非エロ:まいのわと夏休みに田舎ックスしたいだけの人生だった…17-890

890 :まいのわと夏休みに田舎ックスしたいだけの人生だった…:2015/09/30(水) 21:15:57 ID:Lz0VjWlw

「ただいまー、母ちゃんいるー?」
10年ぶりに帰ってきた故郷は以前にまして寂れていた。地方の疲弊は今に始まったことではないが深海棲艦の出現以来、沿岸部では人口流出が問題化している。激戦地でないとはいえ、連中は忘れた頃に現れては港を食い荒らしていく。俺の育った漁村もご多分に漏れず人が逃げて、逃げ遅れた老人ばかりが残っていた。
提督になった俺は日本を守るために戦っていたはずだが、乾いた故郷の姿は俺の無力を嘲笑うばかりだった。
「舞風、野分」
俺は二人の部下――今は俺を含めて私服で非番なのだが――を呼んだ。
普段はアップにしている銀髪を下ろして麦わら帽子を脇に抱いた少女が顔を出した。二人で探検でもしていたのだろう、古い田舎の家が珍しいらしい。
「母ちゃんがいないか港を見てくるから、野分たちは家に上がってくつろいでいてくれ」
「私たちもご一緒しますよ?」
「いや、すぐに戻るからいいよ。もし母ちゃんと入れ違いになったら携帯に電話してくれ」
「ねー提督! あっちにスイカが冷やしてあったよ! スイカ!」
舞風が勝手口から顔を出した。ノースリーブのきゃしゃな腕を振っていた。
「こら、舞風っ!」
「ははは。食べていいよ、母ちゃんが舞風たちのために用意してたんだから」
「やったー!」
艦娘が遊びに来ると伝えたときの母の喜びようはひどかった。あれは結婚前提の恋人か何かだと勘違いしていた…
「…でも、司令も一緒がいいです」
「なら、本当にすぐに戻るからスイカ切り分けて待っててくれ。」
「提督ー!早く戻ってきてねー!」
初めて上がる俺の実家のはずなのに舞風はやけにくつろいでいて、逆に野分は落ち着かない様子だった。
(そういえば舞風たちの寝る場所どうするかな…)
実家を出てデコボコ舗装の道を下る。すぐそこの真珠貝の養殖場に母は居るはずだ。
暑い夏の日だった。狭い道には木陰もなく、吹き出る汗が止まらなかった。
あの時もやはり蒸し暑い夏の日だったと、鎮守府の仮眠室で裸で抱き合った日のことを思い出した。
(いやいや、母ちゃん居るんだし流石に自重しとけよ俺…)
悶々としていると後ろから足音が二つ、駆け足で追ってきた。
「司令! やっぱり野分たちもご一緒します!」
「テレビ面白くなかったよー」
二人の様子は年相応に無邪気で、俺は先の思考が馬鹿らしくなった。
「じゃ、三人で行くか」
そうして二人の手をとって静かな田舎道を歩き出す。
短い夏休みが始まる。


891 :名無しの紳士提督:2015/09/30(水) 21:22:34 ID:Lz0VjWlw
私服の二人が仲良くしている画像を見ながら舞風と野分と一緒に夏休み過ごしたいなーと思っただけです。
最終更新:2016年07月20日 14:20