草原に開く窓(そうげんにひらくまど)は、粕谷紀子の漫画作品。週刊セブンティーン1977年7月10日号掲載。カラー1・二色9の計10ページ。
主人公の少年・リョウタは足を骨折し、自宅で療養することになっていた。彼の部屋の窓からは、ただの原っぱが見えた。やがて、どんなときにもそこにいる、不思議なものに気が付く。住宅地の原っぱに似合わず、白い馬と黒い牛がそこにいたのだ。
リョウタの見舞いに友人たちとGFのレイコたちがやって来た。サイクリングの予定を話す彼ら。やがてレイコ以外の全員が去るが、レイコも退屈そうにしてしまったので、リョウタは帰宅を勧める。
リョウタも退屈で退屈でたまらない。スポーツはなんでも一番だったが、いまはこの窓の中に閉じ込められていることを嘆く。
レイコから電話があり、レイコも他の男子とサイクリングに行ってよいか許可を求められる。リョウタはいじけるように、それを認める。リョウタは自然と、外の原っぱを見やる。
「白い馬、走れ!そんな黒い牛なんか、おいてきぼりにしてしまえ レイコでさえさっさとあいつらとサイクリング でも牛と馬はあいかわらず動かない」
その時、窓の前にその白い馬が現れる。馬にまたがり、大空を駆けるリョウタ。黒い牛はうらめしそうにこちらを見ている。
「どうだい、くやしいか。こんどはおれが、うらやましがらせる番だ」
しかし、その瞬間リョウタは気が付く。置き去りにされた牛の、暗く悲しい目は自分の目だと。そして牛が白馬とリョウタをめがけ突進し、リョウタは転落してしまう。
はっと気が付くと、ベッドの脇にレイコがいて、汗ぐっしょりのリョウタの顔をハンカチで拭いていた。レイコはサイクリングをやめ、リョウタと一日中一緒にいるという…
やがて、足の治癒したリョウタは、レイコとプールやドライブに行くよりも先に見たいものがあった。原っぱの牛と馬の正体を見に行くと、それはただの古いローラー車と廃材であった… (終わり)