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ぶるー・すかい・ぶるー

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匿名ユーザー

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「ある~晴れ~た日のこと~、魔法以上のユカイが~♪」
隣でこなたがマンガを読みながら口ずさむ。
なんだかとても機嫌良さげで、見ている私まで嬉しくなる。
……にしても妙に歌上手いのよね、こなたってば。
以前こなたのバイト先に行ったことを思い出した。一生懸命踊っているこなた、すごく可愛かったな……いや、こなたはいつも可愛いんだけど。それは世界の真理だ。少なくとも私はそう思う。他でもない、私の恋人だし。
半分以上惚気ているのを自覚しながら、それでも止める気は無かった。
頭の中に、踊り終わった時の何か成し遂げた感じのこなたの表情が浮かぶ。
さっき淹れた紅茶を啜りながら回想に浸っていると、こなたが突然言った。


「ねえ、かがみ。聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
さっきとは違って、わりと真剣な表情だ。

「・・・?」

一体何だろう、何か真面目な話かな、と思った矢先。
こなたはその言葉を口にした。




「その、かがみって一人で、・・・したことある?」
「ぶふぅぅぅぅぅぅぅ!」



その日、外には雲ひとつ無い快晴が広がっていた。








『 ぶるー・すかい・ぶるー 』



その予想を斜め上、どころかワープで軽々と飛び越えたような爆弾発言に、私は盛大に吹いた。
当然、目の前にいたこなたはもろにそれを浴びる。
「あぁ~!ちょっかがみ、何すんの!」
頬を膨らませてこなたが抗議のポーズを見せる。
      • というか、それはこっちのセリフだ。せっかくいい感じに浸ってたのに。
それと、私の紅茶をどうしてくれる。
「まさか、ユカイじゃなくて紅茶が降り注いでくるとは・・・」
「あんたが変なことを言うからでしょうが!」
そう言いつつ、ハンカチでこなたの顔を拭いてあげる。
少しくすぐったそう。
「いや~何だかんだ言っても世話を焼いてくれるよねぇ」
こなたはネコ口をニヤニヤさせた。
「うるさいっ!」
紅茶を吹きかけた罪悪感もあるにしても、確かに我ながら甘いような気がしてつい頬が熱くなる。
こなたはそんな私を見てか、更にテンションを上げた。
「さすがかがみん!ナイスツンデレ!ディ・モールト素晴らしい!」
「・・・何語よ」
その奇妙な、というフレーズがしっくりくる気がする褒め言葉(?)に少々の疑問を感じたけど、今の私にはもっと気になることがあった。
そう、この状況を作り出した元凶たる発言について尋ねなければならないだろう。もしかしたら私の聞き間違い、もしくは勘違いという可能性もある。
むしろそうであって欲しい。
「ところでさ、さっきの―――」
そう言いかけると、
「よくぞ聞いてくれたました!」
待ってました、とばかりにこなたが叫んだ。いや、まだ言ってない。
「だから、かがみは一人の時、えっちな事とかするのかな~って思って・・・」
聞き間違いじゃなかったのか・・・

それにしても余りにも直球かつ無神経すぎる心臓にもアホ毛が生えてるんじゃないか
女の子もとい自分の恋人にそんな事聞くなんていやこなたも女の子か
それより心臓にアホ毛とか何を言っているんだ私は――――――そんな考えが私の頭の中を一気に駆け巡った。


まあとりあえず質問の真意を問いたださないと。気を取り直して深呼吸。・・・よし落ち着いた。
「・・・なんで突然そんな事聞くの」
そんな私の質問に、
「だって恋人の事は何でも知っておきたいじゃん?」
こなたは笑顔でそう答えた。その言葉に、不覚にも嬉しさを感じてしまう。
「ぎ、疑問文を疑問文で返すなっ!」
つい声が裏返ってしまった。
「ふふ、実に正しい応答だよかがみん。それとも無意識の産物かな?・・・まあ、それは」
置いといて、とこなたがジェスチャーする。
というかなんで分かるんだ私・・・
「どう?やっぱりかがみんも、たま~にだけどそんな気分になったりするわよ
健康な若いおにゃのこなんだし、体を持て余したりするわ、みたいなの無い?
『眠れない夜この身を苛む煩悩』、ってのに悩まされるとか。
もしくは月明かりのさす窓の鉄格子を見てたらなんだか・・・、とかさ」
こなたは一気にそう捲くし立てる。・・・というかキラキラした瞳でこっちを見ないで欲しい。それにこんな時まで何かのネタだろうか。よく分からない。というか鉄格子って何だ・・・
ツッコミたい衝動を何とか抑えて答えた。
「・・・ないわよ」
「・・・・・・・・・」
そう言った瞬間、少しこなたの表情に翳りが―――あったと感じたのは気のせいか。
残念といった感じでも期待はずれといった風でもない、昏い表情が見え隠れしたような。
もう一度こなたの顔を覗くと、そこには明るい、いつもの顔があった。
やっぱりさっきのは気のせいだったのだろう。そう思うことにした。
それに嘘は言っていない。全くと言ったら嘘になるけど、最近はそういう欲求不満からそういう行為に走る事は無いのも事実だ。
なぜなら・・・
「・・・私が発散させてるおかげかな?ねえ、かがみん?」
「・・・・・・っ!」
こなたの言葉に、私は顔がもの凄い勢いで熱くなるのを感じた。
そう、恋人同士になってから私たちは何度も体を重ねていた。
こなたの家で、私の家で、さらには学校でも。
もちろん背徳感が無いわけではないけれど、それよりはこなたへの愛情、こなたに触れたいという欲求の方が強かった。
それにその手のゲームをしているためかどうか、こなたは妙にそういうのが上手い。
行為をしている最中は、頭が真っ白にされてしまう程だ。激しくされると腰が立たなくなってしまうのもしばしば。そうかと思えばすごく優しくしてくれたりもするし、
とにかく私はそういう事にたいして不満は無い、どころか満足しすぎている位だった。

「まあ私も悦んでもらえるように努力してるしね?」
「・・・・・・・・・うぅ」
こなたが大真面目な顔で言うもんだから、顔が益々熱くなっていく。というか恥ずかしいセリフ禁止。



「・・・じゃあ、そういうこなたは・・・どうなのよ・・・」
私は、苦し紛れにそう聞くしかなかった。
しかしこの一言は意外に効いたようで、こなたは困ったように目を泳がせた。
どうやら自分が聞かれると思っていなかったらしい。
「・・・・・・・・・・・」
こなたはしばらく躊躇した様子を見せてから、
「・・・あるよ」
少し恥ずかしそうに答えた。
「・・・やっぱゲームで、とか?」
その手のゲーム等、相当やっているらしいから、そういう気分になる事もあるのかな。
「ち、違うよ!」
こなたはなぜか力強く否定した。顔がやや赤くなっている。
その様子を見てると、つい言及したくなる。
「じゃあ何で?」
我ながらデリカシーが無いな、とは思った。でも困っているこなたはなんだか可愛くて、ついそんな言葉が出てきてしまった。
「何で、って・・・」
こなたはうぅ~、と唸ってから、
「そりゃ、かがみで、に決まってるじゃん・・・」
目を伏せて、蚊の鳴くような声で言った。
「・・・・・・!」
私は胸の中に、むず痒いような、嬉しいような、そんな感情が押し寄せてくるのを感じた。
そんな私の胸中を知るはずもないこなたは、さらに続ける。
「かがみに告白する前はやっぱ私も欲求不満になったりとかで・・・その、寝る前とか、かがみの事考えたりすると、さ・・・」
「こなた・・・」
ゴニョゴニョと呟くこなたは、耳まで真っ赤になっていた。
さっきまでの余裕の態度が嘘みたい。正直ずるい、その可愛さは。反則だ。
「かがみは・・・?」
「・・・・・・・」
こうなったら観念して、正直に言うしかない。
「・・・私も、こなたと恋人になる前は・・・こなたの事考えながら、その・・・駄目だって思っても、こなたの笑顔とか見ると・・・」
そこから先はもう言えなかった。

「・・・・・・・」


「・・・・・・・」

恥ずかしくてまともに目を合わせられない。
永遠に続くか、と思われた沈黙の時間の中、
「・・・私だけじゃなかったんだね」
ぽつり、とこなたが呟いた。
「え?」
その言葉に込められた、予想外の想いの深さに、私は戸惑った。
そんな私を少し見てから、こなたは続ける。

「私さ、かがみでそういう事するのに、罪悪感っていうか・・・綺麗なかがみを汚しちゃってる感じがしてて、でもそう思ってもそういう事を止められない自分が凄く嫌だったんだ」
「こなた・・・」
吐き出すように呟くその一言一言に、思いが滲み出ていた。
「ごめんね、変なこと聞いちゃって。でも良かった。かがみも同じ気持ちでいてくれたのが分かったし、ね」
そう言って微笑むこなたの瞳は、少し潤んでいて、最初のおどけた態度がいかに無理をしていたのかが窺えた。

想い人でそういう行為をする、その罪悪感や後ろめたさが頭の隅にあったのだろう。こなたはずっとそれを引きずって、悩んでいたに違いない。私にも良く分かる。だって、私も同じだから。

気付くと私は、こなたを抱き締めていた。
「私だって、同じ。ごめんね、こなた・・・とか思っても、こなたの事考えるたび・・・何回も繰り返してた。そんな自分が大嫌いだった」
「かがみ・・・」
そうしてしばらく抱き締めていると、こなたがおずおずと、私の背中に手をまわしてきた。
私は出来るだけ優しく、こなたに声をかけた。
「こなた、私がこなたの事考えながらしてたって聞いて、嫌だった?」
「・・・ううん」
こなたは小さく、でもはっきりと首を横に振った。
「私もそう。こなたがそこまで私のこと想ってくれてるんだって思って・・・嬉しかった」
「かがみ・・・」
「2人して同じ事考えて、同じ事して・・・だから、おあいこ、ね?」
「・・・かがみぃ!」
感極まったのか、こなたは私の頭に腕をまわすと思いっきりキスをしてきた。

「・・・ん」

「ふ、ぁ・・・」
軽く触れるだけの優しいキス。
それだけでわだかまりが全部溶けていってしまう気がするから不思議だ。


「・・・かがみぃ」
「・・・こなたぁ」


「「大好き」」


放った言葉が余りにピッタリすぎて、私たちは声を合わせて笑った。
こうして好きな人と触れ合える喜びを痛いほど感じる。
窓からは、さっきと同じ、雲ひとつ無い青い空が広がっているのが見えた。こなたの髪と同じ色。私の大好きな人の色。そう思うと、なんだか自分の心まで晴れ渡っていくようだった。

もう一回キスしようとしたその拍子にバランスが崩れて、私達はベッドに倒れこんでしまう。ちょうどこなたが私の上に覆いかぶさっている形になった。


「ねぇ、かがみ」
こなたが悪戯っぽく微笑みながら囁いた。

「なに?」
わざとそっけなく返してみる。

「今日ってつかさも、他の家族の人もいないよね?」

「そうね、だから?」
わかってるくせにぃ、とこなたが笑った。私もつられて笑ってしまう。

「ふたりっきりだよね?」
お互いの言いたいことが分かった上でのじゃれ合い。

「だから?」
この奇妙なやりとりに、なんとも言えない心地よさを感じる。

こなたがとびっきりの笑顔で言った。


「優しいのと激しいの、どっちがいい?」



「・・・優しく、お願いします」




            【 fin 】















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  • 普段がああだから恥ずかしがってるこなたはかがみのデレ以上に破壊力があるな -- 名無し (2014-01-14 03:35:45)
  • かがみ×こなた!最強です!


    -- チャムチロ (2012-07-29 20:48:37)
  • なんという理想的なこなかが
    将来綾波になりそう -- 名無しさん (2008-08-15 12:39:52)
  • すばらしい
    将来長門になりそう -- 名無しさん (2007-10-29 00:41:50)
  • グッジョーブ!将来チヂレになりそう -- 名無しさん (2007-10-21 00:18:02)

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