kairakunoza @ ウィキ

恋のシャレード

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「…ヒトの趣味に文句言う気はさらさらないけど…アンタも好きねえ…」

私の名前は柊かがみ。高校三年生。で、

「えぇ~、だって面白いじゃんー!挨拶がいきなり『ただの人間には興味ありません』から始まるんだよぉ」

今私の目の前で、ニヨニヨしながら一冊のアニメ雑誌を目で追っ掛けてるコイツの名前は、泉こなた。

昼休みの教室で、私はため息をついた。


私とこなたは数年前に知り合った。この高校に入学した当初、双子の妹…つかさを介して、私たちは友人になった。つかさがこなたと同じクラスだったのが一番大きかったかな。

こなたは私が今まで知り合ったことが無いタイプだったから…正直、最初は友人になれるか心配だった。でもその心配は、まあ杞憂だったんだけど。
そんなこんなで良い友人に恵まれた私は、18歳になった今でも彼氏ナシで青春を過ごしている。別に男の子に興味が無い訳じゃあないのよ。なんていうか、こなたといると本気で楽しいから、別に良い友人がいれば彼氏なんていいやって思っちゃうのよね。
そう。まあいいや、こなただって彼氏いないし。ていうか、どこの馬の骨とも知れぬ野郎にこの可愛らしいこなたが…とか考えると、激しく憤りを覚えるわ。




…そう、仲良くなって、私は気付いてしまった。


コイツ…こなたは、ひどく可愛らしいってことに。





雑誌を見つめるこなたをちらりと見る。背は歳の割にめちゃめちゃ小さい。下手すれば小学生と同レベルだろう。
やけに細い身体。聞いたら、つい最近ようやく50キロ台になったそうだ。有りえねえ。身長が小さいから、余計細く見える。

真夏の海みたいに真っ青で、さらりと癖もなく伸びた長い髪。その上に、ぴょこんと植物の芽みたいに鎮座している一本のアホ毛。
まるでまどろんでいるみたいに半分まで目蓋が覆っている瞳。ちなみにこれはコイツのデフォで、ぱっちり開けばかなり眼が大きいことがわかる。その眼をふちどる睫毛は、付け睫毛みたいに長い。

勉強は苦手らしいが(趣味に対しては、だけど)集中力はかなりあると思うし、運動神経においては私よりも上だ。ひとりっこのせいか、他人に甘えるのがやたら上手くて。

どこかいっつも危うげで。どうしてもかまってやりたくて。


「…かがみ?どうしたのぼーっとして」
「あ…いや、別に。……こなた、そのアニメ…好き?」


「うん、だいすき!」


私の問い掛けに顔を上げて、ひまわりのような満面の笑みで、こなたは答えた。




…………可愛い。



いや、ヤバいだろう私。どう考えても、私は至ってノーマルだ。同性が好きな訳じゃない。


でも――――


「かがみ…………」

覗き込んできたその顔に。

「…隙ありっ」
「えっ、わ……っ!」


カシャッ。



素早く雑誌を取り上げて、携帯カメラのシャッターを切った。


「――っいきなりひどいよかがみんっ!!」

ぶーたれて頬を淡く染めるこなたと笑う私を、風が撫でていった。





…………

「――んじゃ、おやすみ。明日は早く起きなさいよ」
「はーい。おやすみ、おねえちゃん」

いつものようにつかさとの雑談を終え、私は自室のベッドに潜る。
ぼーっとしながら適当に携帯をいじっていると、今日撮ったこなたの写真のことを思い出した。

「確かちゃんと保存したはずよね…」

ファイルを探すと――あった。雑談を取り上げられたこなたが、うっすらと頬を染めて写っていた。驚いたせいか、めずらしく瞳はぱっちりと開いている。
私自身の考えとしては、こなたはぱっちりした眼の方が良いと思う。なんていうか、可愛さが増すから。

でもだから、ぱっちりとした眼のこなたとは三秒以上見つめ合えないのよ。「可愛い」って、言いそうになるから。


でも、写真なら――――




「…可愛い。可愛いわよ、こなた」

呟いて、画面に写るこなたの口元を舌先で拭った。自分の唾液の跡が、画面に残る。

それを見て、ハッと我に返った。

ヤバい。これじゃあ変態だわ。



でも……

「く……ふ…っ…」

パジャマの下の、とろりとぬめった熱いソコを指でなぞる。

「……こなたぁ…っ!」


光る画面に写るこなたは、私を笑ってるみたいに見えた。



………………

「で、どしたの一体」

所変わって、駅ビル一階にあるサーティワンアイスクリームの窓側の一席。
目の前の日下部が、買ったばかりのアイスを舐めながら私に尋ねた。

「いや…いやさぁ……」
「…ったくなんだよー!柊にしちゃあハッキリしないなあ!」

重くなるムードを払拭しようと明るく笑って軽口をたたく日下部。文字通りのムードメイカーであるコイツは、小煩い所が玉にキズだが良いヤツなんだよなあ。

今もこうやって、相談があると言った私を「学校じゃナンだからー」と言ってわざわざここまで引っ張ってきてくれたんだし。そんなことを考えながら手にしたストローでアイスコーヒーをくるくるとかき回す。

「ほら柊ぃ!どーしたのって!」

苦笑しつつ促す日下部の声に意識を戻した私は、なるだけことばを選んで話しをはじめた。

「…えっとさ……なんつーか…私、道を誤りそうなんだよね……」

さて、どう思われるだろう。ストローを口に含んだ。


「……万引きでもしたの?」
「ごぶッ!!!」

グラスの中でアイスコーヒーが勢い良くスパークする。…そーよね、ふつーに考えれば、そーいう風に思うわよね……。

「なんだよヒトが真剣に考えたってのに!」

むうっと眉をひそめる日下部。

「ああ、いやいや…ごめんって。そーじゃなくてさ。その……こなたのことで、ちょっと」
「こなたぁ?あのちびっこでニヨニヨの、あのちびっこか?」

ちびっこでニヨニヨって…微妙な印象だよなあ、人として…。

「ん…そのこなた」
「はあ、ちびっこと柊がねえ………あ、もしかして…」

栗色の前髪の奥で、日下部の目が細められる。
感付いたか?まあ意外に鋭いとこがあるからなコイツ…。野性の勘的に。

「ふうん……なるほどね……よっし!このみさお様が迷える柊ちゃんのために一肌脱ぎましょう!」

自信満々の笑みで胸に手を当てる日下部。

「…マジ?」
「もちのろんですよ!だあーいじょーぶ、心配すんなって!」
「……んじゃ、頼む!」
「まかしとけー!!…あ、柊」
「ん?」

「その代わりこのアイス柊のおごりね」
「……………」

…大丈夫かよ。



………………

三日後の昼休み。


「はあーいっ!れでぃーすあーんじぇんとるめーん!ちゅーもくちゅーもくっ!!」

いつも通り、私・こなた・つかさ・みゆきの4人でお弁当をつついていると、すでにお弁当を食べおわったらしい日下部(ほっぺたに米粒がついている。昔の漫画か、お前は)と、峰岸がやってきた。

「おーっす!柊ぃ、今日も妹の愛妻勉強かぁ?♪」
「愛妻ってなによ…つーか二人がこっちくるのも珍しいわね、どうしたのよ?」

日下部の目が、きらーん!と光る。

「そう!よくぞ言ってくれた!えーっと!今回は皆さんに提案があります!!ここにいるあたしたち三年はもう卒業を控えています。そんで、卒業しちゃったらもー皆さんばらばら、離れ離れな訳だ!
…だーかーら!!思いで作りのため!今度の土日に、あたしの親戚のやってるホテルでぷちお泊り会をやらないかー!ということなのです!!」


一瞬の沈黙。

の、後。

「ふおぉお!ナイスだ、GJだよみさきち!!」
「わー、それ楽しそうだね!」
「思い出作りに、最適ですね」

そんなカンジのざわめきが一瞬にして私たちのなかで生まれた。

「ふーん…日下部にんな親戚いたのね」
「私も昨日みさちゃんから聞いてね、ちょっとびっくりしちゃった」

峰岸からもらった手作りクッキーをさくさく食べながら、さっきの日下部の提案について考える。
うーん、確かに、悪くないかも。たまには、そういうのも良いわよね。



「んじゃ決定だな!ではではさっそく部屋割りの籤引きをしまっす!!」

私の前に籤の袋を持ってきた日下部に話し掛ける。

「なによ日下部、やたら準備良いじゃない」
「お、気付いたか?まあまあ、これも柊とちびっこをどーにかするための手段だからな☆さ、籤引いた引いた!」

どーにかってどうする気だよ…

ちなみに、私はもうそろそろ我慢が辛くなってきていた。こなたがそばに寄ってくるだけで、どーしてもグッときてしまう。

「ほんとにどーにかなんのかいな……」

ため息をつきながら手探りで適当に籤をつかんでひっこぬく。開いてみると、「215(二人部屋)」と赤いマジックで書いてあった。

「二人部屋ね……おーい、215って誰よー?215の籤引いたのー…」
「あ、私だ!」


私の心臓が、おっきく跳ねた。こなたが、「215(二人部屋)」と書かれた籤を持っていたからだ。


……どーいうことだ。

「あ!かがみんと同じ部屋じゃん!やったあ♪よろしくー!」

めちゃくちゃ可愛い満面の笑みを浮かべながらこなたは言った。

「…これはどーいうことなのでスカ、日下部サン…」

さっそく部屋割り表作成に取り掛かっている日下部の肩をがし!と掴む。

「へ?…なんだ、心配してんの?だあーいじょーぶだって!一晩も同じ部屋にいりゃ仲直りできるよ!」

片方は普通の籤、そしてもう片方は215と書かれた籤だけ、というように袋を二重にしたいんちき・籤引きを俺に見せながら、日下部はさわやかに笑った。

………ん?

「…なあ日下部、お前今なんていった?」
「うん?だから、同じ部屋に一晩もいりゃ仲直りできるよって」

「…………仲直り?」

「うん。アレ?喧嘩してて困ってたんじゃないの?」


…日下部。これからお前のあだ名は「ミス・早とちり」に決定だ。…感付いてたんじゃないのかよ!!!!

「はあ………」

さて、どうしたものか。楽しそうに籤を折り畳むこなたを横目に、私はため息をついた。




……………

どうしよう。
どうしよう。

そんなカンジで、気付けばホテルの215室の前に立ち尽くしている私がいる。

「かがみんどーしたの?鍵、開かない?」

肩ごしにひょっこり顔をのぞかせるこなたが不思議そうに私を見つめる。

「あ、や…だいじょぶ」

その視線にやっぱりドキリとしながら急いで鍵穴にキーを差し込んだ。

「おお……」
「うわー!」

二人部屋だからあまり広くはないが、明るい天井に白い壁。控えめだけど、センスのあるインテリアに程よい空間、ふかふかのベッド。できれば一生、ここで暮らしたいと思わせる…そんな部屋だった。

「すっごいねぇ……」
「い、良いのかしら、私達ココに泊まって…しかも格安で……」

そう、日下部のコネということとシーズンオフだということが重なって、私たち一行は普通料金よりもかなり安い金額でこのホテルに泊まることができたのだった。

「これは…色んな意味で、日下部に感謝ね…」
「色んな意味で?」
「…や!!ほ…ほら、思い出をありがとう!みたいな!とか!!!」

無茶苦茶だな、我ながら。

そーだねえ、と言いながらこなたはベッドに飛び乗って遊びはじめた。そんなこなたとは反対に、私は沈んでいる。

…こなたと一晩、ひとつの部屋でふたりっきり。
こなたの寝顔。
ベッドとこなた。


「……頑張れ、私の理性」
「え?」
「なんでもない」

はあ……。花畑で遊ぶ赤ずきんを見ていたオオカミも、同じ気持ちだったのだろうか。あーちくしょー…

「ねえねえかがみん」
「なによ赤ずきん―――って!!!!」

ベッドに仰向けに転がるこなた。その両手はのびをするように頭上に掲げていて、細い体のラインが良くわかる。
半分閉じられた目蓋の奥の、長い睫毛に縁取られた、無邪気な眼が私を見つめていて。そして、着ている黒いTシャツがめくれてまったく余計な肉の無い腹があらわになっていた。

『かがみん、きて…(副音声)』

「っふおぉぉ!!!!」
「ふおぉ!!?かがみんっ!?かがみん大丈夫!!?」
「いや、副音声が…!!」
「副音声!!?かがみんほんとに大丈夫!!!?」

だ…駄目かもしれない…。


「あー…で、何よこなた」
「あ、ああえっと…んとね、おふろ。私、先に入っても良ーい?」



風呂。

おフロ。


「……………ッ!!!」

思わぬ伏兵だった。

ちなみに、また声をあげるとこなたに不審がられるから我慢した。

「い、良いわよ。入るが良いわ」
「わーいっ!かがみんさんきゅ!かがみん大好き!」

鼻歌を歌いながら、お風呂セット(バスタオル+フェイスタオル+ボディスポンジ+シャンプー+リンス+ボディソープ+あひる…………あひる?)を抱えてぱたぱたとバスルームへとこなたは走っていった。



「はあ……」

何やってんだろ、私。
想いを諦めもせずに、かといって抑えもせずに。

あーあ……


ふと、こなたの顔がよみがえる。
笑ってる顔。
恥ずかしがってる顔。
困ってる顔。

私は、どうしたいんだろうか。私は、何をしたいんだろうか。

『かがみん』

欲しくない、と言えば嘘になる。

『かがみん』

でも。そんなんは正気の沙汰じゃない。私はこなたを傷つける気か?

『かがみん』

それだけは――絶対、したくない。

『かがみん』

けれど……もう…

「かがみんってば!!聞こえてんの!?」
「おおぅ!?」

…バスルームから、本声が聞こえた。副音声じゃ無かったらしい。

「悪い悪い…どした?」
「もうっ!悪いけど、そこに落ちてるパーカー持ってきてくんない」
「あ、コレね…待って、今行く」

そばに落ちていたこなたの白いパーカーを持ってバスルームへ歩きだす。
こなたの、良い匂いがする。香水もつかってないのに良い匂いってのは反則だろう…そしてその匂いを嗅ぎとる私もどうなんだ…

「はい…、―――っ!!!」

開いたバスルームのドアの向こうには、裸のこなたがいた。いやそうなんだけど!服着てフロ入る奴のほうがおかしいんだけど!てかそんな奴いないんだけど!

「……ドウゾ」

そんなことを考えながらパーカーを手渡す。

「かがみん、ありがと♪」

…その笑顔を見た瞬間、私の口は勝手に動いてしまったんだ。

「……ねえこなた、いっしょにお風呂入っていい?」

さて、私はどうなるのかしらね……。













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  • この話は続きが読みたくなるよね
    誰か続き書いてくれないかなー -- 名無しさん (2009-10-26 00:47:54)
  • あの身長で50kgはダメwww

    かがみんも推定40後半なのにww
    マンガ違うけどBLEACHのルキアなんか38kgだぜ? -- aizen (2009-06-30 22:55:24)
  • ん?これ続くの?こんなところで終わるなんて・・・ -- 名有りさん (2009-06-25 22:12:10)
  • こなたさんに体重負けた… -- 北条風依 (2008-12-04 21:46:40)
  • あひる… -- 無垢無垢 (2008-12-01 17:06:50)
  • こなた、140cm位 50kg オレ、170cm位 56kg
    どう見てもチビデ(略
    -- 名無しさん (2008-06-09 03:04:06)
  • こなたの身長で50キロだとただの………デb -- ハルヒ@ (2008-04-28 19:23:34)
  • GJ
    アヒルw -- 名無しさん (2008-04-20 02:59:14)
  • 片方は普通の籤、そしてもう片方は215と書かれた籤だけ、というように袋を二重にしたいんちき・籤引きを俺に見せながら、日下部はさわやかに笑った。



    ………ん?

    オレ? オレ?
    俺えぇ? 
    かがみは(ry -- ほむ (2008-04-14 12:51:42)
  • 小学生って40キロないぞ
    -- 名無しさん (2008-03-23 12:43:33)
  • 50キロ…だと…? -- 名無しさん (2008-03-07 21:25:51)
  • まあやぼだが50キロは重すぎるwww -- 名無しさん (2008-02-03 23:24:50)
  • とってもおもしろかったです。続きをどうかお願いします。まじで続き見たい -- 名無しさん (2008-02-03 21:07:23)
  • つ、続きを…続きを…www -- 名無しさん (2008-01-18 04:25:46)
  • …40?が適切かと… -- 名無しさん (2007-12-03 01:34:46)
  • こなたの身長で体重50㎏は重すぎじゃない?  -- 名無しさん (2007-11-25 00:55:27)
  • かがみん可愛いよかがみん -- 名無しさん (2007-11-24 21:01:10)
  • 最近漏れの中で、かがみんの萌え度が大幅に上昇気味です。

    続きにwktk -- 名無しさん (2007-11-24 06:05:25)
  • すごく面白いですw続き早く見たいです! -- 名無しさん (2007-11-24 00:56:29)
  • 独特のテンポが楽しい作品ですGJ。ただ、誤記と思うのですが中盤の…片方は普通の籤、そしてもう片方は215と書かれた籤だけというように袋を二重にしたいんちき・籤引きを <<<俺に>>>見せながら、日下部はさわやかに笑った。…この<<<俺>>>とある以降、 地の文が、かがみの男言葉風突っ込み言葉ではなくて完全な男言葉になってる気がします。もしかして<俺キャラ>か<男かがみ>で書く予定だったのを変更されたとか? -- yomirin (2007-11-23 16:43:43)
  • 続きマダー!? -- 名無しさん (2007-11-23 15:45:26)
  • ?‚Â????????ǂ݂????ł?!!! -- 名無しさん (2007-11-23 12:40:47)

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