とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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1章 乙女の不安


御坂美琴と白井黒子は上条当麻の部屋の前にいた。
白井はその場にボーっと突っ立って何やら物思いにふけていたが

「お姉様、覚悟はよろしいですの?」
「いったい何の覚悟よ?」
「そうですわね、それでは呼び鈴を鳴らしますの」
(もし、上条さんの能力でも元に戻らなかったら・・・・・)
白井の胸には『もし』の不安が消えることは無かった。

ピンポーン

「ハイハーイ」
間抜け面をした上条が出てきた。

「白井か?珍しいな、どうしたんだ?」
「こんにちはですの、実はあなたにお願いがあって参りましたの」
「俺に?いったい何の用だ?」
「アンタの右手に用があってきたのよ」
「御坂の声?どこにいるんだ?」
突然聞こえてきた美琴の声に上条は驚きながら辺りを捜したが姿が見えない。
「ここよ!」
ようやく白井の肩に乗っている美琴を見つけたが・・・・・・

「御坂の人形か?よく出来てるなー」
小さくなっている美琴を見て人形と勘違いした。

「人形じゃないわよ!」
「しゃべるのかこの人形!」
鈍感な上条はまだ気づかない。

「だから違うって言ってんでしょうがっ!!」
叫ぶと同時に上条に電撃を浴びせた、上条は条件反射で右手でガードをする。

「えええっ!?どうしたんだ御坂?何でそんなに小さくなってんだ!?」
ようやく人形が美琴と気づいたが、思いがけない出来事に叫んでしまった。
「んなこと、わかんないわよ!」
「・・・・・・・とりあえず家の中に入れよ」
冷静さを取り戻した上条は美琴と白井を自室に招き入れた。

「とうま、なんでいつも短髪といっしょにいる女を家に上げるのかな?」

部屋には居候のシスターがくつろいでいた。
何故か歯をガチガチと鳴らせて臨戦態勢をとっている。

「これにはちょっと事情があってだな」
上条は真剣な表情でインデックスを見た。
さすがに普段と違う表情をされたのでインデックスはそれ以上追求できなかった。

「白井黒子ですの、シスターさん」
「わたしはインデックスって言うんだよ、それで事情ってなんなのかな?」

「実は御坂がな・・・・・・・」
事情を説明するより実際に見てもらったほうが早いと思った上条は、美琴を呼び出した。

インデックスは白井の肩に乗っている美琴を見つけた。
「短髪?どうしてそんなに小さくなったの?」
当然の疑問だった、おそらく御坂美琴を知っている人間が今の彼女を見たときにする質問1位だろう。
白井黒子、上条当麻、そしてインデックス
彼女の姿を見た3人がまったく同じ質問をしたのだから。

「わかんないわよ!鏡を見ていたら急に小さくなって・・・・・・、何か能力者の仕業だとは思うんだけど・・・・・・」
「それでどんな能力も打ち消す俺の幻想殺しの出番ってわけか」
「そういうこと」
「上条さん、お願いしますわ」
任されたと上条はうなずくと右手で美琴を触る。

だが―――



美琴は自分の周囲と自分の体を確認するが、大きくなる様子はない。
元に戻らない、白井が一番恐れていたことが現実になった。

美琴の心にはどんどんと不安が広がっていく。
そして出た言葉は―――

「どういうことよ!アンタひょっとして手を抜いてるんじゃないでしょうね!」
「んなわけないだろ!」
「上条さんの能力?でも元に戻せないなんて・・・・・・これはいったいどういうことですの」
何が何だか分からない、白井も混乱している。
「どういうことってこっちが聞きたいわよ!」
「俺の幻想殺しが効かないってことは、能力や魔術の類じゃないと思うんだけど・・・・・・インデックス何か分からないか?」
「うーん、こういう魔術は知らないかも、さっき鏡って言ってたけどその鏡を見せてもらっていいかな?」
インデックスは冷静に状況を判断して、情報を集めようとした。

「これですの」
白井が鞄から取り出された鏡には布が巻かれていた。
「気をつけてくださいまし、鏡に姿を映すとお姉様のようになってしまうかもしれないので」
「魔力を感じるんだよ、何かの霊装とは思うんだけど」
「霊装ってなによ?」
普段聞きなれない言葉に突っかかった。
「魔術を使うための道具のことなんだよ」
魔術って・・・・・・と思ったがこれ以上は突っ込んでも話は先に進まないのでとりあえずスルーすることにした。

「インデックスその鏡について何か心当たりは無いか?」
「私の記憶の10万3000冊の魔道書の中にもこんな鏡はないんだよ」
インデックスの知識でもダメか・・・・・・・、自分の幻想殺しも効かなかったしどうすれば良いのか分からなかった。

「とうまの右手でこの鏡に触れば何か起きるかも」
「そうだな・・・・、インデックスちょっと貸してみろ」
インデックスが上条に鏡を渡そうとした時

『触らないで!』

「へ?インデックス何か言ったか?」
「私は何も言ってないんだよ」
「じゃ御坂か?」
「私も違うわよ」
「白井?」
「違いますの」
「じゃぁ誰なんだ?」

誰にも分からなかった、とりあえず全員が気のせいとして処理をようとして、上条が鏡に触れようとする。

『触らないでって言ってるでしょ!』

「えーっと、気のせいか・・・・・・鏡が喋ったように聞こえたが・・・・・・・」
「気のせいではございませんの、わたくしにもハッキリと聞こえましたわ」
どうやら鏡が喋ってるらしい、その場にいる全員が驚いている。

「いったい何なのよ、この鏡は」
「とうまに触られたく無いってことは、何かまずいことでもあるのかな?」

『・・・・・・』

返事はない、どうやら本当にまずいみたいだ。
「よし、それじゃ触ってみるか」

『まずいのは私だけじゃないわ、貴方の右手で私に触れれば私は消えて無くなる。でもその場合はそちらのお嬢さんも永遠に小さいままよ?』

何も知らず上条が右手で触れていたと思うと、誰もが息を呑んだ。

鏡の言葉を冷静に聞いたのは白井だった。
「その言い方ですと元に戻る方法は他にあるということですのね?」
『知らないわ』
鏡は冷たく言い放った。
「どういうことよ!」
美琴はムッとした表情で鏡を問い詰めた。
「落ち着けって御坂」
「こんな姿にされてどう落ち着けってのよ!」
バチバチと帯電しながら本気で怒り出している。
確かに落ち着いていられる状況じゃない、だがこのままでは話は進まない。
上条は右手で美琴のことを優しく包み込んだ。
「・・・・・・・落ち着いたから放してよ」
美琴は恥ずかしそうに言うと上条はすぐに手を放した。

「喋る霊装ってはじめて見るかも」
どうやらインデックスの10万3000冊の魔道書の中にも喋る霊装というのは無いらしい。

「言葉が通じるのは幸いですの、鏡さんどうすればお姉様は元に戻るのです?」
魔術のことを知らない白井は鏡のことを知ろうとしている。
『言ってる意味がわからないわ』
「だからお姉様を元に戻しなさいと言ってるんですの」
白井は怒りをこめて睨みつける。
『・・・・・・・・・・・』
返事が無い、どうやら鏡は自分に都合の悪いことは答えないようだ。

「黒子もういいわ・・・・」
「お姉様?」
「御坂?」
「短髪?」



「もういいわ、私がこの鏡と話す」
「ですがお姉様」
先ほどの美琴の怒りのこともあり少し心配になったが、美琴の顔にはさっきまでの怒りの表情は消えていた。
「わかりましたの」

「私と鏡をどこか二人きりで話せるところに連れてって」
「御坂、大丈夫か?」
当然上条も心配している、自分の幻想殺しで美琴を元に戻せなかった責任も感じているのだろう。

「大丈夫?って言われても、私が元に戻る方法を知ってるのはこの鏡だけなんだから」
「それもそうだが・・・・・・」
「とうまの部屋は狭いから二人っきりで話すことは難しいかも」
「事実だけど狭いのは余計だ!とりあえず風呂場ならここには会話は聞こえないと思うけど・・・・・・」
「それではお風呂場へ連れて行きますの」
白井は美琴と鏡をお風呂場に連れて行った。


『案外落ち着いてるのね』
「何がよ?」
『別に?普通は暴れたり、誰かのせいにしたり、絶望したりするもんじゃないかなって思って』
「今まであんたが小さくしてきた人はみんなそういう反応だったんだ」
『・・・・・』
鏡は答えなかった。

「それで、どうすれば私は元に戻れるのかしら?」

すると鏡は突然こう言った。

『貴方あの男のことが好きなんでしょ?』
「べべべ別にだだだ誰がアイツのことなんてっ!」
美琴は真っ赤になって否定したが―――
『素直になってアイツに告白』
「なななな、なんでそのことを!」
たった一瞬、上条に対する美琴の態度を見ただけでアイツというのが上条だと気づかれた。
美琴が恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると、鏡は低い声で言った。

『二度と元に戻れないって言ったらどうする?』

突然の言葉にバチバチッと美琴周りに電気が発生する。
それまで真っ赤だった美琴の表情が一気に変わる。
「本気で言ってんの?」

『まぁ、どうしても元に戻りたいっていうなら教えてあげてもいいけど』
「そりゃ戻りたいに決まってるでしょ!」
『ただ元に戻る方法を知ったら後悔することになるわよ、死にたいと思うかも』
「もったいぶらないでさっさと教えなさいよ」

『彼に嫌われなさい』

「え?」

『好きな人から嫌われる、気の毒だけどそれが元に戻る条件よ』
美琴は何を言われたのか分からなかった。ただその言葉には絶望しかなかった・・・・
「アイツに嫌われろですって?」
『そう言ったつもりだけど?』
「そんなこと・・・・出来るはずが無い・・・・」

『だったら永遠にそのままでいることね、あの男それなりに優しそうだしずっと守ってくれるんじゃない?』






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