427 名前:パンドーラー15 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2014/12/18(木) 13:05:09.20 ID:DFzebxe3 [2/5]
退院した日の夜―――
風呂も上がり、くつろいでいた時のことであった。
「ねぇ、トシヤ…一緒に寝てもいい?」
「え?!」
「ごめんなさい、でも今日は一緒にいてほしいの…」
「…うん、いいよ」
トシヤは先にベッドに入ると身体をずらし、そのスペースにマキが入り込んだ。
勿論、一人用のベッドなので、二人寝るには窮屈だ。
隙間なく並んだ二人は互いに顔を合わせている。
昼間に泣いたためか、マキは若干目を腫らしていた。
トシヤはそれに心が痛んだ。
それでも、風呂上りの女性特有の甘い匂いに動揺していた。
「マ、マキ姉s―――」
「昔を思い出すわね、島に居た頃の事…」
ふと、マキが語りだした。
「あ、あぁ、そうだね」
「毎日、くたくたになるまで遊んで…夜はぐっすり眠って…」
「うん…」
「幸せだった…、本当に幸せだった…」
すると、マキはトシヤの胸に顔を当てた。
突然のことにトシヤは少し驚いた。
「トシヤ…」
そう呟くマキ。
暫く何も考えられず、直感的にトシヤは手をマキの背中に当てて優しく撫で始めた。
「ん…」
身震いするマキ。
「ゴメン、嫌だった?」
「いいの、もっとしてほしい…」
そう請われて、トシヤは撫で続けた。
428 名前:パンドーラー15 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2014/12/18(木) 13:06:23.27 ID:DFzebxe3 [3/5]
「はぁ…トシヤ…」
マキの熱い吐息が胸に掛かる。
トシヤ自身も鼓動が早くなっていった。
「トシヤぁ…」
手をトシヤの背中に回すマキ。
優しく、しかし確実にトシヤを離すまいとする意志が感じられた。
「私、今も幸せよ。あなたのぬくもりをこうして感じ取れて…」
「マキ姉さん…」
自然に、マキの頬に手を添えていたトシヤ。
マキはトシヤの顔をじっと見つめる。
その瞳はとても綺麗で澄んでいた。
そんなマキの姿にトシヤは自身の中の恋心が大きくなっていくのを自覚した。
「トシヤの手、暖かいわね」
「―――マキ姉さんもやわらかい頬だよ、いい触り心地」
「もっと触ってもいいのよ…」
トシヤはマキの頬を優しく撫でた。
実際に餅のような張りのある、それでいて弛みのなく整った肌である。
「トシヤ…」
頬に夢中になっている内に、マキの顔がトシヤの目の前に来ていた。
トシヤの視線の先には、マキの唇がある。
“島”での一件以来触れていない所。
その感触が今でも思い出される。
トシヤの頭の中では欲望と理性が競い合っていた。
すぐそこにマキ姉さんの唇がある。キスをしたい。存分にあの唇の柔らかさを味わいたい。
一方で、実の姉だ、彼女をさらに依存させ堕落させるだけだと理性が警鐘を鳴らしていた。
―――が、その内に…
429 名前:パンドーラー15 ◆ZNCm/4s0Dc [sage] 投稿日:2014/12/18(木) 13:07:08.67 ID:DFzebxe3 [4/5]
「―――」
「ん?!!」
マキの方からトシヤにキスしていた。
触れるだけの、しかしその思いを強く感じ取れるものの…。
「―――はぁ」
「っ?!」
ほんの僅かな時間、しかしトシヤには長い長い時間が過ぎて、マキは唇を離した。
「マキ姉さん…」
「ごめんなさい…我慢できなかった…」
「―――男が言いそうなことだよ。それは」
「そうね、ふふ」
そうして、どちらともなく目が合うと―――
「んっ」
「ん」
自然とキスをするようになっていた。
さっきまでの理性を忘れてしまったかのように。
何度もキスをし、そうして気付くと二人共眠りに落ちていった。
だが、トシヤは知らない。
マキが何度もオーガズムに浸っていたことを―――
この日からマキの姉弟を超えたスキンシップが始まった―――
最終更新:2015年03月22日 02:11