帰宅した咲は、かつて家族麻雀をした卓の上に置かれた雑誌をなんとなく見た。
そこには『インターハイ2連続優勝』と書かれた姉の笑顔があった――のはいい。

そこまでで済んでいたら『仲直りに東京へ』みたいなスポーツマンシップ溢れる展開だったかもしれない。
だが、インタビュー内容である『好みのタイプ』の欄がそれを台無しにしていた。

照『2つ年下で金髪で、背が182cmで、中学の時はハンドボールをやっていたけど県大会で惜しくも敗れてしまった男の子です』

知る人間からすれば完全に相手を特定できる、そんな具体性に溢れる内容であった。
そしてただそれでは終わらない事実。それは

咲「お姉ちゃん小学生の時に引っ越していったのに、なんで私が中学で会った京ちゃんのこと知ってるの!? 詳しすぎるでしょ! ストーカーさんなの!?」

そう、宮永照に須賀京太郎と出会う機会などなかった。即座に幼馴染に聞いてみたが「知らない」と言われた。

それもそのはず。宮永照は引っ越した当初、離れた妹のことが不安で照魔鏡を通じて時々見守っていた。
が、その際に妹の傍にいた男の子に一目惚れをして、以降は妹に目もくれずその男の子のことばかり見ていたのである。

咲「お姉ちゃん……お話が必要なようだね」

ぐしゃりと、手に持った雑誌が握りつぶされ、暗黒の波動がどんどんと広がっていく。
こうして魔王の覚醒は早まった。


一方その頃、

照「京ちゃんいつも格好いい。照魔鏡で見ながら食べるお菓子は最高」

法に触れないオカルトを使った覗き見に精を出しており、妹の存在は素で忘れていた。


カン

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最終更新:2019年03月11日 00:58