世界の中心、針山さん



仮に……仮にだ。
この行動がもしも、後ろで互いをかばい合う子供達の呪詛によるものだとしたら──
俺は、それでも構わない。
記憶も知識も過去もいらない。
一つだけ、一つだけあればいい。
あのバカ博士に植え付けられた、偽物の心でもいい。
体よく洗脳する為に植え付けられた、仮初めの心でもいい。
──子供達の笑顔を護る。
その青臭い信念があれば、それでいい。
俺は、それでいい。
たったそれだけの事で、俺は、ヒーローになれる。
全てを奪われた俺が、この俺がだ!
……ヒーローの本質は、結果じゃない。
信念だ。
だから、おい。聞いてるか。聞いてるのか俺。
今だけは、なんてケチくさい事は言わない。
この信念よ、永遠に折れるな。死んでも折れるな。
俺は既に死んでるんだ。何を畏れる事がある?

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 世界の中心、針山さん 2


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最終更新:2008年07月27日 17:58