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こなつーの『ココロ』

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匿名ユーザー

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この作品は、妄想屋(仮名)氏のSS作品 えす☆えふ2の、
『みつきさんがヤンデレのままいっちゃった、バッドエンドルート』(スレ36のレス668より引用)
として同氏が描かれたイラスト『こなつー万事休す』からの3次創作です。
(保管をお許しくださった妄想屋(仮名)氏に感謝)


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  こなつーの『ココロ』  
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「つーちゃん、つーちゃん…」かがみに寄りかかって泣くつかさの声が廃工場の一室に響く。

間に合わなかった悔しさと、一人で買い物に行って貰った事への後悔…
物言わず、ハッチや外された外皮パネルの隙間から無残に内部を晒す『妹』を、普段見せない悲痛な表情で見つめるこなた。

↑イラストをクリックするとフルサイズ表示

小さな体、痛々しく挿し込まれた何本ものケーブル、それらが繋る機器類を慌しく調べていたみゆきが口を開く、
「結論から申し上げますと、直す事は出来ますが、治すには皆さんの判断が必要です」

「「どういうこと?」」
こなたとかがみが聞き返す。

「量産用とかなたさん用の共通部品はあがっていますし、このこなつーの独自部品は、すぐに作れる程度の量です。
ですから『修理』という意味では直せます、けれども…」
みゆきが続けようとした時つかさが言った、
「ゆきちゃん調べ終わったのなら、つーちゃんに服を着せてあげていい?女の子なのにこのままじゃ可哀想だよ」
つかさらしい言葉に場の空気が緩む。みゆきがケーブルを注意深く外しハッチを閉める。

「つかささんは、着せてあげながら聞いてください」
怪我人にするのと同じ様に、長袖に作り直したこなつーの夏服色の制服をやさしくつかさが着せる。
それを見ながらみゆきは説明を再開する、
「直した後、泉さんの記憶データをいれればこなつーは生き返りますが…」
「みゆきさん、でもそれじゃあここにいるこなつーではなくて、リセットじゃん」
「そうです、泉さんの記憶データを戴いたときから今までの記憶や経験はありませんから、本人にも私たちにとっても、それはこなつーの2号です」

「じゃあ今の私から新しい記憶データを作り直せば…」
こなたが本気でこなつーを『妹』同然に思って言ってくれていると感じながらみゆきは答える、
「残念ながら、それは泉さんの記憶であって、ここにいるこなつーが自分で経験して感じたことは復元できません、治療という意味で『ココロ』は治せません」

やり取りを聞いていたかがみが口を挟む
「それに、リセットしたこなつーは分からないから良いけれど、そうやって再生したこなつーはこの事件のこなたの記憶から、消えた以前の自分のことを知るわ。そして、再生されたことをきっと悩むわよ」
「むぅ~」かがみに指摘されて考えに行き詰ったこなたがつかさを見た。
つかさは制服を着せ終えて横たわらせたこなつーの手を、看守る様に握りながら涙目で静かに聞いている。


暫しの沈黙。


「あの皆さん…」
4人が存在を忘れていた人物?の声がした。
こなたとの格闘の末、動きを封じられて壁際に置かれていたみつきである。

「何よあんた、今度は私たちの邪魔をしたいの?」かがみが再び怒りを込めた言葉と共ににらむ。
「いえ、こなつーさんの記憶は失われていません」
「「「「「えっ」」」」
「前回こなつーさんは、その、///えっちな暴走をされました。その時に、他にもバグがあって電源系が落ちて記憶が失われたら大変だからと、バックアップ電池が取り付けられたはずです。そのあとこなつーさんよりも先に作られた私にもバグがあるといけないからと言ってみゆきお母さんが電池を取り付けてくださいましたから間違いありません!」
全員の視線がみゆきに集まる、みゆきは忘れていたようだ、
「ええっと、わたし、そんなことした様な、いえあの時は、こなつーに泉さんの姿を重ね合わせて、ぼんやり妄想、いえ、作業を…あわわ」

あたふたしているみゆきに、みつきが説明を続ける、
「私と同じ場所ならば動力炉と燃料電池からの電力系統から独立している配線で、電池は定期交換が必要なAE-35(お約束)ユニットの隣に…」
「お、思い出しました、こなつーも同じ仕様です。でも、なぜみつきはそんな事を私たちに教えてくれるのですか?
それに知っていたなら、メインケーブルを切断までしたのに、その時になぜバックアップ電池の配線も切らなかったのですか」
「なぜ教えたくなったのは、よくわかりません。さっきからの皆さんを見ていて、私と違ってこなつーさんが皆さんに必要とされていると思ったら……今までなかった不思議な説明できない命令が私の中に発生したのです……
それと、あの時配線を切らなかったのは、何となく電池がなくなれば勝手に消えると電池のせいにしたくなって…」
話の途中で、みつきの表情も声色も急に変わった、
「あっ!それよりみゆきお母さん!こなつーさんのバックアップ電池の保持時間は?」
「えええ!たっ、た確か!」みゆきが思い出そうとパニックになっている間に、こなたは表にゆい姉さんが到着しているか確かめに飛び出した。
その後、県境を越えて東京都内の高級住宅地まで爆走する埼玉県警のミニパトがあったが、幸い所轄の警察には見つからなかったようだ、それ以前に服務規程違反であろうが細かいことは言うなヨ。


………
……………

「ん…」背中を押さえられた気がして『私』は目を覚ました。
最初に目に入ったのはいつもの作業台、でも…私は下を向いた次の瞬間、
「ええええ、私脱衣キャラ決定なの?」
と絶叫していた。だって、みゆき母さん、こなた姉さん、かがみさん、つかささんが私を囲んでいて、全身メンテナンスだったのか服を着ていなかったからね。
「……」
いつもの狼に囲まれた羊状態の極めてやばい状況、身の危険に思わず私は構えたが、今の皆さんはいつもと違って笑顔で涙ぐんでいる。
「こなつー、自分がどうしていたか覚えている?」
こなた姉さんが笑顔から、真顔に戻って問いかけてきた。
「えっと、買い物に行って、みゆきお母さんそっくりの女の子…えっと、私と同じアンドロイド?に会ったところで記憶が飛んでる…あれっ?それから…確かその娘に電源ケーブルを切られてブラックアウトして……どうして、いま『 私である私 』がいるの?」
「よかった、間に合ったんだねこなつー」
こなたお姉さんの、私と同じ翠の瞳から涙が落ちた。
「つーちゃん、よかった、わーん」つかささんがが抱きついてきた、でもそれは生還を祝ってくれる為だ。

こなたお姉さんは混乱する私にみつきさんのこと、そして結局最後にみつきさんが私の『ココロ』を救ってくれたことをゆっくりと話してくれた。

みつきさんのした事はひどかったけれど、その事に至った心情を知った私は程なくみつきさんと和解した。









☆他の作品もお読みいただければ嬉しいです27-243作者ページ


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  • イラストの表示調整を行いました -- 名無しさん (2009-03-03 05:43:35)

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