131 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:40:11 ID:Ruw0Ff+d
「ん……」
目を覚ました時、初めに映ったのは石造りの天井だった。
「どこだ、ここ……」
舌が痺れているようで、上手く呂律が回らない。それに舌だけじゃない。体も痺れていて、重く感じる。
――そうだ、俺、教会でマリアと話してて。急に眠くなって。それで、どうなったんだ?
まだぼんやりと薄く霞がかかった頭のまま、立ち上がろうとして。
じゃら、と金属の音と共に体を引き戻された。
「へ……」
間抜けな声が漏れる。
何故か、頭の上で万歳の格好で揃えられた両腕が、上手く動いてくれない。
それでも無理やり動かそうとすると、何か固い物が手首を擦りつける。
「痛……」
どうなっているんだ?
起き上がって確認する事はおろか、寝転がったまま、頭上に上げられた両腕の様子を窺う事さえできない。
身動きするたびに、金属音が空々しく部屋に反響する。
目線だけを動かして、辺りを窺う。
暗くてよく分からないが、自分が意識を失うまでに居た場所とは全く違う場所の様な気がした。
聖域とはまた違った、暗さと肌寒さ。天井には電球すらぶら下がっていない。
手が駄目そうなので、足を動かそうと試みるも、結果は同じ。
殆ど可動域はなく、直ぐ足首に固い物が食い込む。
そうこうしているうちに、段々と頭にかかった霞が晴れていき、気付く。
どうやら俺は、両手両足を、恐らく手錠か何かで拘束されているようだった。
そしてここは、牢屋……だろうか。
部屋に一つだけある、ベッド脇の小さな窓は、鉄格子になっていて如何にもという感じだった。
つまり、自分は両手両足を拘束されて、何処か牢屋らしき所に寝かされているらしい。
――何故?
至極当然の疑問に行きつく。
しかし、俺はそれに対する答えを持っていない。――本当に?
雨音がうるさい。思考がうまくまとまらず、直ぐに霧散する。
頭の中が混乱している。当然だ。自慢じゃないが、今までの人生の中で、拘束されて牢にぶち込まれる様な経験などない。
大声で誰かを呼びたいが、相変わらず舌が痺れている。
考えている間も手足を無理に動かそうとしすぎたせいで、手首と足首がジンジンと痛む。
「何なんだよぉ」
思わず漏らした声には、恐怖と不安ばかりが色濃く。
余りに唐突で、そして理不尽な展開に、女々しく泣いてしまいそうになる。
こんな時であっても、大の男がめそめそ涙を流す醜態を晒すなんてまっぴらごめんだった。
いや、こんな時だからこそ、かもしれない。
誰か。
誰か。
声を出すと泣いてしまいそうで、心の中で祈る。
誰か助けてくれ。
その祈りが通じたのかは分からない。
がちゃ、と微かに戸の開く音がした。
出来うる限り首を持ち上げ、恐る恐る、僅かな視界を音のした方まで広げる。
部屋の角の方に誰かが立っていた。
その誰かは手にランタンを持っており、その小さな、しかし確かな灯りが、その誰かの顔を照らす。
「マリアか……」
「おはようございます、兄様。といっても未だ夜明けではありませんけれど」
ああ、やっぱり。
心の奥で、誰かが呟いた。やっぱり、お前か、マリア。
すとん、と何か附に落ちたような感覚。欠けたパズルのピースが、ピッタリと嵌ったようだ。
ズクンと痛んだ首に手をやろうとして、矢張り金属音に阻まれる。
どうやら、マリアに何らかの薬を打たれた後、ここまで運びこまれた様だった。
sister 下編
132 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:41:03 ID:Ruw0Ff+d
「どうして」
俺の力ない問いに、マリアは小首を傾げた。
俺の問いが全く理解できないという顔。
恐怖と不安ばかりだった心中に、一筋の怒りが生まれる。
「どうして、こんな事をしたんだ。ここは、何処だよ」
「ここは、教会の一室ですよ。どうしてこんな事をしたか?そんな事決まっています。兄様を私が救って、兄様は私を幸せにする。そのためですよ」
「こんな事をして、俺を救う?お前を幸せにする?そんなこと無理だろ。早くこの手錠を外してくれ」
「手錠を、ですか。そうですね、その態勢のままでは苦しいでしょうから、両手の拘束だけは解いて差し上げます」
そう言うとマリアは、ゆっくりと俺の元へ歩み寄って来た。
ランタンを、ベッドのそばにある小さな棚の上に置いて、修道服のポケットから鍵を取り出した。
僅かな光源に照らされ、鈍く輝く。
カギを持ったマリアが、俺の頭上に回り込むと、直ぐにカチャリという音がした。
「はい、これで両手の手錠は外れましたよ」
言われて、両手をゆっくりと顔の前に持ってくる。
今度は、何の抵抗もなく腕が動いてくれた。
見てみると、両手首ともうっすらと赤く染まっている。
そのまま、次は足の拘束を解いてくれるのを待つ。
しかし、マリアは俺を嬉しそうに見下ろしているばかりで、一向に動こうとしない。
「どうしたんだ?早く足の拘束も解いてくれ」
「何故ですか?」
「何故って……いや、だから、こんなのおかしいだろ」
「おかしい?」
全く理解できないという顔をするマリア。妹の考えている事、やりたい事が欠片も読みとれない。
俺は眉を寄せる。
「こんな事しても、俺もお前も幸せになんてなれない。そのくらい分かるだろ?な、早く外してくれ」
俺は、お前と兄妹として昔みたいに良い関係を築きたいんだよ、と訴える。
こんな事をされても尚、俺の言葉に偽りはない。
俺が、今までマリアにしてきた仕打ちを思えば当然の事だ。
しかし、マリアは首肯しない。
「そんなことはありません。これが、最も幸福になれる方法。いえ、これ以外にはないのですから」
「お前……」
絶句。
マリアに俺の言葉は、微塵も届いていない。
俺とマリア。距離はこんなにも近いのに。手を伸ばせば触れられるくらい、直ぐそこに居るのに。
二人の間に横たわる壁は、果てしなく高く、そして堅牢だった。
この壁は、もう壊れる事はないのか。何処にでもいる様な兄妹には、もうなれないのか。
――いや、果して俺たちに、一時でも分かり合えた頃などあったのだろうか。
悶々とした俺の苦悩もどこ吹く風といった体で、マリアは、何やら棚の中をごそごそと漁っている。
そして、棚の中から取り出した何かを徐に口の中に入れ、棚の上にあったコップに入っている水を含んだ。
怪訝な視線を送る俺に、目を細めるだけの笑顔を向けながら、俺の足元へと回りこんでくる。
そして、あろうことか、俺の下半身に跨るようにしてベッドの上に乗りこんできた。
ギシ、とスプリングが、小さな悲鳴をあげた。
マリアが何をするつもりなのか、理解しようと頭をフル回転させる俺をよそに、マリアが体をこちらに向かってゆっくりと倒してくる。
「な――」
声を上げるのも束の間。
俺とマリアの唇が重なる。同時に、丁度声を上げるために開いていた口の中に、マリアの口から少量の液体が流れ込んでくる。
マリアの口の中で温められた水。
ああ、生温いな。とぼんやりと思う。
ごくり、と喉を鳴らしながら、水を飲み込む。その時になって漸く、酷く喉が渇いていた自分に気付いた。
はりついていた喉が、ベりべりと剥がれていく。
飲みきれなかった唾液混じりの水が、俺の頬を伝う。
まだ足りない。喉を潤すべく、マリアの口の中から積極的に吸う。
じゅるじゅると淫猥な水音が、どちらともなく溢れ出る。
既に水は残っておらず、代わりにマリアの唾液が流れ込んできた。それさえも、今の俺には甘露のようだった。
数秒の時を置いて、マリアが顔を上げた。
ぷは、と息を吐き、呼吸を整えながら俺を見下ろして、妖艶に口を歪める。
133 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:44:07 ID:Ruw0Ff+d
「ふふ、喉が渇いていたみたいですね。もっと欲しいですか?」
「……普通にくれ」
ある程度喉が潤ったことで正気に戻り、羞恥と後悔の念が襲ってくる。
幾ら喉が渇いていたとはいえ、今のはやり過ぎた。
自責に顔を歪めながら、自分で棚の上にあるコップを取るために体を起こそうとする。
今まで気づいていなかったが、手の拘束がなくなった今、上半身を起こす事は出来る。
まだ、両足の拘束が残っているので、立ち上がる事は出来ないけれど。
マリアは、片手で俺の肩を、やんわりとけれど強い力で抑え、起き上がろうとする俺を押しとどめた。
普段の俺ならば、女一人、それも片手一本分の力くらい押し返せそうなものだが、あっさり抑え込まれてしまった。
まだ、体の痺れが抜けきっていない。マリアは一体どんな薬を俺に打ったのだろう。今更不安になる。
マリアが、俺を抑えていない方の手を棚の上に伸ばし、コップを掴んだ。
そしてまた、口に含み――
「――ん」
「んぐっ!?」
再度の口付け。今度は拒もうとするも、舌でこじ開けられる。
ぴちゃぴちゃと、水音がなる。
二人の呼吸が、次第に荒くなってくる。
水がなくなれば、唾液を啜り。
唾液がなくなれば、またコップの水が、マリアの口を介して流し込まれる。
それを何度か繰り返すうち、喉の渇きは潤った。
しかし、次第に、体の奥から熱い何かがこみ上げてくる感覚が、強くなり始めた。
まるで、水を湛えた器の中に、限界まで熱した岩石を放り込んだかのようだ。一瞬で臨界を突破した。
下半身にドクドクト血が流れ、ペニスが痛いくらいに天を衝いている。
頭がチカチカする。キスを終えても尚、呼吸が治まらず、寧ろ時を追うごとに荒くなっていく。
異常なまでに、性欲が膨れ上がっていく。ぐつぐつとマグマが煮えたぎっている。
頭の中で、何度も何度も精を放つ光景がリフレインする。
その性欲のはけ口の相手は、決まってマリアだった。その事に罪悪感や、自己嫌悪を感じる余裕もない。
気を抜けば、今にもマリアに腕を伸ばしてしまいそうだった。
熱い、熱い、熱い!
体が燃え盛らんばかりに、熱を帯びている。汗がじんわりと吹き出てくる。
潤ったばかりの喉が、急速に渇き始めた。けれど、分かる。欲しいのは、水じゃない。
この渇きを潤せるのは、今はマリアの躰のみ。あの、甘露の様なマリアの唾液が恋しい。
「マ、リア……」
喉の奥からこぼれ出た声は、最早、妹の名を呼ぶものではない。
その響きにマリアも気付いたのか、恍惚とした表情で、小さく体を震わせた。
その拍子に、微かにマリアの身体が俺のペニスに当たる。それだけで、ビクンと悶える。
「あらあら、兄様、もしかして妹に発情しているのですか?さっきまで、兄妹として、何て言っていたのに」
面白がるような声色で嘲るマリアの声も、今の俺には届かない。
俺の上に跨る女を押し倒して、その体を貪ってしまいたい。ただ、その一心に駆られる。
男としての本能が、女を求めてやまない。
けれど、その獣のごとき意思に反し体は以前痺れて重く、マリアに抑えられているだけで身動きする事が出来ない。
俺の中に残った僅かばかりの理性が、この異常な感情に事態を悟る。
「……何をした、マリア」
「あら、気付きましたか?まだ、理性は残っているみたいですね」
マリアは、あくまでも飄々と、
「ちょっとした媚薬ですよ。効果に若干の不安はあったのですけれど、この分なら十分すぎる様ですね」
「媚薬……お前、そんなもの」
俺を眠らせるときに使った怪しげな薬といい、一体どこから手に入れてくるのか。
「ちょっとした伝手があるんですよ」
「伝手?」
「ええ。でも、そんな事、今は関係ないでしょう?」
134 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:44:48 ID:Ruw0Ff+d
マリアが、そっと俺の下半身へと手を伸ばしてくる。
ズボン越しにペニスに触れてくる。う、と声が漏れた。可愛い、とマリアが俺を見下ろしながら呟く。
器用な手つきで、マリアが片手でベルトを緩め、ホックとチャックを下ろし、ズボンとパンツをずらした。
枷を外れて勢いよく飛び出したペニスが、俺の腹にベチンと当たる。
ペニスは、かつてないほどに昂ぶり、屹立していた。
「兄様の、凄く元気ですね。それに凄く、熱い」
マリアが、嗤う。まるで子供のような、無邪気な笑み。
遠くで、雨音がする。遠雷。耳鳴りがする。何処かで獣が吠えている。
マリアの白魚の様な柔らかい手が、俺のペニスに触れた。
熱した棒の様なペニスに、ひんやりとしたマリアの手が心地よい。それだけで、射精してしまいそうになる。
マリアが手を上下に動かし、扱き始める。
酷くゆっくりとした動作。もどかしい気持ちに駆られる。
SEXを愉しむなんてどうでもいい。相手が妹かどうかなんて、もっとどうでもいい。
早く、このドロドロと溜まった熱を放出してしまいたかった。
「ふふ、兄様、物足らない顔してます」
「く……」
苦悶に顔をゆがめる俺を弄ぶかのように、マリアの手付きが更にゆっくりとなる。
マリアの手が竿を撫でまわし、玉袋を軽く揉んでくる。
そして、もう一方の手でロングスカートを捲りあげ、口で裾をかむ。
それから、スカートを掴んでいた手を、自らの下半身へと忍びこませ自分を慰める。
今まで、パンツを脱ぐ動作もなかったのに、視界にちらちらとマリアのアンダーヘアが見える。
元々パンツを履いていなかったという事は、初めからこうするつもりだったのだろう。
マリアのは、そこの毛まで金髪なんだな。心の片隅でぼんやり思う。
ほんの数秒後には、マリアの下半身から、くちゅくちゅと卑猥な音が聞こえ出した。
マリアのヴァギナから、半透明の液体が溢れ出し、カンテラの明かりに淡く煌めく。
艶めかしい形をしたマリアの其処に、視線が釘づけになる。
ごくり、と思わず唾を飲み込んだ。
入れたい。強く思う。
目の前にある肉壺に、いきり立った肉棒を思いっきり突き立てたい。
ただそれのみに思いを囚われて、それ以外の事を考えられなくなる。
挿入した時の快感を想像して、ペニスがビクンと跳ねた。
マリアの笑い声が聞こえた。
見上げると、目を細めたマリアが挑発的な表情で見下ろしてくる。
ヴァギナを弄っていた手を、自らの口元に持ってくる。
てらてらと光る銀色の橋の架かった指を、ちゅぷ、とねぶりまわす。
兄様。
マリアが詠う。俺を誘う食虫花の様な笑みで。
「私に挿入れたいんでしょう?」
「あ……」
考える間もなく直ぐに頷いた。俺たちの関係?そんなもの関係ない。
俺とマリアは、男と女。ただそれだけで十分だ。
それ以外の関係など、一体どれだけの意味があろうか。
「それなら、契約をしましょう?」
ぴん、とマリアがペニスを指ではじいた。
その拍子に、溜まり切った白濁が零れ出そうになるが、その瞬間に、ぎゅっとペニスを強く握られ、射精を無理やり止められた。
う、と苦悶の声が漏れる。
「そんな不満そうな顔しないでください。ちゃんと気持ちよくして差し上げますよ、契約を結んでくれたら、ですが」
「けいやく?」
「そう、契約です。これから先、兄様は私だけのモノになってもらいます。代わりに私は、兄様を天国へ連れていって差し上げます」
「てん……」
「どうしますか?」
考える間も与えず、マリアが畳みかけてくる。
最も、いくら時間があったとして、今の状態の俺の状態では何の意味もなかったであろうが。
事実、俺は深く考えることなく、大きく頷いた。
すると、マリアが嬉しそうな顔をする。
136 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:45:56 ID:Ruw0Ff+d
「それなら……」
そう言って、マリアが口をもごもごさせる。
暫くして、マリアの顔が苦悶に歪んだ。
不安になって見上げる俺に対して、無理やり顔を歪めて不自然な笑みの形を作った。
だいじょうぶですよ、と口の動きで伝えてくる。
そして、徐に体を屈め、唇を押しつけてきた。
俺は、抵抗もなくその唇を受け入れる。
マリアが、口の中に溜めた唾液を流し込んできた。
その唾液は、鉄っぽい味がする。唾液にはマリアの血が混じっていたのである。
不意にマリアが、俺の舌を捉え、噛みついた。
「――っ!」
鋭い痛みに、ぶわと涙が溢れ出る。
「ず、じゅっ、ずずずっ!」
舌から滲み出した血を、マリアが器用に啜る。
コクコク、と喉の鳴る音が聞こえる。
俺も、マリアの血を飲む。
血を交わし合う。まるで、悪魔を呼びだす儀式にも似た契約だった。
数分、否、数十秒にも満たなかっただろうか。
マリアが体を起こす。二人の間を透明な糸が繋ぎ、あっという間に切れる。
「契約完了、ですね。ふふ、これで兄様は私だけのモノです」
マリアがぺろ、と唇を舐める。その舌は、鮮血に赤く染まっている。
「それじゃあ、兄様に御望みのモノを差し上げます」
そう言って、マリアがスカートの裾を再び噛んで、ヴァギナを見せ付けるように腰を浮かせた。
俺のペニスを片手で固定して、ぴと、とヴァギナを当ててくる。
我慢できず、俺は腰を浮かせて自ら挿入しようとするも、上手くいかない。
マリアが焦らすように、ゆっくりと腰を下ろし始める。
「んっ―――!」
マリアが顔を顰める。
十分に濡れているとは言え、マリアの中は狭い。
めりめりとマリアの中を裂きながら、肉棒が突き進む。
ある程度進むと、何か抵抗を感じた。
そこで、マリアが躊躇うように腰の動きを止めた。
快感をお預けにされた俺は、その抵抗が何なのか考えることなく、更なる快感を得るために、腰を上げてマリアを貫いた。
「む、んんんんっぐ――――!!」
マリアが叫ぶ。けれど、スカートを銜えたままなので、上手く声になっていない。
俺の目が、マリアの秘唇から流れ出る赤いものを捉えた。
けれど、俺の思考回路は既に焼き切れている。
体は重いが、快感を求めるために精一杯腰を上下させる。
気持ちいい。
マリアのヴァギナは、今まで肉体関係を持った女の中でも、一番の名器だった。
体の相性がいいのかもしれない。
ぎちぎちに締まった膣壁が、ペニスから精液を一心に吸い上げてくる。
その痛みさえも、今の俺には快感をもたらす要因だった。
一瞬で快感の虜になった俺は、夢中でピストン運動を繰り返す。
淫らな音が、牢屋に響く。
ギシギシとベッドが軋む。
マリアの膣壁が、まるで生きているかのように収縮しながら、ペニスを扱いてくる。
その凶悪なまでの悦楽に、直ぐに射精感がこみ上げる。
「ふぐ、ふ、ふふふ」
マリアが笑っている。
肉棒で体を貫かれ、磔にされながらも、聖女は笑う。
つ、と聖女は、両目から一筋の涙を零す。
無意識に手を伸ばし、その涙をぬぐう。
マリアがその手を掴み、愛おしそうに頬ずりをする。
ひときわ強い力で、マリアのヴァギナが締まる。
137 sister―下 sage New! 2010/01/31(日) 00:46:21 ID:Ruw0Ff+d
頭の中で花火が弾けた。
白濁をマリアの子宮めがけて、吐きだす。
射精が止まらない。
袋がパンパンになるくらいに詰まっていた精液が、全て無くなってしまうんじゃなかろうか。
射精しながらも、ピストンは止めない。
「ん、ん、んぁあああ!」
マリアが絶頂に上った。初めてなのに、それだけマリアにとっても俺のペニスは相性が抜群だったのだろう。
ぱさ、とマリアの口から、スカートが零れ落ちる。
くて、とマリアが倒れこんできた。
「あ、あ、俺は、おれは……」
そこに来て、ようやく事態を理解する。
マリアの、妹の処女を奪い、あろうことか膣内で射精してしまった。
兄として、いや、人としてやってはいけない罪を犯した。
「ふ、ふふ、兄様は私の処女を奪ったのですよ」
マリアが、俺に罪の意識を植え付けてくる。
それは、俺の中に驚くほどあっさり根付いていく。
マリアに媚薬を飲まされてから、脳が溶けてしまったかのようで、思考力が格段に落ちていた。
もしかすると、マリアが俺に飲ませたものは、媚薬だけではないのかもしれない。
はあ、はあ、とお互いの荒い呼吸が部屋に満ちる。その合間を縫って、鳥の鳴き声が聞こえた。
窓の外へ目をやる。
雲の切れ間から、陽の光が筋状に射しこんでいる。天使の梯子だ。
いつの間にか夜が明けていた。
マリアはここを天国だと言った。けれど、ここに天へと昇るための階梯が架かるのならば。
――此処は、天国ではなくて、地獄なのではないか。
じゃら、と足を繋がれた鎖が音を立てる。此処に縛りつけられた俺は、あの梯子を登る事は出来ない。
「愛してます、兄様」
肩で息をしながら、マリアが俺の胸元でささやく。
そ、と俺の胸をしっとりとした手で撫でながら。
「兄様は、どうですか」
私を愛してくれますか。マリアの声が不安げなものに変わる。
「愛しているよ、マリア」
半ば無意識に言葉が溢れた。理性が焼け切れた今、俺の中には圧倒的な本能と理性の残り滓のみが残っている。
そして、俺の獣並みの本能は、性欲の捌け口として至高の存在であるマリアの虜となっていた。
もう、俺は梯子を登れない、登れないのだ。
ぶるる、と小刻みマリアが震えた。ああ、と感嘆の声を上げながら。
再びマリアの頬を涙が伝う。それを、矢張り指で掬う。
何とはなしに、それを自らの口へ運ぶ。聖女の涙はしょっぱくて、びりりと脳を痺れさせる。
マリアが俺の首に手をまわしてくる。
誘われるように、俺もマリアの背に手をまわし、強く抱きしめた。
当たり前のように、口付けを交わす。
長い、長いキス。
ぷは、とマリアが妖艶に息を吐いた。
兄様。
マリアが、俺の胸に手を付いて体を起し、見下ろしてくる。
「兄様、これからは、私以外の誰も見ないで、私だけを幸せにしてくださいね」
そして、また二人、唇を預け合う。
蕩ける様な熱を持った舌を絡めながら、濃厚な夏の匂いを嗅いだ。
最終更新:2010年02月07日 20:20