785 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 06:01:33 ID:IAgL2IBM

「ワハハ、漏らした漏らした」
下家のスイカ口が相も変わらぬ表情で照を見て笑っている。
「ツモ…国士無双…8000・16000です…」
恥辱感を堪えながら和了宣言をする照。その足元には水溜りが広がっていた。

今日は全国中学生麻雀大会県予選。照にとってはデビュー戦、最初の花舞台だった。
試合前、尿意を催した照はトイレに向かった。
しかし持ち前の方向音痴が災いして、トイレに辿り着けず右往左往しているうちに対局開始時間が迫り、
とうとうトイレに行けないまま対局する羽目になってしまった。

照は一刻も早くこの対局を終わらせたかった。
できることなら南場まで持ち越さず、誰かを飛ばしてさっさと終わらせたかった。
だがこの期に及んで下家がベタオリを繰り返し、幾度も流局に持ち込まれ、結局南四局まで来てしまった。

オーラス。照の配牌はバラバラ。普段なら九種九牌で流してしまいたいぐらいだ。
だが照の我慢は既に限界に達していた。最早これ以上流局に持ち込む余裕はない。
照は渾身の引きでこのクズ配牌を国士無双聴牌に仕上げた。あと西1枚でこの地獄から脱することができる。
だがこの時、下家のスイカ口が自風の西を暗刻で持っていた。
(この捨て牌…怖い。まだ一向聴だしなぁ。ここはベタオリだな)
無情にもまたベタオリを始める下家。こういう時、妹であれば西を暗槓してくれるので槍槓で和了れるものだが、
普通の打ち手は無闇に槓などしないものだ。ましてやベタオリに定評のあるこの下家、生牌の西など切るわけがない。
この際、照にとっては下家にでもさっさと和了ってもらった方が有り難かっただろうが、皮肉にもまたベタオリである。
結局、照は残り1枚の西ツモを待つより他なかった。しかしこれまた皮肉なことになかなかツモれず。
とうとう海底。照はやっと最後の西を引き牌を倒した瞬間、決壊してしまった。

中学生にもなって公衆の面前でおもらし。
大人数の観衆が見ている中で、おもらし。
全県にテレビで生中継されている中で、おもらし。
照はこれまでにない恥辱を受けた。

恥ずかしさと屈辱感の中で対局室を後にする照。
この時、試合を見に来ていた妹の咲が駆け寄ってくる。
「お姉ちゃん、おめでとう。次も頑張ってね」
小学生の咲にしてみれば、決して悪気があったわけではない。純粋に姉の勝利を祝っての言葉だった、
だがこの無邪気な一声が照の逆鱗に触れた。
「…あんたなんか…あんたなんか…妹じゃない! あんたなんか妹じゃない!!」
1回戦で勝利を飾った照だったが、その後の試合には出ることはなく、数日後母とともに東京に旅立った。

786 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 06:37:00 ID:1oVOgLN3
あるとおもいます
最終更新:2009年12月02日 23:06