kairakunoza @ ウィキ

一般的意見・中編

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「なんなのよっ!!!」
こんな飯食えるかー、ガシャーン的な大きな音を立てて、かがみが立ち上がる。
私のふざけた思考のを即座に打ち消す程、かがみの背後からは怒りのオーラが蔓延していた。

やばい、かがみ本気で怒ってるよ。

かがみの表情や雰囲気から瞬時ソレを悟り、謝ろうとかがみを下から伺い見る。
体勢的にかがみは私を見おろすような位置にいたから、当然って言えば当然なんだけど…
伺い見たかがみは、蔑むような、見下しているような目で私を見ていた。
初めて見たその視線がすんごく怖くて、同時に胸が締め付けられるような痛さを感じて目を逸してしまう。
かがみは私のその態度を謝る気がないと思ってしまったらしく「もう勝手にしなさいよ」と言って教室を出て行ってしまった。


「…こなちゃん」
かがみの姿を見送った後、少し責めるようにつかさが私の名前を呼ぶ。
かがみのあの視線が脳裏から離れないまま、つかさを見上げると、困ったように眉毛をハの字にしていた。
「泉さん…」
つかさを見上げるだけで一向に口を開かない私に、みゆきさんが子供を宥めるような声色で私を呼んだ。
分かってる、私が悪い。
きっとかがみは本気で私を心配してくれてたんだ…と思う。
それを踏みにじるような事を言ってしまった。

「こなちゃん…」
視線を机に下げた私に再びつかさが声をかける。
「…うん」
謝らなきゃいけない。
せっかく出来た友人を怒らせてしまったのだから…
「…お姉ちゃんは、こなちゃんが宿題を自分でやらないことに怒ったんじゃない…と思うよ?」
「…え?」
つかさが遠慮がちに言った言葉に疑問が生じる。
じゃあ何に怒ったのだろう。
「うまくは言えないんだけど…怒ったというか、なんか悲しそうな顔だったもん」
さすが、双子。
私なんかよりかがみと一緒にいる時間が長いつかさが言うことだからそうなのだろう。
私には激怒している風にしか見えなかったけど…
「確かに、普段のかがみさんならあの程度…と言ったら失礼ですが、怒ったりはしませんよね」
顎に人差し指を置いて、普段のかがみを想像しているように上を向いてみゆきさんが言う。
たしかに、あの程度の冗談やからかいではかがみは滅多に怒らない。というか怒ったところを見た事がない。
私がヲタなネタを振っても、かがみをツンデレとからかっても、なんだかんだ言って私に合わせてくれていた。
そう思うと、かがみって凄いいい人なんだなーと改めて思う。
それと同時に「やっぱり謝らなきゃ」という罪悪感が湧き上がってくる。
「私はかがみを怒らせたんじゃなくて、傷つけたって事かぁ…」
怒らせるより傷つける方が悪い気がする。
しかも何で傷つけてしまったのか見当がつかない。
「はぁぁ…」
ガシガシと長い髪の毛をかきむしっても答えが出ない。
とりあえず、謝りに行こう。とつかさとみゆきさんに感謝して教室を飛び出した。



こなたが私の教室に飛び込んで来たのは昼休みが終わる2、3分前だった。
「おー、噂をすればなんとかだなー」
後悔の念に苛まれていた私は日下部の言葉で顔を教室の扉に向けると、はぁはぁと呼吸を荒げてこちらに向かってくるこなたがいた。
下を向いているせいで表情が見えない。
「かがみっ!ちょっと来てっ!!!」
私の机に近付くとそう言ってぐいっと左の手首を掴まれ、もの凄い力で引っ張られる。
「ちょ、っ…」
下半身がイスから離れる瞬間、本当に無意識だったけどパシッとこなたの手を振りほどいてしまっていた。
「…あ、ごめ」
頭の中が混乱していて上手く状況が理解できない。
振りほどいてしまったこなたの手が行き場を失って空中で固定されている。
きっとこなたは私に謝りに来たのだろう。
さすがに教室じゃ人の目がはばかれるし、廊下にでも連れて行って謝ろうと思っての行動…だったのだと思う。
頭で理解しているのに、何故こなたの手を振りほどいてしまったのだろう。
私が何も言わないことを拒絶したと思ったのか、こなたがダッと凄い速さで教室から出て行った。



呼吸器官が全て破壊されたんじゃないかと思うくらい息が出来ない。
酸素を求めようとするが喉が何かに圧迫されているように熱くなっている。
走り続けていたせいか心臓の鼓動の激しさで胸が痛かった。
今までにないくらいフル回転していた足の動きを緩める。
はぁはぁという自分の呼吸だけが静かな廊下に響く。
ふと膝に置いていた左手を見つめる。
ついさっき、かがみに振りほどかれた左手。
かがみに謝ろうとして、かがみの腕を掴んで、振りほどかれる。
その一連の流れが何度も何度も脳裏で再生される。

私本気で嫌われたのかな。

そう思った瞬間、目頭に熱いものが込み上げてくる。
それを必死に抑え込もうと上を見上げると、窓の外には先程までの晴天とはうって変わってどんよりとした雲が空を覆っていた。
「かがみ…」
今にも雨が降りそうな空模様を見ながら、情けない声でかがみの名前を呼ぶ。
「…ごめん」
たった3文字の言葉だけれども私にとってはとても重さを持っているように感じた。
速かった鼓動はすっかり収まっていたのに、胸の痛みはどんどん痛みを増している。
「ごめん」
謝罪をしなければいけない相手はいないのに、何かに縋るように何度も何度も呟いた。



こなたが教室を飛び出してから昼の授業を受けていた私につかさからメールが来たのは数十分前。
私はまだよく把握しきれていない校舎を走り回っていた。
「…ったく、どこにいるのよ」
ふぅ、と一息と愚痴を言うために走っているスピードを落とす。

『こなちゃんが教室に戻って来てない』

先程つかさから届いたメールの内容。
私の教室を飛び出したこなたは授業も出ないで何処かへ行ってしまったらしい。
原因は分かっている。
謝ろうとしていたこなたの腕を振りほどいてしまった、あの行動をした私であろう。
あれじゃ本当に拒絶を思わせてしまう行動だった。
勿論、本気でこなたを拒絶した気は全くない。
アニメオタクで夜中までゲームやったり私達の知らないネタを平気で言ったりする変人だけど、この数ヶ月一緒にいて私にとってかけがえのない友人になっていた。
だからこそ、『生きてる次元が違う』と言われた時、もの凄く寂しかった…んだと思う。
自分の心情を理解することは難しい、本能的または直感的なものにわざわざ理由をつけて行動に移す人なんているのだろうか。
寂しかった、確かにその感情に近かったけど…それも何か違うと冷静な私が訴えている。
「はぁ…」
溜め息をすると幸せが逃げる、か。
先程の日下部の台詞を思い出してみる。確かにそうかもしれない。
溜め息をつくごとにどんどんマイナス思考になっている自分に気付き、ふと窓の外を眺める。
さっきまで不快指数と同時に昇っていた太陽がどんよりとした雨雲ですっかり隠れていた。
「あ…」
一粒の雨粒が窓につく。
それと同時にザーッと雨が降り出した。
これじゃ、当分止まないわね。と下の校庭へと目を向けると見覚えのある長髪がトボトボと歩いていた。
「…こなたっ?!!」
探していた友人の名を誰に言うわけでもなく叫んで、一気に校庭へと向かうため階段をかけ降りた。
















コメントフォーム

名前:
コメント:
  • とても良いです! 続きが楽しみです! -- 名無しさん (2007-10-28 14:15:30)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー