kairakunoza @ ウィキ

元気の源

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匿名ユーザー

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「ちょっと遅くなっちゃったかな……」

仕事帰りの車の中で一人呟く。

「まっさか、帰り間際にあんな急な仕事が入るなんてねー……」

警察官になってからろくに休み取れないけど、やっぱり今日ぐらいは無理にでも休み取っておきたかったなあ……。

「おっと、いけないいけない」

今は運転に集中しなくちゃ。事故なんて起こしたら目も当てられないしね。
一刻も早くゆたかに会いに行く為にアクセルを思いっきり踏む。
え?スピード違反?
そんなの気にしない気にしない。



―――



ようやくゆたかの住んでるところ――つまりおじさんとこなたの家に着いて、リビングへと特攻した。

「やほーい!みんな元気ー?」
「あ、姉さん。こんばんはー」
「こんばんは、ゆいちゃん」

いつものように接してくれる二人に笑顔で返答する。
そして今日の主役にも挨拶をする。

「ゆたかー!お誕生日おめでとう~!いやー、お姉ちゃんもこんな妹を持って……あれ?」

キョロキョロと辺りを見回す。
リビングにはゆたかの姿はどこにも無かった。
部屋に戻っちゃったのかな?



「こなた、ゆたかは?」
「残念、今はここには居ないよ。姉さん、ちょっと遅かったかなー。今までお祝いパーティーやってたんだけどね」
「あちゃー……。お姉さんがっかりだ」

せっかくの誕生日パーティーに参加出来なかったのは痛いなあ……。
でもまだゆたかの誕生日は終わってない。
つまり私にも挽回のチャンスはあるってことだよ!
そのチャンスを掴む為にゆたかの居場所を聞く。

「ねえ、ゆたかはどこにいるの?」
「ゆーちゃんなら、今お風呂だよ」
「なるほど、お風呂かあ」

ちょっと待たなくっちゃね。
と、こなたがこっちにおいでおいでと手を降ってきた。
こなたのそばに移動する。

「ほら、ゆい姉さん。スキンシップスキンシップ」

ほえ?

「スキンシップ?」
「姉妹仲良く一緒にお風呂入るなんて滅多に無い機会だよ。フラグ立っちゃうかもよ」
「へ?フラグ?」
「まあつまりはゆーちゃんと一緒にお風呂に入ってみれば?ってことだよ、ゆいちゃん」
「そうそう。こういう機会もあんまり無いんだしさ」

うーん。言われてみれば確かにそうかも……。
お風呂場で誕生日を祝うっていうのもいいかもしれないかな?
よしっ、だったら善は急げだ!



「ありがとう二人とも!」
「あっ、姉さんストーップ!」

風呂場にダッシュで向かおうとしたところをこなたに止められる。

「その……一つ聞いてもいい?」
「もっちろん。このゆいお姉さんに何でも聞きなさいっ」

えっへん、という感じで胸を張る私。

「ここに来るのに車で出した最高時速は?」

え?最高時速?
早くゆたかに会いたくって急いでたから全然気にしなかったけど……。
えーっと、あの時は確か……信号が5つぐらい全部青で……あ、思い出した。

「時速150キロっ!」
「あんた本当に警察官か!」



―――



自分の服を脱ぎ捨てて、思いっきり風呂場のドアを開く。

「ゆたかー!お誕生日おめでとう~!!」
「わっ!」

私の急な登場に驚くゆたか。

「ゆ、ゆいお姉ちゃん。どうしてここに?」「決まってるでしょ?ゆたかの誕生日をお祝いに来たんだよー。……でもちょっと遅くなっちゃったかな?あとお風呂場だし。ごめんね、ゆたか?」
「う、ううん。そんなこと無いよ。ありがとう、お姉ちゃん」



ありゃ、なんだか反応がよくないなー。
ひょっとして驚かせちゃったかな?
よし、だったら元気づけてあげよう!

「ささ、後ろ向いて。お姉さんが背中流してあげるよー」
「だ、大丈夫だよ。一人で出来るから」
「まーまーいいじゃない。今日はゆたかの誕生日なんだから、気にしないって」
「……それじゃあ、お言葉に甘えて。よろしくね、ゆいお姉ちゃん」
「オッケー。任せてね~」

くるりと背中を向けるゆたか。
その背中をスポンジでゴシゴシと洗う。

「力加減はどうー?」
「うん、大丈夫。ちょうどいいよ」
「よしよし」

そのまま背中を洗い続ける。
それにしても、もうゆたかもこんな歳かあ。
全く、時が流れるのは早いよ。
そう思ったら、改めてゆたかが大きくなったって感じがしてきた。
……やっぱり身長は昔と変わらないんだけどね。

「お姉ちゃん?」
「うーん?」
「ちょっと聞いてもいいかな?」
「いいよー。どーんとこーい」
「ゆいお姉ちゃん、たまに私に会いに来てくれるけど……それって大変じゃない?迷惑かかってない?」

うーん。私は迷惑だなんて一度も思ったこと無いけどなあ。



「前にも言ったかな?私はゆたかに会いたくて来てるんだよ。それ以外の意味なんて無いって」
「うん……。ありがとう、ゆいお姉ちゃん。やっぱりゆいお姉ちゃんは、私の一番のお姉ちゃんだよ」

ゆたかのその言葉を聞いた瞬間、それだけで胸いっぱいになって……なんだか元気が出てきた。

「ありがとう、ゆたか。なんだか、ゆたかの誕生日なのに、私がプレゼントもらっちゃったみたいだね」
「そ、そんなことないよ」
「照れない照れない。……よーし!今日はお姉ちゃん頑張っちゃうぞー!」
「きゃっ!お姉ちゃん、くすぐったいよっ!」
「大丈夫大丈夫!お姉ちゃんに任せてくれればオールオッケーなのさ!」
「大丈夫じゃないよっ!もう、誕生日なんだから少しは手加減してーっ!」



―――



「こうしてゆい姉さんを巡って、ゆーちゃんときー兄さんとの泥沼バトルが……」
「こなた、縁起でも無いこと言うの止めような」












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