折くらいいくかと思ったけど、私けっこう丈夫だね」
「こな…あんた…」
「我慢しなくていいんだよ。私は、かがみをぜんぶ受け入れられる。かがみにとまどいが残っているなら、わたしはこうやっていくらでも
理性をとっぱらってあげる」
「何を…」
「だって、こうすればかがみはとまどっている暇ないもん。ぱっと理性を取り払えるでしょ? 私、そのためなら階段どころか、ここから
だって飛び降りるよ」
 背筋が凍った。

「やめてっ! やめて! そんなこと冗談でも言わないでっ!」
 私はこなたを抱きしめた。
「あだだ…うふふ、やっぱり素直になってくれた。私のことを求める様になってくれたね…かがみ…」
「こな…た…」
 耳元から聞こえるその声が、言葉が怖かった。
 それはデジャヴ。
 私は、つかさからもおんなじ内容の言葉を聞いた気がする。
 どうして? どうして? どうして私なんかの為にそうやって自分を傷つけられるの?
 あんた女の子だよ? 体に傷が残ったらどうするの?
「かがみは、私が傷だらけになったって嫌ったりしないでしょ?」
 断言。
 そしてそれはその通り。
 こなたもつかさも、例え顔に傷がついたって私は二人を嫌いになったりなんてしない。
 そうだけど、でも!
「かがみが自分を偽らないで私を求めてくれれば、私もそれだけで嬉しいんだよ」
 こなたは、そう言って上着を脱ぎ始めた。
 呆然としていると、あっという間に下着まで全部脱ぎ、生まれたままの姿になってしまった。
「包帯が残っているけど、まぁこれはお許しをだね」
 痛々しい包帯をこつこつと指で叩き、こなたは笑った。
「かがみ…リードしたいけど、流石に自由がきかないから…今日だけは…ね?」
 期待と羞恥で顔を真っ赤にしたこなたがベッドに横たわる。
 子供みたいな体型だけど、あちこちに絆創膏や包帯があるけど、その裸体は綺麗に見えた。
「こなた…」
 私のせいでこんな傷を負ってしまった。
 つかさもそう。
 ごめんなさい…。
 ごめんなさい…。
 私は着ているものを脱ぎ、全裸になってこなたの上に覆い被さった。
「あったかぁい…」
 こなたが涙を流して私を抱きしめる。
 今までとは違う、安堵に満ちたその声。
 私も涙が出た。
「かがみは…かがみだけは、私を、私だけで見てくれる…。好きだよ…好き…」
 こなたの様子が少しおかしいと思った。
 何を? あんたには、あんな優しいおじさんだって…。
 こなたを見る私に、その瞳が問いかけている意味に気付き、こなたはどこか自嘲気味な微笑みで、ぼそりと語る。
「あのね、お父さんは、違うの…私を見ているけど、それは、私とお母さんを重ねているだけ…なんだよ」
「……」
「おとうさんは、『私』は…見ていないの…」
「こなた…」
 不意の独白。
 でも、それは衝撃だった。
 今まで、ずっとそんな事を思っていたの…?
 私は、私の下で嗚咽を漏らして泣き続けるこなたを掛け値無しで愛おしく思った。
 間違っているのかも知れない。
 でも、他のことを考えられなかった。
「こなた…」
 私は初めて自分から唇を重ねた。
 長く、深いキス。
 ようやく唇を離すと、流石にこなたも息が上がっていた。
 ごめん、やりすぎた?
 こなたはううん、と首を振り、そして満面の笑みで私を抱き寄せる。
「かがみ…愛しているよ…」
「こなた…」
「なんでもしてあげる。いつでもしてあげる。どんなことでもしてあげる。かがみがとまどう様なら、私、耳だって指だって切り落とすよ。
だからかがみはかがみのままで居て」
 素の声で恐ろしいことを言った。

「こ…!」
 慌てて、それは違う、と言おうとした唇が塞がれる。
 そのまま体を転がされ、こなたが私の上になった。
「こな…待って! 怪我っ!」
「かがみに喜んで貰う為なら、こんなの怪我に入らないよ」
 そう言い、こなたは私の胸を口に含んだ。
 思わず声が出る。
「遠慮はいらないよ。たくさん鳴いてね…」
 こなたの目はどこか焦点が合っていない様に見えた。
 それから数時間、私は体中をいじられ、嘗め回され、そしていつしか気を失っていた。
 最後に覚えている言葉。
 それは。
 愛しているよ。

 …私は、逃げられない。
 今、私はそう思っている。
 こなたからも、つかさからも。
 その理由。
 それはある日、つかさとこなたが互いの事情を知ってしまったから。
 私は恐ろしい結末を予感して身を強張らせたが、意外にも二人は分かり合えた。
 分かり合えてしまった。
 その日以来、私は二人のものになる。
 二人に言わせれば、二人が私のものになたとの事だけど。
 今、私はベッドの上に全裸で横臥している。
 そして、同じように全裸のつかさが胸を夢中でついばみ、そして股間にはこなたが顔を埋めている。
 宴が始まってまだ十分かそこら。
 このひとときだけでもう何度名前を呼ばれたか分からない。
 分かるのは、その声が純粋に私を求めている声なのだという事だけ。
 誰よりも大胆で、畏れを知らず、でも臆病な二人。
 私は、その想いを受け入れるしかなかったし、それでいいと思い始めている。

 この愛が怖いのに。

 決して幸せにはなれない筈なのに。
 それなのに、心のどこかでそれを受け入れそうになっている。
 そんな自分を、感じていた。
「かがみ…」
「お姉ちゃん…」
「ふふ…二人とも…愛しているわ…」
 二人が私の笑顔と言葉に、嬉しさで涙を流す。
 私は、優しく二人を抱き寄せた。
 その体は、とても温かくて…。



 完













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  • かがみは本当に優しすぎる -- 名無しさん (2012-10-20 00:25:50)
  • かがみは優しいですね -- 名無しさん (2010-08-22 12:20:09)
  • こなたが鬼畜すぎてムカツクw -- 名無しさん (2010-05-22 22:00:33)
  • いかにもかがみの性格が出ているなと思った、ラストの所はニヤリとしてしまった。 -- 名無しさん (2008-08-23 04:24:59)
  • コワッ……てカンジだったけど、最後はやっぱらき☆すたとしての終わりだと思ったにゃ -- 名無しさん (2008-05-12 22:27:08)
  • むぅ‥‥‥ -- フウリ (2008-04-26 17:21:41)
  • 何かこわれた愛の劇場みたいだった
    -- 生足さん (2008-03-18 17:33:44)
  • 途中から惨劇を予想してたけど斜め上の結末が。
    でもこれはこれで……あとは少しだけズレれば幸せになれそう、とも思う。
    ご馳走様でした。 -- 名無しさん (2007-10-23 22:26:50)

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