とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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匿名ユーザー

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― バレンタイン ―


2月12日、常盤台女子寮、夜

 日本の女の子達にとってはほぼ間違いなく注目される日、バレンタインデーを2日後に控えここに住む女の子は皆浮き足立っていた。
 チョコを意中の男に渡そうと目論む者、ただ友達に渡そうと考える者、何やら怪しい薬を取り寄せてチョコに紛らわせ薬を飲ませようと企む者、と各々心の内に秘めるこそ様々だがチョコを大切な人に渡すというと根本的な所は共通してしている。
 そんな中、230万人の人口を誇る学園都市にも7人しかいない超能力者、超電磁砲の異名をとる御坂美琴もそのような事を考えていた。
 結論を言うと、彼女には想い人がいる。
 嘗て彼女を絶望の淵から救い出してくれた人。
 嘗て彼女にかけがえのない約束をしてくれた人。
 その人、上条当麻である。
 彼らの出逢いは6月、複数の不良に絡まれた時だった。
 彼女は内心、バカな奴だと思っていた。
 自分にそんな上っ面だけの偽善なんていらない、そんなものならない方がいい。
 事実、彼が首を突っ込まなくても解決していただろう。
 最終的に不良を追っ払ったのは彼女なのだから。
 だが、その少年はあらゆる点で他の人と異なっていた。
 まず第一に超能力者たる御坂美琴の電撃を浴びて無傷でその場をしのぎきった事。
 彼が見せた正義は上っ面なだけのそれではなく、例えなにがおきても揺るぎない信念に基づいての行動であった事。
 何よりも、自分が超能力者であることを知っても怖じ気づかず、妙に腰を低くしたりもせず、普通に他の人と同じように接してくれる事。
 さらにその他様々な要因が重なり合い、極めつけは妹達の事件と偽デートでの約束。
 今まで恋愛とはほぼ対局の場所に位置していた彼女でも、心底彼に惹かれるのは最早必然。
 なので今まで大覇星祭、一端覧祭そしてクリスマスと数回にわたるアタックを重ねていたが、上条が鈍感であることと彼女が素直になりきれず、まだ想いは実っていなかった。

(バレンタイン…この日は、この日こそは自分に素直になって…アイツにこ、告白するのよ!)

 そう意気込んでいる美琴はまず手始めに上条の予定を聞くことにしたのだが、

(うぅ…やっぱり電話は緊張する…)

 やはり自分のほうから電話する事はまだまだ慣れていないこともあってか、実行にまだ移せないでいた。
 今までは公園や帰り道などで会い、半ば強引に約束にこじつけていたが、今は夜で明日はチョコの準備やらで忙しくのん気に街をブラブラできない。
 よって上条の体質上、当日には何が起こるかわからないため、14日の予定を確保するのは丁度同室の後輩の白井黒子が風呂に入っている今しかない。
 …と美琴は頭ではわかってはいるのだが、今までの電話ではある意味まともに電話をしてまともな内容の会話をしてまともな終わり方をしたことがないので、自分が焦ったりや怒ったりで会話がちゃんと出来るかが不安だった。

(ええい、きっと成るように成るわよ!)

 ようやく決心のついた美琴は携帯のアドレス帳から、上条当麻を選択し通話ボタンを寸前で若干ためらったが、それでもなんとか押した。

トゥルル…トゥルル…

コール音が1回鳴る毎に彼女心臓の鼓動が激しくなる。

(あぁもう早くでてよ!これじゃこっちがもたないじゃない!…にしてもなんて話を切り出せばいいんだろ…なんか急に話し出すのも…)

 このほんの少ししかない待ち時間にもかかわらず、理不尽になんの罪のない彼にあたってしまう。
 そんな少しのことに対して怒ってしまう自分が嫌で仕方ない。

「ガチャ…おーっす、何か用か?」
「$\%&!!??」

 美琴はよくよく考えてみれば話の内容は決まりきっていたものの、それをどうやって聞き出すのかを考えてなかった。
 なのでコールしている間にまとめようとするが、動揺している頭で迅速な処理が出来るはずもなく、突然の声に驚きの余り声にならない叫びを上げる。

「うわっ!!……ってなんだいきなり!」
「あ、ああアンタが急に声だすからでしょ!?」
「電話掛けてきたのお前だろ!!……はぁ、不幸だ…」

 理不尽なのはわかっていた。
 それは単なる八つ当たりな事もわかっていた。
 しかし、美琴は極度の緊張状態に陥っていたため、まともな思考回路はどこかへ飛んでいってしまっていた。

(あぁもうだからそうじゃなくて!なんでこう上手くいかないのよ!)

 どうしてこうも素直になれないのか。
 どうしてこうも簡単に理不尽なことをしてしまうのか。
 美琴は自分の本心とは真逆の発言に苛立ちを覚えずにいられなかった。

「……んで?何か用があって電話かけてきたんじゃないのか?」

 上条の声を聞き、幾らか正気が戻ってきた。
 しかも、こちらから変に話を切り出すまでもなく向こうから話を持ち出してきてくれた。
 このチャンスを見逃す手はない。

「ぁ…えと、その……」
「……まさか怒鳴るためだけにかけてきた、なんてことはないだろうな…?」

 まずい、と美琴は思った。
 いつもならば彼女はここで怒って、話が逸れ、挙げ句の果てには本題の話をできずに電話を切ってしまうだろう。
 しかし、今日この時だけは事情が違った。
 目的の日に、彼女の中に秘める想いを確実に告げることができるかできないかの瀬戸際なのだから。
 恥ずかしい気持ちはあった。
 苛立ちもあった。
 だが今回だけはそれらを抑え、唯一の目標を果たすために口を開く。

「あ、あのね…今週末の日曜日、14日なんだけど……そ、その日空いてる?」

 喋る内に少しずつ声量は小さくなっていたかもしれない。
 でも電話越しの彼には確実に聞こえたはずだ。
 美琴はなんとか勇気振り絞り、とりあえず1つの難関を突破できた事に安堵する。

「ん?14日なら午前中は補習だけど、その後なら空いてるぞ」
「本当に!?じゃ、じゃあその日の夕方いい、かな…?」
「ああ、いいぞ」
「よかった…んじゃ待ち合わせとか詳しい事はまた明日の夜にでもメールするから…じゃあね!!」

 美琴は最後は約束を取り付けた事への安心から、気恥ずかしさが先行して早々に電話を切る。

(や、やった!約束できた!にしても疲れた…やっぱりこういうのは勇気がいるわね…)

 できたらこんな疲れる電話はもうしたくない、と一人呟きながらそのままベッドに横になる。
 約束については嬉しい反面、ずっと緊張していたため終わった後の疲労感はすごい。
 そのせいか、美琴は悶々として眠れていなかった最近とは対照的に、嬉しさと疲れが相まってすぐに眠りに落ちる。
 背後からおぞましい怨念放つ者の存在に気づかずに…

(お、お、お姉様が誰かと14日に約束を…キィィーーー!!)

 怨念の根源、白井黒子は実は美琴が電話を掛け始めるほんの少し前に戻っていた。
 彼女は美琴にも声はかけたのだが、何やらぶつぶつと呟きながら考え事をしていた美琴は全く気づいていなかった。
 なので黒子は会話を一部始終を聞いていたのだ。

(まぁ照れていたお姉様を見れた事は良しとしましょう…ですが!お姉様があそこまでテンパる相手は恐らく、いや、あの類人猿しかいない!!…あんの類人猿めがぁぁぁぁあああ!!こうなったら明日にでも血祭りにあげててさしあげますわ!!)

 そんな上条への恨みを晴らそうと固く決意する黒子を背後に美琴はぐっすり眠っていた。




 同日、上条宅

「何だったんだ?あいつ…」

 上条は美琴との電話を終え、通信の途絶えた携帯を片手に疑問に思う。
 何やら怒ったと思えば、次は黙る。
 黙ったと思えば、14日予定を聞いてきた。
 彼は美琴を色々とつくづく忙しい奴だなとも思う。

(にしても14日って…勿論『あの日』だよな?なんでまた俺…?)

 しかし、彼が一番疑問に思ったのはそれらではなく、女の子にとっては1年でかなり重要な日のバレンタインに自分を誘ってきた事である。
 無論、それが嫌という訳ではない。
 むしろ逆だった。
 上条は美琴の事を好き、まではいかずとも気にはなっていた。
 美琴は整った容姿とスタイルをもち、世界でもトップクラスのお嬢様学校の名門常盤台の学生、そして誰とでも分け隔てなく接することができて様々な人に慕われている。
 そんな彼女を気にするなというのが難しいだろう。
 さらに美琴は上条の記憶喪失についてカエル顔の医者を除けば、唯一知っている人間だ。
 つまり上条は彼女に対して変に取り繕う事はしなくてもよい。
 上条もそれらがわかっているからこそ気にはなっているのだが、彼の中でひっかかるところがあり、好きとまではまだいっていない。
 それは彼女が名門のお嬢様学校とはいえまだ中学生であることと、そして何よりも自分の不幸体質にあった。
 前者は世間体を気にせず、なおかつ自分がしっかり理性を保てば済む話だ。
 だが後者はそうはいかない。
 上条は自分が不幸なために人を好きになれば、他人にもそれが起きてしまうのではないかという事を恐れていた。
 例がないので実際にあるのかはわからないし、他人に不幸が起きた事は今自分がもつ記憶の上ではない。
 それでも上条は怖かった。
 自分のせいで他人が不幸になること、幸せになれないこと、これらは彼にとっては一番許せないことである。
 なので彼には人を気になることはあっても、好きになることには抵抗を感じていた。
 そういうこともあり、一応恋愛には人並み程度に憧れてはいても、自分には縁のないものだと決めつけ、他人の心に気づかないというところに繋がっているのたが。

(……まぁいずれにしても、14日になればわかるか)

 今いくら考えてもあくまでも推測でしかないからな、と上条は考えること一旦やめ、手に持っていた携帯をしまい、眠りについた。



 2月13日土曜日AM6時、常盤台女子寮

 御坂美琴のこの日の目覚めは早かった。
 理由は言うまでもなく昨晩の出来事。

(私…ついにやったんだな…)

 美琴は不意に携帯へ目を向けると思わず口元が綻んだ。
 上条の予定を確保した今、もう彼女に迷いはない。
 14日に上条にチョコを渡し、告白すると決心したからだ。
 後は今日中にチョコを作ればそのための全て条件が揃う。
 今日は忙しくなりそうだと意気込む美琴は起き上がり、顔を洗うために洗面所へ向かった。
 途中、相部屋の白井黒子が「類人猿め…あの若造めが…」などとぶつぶつ言いながら何やら考え事をしている姿が彼女の視界の片隅に入ったが、今日つくるチョコの事と明日の事で頭がいっぱいなのでそんなことは勿論気にしなかった。



 同日午前、とあるスーパー

 意気揚々と材料調達に向かった美琴であったが、一つ問題があった。

(私、そういえばアイツの好み知らない…)

 彼女今の今までただ漠然と『チョコをつくる』ことしか考えておらず、具体的にどんなチョコにするか、どの程度の甘さにするかなどを全く考えていなかったのだ。
 さらに、それの指針となる上条の好みを彼女は知らない。
 別に気持ちさえ伝わればいいか、とも思うがせっかくチョコを作ってあげるのだから喜んでもらいたい。
 それらの思考が絡みあった結果、材料の調達もできず売り場の前で美琴は立ち尽くす事しかできなかった。

「あれ?御坂さんこんな所でどうしたんですか?」

 美琴は突然声をかけられた方へ向く
 するとそこには頭に満開の花を乗せた初春飾利とその友達の佐天涙子が立っていた。
 彼女達もまた明日がバレンタインということで、チョコを買いにここに足を運んだのである。

「え?あ、いや、ほら…その…」

 突然声をかけられ、美琴は動揺する。
 今のご時世、友チョコという言葉も存在するため、特に隠す必要もないのだが、やはり彼女にとっては何故だか恥ずかしさもありすぐに口を開くことはできなかった。

「もしかして、御坂さんもチョコですか?」
「ああ…うん、まあそんなとこかな」

 なにやらはっきりしない美琴の発言に声をかけた初春は首を傾げる。
 そこで隣にいる佐天が何かをひらめいたようにすると、急にニヤニヤとした顔で、

「あれぇ御坂さん、もしかして…明日手作りの『アレ』を好きな人に渡しちゃったりします?」
「ッ!!」

 美琴はいきなり核心を突かれ、肩をビクンと大きくゆらし、一瞬で顔を真っ赤にそめる。
 その反応を見た佐天はニヤニヤとした表情を崩さず、じっと美琴を見つめ、それは初春にも伝染していった。

(ビンゴ!?まさかのビンゴ!?)
(この反応は…そ、そうなんですね御坂さん!)

 普段は凛とした立ち振る舞い、はきはきとしてどこか男勝りな一面さえあるあの美琴が、恋する乙女のテンプレのような反応をみせた。
 さらに彼女のこのような反応は二人は見たことがない。
 したがって、まず間違いなく自分たちが言っていることは合っていると二人は確信する。

「ち、ちち違うわよ!大体、私には好きな人なんていないんだから!!」
「御坂さん、別に隠さなくてもいいんですよ?女の子なら誰でも通る道じゃないですか」
「ああもう!違うったら違うの!!」

 美琴は2人に見つめられ慌てて取り繕うとしたが、波に乗った佐天はいくら否定されても止まらない。
 なんだかんだ言っても彼女たちは年頃の中学生には変わりはない。
 恋というものには当然ながら興味はあるし、それもあこがれの先輩の恋話となれば結果はどうなるかなど目に見えてくる。

「御坂さん好きな人ですか~。一体どんな人なんでしょうか…」
「ッ!!違うって言ってるのに…うぅ…」

 そこに追い討ちをかけるような初春の一言。
 否定しても2人は勝手に話を進めていき、美琴は涙目にしてバレる事を半ば諦め次第におとなしくなり、物を言わなくなった。
 美琴としてもこれは初めての恋。
 羞恥もさることながら、友達が相手であっても、どう話してよいものかはわからない。


「何か困ってる事でもあったら相談のりますよ?困っているように見えましたので」

 そこに佐天が美琴に助け舟を渡す。
 美琴は確かに困っていた。
 しかし、彼女がそれを話すことは好きな人がいると話すということと同義で、この2人にはもう一生頭が上がらなくなると気がした。
 それでも美琴は上条には喜んでもらいたい。
 中途半端にやるよりは恥を忍んでで聞いてもらった方が、いい結果になるはず。
 冷静に考えて1人で悩んでダメだったことから、今この差し伸べられた手を掴み相談にのってもらうことが最善と考えた。

「……誰にも言わないでね」
「え?あ、勿論ですよ!」

 美琴念のために釘を刺しておく。
 それに対し2人は初め本当にのってくるとは思っていなかったようで、一瞬驚きの表情を隠せなかったが、美琴の力になれるならとその後は胸をドンと叩き胸を張って答える。

(はぁ、後輩に頼ってて大丈夫なのかな私…)

 普段は頼らない後輩に頼ってしまう自分に多少の不安と苛立ちを覚えるが、どれも彼が喜んでくれる事を考えれば少し楽になる。
 そこでとりあえず彼女はどういう理由で悩んでいたのかを説明し、現状の打開策を考えることにした。

「-----という訳なのよ…私どうすればいいかな?」
「んー、ちょっと待ってくださいね…まだまさか御坂さんに本当に好きな人がいたことに対する驚きで頭が…」

 こいつらは…と美琴は内心舌打ちする。
 カマをかけてきたのはむこうなのだ。
 無責任にもほどある。

「それじゃあ、その人はどんな感じの人なんですか?」
「へ?…言わなきゃ、ダメ?」
「それがわからないとアドバイスのしようがありません」

 それもそうかと美琴は頷く。
 どんな人かも分からないのでは話にならないのだが、やはり抵抗がある。
 だが、そもそも1人で無理だったのだから相談にのってもらってるわけで、美琴には拒否権はない。
 それがわかっていても恥ずかしいものは恥ずかしい。
 悩みながらもようやく観念した美琴は顔を真っ赤に染めながら答える。

「えっと、そいつは年上で、バカで鈍感でムカつくけど、何かあった時は優しくて、私を救ってくれたり、守ってやるって約束してくれたりして…か、かっこよかったり…ゴニョゴニョ」
「おぉ!つまり、御坂さんのヒーローなんですね!?」
「ひ、ヒーロー!?そんな、あああアイツはそんな柄じゃ…」

 ヒーローという言葉に過剰に反応する美琴に対し、なおもニヤニヤしながら美琴を見つめる2人。
 だが、そのニヤニヤは先程までの好奇のものから羨望のものへと変貌していた。

(御坂さん、かわいいです!)
(くー!いいないいな!私もそういう人欲しい!)
「あぁもう!そういうのはいいから、結局私はどうすればいいのよ!」

 美琴はその空気に耐えられなくなり、周りの目も気にせず叫んだ。
 美琴が顔を真っ赤にして若干涙目になっているを見て流石にこれ以上はと思った2人は追撃を止めることにする。
 とはいえどんな人物かも全体を把握できずに、断片的な情報だけでは助言をしようにもたかがしれている。
 彼女達も美琴同様大いに悩んだ。

「やっぱり…無理かな?」

 美琴はその二人の様子を見て、申し訳なさそうに問いかける。
 しかし、佐天と初春は美琴の力になりたかった。
 普段そこまで自分のことを話さない美琴からこれだけの情報を受け取ったからということもある。
 だがそれだけじゃなく、先輩で常盤台中学に通うお嬢様の美琴をなんとしても応援したかった。
 しかも相手が美琴の初恋の相手だと言うなら尚更だ。

「んー、正直その人がどんなチョコをあげれば喜ぶかというのはわからないんですが、あたしが男なら手作り、それも御坂さんが頑張って作ったチョコを貰えればそれだけで十分嬉しいですけど」
「そうですよ。それに御坂さんの話を聞く限り、その人は人の気持ちを無下にするような人じゃないと思いますよ?」
「そう…かな?」
「少なくとも私はそう思いますよ。大事なのは気持ちですよ」

 ねー♪と2人は向かい合って仲良く声を揃えてはしゃぐ。

(気持ち…そうよね、アイツなら私が気持ちを込めて作ったチョコを無下にはしないわよね)

 依然としてはしゃいでる2人を横目に美琴は今まで心の中でもやもやとしていたものを断ち切る。
 美琴は後輩にも頼ってしまったし、あまり知られたくないことも多々知られしまったが…

(1人でダメだと思ったら他の人を頼ればいい…か、やっぱりこういうことも大事なんでしょうね)

 以前妹達の件で鉄橋で言われた言葉を思い出しながら、その大切さを学んだ。
 1人で悩むのは確かに辛い。
 対して悩んでいる話題を他の誰かと共有することは楽だし、何よりも1人ではどうしようもない事も解決できる。
 あの妹達の件がそうであったように。
 美琴の性格上他人に頼りきるということはしないであろうが、それでも少しずつ他人を頼ることも覚えていこうと思えた。

「んじゃ初春さんと佐天さんはこの後どうするの?私は買い物するけど」

 するべきことがみえたら早く行動に移したかった。
 今心の中から溢れ出る強い気持ちが冷めない内に。

「私達もお手伝いします!と言いたいところですけど、こればっかりは御坂さんが頑張らないと意味ないですよね」
「あたし達のことは気にせず、チョコ作り頑張って下さい!明日、陰ながら応援してますよ!」
「そっか…それじゃ相談のってくれてありがと、またね」
「いえいえ、そんな礼言われる程のことしてませんって」
「お土産話期待してますよ!」

 そういいながら、最後の最後で目の輝きを取り戻した2人と美琴は別れた。


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