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保健室にて

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匿名ユーザー

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受験勉強のし過ぎで寝不足だったせいか、それとも今日たまたま朝食を抜いたからなのか三時間目の体育でちょっと走っただけなのに私は貧血をおこして倒れ、保健室に運ばれた――らしい。
正直、朝からふらふらだったせいでよく覚えていない。
「んー・・・」
ベッドの上で目覚めてから何度目かの寝返りをうつ。お腹が空きすぎて眠気も襲って来ない。
ふゆき先生は所用があったらしく、私が目を覚ますと診察内容と暫く寝ているようにとの書き置きだけが残っていた。
ちらりと、壁に掛かっている時計を見ると12時を少しまわったくらい。
もうちょっとで四時間目が終わる所だ。
二時間続きの体育でよかった。この時期に五教科の授業に出ないのはマズい。
相変わらず眠くはないし、貧血の方も大分良くなったみたいだけど、ふう・・・と息をついて目を閉じる。
と、パタパタパタと廊下を走る音がするのがわかった。
保健室に来るみたいだけど病人のわりに元気そうじゃない。
ま、私には関係ないことね。
「かがみっ大丈夫!?」
勢いよくドアが開かれたかと思うとこなたが飛び込んで来た。
ここで目を開けなかったのはほんの気まぐれだったんだけど、まさかあんな事態を招くとは、この時の私は思ってもみなかった。
「なんだ、寝てるのかぁ・・・」
残念そうに呟き、きしっと音をたてて私の寝ているベッドに座る。
「・・・心配、したんだからね」
いつもとは違う真剣な声でいいながら、こなたの小さな手が私の髪をすく。
・・・完全に起きるタイミングを逃しちゃった・・・
だけれど、こなたの手が心地良くて、このまま身を委ねていたい、という気持ちもあった。
指の背でほっぺを撫でられるのがくすぐったい。
「ん・・・・・・」
「あ、起こしちゃったかな・・・」
身をよじるけど目は開けない。
「んー・・・まだ寝てるみたいだけど・・・そろそろ時間だし、起こさないといけないよネ」
こなたがくふふ、とさっきとは打って変わって悪戯っ子のような声音で笑う。あれ、なんかヤバい予感が・・・っ?
「寝てるなら 起こしてみせよう お姫様」
何で五・七・五調・・・っていうかお姫様ってなんだ。と、心の中でツッ込む間もなく唇が塞がれる、こなたの唇で。
ご丁寧に鼻までつまみながら。
「んむっ!んんんんっ!」
慌てて飛び起きると、私以上にびっくりしたらしいこなたが大きな目をさらにまんまるくしてこっちを見てる。


「かがみん・・・起きてたの?」
「・・・ちょっと前からね」
さすがに最初から起きてましたとは言えなくてごまかすように話題を変える。
「というかあんた何でここに?授業は?」
「んー?ちょっと早めに終わってね。かがみの所ももう終わったかなーと思って行こうとしたら、ちょうど体育から戻ってきたみさきちに保健室に運ばれたって聞いて」
なるほど、と納得する。しかしそれにしても・・・
「なんなのよ、さっきのキスは」
「え?ほら、童話にもあるじゃん。お姫様を起こすには王子様のちゅーが必要だって」
「いやいやいや、誰がお姫様だ」
「かがみ」
当たり前のように言われて脱力する。ああ、もうツッ込む気力すらわかない。
「ところで、体の具合はどう?」
「いまさらかよ・・・うん、まあ大分良くなったわ」
「お昼、食べられる?」
小首を傾げて上目遣いで尋ねる姿が可愛くて思わず抱きしめそうになる。
待て待て。自重しろ、私。「・・・大丈夫よ」
「じゃ、行こっか。と、その前に・・・んーー」
「・・・何よ」
「おはようのちゅー」
あ、ヤバい顔が熱くなって来る。
「さっきもしたじゃないっ!」
「あれは目覚ましのちゅーだヨ」
「なんだよそれ・・・」
ため息をついて呆れながらも頬に手を添える。
ああ、本当私こなたに甘い。でも悪い気分じゃないな、と思いながらゆっくりと近づいてキスをした。
ついばむような軽いキス。何度かしているとこなたにぺろりと唇を舐められてそれが合図のように薄く口を開ける。
途端 に入り込んできたこなたの舌に応えながら頬から背中に回した手に力をこめると、こなたの手も私の首に絡み付いて来てより深いキスになる。
「ん・・・ふ・・・・・・」
混ざりあった唾液を飲み込むのに必死で他に何も考えられなくなっていく。
四時間目の終わりを告げるチャイムがどこか遠くの音のように聞こえてきたけど目の前の気持ち良さには抗えない。
「ぁ・・・っん・・・ん・・・」
室内には水音と吐息だけが響いて、それがさらに私を止まらなくさせていく。
ここは学校の保健室だとかご飯食べなきゃ、だとかそういった事が段々どうでもよくなってくる。
この前同じようにして(結局は私が自爆したんだけれど)田村さんにバレてしまった事が頭を掠めるものの、それすらこの行為を中断するための枷にはならない。
このまま欲望に身を任せてしまおうかと考えた瞬間――・・・


「お姉ちゃーーん!大丈・・・」
「遅くなってしまい申し訳・・・」
「――――――っ!?」
つかさとみゆきの声に驚いて慌てて離れたけど・・・見られた・・・よね?
「「「「・・・・・・・・・」」」」
止・・・止まってる・・・時が・・・
もしかしたら私にとって学校は鬼門なんだろうか。
いや、こんな所でこんな事をしてる私達がダメなんだろうけど。
ちらりとこなたの方を見遣るとちょっと赤くなってるけどわりと平然としている。
フォローしなさいよ!フォロー!!
当然と言うべきか、最初に口を開いたのはみゆきだった。
「・・・あの、先に教室に行ってますね。さ、つかささん」
「え?あ、うん」
頬を軽く染めながらみゆきが、どこかまだぼーっとしているつかさの手を引いてもと来た道へと戻っていく。気・・・気まずい・・・
「まあ、本番じゃなくてよかったね」
「最後までする気だったんかい!」
「かがみんだってその気になってたくせにぃー」
「う・・・」
図星をつかれて思わず言葉に詰まる。
「・・・それより、なんて説明したらいいのよ、あの二人に」
「理解してくれると思うよ」「何を根拠に・・・」
「だってみゆきさんとつかさ想いあってるじゃん。付き合うのも時間の問題だネ。
もしかしたら今日の事が起爆剤になるかも」
・・・は?つかさがみゆきを?
その言葉が俄かには信じられなくてこなたの方を向くと、
気付いてなかったの?という表情で私の方を見てる。「・・・気付いていないのは本人達だけかと思ってたけど・・・
そうだった・・・かがみんもニブかった・・・」
「うっさいわね!」
言外に付き合う少し前の事をほのめかされて、
引きかけていた顔の熱がぶり返す。
そりゃあね、やたらスキンシップが多いなあ・・・とかは思ってはいた。
思ってはいたけれど、まさかそういう意味で好きだからだとは思わないじゃない!
「とにかく、教室に戻ろうか。みゆきさん達も待ってるだろうし」
「・・・うん」
「ん」
「・・・・・・」
差し出された手に無言で指を絡める。
「素直なかがみん萌えー」
「言うなっ!」
それでも、しっかりと握った手は離さずに私達は歩き出した。












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コメント:
  • ↓そうじろうさんですか? -- 名無しさん (2011-04-30 00:53:53)
  • 保健室ではやるなとあれほど... -- 名無しさん (2011-01-17 19:49:45)
  • いつでもどこでもww -- 名無しさん (2010-05-23 12:48:27)
  • あらあら(・∀・)。お熱い -- 名無しさん (2010-02-20 14:24:58)
  • いい話だなぁ(*´∀`) -- 鏡ちゃん (2009-10-06 19:21:12)

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