kairakunoza @ ウィキ

嘘とホントと二人の愛(前編)

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匿名ユーザー

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「おはよー、みゆき」
「あ、お姉ちゃん」
「おはようございます。かがみさん」

いつもの通り、隣の2―Eに入ると、早くに登校してるみゆきに挨拶。癖っ毛なのだろう、ピンクの長い髪がうねりをあげている。
隣には、双子の妹のつかさがいる。頭の上の黄色いリボンのようなカチューシャが自身の動きに合わせてゆらゆら揺れる。
アイツは……やっぱりまだ来てないのね。いつも通りか……

「おはよー」

お、来たわね。
まったく……こいつがいなきゃ、始まらないじゃない。

「おはようございます、泉さん」
「おはよー、こな君」
「おはよ、こなた」

私達の目の前にいる男子制服を着た人間は泉こなた。
いつもとおなじ、ふくらはぎあたりまで伸びた青く長い髪。そのてっぺんから髪の毛が一本だけ『みょん』と伸びている。
私の友達の一人であり、私達グループの中で唯一の『男子』である。見た目は女の子にしか見えないが……ちゃんと男子制服を着ているし、男子なのだろう。
どうやって友達になったんだっけ……
あ、そうだ。外国人に襲われてるつかさを助けてくれたのが始まりだっけ。

「こな君、また寝不足?」
「目の下のくまがすごいですよ」
「いやぁ、昨日は2時くらいまでネトゲしてたから……ふぁぁ……」

その点では感謝してるけど……まさか典型的なオタクだとは思ってもみなかったわね。
深夜アニメはリアルタイムで見、ビデオを録るくせにDVDもしっかり買う。
マンガとか貸してくれた時は『気にしないで、それは貸し出し用だから』とか言ってたし……あと何用があるかなんて怖くて聞けないわよ……

「泉ー、これ」
「ふおお!!」

その場から脱兎のごとく部屋の隅っこまで逃げ出すこなた。顔は真っ赤で、息も絶え絶え。
実はこなたは、男でありながら『男性恐怖症』という、ちょっと(かなり?)変わった男の子。
ちなみに今話し掛けてきたのは1年からずっと同じクラスという男子だ。

「おいおい、もう一年と3ヶ月だぜ? いい加減慣れてくれよ~」
「はー……はー……ご、ごめん……」
「ほらよ。カバンの口が開いてたぜ」
「あ……ありがとう……」

視線を下げながら、男子から筆箱を受け取る。
顔が真っ赤だし……見る人によっては誤解されかねないぞ?

「はぁ……どーしてもダメだ……」
「じきに慣れますよ」
「そーだよ。私達ともすぐに友達になれたんだから」
「うん……そうだね」

まったく……大丈夫かしら?
大学とか行ったら誰かにいじめられるんじゃないか心配だわ。

「そっそれより、明日から夏休みだよね。せっかくだし、みんなでどこか行こうよ」
「あ、いいね!」
「確かに、みんなで遠くにお出かけしたことがありませんでしたからね」

お出かけ、ねぇ……
たまに思う。こいつらは、『こなたを男として見てないんじゃないか』って。
遠くにお出かけって……それってつまりちょっとしたデートじゃないっ!
こ、こなたとデートなんて……そんなの……////

「あれ、かがみ顔赤いよ? ボクなんか変なこと言った?」

あ~もうっ! なんで高校生にもなって『ボク』なのよ! 可愛くて仕方ないじゃない!!

「そ、そう? ちょっと、暑くってね……」
「じ~……」

う、疑いの目線……
だからそういうのはやめてってば! 襲いたくなっちゃうから!!

「じゃあさ、海は? 今もお姉ちゃん暑いみたいだし、これからもっと暑くなるよ?」
「お、いいね!!」
「海ですか……そういえば、最近泳いでませんでしたね。泳ぎは苦手ですが……」

ほっ……つかさ、ナイス。
とりあえず、こなたの呪縛からは解き放たれたわ……

「車は任せといて。従姉のねーさんとか黒井先生に頼むから!」

なんで海くらいではしゃいでるのよ。
ほんっと、こうして見ると小学生の女の子にしか見えないわね。
……なんで私はこんな男を好きになったのかしら……







「なあ、泉……」
「なんですか? 黒井先生」
「『アレ』、まだ言わへんのか?」
「ああ……まだ、心の準備ができてなくて……」
「ちゃんと高校生のうちに言うんやで? そうでなくても、お前は……」
「はい……認めたくはないですけど……」







夏休み三日目。黒井先生と、こなたの従姉の成実さんが車を運転してくれたおかげで、その日のうちにちゃんと海についたけど……

「……もう、日ぃ沈んどるやんか……」
「ですね……」

交通安全課の警察官なのに暴走した成実さん、免許は持ってるけどペーパドライバーな黒井先生のおかげで、着いた時はもう陽が沈んでたわ……
うぷ、気持ち悪い……よく、交通安全課をクビにならないな……

「しゃーない、今日は泊まろか」
「有給休暇だから、もう1日くらいならゆっくりできるし。焦らなくても大丈夫でしょ!」

最大の元凶が何を言う……
などとツッコむわけにもいかず、私達は旅館へと向かった。
が……またもトラブルが。

「え……一部屋しか予約できてない!?」
「すみません、こちらの手違いで……。他の部屋はすべて埋まっているので、どうかご了承ください」

男子がいるってのに同じ部屋で過ごすの!?
し、ししし、しかも想い人と同じ部屋……///

「仕方ないね。お姉ちゃん、こな君、行こう」
「大部屋を予約していたのが何よりの救いですね」

だ~か~ら~! なんであんたらはそんな冷静でいられるのよ!?
あれか!? あんたらの中ではこなたは女の子として処理されてるのか!?

「かがみ、早く行こうよ~」

……こなた、頼むからそんな困り果てた目で私を見上げないでくれ。袖口をくいくいと引っ張るな。本気でリミッター解除発動しそうだから。



理性という名のリミッターを強引に留め直し、私達は部屋にやってきた。
六人が寝泊まりするには充分な広さだ。これなら大丈夫かしら……

「う~ん、広いね~!」
「はい。これなら六人でも大丈夫ですね」
「早速ご飯にしようよ。お腹ペコペコ~!」
「いや、それはゆいねーさんが暴走したから……」

成実さんの暴言にたじろぎながら、とりあえず食堂へと移動。
豪華な食事を頂き、部屋に戻ってから雑談やカードゲームで盛り上がって……時計はもう8時を差していた。

「おや、もうこんな時間かいな。ほな風呂行こか」

黒井先生はおもむろに立ち上がって自分のバッグに手を突っ込む。
私達もカードゲームをやめ、着替えの準備をする。この旅館の売りは大浴場にあるらしい。

「……あれ?」

つかさの間の抜けた声で振り向いて、私も気が付いた。
こなたがお風呂の準備を一切していないのだ。持ってきた携帯ゲーム機をやっている。

「こな君、お風呂入らないの?」
「う、うん。だってここ、大浴場しかないじゃん」

あ、なるほど……





「あんた、確か男性恐怖症だったわよね。男ばっかりの大浴場は無理なのね」
「うん……そういうコト。だからみんな、行ってらっしゃい」

足をパタパタと上下に動かしながらゲームへと意識を集中させるこなた。
仕方がないので、こなたを抜いた私達は大浴場へ向かう。
売りというわりには、なかなか普通の大浴場だった。







「ん……」

ふと、夜中に目が覚めた。
辺りはまだ真っ暗、私以外に起きてる人はいな……

「ふぅ……やっとみんな寝たか……」

薄目を開けて声のした方向を見ると、布団から身体を起こすこなたの姿が目に入った。
立ち上がって、そのままの格好で部屋を後にする。
気になった私は、こっそりこなたの後をついていった。
物陰に隠れながらこなたがどこに向かうか覗くと……

「……え……?」

こなたは、大浴場の女湯に入っていった。
まさか、覗き!? ……いや待て、誰もいない大浴場に入るってことも……女湯なら男が入ることはないし、こなたって女の子っぽいし……
と、とにかく! 知り合いの男子が女湯に入ってるんだ。引き止めないと!!
私は女湯と書かれたのれんを押し退け、脱衣場に飛び込んだ。

「こなた!! あんたなに女湯なん、か……に……?」

あり得ない光景が、目の前に広がっていた。
私の突然の乱入に驚くこなたの前にあるカゴには、さっきまでこなたが着ていたパジャマと小さな『ブラジャー』が入っている。
こなた自身はというと、すでに上半身は裸。『男子よりは大きい』小ぶりの胸がとても綺麗だった。
そして……下半身。こなたが穿いていた『ショーツ』は膝元まで下がっていて――





こなたの股間に、『男子なら必ずあるもの』が存在していなかった。





















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  • おおっ!!!続き気になる!!!!!!!!!!!! -- 名無しさん (2008-05-20 17:37:17)
  • なんという展開
    続き楽しみだ -- 名無しさん (2008-05-19 02:13:14)

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