「う~ん……どうしたもんか……」
 ある夏の夜。
 銀髪の少年が、畳の上に寝転びながら、腕時計を天井に向かって掲げている。ランニングシャツに短パンというラフな格好で、年は高校生くらい。
 彼こそが、この物語の主人公「鷹栖斗的(たかすとまと)」だ。好きなものは梅ガムと吉良吉影、趣味は貯金とQUEENのCDを聞くこと。銀髪だからといって、老人と間違えないように。
 「誰が老人だコラァッ!!!」
 どうやら気にしていたらしい。
 ちなみに、彼が持っている時計は「メダロッチ」。最近流行の時計だが……確か、斗的のは白と金色のやつ。が、今持っているメダロッチは、黒と赤のカラーリングが施されている。しかも、どことなく古ぼけている。
 まさか……盗んだ?
 「人聞きの悪いこと言うなッ!!! 今日知り合いの家に遊びに行った時、自分のメダロッチと間違えたんだッ!!!」
 おっと、疑ってサーセン。
 「しっかし……汚ねぇメダロッチ……。なのに、結構しっかりしてるな。旧式か?」
 ガバッと上体を起こし、斗的はメダロッチをまじまじと見つめる。そして、
 「ちょっと……着けてみようかな?」
 えー、いいの? そのメダロッチ、人のものでしょ?
 「いや、大丈夫。ちょっと着けてみるだけだから! ちゃんと洗って返すから!」
 洗ったらぶっ壊れるだろ。
 とにもかくにも、斗的はメダロッチを右腕に着けてみた。馬子にも衣装というやつで、結構サマになっている。
 「うーん、いいなぁ……オレ、黒の方が似合うかも」
 腹黒いから?
 「ちげーよッ!! ほら、どことなく影あるじゃんオレ?」
 それはともかくとして、
 「ノーリアクションでぶった切るんじゃねぇよ!!」
 今思えば、斗的はこのメダロッチに魅入られていたのかもしれない。
 「な、なんだよ作者……? そのひっかかる言い方は」
 それはね、
 「――――ッ!!? う……うぉおおおおおおおおおおッッ…………?!!」
 斗的がメダロッチから突如発せられた白い光に飲み込まれたからだったりするんだよね。


 ――さぁ、賽は投げられた。
 斗的とフォレスの愉快な冒険の始まり始まり~♪


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最終更新:2007年11月04日 22:53