P4の真のラスボスであるイザナミ
マヨナカテレビを作り、クニノサギリ、アメノサギリを生み出した理由は「人の望みを見極めるため」だった訳だが、結局彼女は何者だったのだろうか?

クマ曰く、現実の世界は人間の領域、テレビの世界はシャドウの領域だそうだが、テレビの中にいた彼女もシャドウの一種と見ていいのか。それともシャドウとも違う別の何かなのだろうか。
クニノサギリ、アメノサギリ両名と彼女はアナライズ情報でアルカナが「?」になっているが、それも関係があるのだろうか。

さらに彼女が何者にしろ、何故日本神話に登場する「イザナミ」を名乗ったのか。
何故人の望みを見極めようとしたのだろうか。

上記考についてP4単体で考えた場合、考察に足る材料は希少だが、過去のシリーズの事例・設定などを判断材料として考えてみる。

イザナミは真の姿である伊邪那美大神に化身した際、自らを「神」と称した。
巽完二がパーティに加入していると意にも介されず流されるだけの一言だが、実際のところ、それが「本当のところ」なのではないかと思われる。

つまり、本作におけるイザナミは、古くより語り継がれる神話より生まれ出た「自意識を伴った超自然的存在」~馴染みやすい言い方をするなら「女神転生およびデビルサマナーシリーズにおいて描かれる神・悪魔」と同質の存在ではないか、という解釈である。

※上記の察については、前提として「ペルソナシリーズと女神転生・デビルサマナーシリーズに登場する神・悪魔は、記号としては同じ意味でも定義として全く別種のものである」という解釈の上に成り立っている。
根拠となる意見として、ペルソナ2罪・公式ガイドブック完全版(ファミ通編集)からの引用を用いる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~
(前略)
悪魔の項でまず注目するのは、彼らが「普遍的無意識内に渦巻く、数々の「悪魔的元型」が実体化したもの=神も悪魔も人の心の中にしかいない」と定義づけていることにある。
続いて「普遍的無意識に操られる仮面党のボス、ジョーカーが、その元型をタロットカードに封じ込め、仮面党は悪魔を刺客として使役出来る」とある。
(中略)
ゲーム上のペルソナの定義は、「神や悪魔の姿と能力を持った、もう一つの人格」と設定されている。
ペルソナを降魔させる意義は、上記の「悪魔的元型の侵略から自我を守る者として機能する、自我によってコントロールされた「もう一つの悪魔的元型」なのである」。
~~~~~~引用ここまで~~~~~~

上記引用は「ペルソナ2罪にのみ適用されるものである」という注釈が為されているが、続編たるペルソナ2罰、そして後付け論となるが初代「異聞録」おいても、この設定は有効に機能すると考えられる。
また、年月を経て発表されたP3、P4については「シャドウ」という記号が新たに登場するため、ペルソナシリーズ全体においては「悪魔」という記号の持つ意味合い・存在感自体が減退・希薄化しているとも言える。

以上の公式設定を拡大解釈した場合、本作におけるイザナミは「神・悪魔が自立的に動くことの無いペルソナシリーズにおいて描かれた、自立的な意思を有した神なる存在」ではないか、と考える。

  • 察2
過去のシリーズの事例・設定などを判断材料とした場合、イザナミもまた過去作のラスボス達と同様に普遍的無意識の原型の一つが具現化した存在だと考える事も出来ると思う。
ユング心理学の分類における原型のうちフィレモンが「老賢者」、ニャルラトホテプが「影」だとは関連書籍で言われており、明言こそされていないもののP3のエレボスは「(エロスと対になる死への志向性としての)タナトス」とも解釈できる説明がされている。
そこから考えを進めると、人の望む安寧を与えようとするイザナミは人の全てを受容し包容する「太母(グレートマザー)」の原型に当たるのではないか、とも推測できる。
また、「母性」の原型であるからこそこの国の神話における最初で最大の母神を名乗ったと考えれば、名前の理由も説明できる。


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最終更新:2012年07月31日 20:26