731 :―――逝くぞ池田ァ!!:2012/06/29(金) 01:26:21.46 ID:8gtPIlQdQ
だし!!
~文学乙女宮永咲~
部屋の窓から覗いた世界は、眩しいくらいに輝いています。
しばらくの間、時間を忘れて、ただただ星を眺めいたその時、不意に季節を置き去りにした冷たい夜風が私の体を撫でました。
すると何故でしょうか、私は自ずと貴方の事を思い浮かべてしまいます。
―――京ちゃん……
私は冷たい夜風に当てられながら、肌寒さよりも寂しさを覚えてしまいました。
だからなのでしょうか、ここには居ない貴方へ……夜風に思い浮かべた貴方の背中へと私は手を伸ばしました。
―――ねえ、京ちゃん……
那由多に広がる宇宙。
そこに零れる程に散りばめられた星々。
あまりにも眩しくて力強い光で自己を主張するからか、ただ手を差し出すだけでこんな私にも容易く掴めてしまえる様な……そんな、愚かしい錯覚を覚えてしまいます。
―――夜空に浮かぶ星を掴む事は叶わないのでしょうか?
―――それはきっと、叶わないのでしょう。
こんなにも近くに存在しているのに―――こんなにも眩しく輝いていると言うのに、伸ばされた手は何も掴まえる事が出来ません。
でも、もし……もしも今この時この瞬間に、貴方が私と同じ星を見上げていたとすれば―――。
732 :―――逝ったぞ池田ァ!!:2012/06/29(金) 01:29:07.61 ID:8gtPIlQdQ
私は窓を閉め、壁に掛けられた時計を見ます。
秒針、分針、時針、彼らが一つに重なるまで後少しになりました。
後少し、ほんの僅かな時間で今日が終わります。
時計の針が回る様に太陽が弧を描いては沈み、またそれをなぞる様にして星々を連ない月が空へと昇りました。
こうして、今日と名付けられた一日が終わり、昨日へとその意味を変えていきます。
私の知る世界は私の知らない世界へと―――。
貴方との今が過去の思い出へと―――。
明日の私達が変わらぬ時間を過ごせる様に、私は貴方の夢を観たいと思います。
瞳を閉じて瞼の内側に貴方と言う光明を浮かべながら、“優しい貴方と夢で会える様に”と願います。
大好きな貴方と、“明日も笑える様に”と願い続けるのです。
―――お休み……京ちゃん……
―――はよ埋まれ!!
最終更新:2012年07月01日 17:07