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A Drunk Kiss Devil

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
~Minami side~


 今私は酔っている。自分でそれを自覚している。
 何で酔ってるんだっけ? ……どうでもいいや。
 だってとても……そう、とても気分がいいから。

 ──理由のないことなんていくらだってある。理由のいらないこともいくらだってある。──
 誰かがそんなことを言ってた気がする。
 誰だっけ? ……うん、それもこの際どうでもいい。重要なのは内容だから。

 だから私は……溢れる欲望に身を任せよう……。

「ゆたかぁ……」
「みなみ……ちゃん?」

 自分でも驚くくらいの蕩けた声が出た気がする……どうでもいい。……それと、ゆたかの驚いた顔、可愛い……うん、これは重要。
 ただ無性に、ゆたかにキスをしたいと思った。理由なんてないし、いらない。
 だから、ゆたかを抱きしめる。でも逸らずに、焦らずに、壊れ物を扱うように、赤ちゃんを抱くように、そっと。……すごく重要。
 ゆたかはそのまま、私の腕の中に収まった。……逃れようとはしてない。もがく素振りも見せない。

(なら、いいよね……)

 私はそのまま、吸い寄せられるように、その柔らかそうな頬にそっと唇を当てた……



~Yutaka side~


 最初は、こなたお姉ちゃんの持ってきたお酒だった。どこから持ってきたのかは分からないけど、チューハイ……だっけ? そうゆう飲みやすいものだったと思う。
 私は、お姉ちゃんに言われるままに一口だけ試してみた。普通に飲めそうな感じだったけど、やっぱり未成年だしそれ以上はやめておいた。
 でも、みなみちゃんは結構飲んでた……と言うか飲まされてたみたい。
 そして気づけば私は、

「ゆたかぁ……」
「みなみ……ちゃん?」

 上気した顔のみなみちゃんに抱きしめられて、

「……っ!? みなみちゃん!?」

 ほっぺに……キス……された……?
 その事実を飲み込んで初めに心に浮かんだのは、戸惑いでも疑問でもなくて、
 ただ、嫌じゃない…そう思うだけで……





~Minami side~


(柔らかい……)

 ゆたかの頬の第一印象、予想通り……ううん、予想以上かもしれない。
 柔らかくて、このままキスし続けるのもいいな、とも思ったけれど、やっぱりそれだけじゃ物足りない。
 柔らかくて、その心地よさに便乗するように、私を睡魔が浸食し始める。まだ、私を許す訳にはいかない。
 一度唇を離して、ゆたかの顔を改めて見つめてから、少し髪を手でよけておでこに、それから啄むようにもう一度頬に。
 本当に柔らかい。柔らかくて、癖になりそう。

(手も……柔らかかったなぁ……)

 普段よく繋いでいるゆたかの手が、小さくて、温かくて、とても柔らかかったことを思い出す。
 意識に昇れば止まらない。ゆたかの手をとって、手のひらと甲に一回ずつ。

(やっぱり、柔らかい……)

 そのことを確認した後、今度はその白い首筋にキスを落とす。

「んっ……」

 ゾクリ……
 ゆたかの声を聞いた直後、薄ら寒い『なにか』が私の中を駆けた。そして、

 この白い肌に、自分の、自分だけの痕(あと)を残したら……

 そんな考えが浮かび、再び、ゾクゾク……と私の中を『なにか』が駆け巡った。
 今の私は、欲望に抗うことを知らない。ゆたかの首にキスをしたまま、少し強く吸ってみる。

「ひあっ!?」

 ゾクリ……
 それはまた、訪れた……



~Yutaka side~


(あったかいな……)

 次に思ったことは、みなみちゃんのあったかさが安心出来て、心地よかったこと。

(……って、そうじゃなくって!)

 突然のキスは、嫌じゃなかった。ううん、むしろ……気持ちよかった。
 でもとりあえず、現状を把握しないと。
 少し高ぶった気持ちを落ち着けて、少しだけ冷静になろうとして……なれなかった。
 みなみちゃんがまたキスを始めたから。
 場所は手のひらと甲、そして首。

「んっ……」

 少しむず痒いような、くすぐったいような……!?
 そう感じた直後、

「ひあっ!?」

 突然の吸引感に、私は声を上げていた……


~Minami side~


 さっきと同じ感覚。ゆたかの声が引き起こす、『なにか』が駆け巡ってゆく感覚。
 ゆたかの首から唇を離し、そこに刻まれた赤い痕を見たとき、

(ああ、そうか……)

 ようやく、その『なにか』の正体に気がついた。

 それは、ゆたかに対する少しの罪悪感や、ゆたかを征服しているような錯覚がもたらす優越感、私自身が持っている嗜虐心の一部……
 それらが綯い交ぜになって作り出した、高揚、多幸感、快感……
 そして、それらを引き起こさせ、欲望を駆り立てるゆたかは、差し詰め私にとっての……麻薬。

「みなみちゃん、どうしたの……?」

 ゆたかは……怯えていると言うより、戸惑っている様子だった。
 もはや、その表情も、声も、仕草も、ゆたかのありとあらゆる動作が、私を狂わせ……いや、正しい反応へ導く。
 そして私の意思は、最後の、故に最も重要な部分へと、視線とともに移る。
 もう、我慢なんて出来ないし、するつもりもなかった。だから私は……

「ゆたかぁ……だぁいすき」

 そう言って瞼を閉じて……



~Yutaka side~


 唇を離したみなみちゃんは、私の首の、今さっきまでキスしていた場所を見て、何かに気づいたような顔をした後、満足そうに微笑んだ。
 私だって何も知らない訳じゃない。
 きっと私の首には、キスマークが付いている。……髪を下ろせば隠れそうな位置だろうけど。

 ようやく、少しだけまともな思考が出来るようになって初めに思ったのは戸惑い。
 理由は『何もしてこない』から。

「みなみちゃん、どうしたの……?」

 その言葉で気づいたのかはわからないけど、みなみちゃんの顔がまた近づいてきて、

「ゆたかぁ……だぁいすき」

 そう言葉を紡いでから、口を結び、私が言葉を紡ぐ前に、

「みなみちゃ……んっ……」

 口で、塞がれた……



~Minami side~


 ゆたかの唇に、そっと、自分のソレを重ねた。
 今、私の全ては幸福の二文字で満たされている。

 十秒くらいたっただろうか、重ねていた唇を離し、自分の胸にゆたかをかき抱いて、もう一度囁く。

「だいすき……ゆたか……」

 囁いた直後、今の今まで抗い続けていた睡魔に飲み込まれ、ゆっくりと意識が闇に落ちてゆく。
 意識がなくなる前に、

「……わた…も……きだよ……お…すみ…みな…ちゃ………」

 そんな声が聞こえた……



~Yutaka side~


「……わたしも大好きだよ……おやすみ、みなみちゃん……」

 キスの後、ゆっくりと眠り始めたみなみちゃんに、私も自分の気持ちを伝える。でも、聞こえてなかったかもしれないから、後でもう一度言わなきゃね。

 結局、私も酔っていたのかもしれない。普段の私なら、みなみちゃんの行動の全てを受け止めることは出来なかっただろうから。

 それはそれとして、私を抱きしめたままでみなみちゃんは眠ってしまったので、私は身動きを取ることが出来ない状態だった。
 いや、抜け出ようと思えば抜けられるけど、

(でも、あったかいなぁ……)

 みなみちゃんの腕の中は、とてもあったかくて、優しくて、抜け出るなんて勿体ないとしか思えなかったから、

(みなみちゃんが、起きるまで……)

 このままでいよう……そう思った……




~Minami side~


 ……
 ………
 …………
 ……………
 ………………


 ……少し眠ってしまっていたらしい。時間を確認しようと思った所で、腕の中にゆたかがいることに気づいた。

「ゆたか……? ………………ぁっ!?」

 思い出した。自分の行った行動の数々を。ゆたかに、その……キス……してしまったことも……

「みなみちゃん、起きた?」
「その、ゆたか……ごめんなさい!」

 とんでもないことをしてしまった……。ゆたかのファーストキスを自分勝手に奪ってしまったのだから……

「?? なんで謝るの? みなみちゃん」
「なんでって! その、ゆたかのファーストキスを……んんっ!?」

 最後まで言い切ることが出来なかった。言い切る前に、ゆたかの唇で塞がれてしまったから……

「私もみなみちゃんのこと大好きだから、いいの」

 二度目のキスの後ゆたかは、眠る前に聞こえた声を、私が聞きたかった言葉を、ハッキリと聞かせてくれた。
 そしてゆたかは言葉を続ける。

「けど、そのかわり……」



~Yutaka side~


「責任……とってね?」

 私は、そう続けた。
 みなみちゃんは、迷わずに、戸惑わずに、躊躇わずに、

「……うん」

 そう答えてくれた。
 顔を赤く染めながら、でも、しっかりと。



 了





 おまけ


「いやー、良い物を拝ませてもらったヨ」

 その言葉に世界が、というよりゆたかとみなみが凍り付いた。

「お…姉…ちゃん…?」

 ここに来て、ようやく二人は自分たちのいる場所に気がついた。
 酒を持ってきたのはこなたなのだから、こなたがいるのは当然。
 それだけではなく、かがみ、つかさ、みゆき、ひより、パティがそれぞれ別々の表情で二人の一部始終を見守っていた。
 元々は盛大なお泊まり会として集まっていたのだから、当然と言えば当然なのだが。

「いやー、眼福眼福。今時アニメでも拝めない良いシーンだったヨ」
 と、いつものネコ口でこなた。

「なんてゆうか、ここまで見せつけられるとこっちが恥ずかしいんだけど……、とにかくおめでとう」
 と、思いっきり赤くなりながらかがみ。

「二人ともおめでとー」
 と、ちょっと赤くなりながらつかさ。

「ゆたかさん、みなみさん、おめでとうございます」
 と、いつもの微笑みを全く崩さずみゆき。

「やめて!! これ以上私をオカシクさせないでー!!」
 と、床をのたうちながらひより。

「Oh! コレはナントいうNice Lily. オ持チ帰リしたいくらいデスネー!!」
 と、ややどころか大興奮のパティ。

 さて、当事者の二人はと言うと、
「「…………」」
 両者とも真っ赤になって沈黙していた。

 その後二人は、まわりの六人から『質問』という名の『言葉責め』を小一時間ほど受け続けたとか。



 終われ














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  • どんな言葉責めを受けたのか、そこを詳しく教えてください

    GJでしたv -- 名無しさん (2008-08-20 08:39:38)
  • 話の流れが自然的で読みやすかったです。 -- 名無しさん (2008-02-22 17:56:57)
  • GJ -- 名無しさん (2007-11-27 06:29:24)
  • おいし過ぎるシチュだ…。GJ! -- 名無しさん (2007-11-26 19:28:46)

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