「武雄市の新図書館構想」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「武雄市の新図書館構想」(2023/10/05 (木) 17:37:20) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
**9つの市民価値
[[武雄市とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の武雄市立図書館の企画・運営に関する提携基本合意について>http://www.ccc.co.jp/company/news/2012/20120504_003337.html]]によると、武雄市とCCCの提携によって次の''市民価値''が提供されるとする。
>1.20万冊の知に出会える場所
>2.雑誌販売の導入
>3.映画・音楽の充実
>4.文具販売の導入
>5.電子端末を活用した検索サービス
>6.カフェ・ダイニングの導入
>7.「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
>8.Tカード、Tポイントの導入
>9.365日、朝9時~夜9時までの開館時間
上記、9つの市民価値は2012年5月4日に公開されたものである。9つの市民価値を提示しているが、[[武雄市議会 平成24年度6月定例会]]
において、''365日、朝9時~夜9時までの開館時間''、''Tカード、Tポイントの導入''に力点が置かれていることが表明された。
一見すると「あぁ、図書館が便利になるのか、良い話だな」と思うかもしれない。だが諸手を挙げて賛成するわけにはいかない理由がある。
***問題点1: 9つの市民価値はCCCと提携すること''のみ''でしか実現できないのか?
9つの市民価値として示されたもののうち、CCCしか実現できないのは次の2点のみである。
>7.「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
>8.Tカード、Tポイントの導入
この2つをより平易な表現にして、例えば
- 大型書店のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
- ポイントカード、スタンプカードの導入
などとすれば、CCCだけではなく競合他社も参入可能であり、CCCと随意契約する必然性はなくなるのではないか。
また、調達段階で競争入札という市場原理を導入することにより、コストダウンが図れるのではないか。
***問題点2: [[図書館の自由に関する宣言]]との整合性
図書館の自由に関する宣言では、''利用者の秘密を守る''ことについて次のように言及している。
>第3 図書館は利用者の秘密を守る
>1.読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
>2.図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
>3.利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。
つまり、図書館の自由に関する宣言を掲げる公立図書館は''読書事実、利用事実''は保護されるとしている。しかし、新図書館構想では''利用者の同意を得た場合、Tカードによる図書館利用が可能''としており、利用者の読書事実、利用事実の保護を旨とする公立図書館のあり方とは相容れないのではないか、という問題がある。
***問題点3: 調達経緯の不透明性
財務大臣通知「[[公共調達の適正化について>http://www.mof.go.jp/budget/topics/public_purchase/koukyou/koukyou_01.htm]]」により、契約金額が100万円以上の随意契約の場合は公募、および受託事業者からの価格資料の徴収を行わなければなりません。
武雄市図書館は年間の運営費用だけでも一億を超えると推定されるため(※毎年の図書館予算より推定。武雄市の予算は[[こちら>http://www.city.takeo.lg.jp/shisei/yosan/index.html]]から閲覧できます)、契約を行う前の公募が必要なはずなのですが、その痕跡は見られません。そもそも、CCCの受託について市議会等で正式に議論された様子が見られません。
([[参考「【武雄市図書館】指定管理者/随意契約の謎 #takeolibrary」>http://togetter.com/li/302391]])
([[参考「【武雄市図書館】「指定管理者と特命随契」講座 #takeolibrary」>http://togetter.com/li/302367]])
(追記: CCCと武雄市との基本合意書はこちら。 [[http://www.nantoka.com/~kei/upload/TakeoLibrary/TakeoLibrary_H240504_kihon_goisyo.pdf]])
本件については[[「今だ正式な指定管理契約を締結していない、検討中の事案である」ことを理由に情報開示を断られたことがある>情報開示について]]ようですが、以下の点においての情報開示は拒否できないはずです。2点目はCCC側に直接問い合わせてもよいかもしれません。
+新図書館の運用開始日は2013年4月1日であり、既に1年を切っている。既にシステム改修費等導入のための費用は発生しているはずであり、このために予算が用意されていないとは考えにくい。新図書館の導入費用の金額はいくらか。また、もし導入費はCCC側の負担であるなら、それにはいかなる正当な理由があるのか。
来年度最初から新図書館運用というタイムスケジュールなのに、未だに公募概要が発表されていないという事態は理解に苦しみます。また武雄市長は「指定管理者の指定」と「企業誘致」を同列に考えている([[http://togetter.com/li/319169]])ようですが、全く異なるものです。
**日本図書館協会、図書館問題研究会の見解
新図書館構想には日本図書館協会、図書館問題研究会もそれぞれ意見を表明している。
- 日本図書館協会: [[武雄市の新・図書館構想について>http://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=1487]] (2012/05/30)
- 図書館問題研究会: [[武雄市の新・図書館構想における個人情報の取り扱いについての要請>http://tomonken-weekly.seesaa.net/article/272237982.html]] (2012/05/22)
----
**9つの市民価値
[[武雄市とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の武雄市立図書館の企画・運営に関する提携基本合意について>http://www.ccc.co.jp/company/news/2012/20120504_003337.html]]によると、武雄市とCCCの提携によって次の''市民価値''が提供されるとする。
>1.20万冊の知に出会える場所
>2.雑誌販売の導入
>3.映画・音楽の充実
>4.文具販売の導入
>5.電子端末を活用した検索サービス
>6.カフェ・ダイニングの導入
>7.「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
>8.Tカード、Tポイントの導入
>9.365日、朝9時~夜9時までの開館時間
上記、9つの市民価値は2012年5月4日に公開されたものである。9つの市民価値を提示しているが、[[武雄市議会 平成24年度6月定例会]]
において、''365日、朝9時~夜9時までの開館時間''、''Tカード、Tポイントの導入''に力点が置かれていることが表明された。
一見すると「あぁ、図書館が便利になるのか、良い話だな」と思うかもしれない。だが諸手を挙げて賛成するわけにはいかない理由がある。
***問題点1: 9つの市民価値はCCCと提携すること''のみ''でしか実現できないのか?
9つの市民価値として示されたもののうち、CCCしか実現できないのは次の2点のみである。
>7.「代官山 蔦屋書店」のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
>8.Tカード、Tポイントの導入
この2つをより平易な表現にして、例えば
- 大型書店のノウハウを活用した品揃えやサービスの導入
- ポイントカード、スタンプカードの導入
などとすれば、CCCだけではなく競合他社も参入可能であり、CCCと随意契約する必然性はなくなるのではないか。
また、調達段階で競争入札という市場原理を導入することにより、コストダウンが図れるのではないか。
***問題点2: [[図書館の自由に関する宣言]]との整合性
図書館の自由に関する宣言では、''利用者の秘密を守る''ことについて次のように言及している。
>第3 図書館は利用者の秘密を守る
>1.読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
>2.図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
>3.利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。
つまり、図書館の自由に関する宣言を掲げる公立図書館は''読書事実、利用事実''は保護されるとしている。しかし、新図書館構想では''利用者の同意を得た場合、Tカードによる図書館利用が可能''としており、利用者の読書事実、利用事実の保護を旨とする公立図書館のあり方とは相容れないのではないか、という問題がある。
***問題点3: 調達経緯の不透明性
財務大臣通知「[[公共調達の適正化について>http://www.mof.go.jp/budget/topics/public_purchase/koukyou/koukyou_01.htm]]」により、契約金額が100万円以上の随意契約の場合は公募、および受託事業者からの価格資料の徴収を行わなければなりません。
武雄市図書館は年間の運営費用だけでも一億を超えると推定されるため(※毎年の図書館予算より推定。武雄市の予算は[[こちら>http://www.city.takeo.lg.jp/shisei/yosan/index.html]]から閲覧できます)、契約を行う前の公募が必要なはずなのですが、その痕跡は見られません。そもそも、CCCの受託について市議会等で正式に議論された様子が見られません。
([[参考「【武雄市図書館】指定管理者/随意契約の謎 #takeolibrary」>http://togetter.com/li/302391]])
([[参考「【武雄市図書館】「指定管理者と特命随契」講座 #takeolibrary」>http://togetter.com/li/302367]])
(追記: CCCと武雄市との基本合意書はこちら。 [[http://www.nantoka.com/~kei/upload/TakeoLibrary/TakeoLibrary_H240504_kihon_goisyo.pdf]])
本件については[[「今だ正式な指定管理契約を締結していない、検討中の事案である」ことを理由に情報開示を断られたことがある>情報開示について]]ようですが、以下の点においての情報開示は拒否できないはずです。2点目はCCC側に直接問い合わせてもよいかもしれません。
+新図書館の運用開始日は2013年4月1日であり、既に1年を切っている。既にシステム改修費等導入のための費用は発生しているはずであり、このために予算が用意されていないとは考えにくい。新図書館の導入費用の金額はいくらか。また、もし導入費はCCC側の負担であるなら、それにはいかなる正当な理由があるのか。
来年度最初から新図書館運用というタイムスケジュールなのに、未だに公募概要が発表されていないという事態は理解に苦しみます。また武雄市長は「指定管理者の指定」と「企業誘致」を同列に考えている([[http://togetter.com/li/319169]])ようですが、全く異なるものです。
[[図書館>http://tosyokan.event-tenki.com/]]
**日本図書館協会、図書館問題研究会の見解
新図書館構想には日本図書館協会、図書館問題研究会もそれぞれ意見を表明している。
- 日本図書館協会: [[武雄市の新・図書館構想について>http://www.jla.or.jp/demand/tabid/78/Default.aspx?itemid=1487]] (2012/05/30)
- 図書館問題研究会: [[武雄市の新・図書館構想における個人情報の取り扱いについての要請>http://tomonken-weekly.seesaa.net/article/272237982.html]] (2012/05/22)
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: