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大切な言葉

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
アル晴れた日のコト…じゃなくて、ある休日。
私は、こなた曰く『宿題の掃除』の為、朝早くから泉家にお邪魔している。

てゆーか、あんたの宿題なのになんで私がこんな朝っぱらから呼び出されなきゃならないのよ…

「そう言いながらも律義に来てくれるかがみ萌え♪」
いつもの猫口に左手を添えながらニヤニヤ笑いながら言うこなたに、グッと口ごもる。
確かに、確かによ。
普段の私なら『アンタが来い』の一言で一蹴したはずだけど…
今日は状況も事情も違う。


『今日お父さんもゆーちゃんもいなくて…だから、ね?』

先程の受話器ごしに聞こえるこなたの声を思いだして、ボッと顔が熱くなる。
付き合ってる男女―いや、正確には女女だけど―が密室で、しかも二人きりって言ったら…………ねぇ?

って、何考えてんのよっ、私…!!!

とにもかくにも、好きな人と家に二人きり…なんて状況に期待しないっていう人がいるなら是非ここに来て欲しいわね。
今期の市民聖人君子賞を堂々の1位で受賞させてあげるわ。

「…がみ……かがみ?」
「へ?!…って、ちょっ…!」
市民聖人君子章の勲章ワッペンのデザインはなににしようかしら、なんて意識を飛ばしていた私を、いつの間にかキスしそうなくらい近い距離に移動していたこなたが現実に引き戻した。

って、か…顔が…近っ…!!

深いエメラルドグリーンの瞳、その斜め下にある泣きぼくろ、そして…
プニプニと柔らかそうな、こなたの唇が目と鼻の近くにある。

キス……したい…、かも。

かも、なんてのは勿論妄言。
ぶっちゃけ…したい。

どちらかがちょっとでも動けば簡単に唇が触れ合うような距離に、私の心臓がこれでもかっていうくらい収縮運動を繰り返している。

「かがみ…」
少し熱を持った声音でこなたが私の名前を呼ぶ。
その吐息にさえも反応してしまう私にゆっくりと目を瞑ったこなたの顔が近付く。

――キス、される…
と反射的に私も目を瞑って次に訪れるだろう唇の感触に備える。
………
………………
…………………
…………あれ?
一向に訪れない感覚を不思議に思って右目を少し開けてみると、ニヤニヤしたこなたの口元が見えた。



「キス、されると思った?」
「…っ、なっ、ちが…!!」
図星をつかれ、思わず後ろにのけ反ってしまう背中をギュッと抱きしてられて、耳を甘噛みされた。
「あっ…!ちょ、なにす…んんっ?!」
恥かしさのピークに達していた私がこなたに文句の一つでも言ってやろうと口を開いた瞬間。
こなたが私に口付けた。

「…んっ……」
啄むようなキスを繰り返した後、つつっと下唇を舐められて、ジン…と下半身が疼いてしまう。
コイツ…ずるい。
「ぁっ…んぁ…」
ペロペロと私の唇を堪能しているこなたからの刺激にピクッと肩が反応してしまう。
いじらい刺激に物足りなくて、無意識に舌を伸ばしてしまうと、ピチャとこなたのそれに絡みとられた。
クチュクチュという唾液の絡まる水音が私をどんどん興奮させていく。

「…んはぁ、…こな、んんっ…」
気持ちよくて、でも胸の奥から突き上げてくる物足りなさをどう処理していいのか分かんなくて、思わずこなたの名前を呼ぶ。
「んっ…かがみ…」
ぎゅうと後ろに回されたこなたの腕が私の髪を撫でた。
髪の毛には神経が通ってないはずなのに、なんで好きな人に触られるとこんなに心地いいのだろう。

「かがみって、髪撫でられるの好きでしょ?」
「えっ…?」
「なんか気持ちよさそうにしてるから」
むふふ、と笑うこなた。
こいつ…なんでこーゆーことには目敏いのよ。
ニヤニヤといつもの猫口をしている様子を見るところ、私の思想なんてこなたにとってはどっかのドラマのヒロインの如く、まるっとお見通しなのだろう。

だけど、私の口が素直に「こなたに触られてるからよ」なんて言うはずもなく…

「べ、別にそんなこと…ないわよ」
なんて言ってしまう自分の意地っ張りさに内心溜め息がでる。
「ふふー、やっぱりかがみはツンデレだねぇ♪」
「だから私はツンデレじゃないって何回言えば…」
「ツインテールにつり目、しかも意地っ張りときたら…ツンデレなのだよ、かがみん」
ふふん、と胸を張るこなた。
なんでアンタが偉そうなんだ?



「そーいえばさぁ…」
相変わらず目と鼻の近くにいるこなたが、私の髪をグリグリと指先で弄りながら口を開いた。

「なんでかがみっていっつもツインテールなの?」

……なんか前にも同じ事聞かれた気が。
デジャブか?
なんて既視感に苛まれている私をキラキラと目を輝かせながら見るこなた。

そんな顔されたって期待されるような話じゃないぞ?

「いいじゃん、いいじゃん♪ささっ、話して話して」

こなたに促されるように私は忘れもしない、あの出来事を思い出す。

あれはそう、私が幼稚園の年長に上がる時だ。






「つかさがまた泣いたぞー」
「やーい、泣き虫つかさー」
「うぐっ…ひっ…」
手洗い場で水を汲んでいた私の耳に入ってきたのは、砂場がある方から聞こえた男の子達の声と、双子の片割れであるつかさの泣き声だった。
その声を聞いた瞬間、私はばっと手洗い場を飛び出し外へと駆け出した。

「こらぁ、つかさイジメるなー」
「げっ、かがみだ」
「逃げろー」
叫びながら砂場の方へ走っていくと、つかさをイジメていた男の子達は鬼ごっこを楽しむかのように逃げていった。
「……まったく」
「うっ…お、おねぇ、ひっく…ちゃ、ん…」
「よしよし」
ぺたんと膝を下ろしているつかさを抱き締めながら、ポンポンと泣きじゃくって上下運動を繰り返している背中を軽くたたいてあげる。

引っ込み思案で、人見知りが激しいつかさは、この通り私が少し目を離した隙にすぐ男の子達からからかわれてしまうらしい。
目から零れ落ちている涙を自分のティッシュで拭いてあげると、擦って少し腫れた目を私に向けてつかさが口を開いた。

「お、おねぇちゃん…あ、ひくっ、ありがと…」
頭の上で結んだ黄色のリボンを揺らして、涙を拭う。

「ん…もう平気?」
そう言って座っていたつかさに手を差し出す。

「う、ん…もうだいじょうぶ…」
「じゃあ、先生に言って着替えさせてもらお?つかさ、砂まみれだし」
パンパンと砂のついた制服をはたいて落とそうと思ったけど、靴下の中にも砂が入ってしまってるらしく、着替えた方が早そうだ。
こくりとつかさが頷いたのを確認して、つかさの手を握って、校舎に入った。



「かがみちゃんは偉いわね、さすがお姉ちゃんね」
つかさの着替えを頼もうと、私達の担任の先生に事情を話すと、聞き飽きたセリフと共に優しい手が私の頭を撫でた。
「…うん」
少し気恥ずかしくて、視線を足元の方に向ける。

「さぁ、つかさちゃん。お着替えしましょうか」

泣いていた目をタオルで冷やしてもらっていたつかさが無言で頷き、脱がしてもらいたいのか両腕をあげてバンザイのポーズをしていた。

「ふふっ、つかさちゃんは甘えん坊さんね」
4人姉妹の末っ子、ということもあるのだろうけど、つかさは甘えたがり屋だ。…て言うより甘え方が上手い。
その影響か、はたまた双子の姉としての意識の違いか、私はつかさよりも一歩前にいなきゃいけない、と思っていた。
だから必然的に「しっかりしてる」とか「お行儀がいい」って褒められるのは私で、「かわいい」と褒められるのはつかさ、というポジションだったのよね。


「ん~、素晴らしきかが×つか♪姉妹愛だね」

「なんだよ、かが×つかって…」
話の区切り、と言ってもプロローグ程度の話が終わって、喉を潤そうと、テーブルにあった麦茶を飲むと、こなたがニヤニヤしながら口を挟んだ。
「そこでつかさが押してたら、つかさルートになってたわけか…ふぅ~危機一髪」
「なんだ、それ…」
「あ、でもかが×つかだと、近親相k…」
「ストーップ!!!
それ以上の発言は危険な気がする」
こなたに制止の声をかけ、ふと窓の方を見ると、窓にはポツポツと雨粒がついていた。
そう言えば…あの時もこうやって雨が降ってたっけ。


「かがみちゃん」
つかさが着替え終わるまで傍にあった絵本をパラパラと見ていた私に声をかけたのは担当の先生だった。
「つかさちゃん、泣き疲れちゃったみたいで…」
苦笑というよりは、仕方ないなぁという笑顔を私に向ける先生を見ると、先生の膝の上でスヤスヤと寝息を立てて眠っているつかさがいた。

まったく、この子は…

起こそうと口を開いた瞬間、シーッと先生が人指し指を唇に置いて、手招きをした。
「…?」
その行動の意味は分からないけど、テクテクと先生とつかさの元へ近付く。
「つかさちゃんは、もう少し寝かせてあげましょ。」
「でもっ…」
それじゃあ、先生が大変なんじゃ…


「その間、かがみちゃんの髪結ってもいいかしら?」
「わたしの…髪?」
「うん、かがみちゃんいつも髪下ろしてるけど、結んだらもっと可愛くなるわよ」
かわいく…
肩より少し長い髪の毛を触ってみる。
朝は忙しくて滅多に、というか髪を結ってもらうってことをしてもらったことがなかった。
私でも可愛くなれるの…かな。
可愛いね、と褒められるつかさが心のどこかで羨ましいと感じていたのだろう、私は無言で頷き、スッと先生の前に腰を下ろした。


「はい、出来たっ!!」
三つ編みやらポニーテールやらおだんごやらほぼ全ての髪型を制覇し、先生が最終的に選んだのが、少し高い位置に左右に結ばれた髪型だった。
鏡の前に立って結んでもらった髪と自分を見る。
「うん。似合う、似合う」
褒められた事が嬉しくて、先生にお礼を言った後、私はすぐに教室から走り出した。


「~♪」
幼稚園で習ったばかりの歌を歌いながら、私は上機嫌で園の正門の方へ歩いていた。
結んでもらった髪を誰かに見てもらいたくて、自然に歩く速度が早くなる。

「はぁ、はぁ…
ふぃー、ちょっときゅうけー」

急に聞こえてきた声に思わず私の足が止まる。
声の聞こえた方に目を向けると、幼稚園の正門に手をかけてハァハァと息を整えてる女の子が目に入った。
少し汚れた柔道着のような格好で額の汗をぬぐっている。

…始めて見る子だ。

じっと見つめる私の視線に気付いたのか、その子がフッと視線を合わせた。

あ、目が合った…
「ぬぉっ!!
つり目にツインテ…リアルツンデレだっ!」
つ、つんでれ?
えっと、なんだろう…
シンデレラの親戚なんだろうか?
「いやぁ、たまにはランニングも役立つことあるね~」
何を言えばいいか分からない私をニマニマと観察するその子。
口が猫みたいになっている。
「えっと…つん、でれ…って?」
目を細めて私を見る視線に絶えきれず、思わず聞いてしまった。
「ふぉっ…そっか、十年前じゃツンデレはまだメジャーじゃないのか」
口を三角にして、ポリポリと鼻の上の絆創膏を掻きながら、何故か後ろを向いて話すその子。
誰に話してるんだ?



「ん~、まぁようは『可愛い』ってことかな」
エッヘンと胸をはりながら、私を見る。
「かわ…いい?」
「うん、キャラにも合ってるみたいだし、可愛いよ」
キャラ?
なんか言ってることがいまいち分からないけど…
とりあえず褒められているのだろう。
「あ、ありが…」
「お…」
始めて可愛いと褒められ、少し恥かしくなって下を向いてお礼を言おうとした私にその子が言葉を被せた。
不思議に思ってその子を見ると同時に、頬に冷たい感触。
「……雨」
「うん、ふってきちゃったねぇ………って、早く帰んなきゃ亀センセーにおこられるっ!」
慌てて走り出したその子を呆然と見つめていた私だったけど、ハッと我にかえる。

「あ、ちょっ…名前」
って、もうあんな遠くに?!
時間にしてみると数秒程しかたっていないはずなのに、私との距離はどんどん遠くなっていく。
引き止めようした手を諦めて下ろすと、クルッとこっちを振り向いた。

「つ……れ…………え…!!」

その子が何か叫んだみたいだったけど、降り注ぐ雨の音で書き消されてしまった。



「…と、まぁこんな話よ」
「へー、つまりその子がかがみの初恋の相手ってワケかー」
うんうん、と頷くこなた。
「なっ、ち、違うわよっ…!!」
どう聞いたらそんな風な捕らえ方をするのよ。
「だって、その子に可愛いって言われたから、かがみはずっとツインテールなんでしょ?」
ぐっ…、そ、そりゃあ…
可愛いって言われて嬉しかったってのはあるけど…

ニヤニヤするこなたに敗北感を感じたけれど、図星だけに返す言葉が見つからない。

「でも…」
そう言いながらこなたは私の肩に顔を乗せた。
「少し、妬けるナー」
「べっ、別に…こ、子供の時の話だし…」
グリグリと顎を私の肩に押し付けるこなたの髪が頬に触れて少しくすぐったい。
「んー、でもなんだろ。そのシーンどっかで見た気もするんだよねぇ…」
「あんたの場合、ギャルゲとかじゃないのか」
「むっ、かがみが私をどーゆー目で見てるかよぉ~く分かったよ」
少し拗ねるように頬を膨らますこなた。
そんなこなたを可愛いなぁなんて思う私は相当こなたの事が好きなんだな、と再確認。
もちろん、言わないけどね。
「でもその子、最後になんて言ったんだろうね」
私が聞き取れたのは『つ……れ……え』の3文字だけ。
つれえ……
新しい怪人の名前か?これ。
子供の頃の記憶だし、こう聞こえたかも怪しいものだけど。

「つ、れ、え……んー」
顎に手を当てながらその3文字からなんとかその子の言葉を推理しようとしているこなた。
無駄だと思うぞ?
「……あ」
「なによ、なんか閃いた?」
人指し指を立てて、こなたが何かに閃いたように声をあげた。
と、思ったらスーと深呼吸をし始める。
「……?」


「「「ツンデレ萌えーーっ!!!」」」


目一杯の声を出して叫ぶこなた。
って、藪から棒になんだそれは。
「『つれえ』の答えだよ。ツンデレ萌え」
「はぁ…。アンタじゃあるまい………」
し、という言葉を発する直前。
急にフラッシュバックするように、その子の姿が目の前によみがえってきた。


青空のように青い髪、ぴょんと重力に逆らって立っていたアホ毛、左目の下のほくろ、猫のような口、そしてツンデレ萌えという言葉。
そんな外見でこんな事を言うやつはこの世界上に一人しかいないだろう。
…というか一人で十分だ。


ばっ、とこなたの方を見るといつも私をからかう時のニヤけ顔をしたこなたがいた。
「まさかと思うけど……」
いや、もう120%確定事項だけれども。
おそるおそるこなたを伺いながら呟くと、最高級のニヤニヤを浮かべたこなたがますます口を猫にする。

ったく…

こなたのニヤけ顔に少し悔しさを感じたけど、溜め息交じりに口を開く。

「こなた」
「ん~?」
「………髪、可愛い?」

私の問い掛けに答える言葉の代わりに、感じたのは柔らかい唇の感触。
結局私はアンタに過去も今も翻弄さるてるわけね。
なんか悔しいけど…


「かがみん」
「…ん?」
「好きだよ」
「………知ってるわよ」


愛を囁く言葉も
私の名前を呼ぶ言葉も
髪を褒めてくれた言葉も…

全て愛しい私の恋人からの甘い甘い、『大切な言葉』。












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  • 2人は、一緒になる為に生まれて
    きたんですね!もはや運命!! -- チャムチロ (2012-08-12 14:31:14)
  • かがみの初恋はこなたかぁ~!
    やっぱりね!
    ツンデレ萌えーww -- 名無しさん (2008-06-12 22:14:30)
  • 十年前はツンデレなんて言葉存在してないんじゃね? -- 名無しさん (2008-02-04 00:14:55)
  • 二人は幼稚園時代に既に出会っていたのだよw -- 名無しさん (2008-02-02 22:09:24)
  • えっ、どゆこと?wwとりまツンデレ萌えーww -- 名無しさん (2008-02-02 07:46:34)
  • ヤバイ、キタコレw -- 秋塚 (2008-02-02 01:18:18)

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