2013年度 総評案4

2013年総評案4 大賞:明日もこの部室(へや)で会いましょう

63 名前:総評案4 ◆RV9aeOJeq5YG [sage] 投稿日:2014/02/11(火) 09:59:34.86 ID:CH/JQs820 [2/23]
クソゲーオブザイヤーinエロゲー板。
それは激変するゲーム業界の暗部を体現するがごとく、毎年のように予想外の展開に彩られ、苦痛と笑いが生まれる場所であった。
2011年のダブル受賞すら霞む、2012年の激動の世代交代。そして2013年。
ある者は絶望にこの地を離れ、またある者は新たなクソゲーに希望を寄せ、新年の収穫を今か今かと待ちわびていた。

スレ住人達が最初に収穫物、いや排泄物を手にしたのは、2012年の激論続くさなか。1月末。
クソゲー排泄四天王の一、昨年の覇者スワンアイが、名誉の先鋒とばかりに、威風堂々と名乗りを上げた。
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』……大いにある。小一時間問い詰めたいところである。

本作は、前作と同じく「バカゲー+抜きゲー」路線。変身能力を得た主人公が、ヒロインたちの彼氏になりすましてHをする、というもの。
舞台説明が皆無だった前作『SEX戦争』の反省を活かしてか、なんと本作では、前作の∞倍にあたる10行もかけて能力を会得している。
超圧縮ダイジェストの締めとなる「そして…僕は変身能力を手に入れたのだった。」には、スレ民の間で乾いた笑いが上がった。
また、それまで毛嫌いしていた主人公が、彼氏に扮していたと知って、突如デレ始めるヒロインや、
懲罰として生徒にオナニーを課す教師、進んでそのオカズになる通りすがりの女子生徒たち、
何の脈絡もなく射精を始め、挙句全裸のまま野外に飛び出して警察に追われる主人公などなど、個性的な登場人物も住人を魅了する。
かの偉人、アルキメデスも全裸のまま街中を駆けまわったというが、天才の思考をユーザーに追体験させんとするスワンアイの高配には、我々としては脱帽する他ない。
また、抜きゲー最大のアピールポイント、Hシーンにも彼らは抜かりがない。
平均20クリックで終わるHシーンにはコピペが並び、ほぼ毎シーン出現するセリフ「ずっぷ!ずっぷ!」「ああもう出そう」の名言ワンツーパンチ、
そしてそれを乗り越えてもわんこそば式に襲いかかる、無味乾燥なHシーンのラッシュがユーザーを襲う。
唯一の救いは、本作品が1時間半ほどでコンプ可能である点か。安心し給え、言うまでもなくフルプライスでこのボリュームである。

かくして、新年早々このネタスレに、変身能力持ちの門番がそびえ立つ運びとなったのである。

その後も、前作流用や特典商法で詐欺同然と言われた3Dゲーの『プレミアムプレイ ~ダークネス~』、
ユーザーの期待やゲームの売りを履き違えたとしか思えないガッカリゲー『モテすぎて修羅場なオレ』、
メーカーがコラボした結果、第三者メーカーの設定丸パクリとなった『淫獄痴漢列車』、
無いシナリオをねだるなとばかりに、ユーザーに自粛を呼びかける『ナイものねだりはもうお姉妹』など、小粒ながら優秀な刺客が現れたが、
スレから「ずっぷ!」の文字が消えることは一向になかった。

次に大々的な祭りが起こったのは、5月。若葉萌ゆるこの時期に、若き挑戦者がKOTYeの門を叩いた。否、叩き壊した。

挑戦者の名は『逃避行GAME』。前作『ひよこストライク!』で好評を得たEx-iT渾身の新作である。
マスターアップ後の延期という強烈な開幕アッパーを放った本作は、蓋を開けてみると未完成に彩られた大物であった。
まずタイトル画面に表示されるのは、「逃避行GAME」のロゴに、「START」「LOAD」「END」の3つのボタンのみ。前作の半分以下である。
敢えて選択肢を狭めることで利便性を高めたインターフェースには、ここは何の業界なのかと眼を見張るばかりである。
また、本編中では特定のヒロインルートへの選択肢が出現しない、背景が真っ黒で表示されないなど、情報量の最小化はとどまることを知らず、
挙句ボイス容量まで最小化したのか、モブのボイスの多くが「イラッシャイマセー」なる謎の女性声になっているなどのバグがズレ住人の心を撃ちぬいた。
特に、2mもあろうかという殺人鬼との
 「どうしてここがわかった」
 「イラッシャイマセー」
  互いに互いの言葉を押し付けているだけ。これは会話ではなかった。
 「イラッシャイマセー」
 「返答しないなら、去れ」
のやり取りには、萌えゲーにそぐわない重苦しい雰囲気を、少しでも払拭しようという製作者の涙ぐましい努力が感じられる。

スレに「ずっぷ!」と双璧を成すマスコットキャラクター、「イラッシャイマセー」が登場した記念すべき瞬間である。

さらに極めつけには、店舗特典のストーリー追加パッチが、回想モード未実装により実質フリスビー化する不具合も発生しており、
ユーザーの多くが、非常口(EXIT)から別のゲームへ逃避行したのも無理なからぬ話しであろう。
なお、現在は多くのバグが修正されているが、シナリオに関しても、主人公がヒロインとの馴れ初めを思い出さない等の投げっぱなしの伏線が目立ち、
未完成の誹りを免れない出来であったことをここに付記しておく。

この勢いに惹かれたのか、今夏、優秀な戦士たちが次々と名乗りを上げた。
群雄割拠の季節到来である。
同月に発売された、Selfの『Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-』は、前編フルアニメーションを掲げつつ、繰り返し多用の日常シーン、
更にはクリックひとつでシーンカットまで飛ばされるHシーン等、その使い方をどこで間違えたのかと問わざるをえない絶妙なバランスに、
扱いにくいコンフィグ設定が加わり、新たなクソゲーの境地を開拓するに至った。

さらに翌月6月、『クラス全員マヂでゆり?!~私達のレズおっぱいは貴女のモノ・女子全員潮吹き計画~』をMBS Truth -Cherish Pink-がリリース。
ボイスを持たない主人公が妄想癖で文字数を稼ぎ、Hシーン中に一方的なマシンガントークで文字数を稼ぎ、不必要に丁寧な地の文が更に文字数を削り取る本作は、
結果、20クリック中ににボイスが1つ、といった超低コストを実現。さらに高速スキップを止める手段が「ゲームの強制終了」のみであるという斬新なバグも披露。
その極限まで予算を惜しむ姿勢をして、昨今の、制作費が高騰するばかりのゲーム業界に警鐘を鳴らしたのであった。

その他、これまでと時期は前後するが、安定したSofthose-sealクオリティの『エルフと淫辱の森』(4月)、
インチキ経済学により突っ込みどころ満載の『お嬢様はご機嫌ナナメ』(5月)、
特定の層にしか予測できない鬱展開のメタゲー、『君と彼女と彼女の恋。』(6月)、
ヤンデレと狂人を履き違えた誰得ゲー、『雨音スイッチ』(7月)
と、毎月が小粒ながら豊作で、スレ住民達は、燦々と日光降り注ぐ恵みの夏とばかりにクソゲーライフを謳歌していた。

さて、ここでこれをご覧の皆様に一つ問いたい。
恵みの夏。その後に待ち構えるのは、一体何の季節であろうか。

そう、「収穫の秋」。紅葉が茶に染まり始める、クソ色の季節の到来である。
ことここに至って初めて、スレ住民たちは、これまでの戦士たちが全て前座であったことを知るのである。
9月。大地を割って2体の魔物が突如として俗世に這い出し、地上に憤怒の炎をまき散らす事となる。

まず1体目、憤怒を纏いて降臨した彼の者の名は、『カルマルカ*サークル』。老舗 SAGA PLANETSの生み出せし召喚獣である。
本作は「7つの大罪」をモチーフとした物語であり、超能力とともに大罪(摩訶)を背負う7人のキャラクター達が、
壮大な願いを叶えるために奮闘するストーリーとなっているはずだった。はずだったのだ。
その物語は、浅い矛盾だらけの設定と、突貫工事の脆さに彩られていた。

憤怒の超能力を持ち、その発現時「のみ」怪力を発揮する主人公は、平常時に平然と小石を破砕し、
嫉妬の超能力を持つヒロインは、その能力で何故か主人公に欲情する。
怠惰の超能力を持つヒロインに至っては、残念ながら勤勉なバイト生であった。
誠に遺憾である。設定が杜撰すぎはしないかと誰もが思ったことだろう。
また、ライターたちの意思疎通が既にバグであり、劣等生があるルートで優等生になっていたり、
ヒロインによっては、シナリオの本筋を「どうでもいい」と切り捨てたり、
学費免除であるはずのヒロインが、別ルートで「学費を自分で払っている」と発言したりと、散々な状況である。
そのほか、物語中は終始笑えない冗談が繰り返され、拙い描写が延々と繰り返される。

選評者をして「笑い所のないチャージマン研」と言わしめた、説明不足の意味不明シナリオに、ユーザーは虚脱感を覚え、
「暴力では何も解決しない」と主張しつつ殴り合いの暴力に応じる不可解な主人公には、激しい怒りを覚えることだろう。
しかし、負の感情に支配されてはならない。どのようなクソをも笑いに昇華するKOTYの本質を、本作は今一度我々に提起しているのである。
なぜなら本作は、「ハッピー&スマイルADV」なのだから。

同時期に発売され、すこし遅れて発掘された2体目の魔物は、魔物というには少々メッキが眩しかった。
戯画の排出する安定のギガマイン、『バルドスカイゼロ』の推参である。
『バルドスカイ』シリーズは、同メーカーのエースチーム「チームバルドヘッド」のアクションADVであり、高いアクション性と見事なストーリーでユーザーの支持を集めてきた意欲作である。
本作はその前日譚にあたるが、時間を巻き戻すには相当の覚悟が必要と判断したのだろう、何を思ったのか彼らは、制作にあたってまず担当チームを変更した。
シナリオ、絵師は当たり前として、サウンド、プログラマも全て別人である。強豪『つよきす2学期』に通ずる何かを感じるのは、決して偶然ではあるまい。

本作の全貌を表すには一言で事足りる。「不快感」である。
まず、攻勢は製作者の詐欺から始まった。発売前にアピールした「主観エイム」「機体強化」は尽く削られ、「射撃強化」「敵をまとめて倒す爽快感」は
「ラスボスが近接ゴリ押しで楽勝」「回復しない自機体力と、逃げ回りつつちまちま射つ焦燥感」へと変貌。
バランス調整も絶妙で、体力の5割を削るギミックが、4つ連続で飛んでくるなど日常茶飯事である。
戦争で人を信ずるなかれ。戦場で気を抜いたものは死ぬ。無双など夢想である。これらの溢れ出る臨場感はさすがだというべきであろう。

また、1ルートクリアまでに20回以上頻発したという脅威のフリーズ地獄を耐えぬくユーザーに、さらに苦痛に彩られたシナリオが襲い掛かる。
人を罵倒することに全力を掛ける主人公の性格や、チームメイトが死んだ5分後には漫才を始めるヒロインたちの豪胆さ、30クリックに及ぶ無意味な雑談は、
度重なる戦闘が生んだ弊害なのだろうか。この虚しいシナリオは、我々に戦争の虚しさを訴えているとでも言うのだろうか。永遠の謎である。
シナリオ終盤に、まるでドラえもんの道具のように出てきて問題を一気に解決する便利技術も、世間の理不尽さを体現しているかのようである。

更に、前作主人公がただの「猪突猛進の馬鹿」になっているのも非常に興味深い。今作主人公たちからの扱いも散々である。
一体に、過去に他人が生み出し、描いてきたキャラクターをためらわずに蹂躙できるライターが何人いようか。
このメタリックなクソもまた、新たなベクトルのクソゲーとして、この世界に名を残すことだろう。
おまけに、「分割はしない」といった矢先に続編の発表をするなど、発売後も不快感を維持する、メーカーのアフターケアには頭がさがるばかりである。

この後も、『いたずら学園』、『ノブレスオブルージュ』、『3D少女カスタムエボリューション』、『妹*シスター -My sister-』と、
中型のクソゲーが多数現れたが、今までの神々しいクソゲーに対抗しうる者は現れなかった。
しかし、思い出して欲しい。恐ろしい魔物は年末に現れる。今年もまた、例に漏れずに恒例行事「年末の魔物」が出現した。

12月。
まずさえずりを上げた魔物は、どこかで見た小鳥の形をしていた。
Ex-iTの今年第二作目。『ひよこストライク!』のファンディスクたる『雛といっしょ』である。
この者もまた、前作と似た武器を引っさげて現れたのだ。
まず住民たちが狂喜乱舞したのは、前代未聞の「二作連続、マスターアップ後の延期発表」である。
十分なインパクトを持って放たれたそれは、ユーザーの手に届くや否やその全貌を明らかにした。
妙にシワの多い梱包から現れるには、「バグのせいで進行できない」旨が記載され、実際に起動すればわずか25クリックでエラー落ち、
メーカーは修正パッチのリリースを宣言するも、電気外祭りへの参加を優先し、あまつさえミラーサイトとの連絡不良を理由に、更に公開を先延ばしにする体たらくであった。
いざ公開されたパッチの出来も非常に粗末なもので、バグのほとんどが改善されず、結局ユーザーはその次のパッチを待つ他ない状況。
バグが解消した後も、内容が非常に薄く、ミドルプライスとしても失格ライン。解析班によって未使用のCGが多く発見されたことも付記すべきであろう。
フォローするならば、遅れたとはいえパッチを出したのは、この業界にしてはまだ真摯であったとも言えようか。

次の魔物は、本来ならのんびりと総評ムードであるべき翌年。2014年1月に突如として現れた。いや、「発見された」といった方が適切か。
惨憺たる有り様で拾い上げられたそれは、どこかの夏の記憶を彷彿とさせるものであった。
8月発売の『聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ』である。
同じ夏の魔物、『マヂゆり』と並んで「低予算ゲー」とでも形容すべきその倹約っぷりは、一見の価値があり、「……」や「…!」などのボイスの無いセリフが会話の大半を占める一方、回想やモブキャラなど、元々ボイスの無いキャラクターは非常によく喋る。
平均して20クリックにつき1ボイスしか無いのだから、そのこだわりはむしろ尊敬すべきレベルに至る。

1月勢の攻勢は止まらない。今年は一体どうしたことだろうか。
次にサルベージされたのは、12月発売、GLaceの『Timepiece Ensemble』である。
本作の系統としては、カルマルカの亜種と言ったところか。
絵は申し分なく、音楽も、インターフェイスも少々不便ながらも及第点である。では残るは何か。シナリオである。
まず目につくのは、一つの教室内でシナリオの大半が進行する共通ルートである。起伏がなく、無味乾燥なのも想像に容易い。
そして整合性の取れないシナリオ。キャラクターの性格が時々で変化し、見ているユーザーは性格が変貌したのかキャラクターがすり替わったのか、
はたまた平行世界にでも飛ばされているのか、不可解な現象に悩みつつ読み進めることになる。
更にCGとシナリオの整合が全くとれておらず、一度のHシーン中で下着が虹色変化したりと、斬新なクソっぷりを発揮した。

さらにトドメとばかりに大物、いや怪物が追い打ちをかける。
7月のクソゲー、ミルクプリンの産んだ『明日もこの部室(へや)で会いましょう』が、半年の時を経て姿を表わした。
まずはユーザーは、「吉里吉里/KAG」を使いつながらも、一ページ戻っていく伝統的すぎるバックログシステムに圧倒される。不必要に正統派である。
さらに共通ルートでの単調なシナリオが目立つ本作。
ヒロイン選択を20回ほど繰り返すとルートが確定するようで、この時点で大方のやる気を削がれると考えられるが、案ずることはない、これは前座ですら無いのだ。
まずユーザーに立ちはだかる壁は、「一人のヒロインを選び続けると、則バッド」の事象である。ルートになど簡単には通されない。残念ながら仕様である。
ではどうするのかというと、ヒロインとあまり話さない回を意図的にスルーする必要がある。この回を一度でも選んでしまうと、バッドエンド確定である。
通常プレイでは、このような条件に気づく由もなく、この時点で、ノーヒントでは10回単位のやり直しが要求されることだろう。

では個別ルートで救いがあるのかというと、ご想像の通り、そんなことは断じてない。
本作のあらすじは、「潰れそうな写真部を再建するため、主人公の力が必要であることが判明。かくして彼は、ヒロインたちと四苦八苦することになる――」
といったものであるのだが、主人公はほとんどのルートで最終的に写真部を放置することとなる。
例えば、あるルートでは大学生になった後に、幼なじみヒロインと同棲。尻を揉んで終了。写真部など言及もされない。
あるルートでは大学生になった後に、ヒロインの親の会社に、主人公が内定を貰って終了。写真部など言及もされない。
あるルートではヒロインが主人公にどこまでもついていく宣言をして終了。写真部など言及もされない。
あるルートに至っては、2回のHの後、『寝る間も忘れて肌を重ね、夜を摩擦し続けて。気がつくと数年が経っていた――。』と超絶展開。
数年分の食料を備蓄した家にこもり、彼らは裸族の儀式とばかりに、二年間に渡り性交し続けていたというのだ。当然、写真部など言及もされない。
……と思いきや、このルートでは写真部に少し触れられる。

学園祭に招待されたため、彼らは写真部の様子を見に行こうというのだが、残念ながら彼らの浪費した二年間の月日はあまりにも長かったようである。
というのも、彼らが引きこもっている間に、街は細菌テロにより壊滅していたのである。伏線など、あるわけもない。
かくして様々な謎を残したまま、『果たして、無事に明日、部室で会えるかどうかは、誰にもわからない』の一文でEND。
写真部は他の部員たちの尽力で、なんとか存続したようである。めでたし。

唯一、本作品のテーマが果たされるのは、意外にもバッドエンドである。
主人公が自室の窓から飛び降りたところでENDのこのルート。写真部存続がはっきりと記載されている。
主人公の力が必要とは、一体何だったのだろうか。

本作極めつけのネタは、名前変更バグである。
本作では主人公の名前は変更可能であり、全角で1~4文字指定であるが、とある方法を用いるとこれを回避し、半角255文字まで指定できるようになる。
プレイヤーたちの飽くなき探究心を褒め称えるかのようなこのバグは、キャラクターにオリジナルのセリフを喋らせたり、
テキストウィンドウにAAを表示したりと、長きに渡りスレ住民たちを楽しませることとなった。

さて、紙幅も厳しくなってきたため、そろそろ大賞・次点の発表に移りたいと思う。
2013年度クソゲーオブザイヤーinエロゲー板、次点は
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』
『逃避行GAME』
『カルマルカ*サークル』

そして栄誉に満ちた、煌々たる大賞を取得したのは
『明日もこの部室(へや)で会いましょう』
である。

本来これらのゲームは、全てがディスクを叩き割りたくなる、そういった存在であった。
『リア充』はコピペと鬱陶しい擬音で神経を逆撫でし、『逃避行』はバグとメーカーの対応で殺意を加速させ、『カルマルカ』は前作の好評を覆す失望感をもたらした。
しかし、これらには、ある共通の特徴が含まれていたのである。
『リア充』は「ずっぷ!」と「そして僕は~」、『逃避行』は「イラッシャイマセー」、『カルマルカ』は「憤怒の摩訶」と「ハッピー&スマイル」で年中スレを賑わわせた。

KOTYは、クソゲーを掴んだやるせなさを互いに拡散し、笑いに昇華するスレである。
一人にとってはどんなに苦痛でも、人と人とが繋がれば、必ずネタに出来る。笑顔にできる。彼らは、それを己が身を以って証明したのである。
私はこれらに、さらにはこれらをネタとして発展させた方々に、心からの敬意を表したい。これがKOTYの真に美しい姿ではないか。

この点で、『部室』は際立って輝いていた。
スレに現れた当初は、その意味不明なフラグ管理に、
その次は前後不明、唐突すぎる超展開に、
最後に、隠された壮絶な名前バグに、
我々住民は心から熱中し、心から爆笑できたのではないかと思う。
これらは、クソゲーとして、記憶を個人の心にしまい込めば決して得られなかった、最高のエンターテイメントではなかろうか。
その意味で、三段構えの「笑い」を潜ませていた本作は、立派な「神ゲー」である。

今年は、夏の段階ですでに豊作、その後のラッシュも鑑みると、掛け値なしに大豊作の年であった。
また、大いなる門番、閑散期を埋める小粒の精鋭たち、そして年末に現れる弩級の魔物と、稀に見る理想的な配置であったと言えよう。
しかし、理想だけではない。今年は個々のクソゲーが予想外の、新たな領域を開拓し始めた挑戦の年でもある。
激動の大航海の先に、我々はどのような大陸を発見するのであろうか。
願わくば、モラルの低下が叫ばれる中、全力ですっ飛んで転んでいくような、新進気鋭のクソゲーたちの出現を切に願う。
それが、また新しい笑いの種になるのなら。
大いなる不安と、微かな期待を胸に、2013年の終結をここに宣言する。

最後に、「神なるクソ」こと『明日もこの部室(へや)で会いましょう』より、精一杯の怨嗟と感謝を込めて、
以下の言葉を拝借することで本年の幕引きとしたい。

「果たして、無事に来年、クソゲーに会えるかどうかは、誰にもわからない」

最終更新:2014年08月04日 02:55