最初に出会ったときは、軽薄そうだと感じ。
二度目の出会いで、真摯さを知って。
三度目の出会いで愛しさを感じて。
連絡先を交換しあい、仲間には弱さを見せまいと強がる姿を知って、寄る辺も失いかねないその影を───愛おしいと、愛でたいと、そう願ってしまっていて。

「大丈夫よ、京太郎君。私はここにいるわ、『他の誰が貴方を切り捨てても』私は貴方を受け止め、受け入れ、愛してあげる」

清澄の栄冠は、即ち彼への侮蔑の始まりに他ならなかった。
見目麗しく、才覚に満ちた少女たちにへばり付くだけの情けない男。
人前では愛想笑いでごまかせていても、傷は積み重なり、疲弊させ、脆くさせ──
仲間たちに隠れて、その砕けた心の破片を拾い集めて。
甘露の如き呪いを囁き、憎々しいほどに膨らんだ乳房で涙を受け止め、大きくも小さな背中を抱き締めて。

「泣いてもいいのよ……。辛いとき、苦しいときは、泣いてもいいの……。『私だけ』は全部受け止めてあげる……この胸も、お尻も、お腹も、何もかも…私の全てで、貴方を受け入れてあげるわ──」

それは、まさに媚薬。
鹿児島は霧島の神域に、京太郎は還り。
元々の面倒見の良さから、仲間や父親たちからも程なくして信頼を勝ち取り。
正妻の座こそ主たる姫君に譲り渡したものの、第二夫人として──そして彼が唯一弱みを曝け出せる女として、確固たる地位を得て。

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最終更新:2020年04月06日 23:15