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All thing must pass

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kairakunoza

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「All things must pass.」
直訳すれば、「全ての事は過ぎ去って行かざるを得ない。」となる。
意訳すれば、「行く川の流れは絶えずして。」
最近その言葉を実感する。
そんなことを考えるとは歳をとったなとは思うが、年齢を実感するとまた、時間の流れも感じてしまう。


その台詞を言ったのは高校時代に出来た親友。
その台詞を聞いたのは高校の卒業式。
いつもはそんなことは言わない。何故、あの時あんなことを言ったのかは結局分からず仕舞い。
適当に誤魔化していたのが本当は事実だったのかも知れない。
その時のことをふと思い出して---


「All things must pass.」
「え、何?」
私はこなたの呟きを聞き取れず、聞き返した。
「All things must pass.だって。」
妙に良い発音でこなたがリピートする。
「全ての事は過ぎ去って行かざるを得ない?」
「流石かがみだね。でも、もうちょっと。」
私が訳してみるとこなたはダメ出しをしてきた。誰が宿題の英語を教えたんだ?
「どういうこと?」
「ん~。行く川の流れは絶えずしてって訳すんだよ。」
「方丈記?」
「うん。」
「またゲームか~?」
「ん~。」
こなたは肯定とも否定とも取れない声を上げる。
暫くふたりの間に沈黙がおりる。堪えられなくなったのは、私。
「なんでまた?」
「ん~。なんとなくかな。」
「ふ~ん。」


そこで、式で泣いたつかさとつかさをトイレまで連れて行ったみゆきが帰って来てその会話は終わりになった。
もしかしたら、彼女は彼女なりに浸っていたのかもしれない。

卒業してからも、大学に行っている間も私達四人はお互いに連絡をしあったり、愚痴を言い合ったりしていた。
みゆきより、多分、家族のつかさよりも相談にはのってもらったのはこなただと思う。
恋や勉強、バイトやなんでもないことまで相談した。
高校のときには毎日会っていて、それだけで楽しかった。
大学に入ってからは毎晩のように電話をした。夏や冬には集まって話をした。
それが、電話の回数が減り、次第にメールになり、メールも週に数回するだけになった。
そのうち、偶に集まるだけになってしまうのかもしれない。
寂しい、とは思う。当然、とも思う。
All things must pass.
まさにその通り。川のような時間は留まる事なく流れていく。


174 :All things must pass :2007/09/27(木) 00:19:20 ID:o18gBIJn
ふと、久々に電話をしてみようと思い立った。
携帯を開いてこなたのナンバーを呼び出す。
いきなりで迷惑じゃないかな、と一瞬逡巡したものの、
疎遠になっても私とこなたの仲だと思い、通話ボタンを押す。
接続音の後、通話中の音。一度電話を切る。
どうしようか。
もう一度だけ。もう一度だけ掛けてみよう。
そう決心すると、リダイヤルを呼び出し、一番上で通話ボタンを押す。
再び、接続音。

--プ、プ、プ……プルル…

今度は呼び出し音。そして、ワンコールで繋がる。
「もしもし、かがみ~?」
変わらない声。それに安心している私がいる。
「久しぶり、こなた。」
「さっき、電話したんだけど。通話中だったし、止めようかなって思ってたんだ。」
「え?私もさっき掛けてたんだけど。」
どうやらお互いに掛け合ってたらしい。
「そうだったんだ。で、どったの、かがみ?」
「ん~、何となくね。そっちは?」
「同じく。」
…………

それから一時間私達は話し続けた。
積もる話もあったが、ある程度でどちらからともなく通話の終わりの挨拶をして電話を切った。


確かに色々な事が変わっていく。
しかし、変わらないものもあるんだと信じたい。
例えば、縁。例えば、大事な友達。例えば、大事な気持ち。

それらはずっと、変わらなければ良い。それを切に願う。
ふと、自室の窓から空を見上げると、綺麗な月が私を見下ろしていた---













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