kairakunoza @ ウィキ

かがみのクリスマス

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匿名ユーザー

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 ベッドに寝転んだままでかがみは時計を見た。午後九時を過ぎ、峰岸は恋人と一緒に
楽しく過ごしていると思うと溜息が漏れた。
 去年と同じ、家族全員そろってのクリスマスだった。何度、携帯を見てもこなたからの着信は無
い。小説を読んでいても内容が頭に入ってこないで、暖房の音だけが部屋に響いていた。
 こなたはバイトなのだから仕方がない、こなたがかがみに付き合う理由は無いとわかっている。
けど一人でいるという事実が、寂しさになってかがみのなかで渦巻き、部屋の中の空気は重い。
 重い空気を打ち消すように部屋に渦巻く携帯の着信音が鳴り響く、ベッドから飛び起きた。
携帯を手に取り、着信画面を見ると、こなたからだ。反射的に通話ボタンを押していた。
「メリークリスマス、ねぇかがみ、何してるの?」
 かがみの気持ちなど全くわかっていない、のんびりとした声だった。渦巻いていた寂しさが怒り
が変わって、きつい言葉になる。
「……何の用?」
「もしかしてかがみ、寂しかったの?」
 何も言えなくなり、黙り込んでしまった。否定したいけど、寂しかった事実なのだから仕方がない。
「かがみはかわいいねえ」
「うっ、うるさいわね」
 完全にこなたの手のひらの上で踊らされているけど、電話をくれたことが嬉しかった。電話越しに
こなたの得意げな笑い声が聞こえた。
「かがみ、これから出てこれる?」  
「大丈夫だけど、……何?」
「秘密、駅前のツリーの前で待ってて」
 そう言い残してこなたは電話を切った。コートを羽織り出かける準備をしながらながら、自然と頬が緩む
のをかがみは感じていた。


 駅前は電飾を施されたクリスマスツリーが立って、クリスマスソングが響いている。周りは待ち
合わせをする幸せそうな恋人たちがいた。
 駅前に流れるクリスマスソングを聞きながら、今までにないくらい浮かれている。手元にある紙
袋を見つめていた。路上でアクセサリーを売っていたお兄さんから買った守護石を使ったストラッ
プだ。 
 こなたも携帯をもつようになったからストラップぐらいなら付けるだろう。こなたが喜んでくれたら
いいなと思う。
 お兄さんは恋愛のお守りだと言っていたけど、お守りで恋愛が上手くいったら苦労はしないだろう。
けど効果があって欲しいとも思っていた。 


 大勢の人の中から、青い髪のちっこい影を見つけると、人を掻き分けて駆け寄っていた。こなた
はいつもと同じつかみどころのない笑みを浮かべ、のんびりとした口調で話し掛けてきた。
「かがみ来たんだ?」
「来いって言うからよ。何の用?」
 浮かれているのを悟られないように答えた。のんびりとした様子でこなたは綺麗にラッピングさ
れた袋を取り出した。
「クリスマスプレゼント。かがみとつかさに。リボンだよ」
 高ぶっていた気持ちが急速にしぼんでいくのをかがみは感じていた。こなたは二人のプレゼント
を買ってきただけなのだ。一人で盛り上がって浮かれていた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
「どうしたの? 嬉しくない?」
「……別に」
 浮かれた自分が恥ずかしくなってそっけなく答えると、黙り込む。こなたは含みのある
意味深な笑みを浮かべて顔を寄せてきた。
「はいかがみ」
 箱を手渡したこなたの顔と箱を交互に見た後で、袋を開ける。何の装飾もないシンプルなリングだった。
「かがみにプレゼント。安物だけど、かがみに似合うと思って」
 顔が真っ赤になっていくのを感じた。こなたの顔を正視することが出来ず、
目を反らしストラップの入った袋を突き出した。


「……これストラップ。携帯持つようになったんだから」
「ありがと、かがみ」
 横目で盗み見ると、初回特典を手に入れたときのように、こなたは目を輝かせてストラップを見つめている。
 こなたは甘える猫みたいにかがみに擦り寄ってきて来て耳に近づけてくる。
耳に息が当たるような至近距離でこなたが囁く。
「ねえかがみ、私のこと好き?」 
「……好きだよこなた」
 答えたかがみの声は震えていた。
「好きだよ。かがみ」
 頭の中が真っ白になり、何か言おうとしたが言葉にならない。
「照れてるの? かわいいねえ」
 茶化すこなたに、何も言えなくなり俯いたままで聞いた。
「このために呼び出したの?」
「クリスマスだし、やっぱりギャルゲーの王道じゃない?」
「あんたねえ」
 わかってはいたけど、オタクそのものの、こなたの思考に呆れていると、こなたが抱きついてきた。
「……ちょっと」
「いいじゃん、かがみ」
 恋人同士になれた嬉しさと、照れくささから何も言えなくなってしまう。
「本当にかがみはかわいいねえ」
 こなたの声に重なるようにクリスマスソングが聞こえる。背中にかがみの温もりを感じながらこなたの青い髪を撫でていた。
猫のような笑顔のこなたを見てると、かがみの胸に暖かいものが広がっていった。



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コメント:
  • 甘くていいですね〜w


    乙でした! -- 名無しさん (2010-05-26 18:46:21)
  • めでたしめでたし// -- 名無しさん (2010-05-25 17:35:17)

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