非エロ:提督×鳥海「清楚に貞淑なるもの、扇情で淫猥なるもの」15-580


579 :もの、もの:2015/01/01(木) 01:14:52 ID:vw3jzdiY

>>578
新年最初の投下は先を越されてしまいましたか
正月というと去年の正月は人によっては相当な修羅場だったでしょね

では私も非エロですがお年玉を投下いたしましょう
『はかりしれるもの、はかりしれないもの』で
鳥海が提督と恋人同士になってから妊娠判明までの空白の三ヶ月間の間の話です


俺と鳥海が恋人同士になって二ヶ月が過ぎようとしていた。
そんな中、鎮守府で少し小さな騒動があった。

「あっ、司令官さん。お疲れ様です」

眼鏡をかけた秘書艦が俺をねぎらう。

「ああ、すまないな……」
「…何か御用がお有りですか?」
「いや……」

俺は平静を装って対応していた。

「あ、忘れるところでした。司令官さん、お手紙が届きました」
「ありがとう、如月……」

言葉遣いは鳥海のものだったが、今秘書艦を勤めている艦娘は如月だった。

「まだ何か御用がお有りですか?」
「……なんで如月は鳥海の真似をしているんだ?しかも眼鏡までかけて……」
「司令官さんが鳥海さんと付き合っているのは
 司令官さんが眼鏡をかけた女性に惹かれているからなのでしょう?」
「否定はしない。けどどうして鳥海の口調を真似しているのだ?」
「こちらの口調の方が、司令官さんのハートを鷲掴みにできるから…でしょうか」

この子も鳥海と同じ事を考えているのだろうか。
そうであろうとなかろうと俺の気持ちは鳥海に向いている以上如月に靡くことはないだろう。
俺は半端な気持ちで二兎を追って一兎も得られない経験など二度としたくなかった。
「そうか、でもすまない、俺には心に決めた人がいるから。ごめんな」

そう言って俺は再び仕事に取り掛かろうとするが…

「私の計算では…こんな事あり得ない…」

またも鳥海の言葉を借りる如月。鳥海とは違い語気にやや落ち着きが感じられる。
しかしこうして聞いてると鳥海はいつも落ち着いた丁寧な感じで喋っていたわけじゃないんだなあと今更ながら気付いた。

「……やっぱり胸が大きいからかしら……」

如月はそう呟いたと思ったら制服を少しずらし、ピンクのブラに包まれた胸をチラリと見せてきた。

「見てみて、この胸、Bカップあるのよ」

今度は如月がいつも言ってる言葉を少し変えた言葉だった。なりふりかまわないのか?

「でも司令官は私をあまり見ようとはしない。鳥海さんの大きさと比べたら私なんてまな板同然よね……」
「そういう事で好き嫌いを言っているわけじゃない!俺は鳥海が好きだから好きなんだ!」
「それって昔好きだった人に似ているからとか…ですか?」
「ッ……それもそうだけど、それも合わせた上で俺は鳥海が好きなんだ!!」
「……ふーん…そうですか………!?」

如月が少し悲しそうな雰囲気で言ったと思ったら急に何かに気付いて驚いていた。
如月が驚いた先をみると鳥海がいたのだ。

「あ、鳥海さん、お疲れ様です。私は食事に行ってきますわね」

そう言って如月は逃げるように去って行った。

「司令官さん…」
「鳥海…俺は別にやましい事はしていないからな」

俺は慌てず正直に事情を説明した。

「そう…あの子が……」
「別に俺はあの子と何もなかったよ」
「わかってます。司令官さんは二股かける勇気がある人なんかじゃありませんからね」
「う……」

痛い所を付かれた。

「でもだからこそ手に入れたものを大切にしようとするんですね」

俺が思おうとした事を先回りして言う鳥海。

「君は大切にしすぎて忘れてしまわないようにしないとな。
 ところで午後からの遠征なのだが君は如月と組む予定を立てた。
 くれぐれもあの子を責めたりするような真似はするなよ」
「わかりました」

念を押しておいたから何かをするなんて事はないだろう。
もとより艦娘は個人的な感情で任務が失敗するような真似をする子はいない。
俺は念のために如月と食堂で鉢合わせしないために司令室で鳥海と共に昼食を取った。
三日後、遠征に出していた鳥海と如月達が帰ってきた。

「作戦完了したわ。レポート…見ます?」

この言葉は如月がいつも言う言葉のはずなのだが今回は違っていた。
言葉の主は鳥海だったからだ。如月も少し驚いていた。

「あ、ありがとう…」

俺も少し驚きながらレポートを受け取った。

「それよりも鳥海、君は少し疲れていないか?」
「そうね、少し疲れ気味かしら、ちょっとベッドに入ってくるね。一緒に来る?」
「あ、いや、俺達まだそんな…」
「な~んちゃって」

そう言うと鳥海は走り去っていった。

「……司令官と鳥海さんって付き合って二ヶ月なのにまだだったの?」
「そうだが…」
「契りを交わしたから私に目もくれないと思ったんだけど違ったのね……」

いや、大体合ってます。最後まで致していないだけで。


それからも鳥海は如月の言葉遣いを真似していた。

「司令官にお手紙みたい。な・ぁ・に?」

如月の子供っぽい声とは違う大人の艶がある声。

「あぁん、私が一番なの?まぁ、当然といえば当然ね。いいのいいの、あまり褒めないで」

艶かしさすら感じる声。

「鳥海、今日の仕事は早く終わったからもう帰ってもいいぞ。後は俺がやるから」
「うぅん、ぎりぎりまで一緒に居たいのにぃ…」
「わかった…すまないけど手伝ってくれ…」

いつもの控え目な態度からは想像しにくいわがまま。

「見て見て、この輝く肌…あはっ、もっと近くで見てよ」

横に立つ鳥海。俺は椅子に座っているから目線の辺りにおへそが来るが、
それよりもローライズなスカートをはいている為に鼠蹊部も見えていた。
そんな格好をしながらいつもの態度からは想像することができないくらい色っぽい声を出されれば我慢なんて出来なかった。

バンッ!!

如月がテーブルを叩いた。左手の手の平は『もうやめて』といわんばかりにこちらに向いていた。
顔を見ると赤くなっていて、目も涙目だった。
そして我慢できなくなっていた如月は逃げるように走っていった。

「……少し可哀相だったかもしれませんね。でもこれであの子も気付いてくれるといいんですけど……」
「君もあの子を心配していたのか。確かにあの子は意味深な言動が多かったからな。
 そのせいで本質が隠されてしまい、偏見で見られたりすることもあったからな」
「そうね。あの子なりに考えてのことだったのでしょうけど、
 そのせいで謂れのない批難もあの子の知らないところで言われ続けてましたし……」
「これで治らなかったら本人に直接言うしかないな。恐らく俺の言葉なら聞いてくれるはずだ……」
「……ところで話は変わりますけど、如月ちゃんみたいな私はどうでしたか?」
「えっ!?いや、その……」

返答に困る。まさか凄くエロかったなんて言えない。

「ドキドキしたよ」

こうやって当たり障りのない返答がやっとだった。

「じゃあ私みたいな如月ちゃんは?」
「何と言うか…多分あれが本来の如月かもしれないと思う。
 いつもああだったらむやみに敵は作らないのにな…
 敬遠する奴も少なくなるだろうしさ」
「見とれていたら、ヤっちゃうわよ」
「だからもうやめろって……俺と二人きりの時はいいけどさ」

こうして、とある鎮守府のとっても小さな騒動は幕を下ろした。
あれ以来如月は俺と二人きりか、もしくは鳥海と一緒の時以外は意味深な発言をしなくなった。
如月が意味深な発言をしなくなるのは、それから一ヶ月後の話である。

―終―

+ 後書き
584 :もの、もの:2015/01/01(木) 01:32:47 ID:vw3jzdiY
以上です
提督と艦娘がまだ恋人同士になってまだ日が浅いということで
まだ役職名や艦娘名で呼び合っているということと考えて
呼ぶときの文を書くのがかなり楽でした

如月は普通にしていたら変な叩かれはなかったでしょうけど
埋もれてしまって今の人気もなかったかもしれませんね
鳥海は格好の割にマトモな子ですけどこれで如月みたいな台詞回しだったらどうなっていたんでしょうかね
それでは近いうちにまた何か投下しますね



これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/

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鳥海
最終更新:2015年08月16日 20:43