「だからと言って駄目じゃない 駄目じゃない~♪」
「こなた、それいつの曲よ……その古臭いアニメーション……」
「んー、これはね、20年位前の。『オアネミスの翼』よりは後のはずだよ。ユリアが死ぬ前かな、あとアテナが……」
「アンタの言わんとしてることがさっぱり分からないわ……」
「取り敢えず私たちが生まれる前だね」
「こなた、それいつの曲よ……その古臭いアニメーション……」
「んー、これはね、20年位前の。『オアネミスの翼』よりは後のはずだよ。ユリアが死ぬ前かな、あとアテナが……」
「アンタの言わんとしてることがさっぱり分からないわ……」
「取り敢えず私たちが生まれる前だね」
こなたの部屋には、何とも大きな箱が三つも置かれていた。そのうち一つが開け放たれ、中にはDVDが5枚も入っている。
「これが、世に言う『DVD-BOX』ってヤツなのね」
「そうだよ、高かったんだから」
かがみにクレジットカードの明細を渡す。父親のそれは、他の支払いもいくつかあったが、
「へ、15万!?」
『それ』だけは桁が飛び抜けていた。
「バイト半年もして貯めたんだから。今はもう生産停止でオークションとかマーケットプレイスで高値がついてね」
「こなた、アンタの執念には時々感心させられるわ。たまには勉強に向けなさい」
「うっ……いっ、今はこれを消化するのが私の役目なのさー」
こなたはジト目で迫られるかがみの目線を避け、頬をポリポリと掻きながら、それでもやはり目はPC画面に戻った。
丁度前回のナレーションが終り、本編が始まらんとしているところだった。
「これ、動物モノ? これ、カバ? こっちは……なに? 植物? サボテン?」
「違うよー、スペースオペラだよ。OPじゃ『主役になれない』とか言ってるけど、今じゃ立派な主役だよね?」
「私に同意を求められても困るんだが」
しかし、如何にも人間臭い活劇や巧みな心理描写、未知の世界に対する浪漫が詰め込まれたこの作品を見ているうち、
かがみも何だか続きが観たくなってきてしまった。
最後は、『これが宇宙で一番上手な火薬の使い方です』と大きな花火を打ち上げるシーンで終った。
ED曲は非常に綺麗なバラードで、それがかがみの心を捉えて離さなかった。
「ただ古いだけじゃなくて結構面白かったわね」
「でしょ~? 萌えの中にどっぷり浸かるのも良いけど、たまにはこういうのもね」
それを聞いて、かがみは絶妙に切り返す。
「そうね、アンタもアニメばっか観てないで、勉強の一つもしないといけないわよね?」
「そっ、それは禁則事項ですよかがみさん」
額に嫌な汗の玉を浮かべながら、こなたはオドオドと言う。
「実は黒井先生に世界史のレポートを貰っちゃってね……これ手伝って? 私一人じゃどうしようも……」
鞄の中からゴソゴソと取り出されたプリントには、『オスマン帝国の盛衰についてレポート用紙3枚程度に纏めること』と
書かれていた。
「ンなもんやるか、バカ」
「えー、そんなーっ! アニメ見せてあげたじゃないー!」
「アンタが勝手に見せたんでしょうが。もう、帰るわよ」
そっぽを向いて立ち上がろうとしたかがみに、こなたは最後の手段に出る。
「アレ、もう見なくていいのかな? 次回からまた面白いシナリオが始まるっていうのに」
「ぐっ……」
BOXに付属した冊子をひらひらさせながら、ニマニマと笑って誘惑するこなた。
「ち、ちょっとだけだからね」
かがみはいとも簡単に屈して、こなたのレポートを手伝うことにした。それほど、どこか魔性の中毒性があるアニメだった。
「ふふふ。それじゃま、取り敢えず次回を見てからにしますか。『宇宙船サジタリウス』」
言うが早いか、こなたはリモコンを手に取ってPCに向けた。再生ボタンを押すと、途端に次の回が始まる。
「いやー、テープの頃は巻き戻しとか早送りとか面倒だったけど、今は楽だねー」
「そ、そうね……」
「これが、世に言う『DVD-BOX』ってヤツなのね」
「そうだよ、高かったんだから」
かがみにクレジットカードの明細を渡す。父親のそれは、他の支払いもいくつかあったが、
「へ、15万!?」
『それ』だけは桁が飛び抜けていた。
「バイト半年もして貯めたんだから。今はもう生産停止でオークションとかマーケットプレイスで高値がついてね」
「こなた、アンタの執念には時々感心させられるわ。たまには勉強に向けなさい」
「うっ……いっ、今はこれを消化するのが私の役目なのさー」
こなたはジト目で迫られるかがみの目線を避け、頬をポリポリと掻きながら、それでもやはり目はPC画面に戻った。
丁度前回のナレーションが終り、本編が始まらんとしているところだった。
「これ、動物モノ? これ、カバ? こっちは……なに? 植物? サボテン?」
「違うよー、スペースオペラだよ。OPじゃ『主役になれない』とか言ってるけど、今じゃ立派な主役だよね?」
「私に同意を求められても困るんだが」
しかし、如何にも人間臭い活劇や巧みな心理描写、未知の世界に対する浪漫が詰め込まれたこの作品を見ているうち、
かがみも何だか続きが観たくなってきてしまった。
最後は、『これが宇宙で一番上手な火薬の使い方です』と大きな花火を打ち上げるシーンで終った。
ED曲は非常に綺麗なバラードで、それがかがみの心を捉えて離さなかった。
「ただ古いだけじゃなくて結構面白かったわね」
「でしょ~? 萌えの中にどっぷり浸かるのも良いけど、たまにはこういうのもね」
それを聞いて、かがみは絶妙に切り返す。
「そうね、アンタもアニメばっか観てないで、勉強の一つもしないといけないわよね?」
「そっ、それは禁則事項ですよかがみさん」
額に嫌な汗の玉を浮かべながら、こなたはオドオドと言う。
「実は黒井先生に世界史のレポートを貰っちゃってね……これ手伝って? 私一人じゃどうしようも……」
鞄の中からゴソゴソと取り出されたプリントには、『オスマン帝国の盛衰についてレポート用紙3枚程度に纏めること』と
書かれていた。
「ンなもんやるか、バカ」
「えー、そんなーっ! アニメ見せてあげたじゃないー!」
「アンタが勝手に見せたんでしょうが。もう、帰るわよ」
そっぽを向いて立ち上がろうとしたかがみに、こなたは最後の手段に出る。
「アレ、もう見なくていいのかな? 次回からまた面白いシナリオが始まるっていうのに」
「ぐっ……」
BOXに付属した冊子をひらひらさせながら、ニマニマと笑って誘惑するこなた。
「ち、ちょっとだけだからね」
かがみはいとも簡単に屈して、こなたのレポートを手伝うことにした。それほど、どこか魔性の中毒性があるアニメだった。
「ふふふ。それじゃま、取り敢えず次回を見てからにしますか。『宇宙船サジタリウス』」
言うが早いか、こなたはリモコンを手に取ってPCに向けた。再生ボタンを押すと、途端に次の回が始まる。
「いやー、テープの頃は巻き戻しとか早送りとか面倒だったけど、今は楽だねー」
「そ、そうね……」
画面の中で、年代の違う三人の主人公達が踊り、笑い、泣いて、そして冒険を続けていく。
「私たちも、あんな風になれればいいわね」
「何か言った、かがみ?」
「な、何にも! っていうか見てないでさっさと始めるわよ!」
「えーもうちょっと~」
「いいから止めなさい!」
暫くして、シャーペンをカリカリ言わせると参考書の頁をめくる音が部屋に満ち始めたが、かがみの心はこなた以上に、
あの古臭くて人間臭いアニメのことが気がかりなのだった。
「私たちも、あんな風になれればいいわね」
「何か言った、かがみ?」
「な、何にも! っていうか見てないでさっさと始めるわよ!」
「えーもうちょっと~」
「いいから止めなさい!」
暫くして、シャーペンをカリカリ言わせると参考書の頁をめくる音が部屋に満ち始めたが、かがみの心はこなた以上に、
あの古臭くて人間臭いアニメのことが気がかりなのだった。
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- ↓↓↓宇宙船サジタリ『ウ』スね。お願いだから間違えないで~☆ それじゃ黄金聖闘士になっちゃうよ -- 名無しさん (2011-05-08 19:42:52)
- 俺もラザニア大好物!! -- kk (2010-02-05 23:44:47)
- EDは 下川みくにさんが カバーしています 夢光年いい曲です? -- T・O (2010-01-23 20:00:09)
- サジタリアスとは懐かしい…
アレは名作でしたよ、うん。 -- 名無しさん (2009-02-09 00:50:57)