Jason Rosenhouseの役に立たないインテリジェントデザイン

インテリジェントデザイン"理論"は"Negative Argument"な実装(「進化論では説明できないからデザインだ」)であるため、新たな科学的発見につながる予測をつくれない。たとえ、インテリジェントデザインが科学であるか否かにかかわらず全く研究の推進に役に立たない。

これをインテリジェントデザイン支持者O'Learyをネタに、James Madison UniversityのJason Rosenhouse準教授が説明する



Jason Rosenhouse: "O'Leary Proves that ID is Worthless to Scientists"

O'Learyはインテリジェントデザインが科学者の役に立たないことを証明する


インテリジェントデザイン支持者たちは、従来の進化理論に科学的に対抗するといわれる数多くの主張をしてきた。これらの主張は一様に間違っていて、それが科学者たちがインテリジェントデザインの主張を無視する理由のひとつになっている。

しかし、インテリジェントデザイン支持者たちは、また、科学者が唯物論の目隠しを取り去って、デザインの見方を取り入れれば大きな科学的発展につながると主張する。その主張を確かめる方法:何か発見しろ! 語るのではなく示せ! この格言はここに非常によくあてはまる。もし、デザインの見方が役に立つなら、従来の方法が見落としたものを発見することで示せ!

ときどき、インテリジェントデザイン支持者は、そのようなことしたと主張する。しかし、そのような主張はちょっと検証するだけで壊れてしまう。ということで、私はインテリジェントデザインハックでありDembskiの取り巻きであるDenyse O'Learyの このポスト を興味深く読んでみた。タイトルは「Nine Predictions, if Intelligent Design is True.(9つの予測 インテリジェントデザインが正しいなら)」

おおっとおお! いっぱい予測があるじゃないか。ところで、科学者が理論による予測について語るとき、研究を導くために使う何かについて話すもの。地球上の地域と岩石の年代を指定すれば、古生物学者はどのような生物が化石として見つからはずかについて、かなりの精度で語ってくれる。これの鮮やかな例を2006年の Tiktaalikの発見に見ることができる。古生物学者は特定の特徴を持つ化石を探していた。そして、彼らは進化論的思考に基づき、どこをさがせば、そのような化石が見つかりやすいかについて考えがあった。これはひとつの例だ。他にも例を挙げることはむかしくない。
[訳注: Tiktaalikの発見については「 これは確かにクールだ 」参照]

インテリジェントデザインは同様のことができるだろうか? もちろんできない。できるなら、はるか昔に、生物学の支配的パラダイムとなっていただろう。しかし、そんなことではインテリジェントデザインは主張をやめない。O'Learyの努力のあとを見てみよう。

これは、O'Learyが誇りに思ったことで、Dembskiのブログにもクロスポストしている:

Complete series of transitional fossils will not usually be found because most proposed series have never existed. Eventually, researchers will give up on ideologically driven nonsense and address the history that IS there. They will focus on discovering the mechanisms that drive sudden bursts of creativity.

中間化石の完全なシリーズは見つからないだろう。というのはそのようなシリーズは存在しなからだ。最終的に、研究者たちはイデオロギーに導かれたナンセンスをあきらめて、そこにある歴史を指摘する。彼らは創造の突如の爆発を起こすメカニズムの発見に焦点を当てる。

もうひとつはこれ:

No account of human evolution will show a long slow emergence from unconsciousness to semi-consciousness to consciousness, let alone that consciousness is merely the random firing of neurons in the brain. However consciousness got started, it appeared rather suddenly and it permanently separates humans from our genetic kin, however you want to do the gene numbers and however much time researchers spend coaxing monkeys to stop relieving themselves on the keyboard and type something meaningful.

人間の進化の説明は、無意識から半意識そして意識への長期の漸進的変化を示せない。そして、意識は脳のニューロンのランダムな発火とされる。しかし、意識は始まった。そして意識は突如として出現し、遺伝的に近い種と人間を分かつものである。遺伝子の数を数え、サルにキーボードで用を足すのをやめさせて、意味のある何かを入力するように費やそうとも。

考えを得るだって? O'Leary の予測は、歩き回り、腕組みし、頭を振っているだけに見える。O'Learyの9つの予測を見ても、実際に科学者が研究に使えるようなものはない。進化論は遺伝が不可欠な重要な問題であることを示した。ダーウィン以前の幾世代の創造論者たちが見落としてきたことだ(メンデルについては聞いている。孤立した者が単純な実験をしたことは含めない)。進化論は古生物学を、味気ない記述のわびしい仕事から、今日あるような科学の不可欠な分野へと変えた。進化論は古生物学者がどう研究を進めるかの指針となり、古生物学者が発見したものによって進化論を強化してきた。同じことは生命科学のあらゆる分野に言える。とっても使える理論だ。

さて、ここでO'Leary登場。一世紀半にわたって明瞭に役に立ってきたものを破棄しろと言う。

何故か?

O'Learyが納得してないから。

いいだろう。で、かわりに科学者はどうすべきか?

何もない。

従来の研究では対応できないデザインの見方によって、どんな研究や実験が提案されるだろか?

何もない。

インテリジェントデザインによる予測について科学者が問うたとき、何を聞かれたのかO'Learyがわかっていない、というのが最も気前の良い説明だろう。私が触れたネガティブ予測に加えて、O'Learyはポジティブな予測もしている。O'Learyは中間化石について怒りまくった意見を書いた後で:

Positive prediction: Discovering the true mechanisms of bursts of natural creativity may be of immense value to us, especially if we need to undo some significant harm to our environment.

ポジティブ予測:特にもし我々の環境に対する明らかな害を元へ戻す必要があるなら、自然の創造性の爆発のメカニズムを発見することは非常に有益である。

おいおい、それは科学の意味での予測ではないだろ。もちろん、自然の創造性のメカニズムの発見は役立つとは思う。だからこそ生物学者はそのために相当な時間を忙しく過ごしている。

そいでもって、意識については?

Positive prediction: We will focus on what consciousness can do, especially in treatment of mental disorders. Yes, a drugged up zombie is better than a suicide, but only because the zombie isn't technically dead. Why stop there?

ポジティブ予測:特に精神病の治療において、我々は意識が可能なことに焦点をあてる。薬物投与されたゾンビの方が自殺よりよいが、それはゾンビが死んでいないという理由だけである。なぜそこで立ち止まるのか?

おっとこれは大きいね。薬物が彼らの病気を抑制するので、幾百万人の治療にあたれるのだが。O'Learyにとって、彼らは技術的に生きているだけの薬物投与されたゾンビである。これは、インテリジェントデザイン支持者にとってすら、味気なくアフォである。

精神病の治療に関して、「意識がすることができることに焦点をあてても」何の結果も得られなかったが、薬物は非常に効果的だった。なぜこれが? デザインの見方をとれば精神病の治療法が見つかるのか? O'Learyは何も語らない。

インテリジェントデザインは完全に科学的に将来性がない。ただ座って何もしない。これは科学者にとって間違うよりも悪い。間違った見方でも、何からの使える結果や興味ある結果につながることもある。それがたとえ、見方を変えないといけないという結果だったとしても。インテリジェントデザインにはそれすらない。






最終更新:2009年09月06日 17:12