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ピラニア4」(2006/09/08 (金) 00:00:54) の最新版変更点

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*ピラニア by 691さん **4 ---- 唇を離すと、 「えへへへへ」 笑ってやる。 もう、身体のこわばりはとけていた。 怯える気持ちなんか、これっぽっちもない。 上田さんがぽかんと口を開けて、私を見ている。 もう、怯えない。 それどころか、「その先」を希う私がいた。 それがいったい何のせいなのかなんて、どうでもいい。 今、 どうしても、 上田さんが欲しい。 ---- ふと我に返ったらしい上田さんが、私を見据える。 「え、じゃ、あの・・・いい・・・んだな・・・?」 返事は決まりきっているけれど、言葉には出さない。 口元だけで笑ってやった。 ・・・突然、視界が揺らぐ。 「な」 さっきまで柔らかな絨毯を踏みしめていたはずの足が宙を蹴る。 ばたつかせた腕が助けを求めてしがみついたものは、上田さんの首。 「いきなりなにすんだ!ビックリしたじゃないか!」 「今からYOUを抱く。そのためにベッドに運ぶ。悪いか」 「・・・あ」 あまりにもストレートな物言い。 そう言われてしまったら逆らえない。 私の望み、上田さんの望み、 ふたりのおなじ望みが、今から叶えられる。 ---- まるで蹴り破るかのような勢いでひらかれたドアを潜ると、 モノトーンのベッドカバーの上にどさりと倒される。 初めてだというのが嘘のように素早く、上田さんの手が私の服を解いていく。 無言のままでカーディガンのボタンを外しカットソーを捲り上げ抜き取り、 スカートのホックに手をかけずり下げる。 上田さんの表情を盗み見る。 今まででも数えるほどしか見たことのないような、真剣な顔をしていた。 なんだか、少し怖い。 「・・・なんで、何も言わないんですか」 「言って欲しいか?」 ゆっくり頷いて、上田さんの目を見つめた。 「・・・欲しい。今の上田さんは、怖い」 いくらなんでも、無言のままコトに及ばれてしまうのは嫌だ。 この朴念仁に甘い言葉を望んでるわけじゃないけれど、 (大体、そんなこと上田なんかに言われたら笑い出してしまいそうだ) それでも、ただ黙って何もかもが済まされてしまうのは嫌だった。 ---- ふう、と上田さんが大きく息をつく。 きっと彼も緊張している。 無理なことを言ったのかもしれない。 不安が掠めた。 「あの、無理ならい」 「いや、言うぞ・・・なんだ、その・・・綺麗だ。凄く」 前言撤回。 脳みそが反応する前に、心が身体中のいたるところを真っ赤に染めた。 「な・・・なに、言って」 「綺麗なものを綺麗と言って何が悪い。白くて、ところどころ桃色がかって、綺麗じゃないか」  ・・・綺麗だ。 もういちど囁かれる。 耳元に注ぎ込むように。 ふわ、と緩やかな振動が耳をくすぐる。 身をすくめると、上田さんが笑った。 「そうしていると可愛いな、YOUも」 「・・・どういう意味だ、それ」 ---- 起き上がってむ、と睨み付ける。 「下着姿で凄まれても怖くないぞ、全然」 「うううるさいっ」 「こういう時くらい、おとなしくするもんだ」 「それは」 上田の思い込みだろ。 言い切る前に、肩を押されてベッドに倒された。 服を着たままの上田さんがのしかかってくる。 素肌にニットの質感がざらついて、自分だけが肌を晒していることを改めて教えた。 「うえだ、さ」 「なんだ」 「服・・・脱いで、ください。」 「・・・あ、ああ。そうだな、服を脱がないとな、ハハハ!」  ・・・どうやら、本気で忘れていたらしい。 てっきりそういう趣向だと思ってしまった自分が恥ずかしい。 (ああもう、お母さんが変なことばっかり教えるからだ) 責任転嫁。 ぐるぐると考え転げまわっている間にも、 衣擦れの音は「その時」が近づいていることを教える。 ---- と同時に、ひとつの心配が頭をもたげた。  ・・・いいんだ。大丈夫。怖くない。 好きだって、抱かれていいって思ったじゃないか。 上田だって人間だ、そんなに常識はずれに大きいわけじゃないだろう。 っていうかまず下着姿になるのが普通だし、それなら見たことあるし、 だいたいいきなり・・・その、ソコ見せられるわけじゃないし、 そんなに今から緊張したらいざって時にどうなるんだ!しっかりしろ!奈緒子! 「・・・YOU」 ベッドの淵が沈んだ。 鼓動が高まるのが、自分でもわかった。 ゆっくりと振り返る。 いつもシャツやセーターに隠されていた肩のライン。 部屋に揃ったたくさんの健康器具は伊達じゃないのか、うっすらと割れた腹筋。 ---- そして、  ・・・そして。 想像をはるかに超えた、その・・・その部分。 あまりの衝撃に硬直する私。 上田さんは、全裸だった。 [[NEXT>>>ピラニア5]]
*ピラニア by 691さん **4 ---- 唇を離すと、 「えへへへへ」 笑ってやる。 もう、身体のこわばりはとけていた。 怯える気持ちなんか、これっぽっちもない。 上田さんがぽかんと口を開けて、私を見ている。 もう、怯えない。 それどころか、「その先」を希う私がいた。 それがいったい何のせいなのかなんて、どうでもいい。 今、 どうしても、 上田さんが欲しい。 ---- ふと我に返ったらしい上田さんが、私を見据える。 「え、じゃ、あの・・・いい・・・んだな・・・?」 返事は決まりきっているけれど、言葉には出さない。 口元だけで笑ってやった。  ・・・突然、視界が揺らぐ。 「な」 さっきまで柔らかな絨毯を踏みしめていたはずの足が宙を蹴る。 ばたつかせた腕が助けを求めてしがみついたものは、上田さんの首。 「いきなりなにすんだ!ビックリしたじゃないか!」 「今からYOUを抱く。そのためにベッドに運ぶ。悪いか」 「・・・あ」 あまりにもストレートな物言い。 そう言われてしまったら逆らえない。 私の望み、上田さんの望み、 ふたりのおなじ望みが、今から叶えられる。 ---- まるで蹴り破るかのような勢いでひらかれたドアを潜ると、 モノトーンのベッドカバーの上にどさりと倒される。 初めてだというのが嘘のように素早く、上田さんの手が私の服を解いていく。 無言のままでカーディガンのボタンを外しカットソーを捲り上げ抜き取り、 スカートのホックに手をかけずり下げる。 上田さんの表情を盗み見る。 今まででも数えるほどしか見たことのないような、真剣な顔をしていた。 なんだか、少し怖い。 「・・・なんで、何も言わないんですか」 「言って欲しいか?」 ゆっくり頷いて、上田さんの目を見つめた。 「・・・欲しい。今の上田さんは、怖い」 いくらなんでも、無言のままコトに及ばれてしまうのは嫌だ。 この朴念仁に甘い言葉を望んでるわけじゃないけれど、 (大体、そんなこと上田なんかに言われたら笑い出してしまいそうだ) それでも、ただ黙って何もかもが済まされてしまうのは嫌だった。 ---- ふう、と上田さんが大きく息をつく。 きっと彼も緊張している。 無理なことを言ったのかもしれない。 不安が掠めた。 「あの、無理ならい」 「いや、言うぞ・・・なんだ、その・・・綺麗だ。凄く」 前言撤回。 脳みそが反応する前に、心が身体中のいたるところを真っ赤に染めた。 「な・・・なに、言って」 「綺麗なものを綺麗と言って何が悪い。白くて、ところどころ桃色がかって、綺麗じゃないか」  ・・・綺麗だ。 もういちど囁かれる。 耳元に注ぎ込むように。 ふわ、と緩やかな振動が耳をくすぐる。 身をすくめると、上田さんが笑った。 「そうしていると可愛いな、YOUも」 「・・・どういう意味だ、それ」 ---- 起き上がってむ、と睨み付ける。 「下着姿で凄まれても怖くないぞ、全然」 「うううるさいっ」 「こういう時くらい、おとなしくするもんだ」 「それは」 上田の思い込みだろ。 言い切る前に、肩を押されてベッドに倒された。 服を着たままの上田さんがのしかかってくる。 素肌にニットの質感がざらついて、自分だけが肌を晒していることを改めて教えた。 「うえだ、さ」 「なんだ」 「服・・・脱いで、ください。」 「・・・あ、ああ。そうだな、服を脱がないとな、ハハハ!」  ・・・どうやら、本気で忘れていたらしい。 てっきりそういう趣向だと思ってしまった自分が恥ずかしい。 (ああもう、お母さんが変なことばっかり教えるからだ) 責任転嫁。 ぐるぐると考え転げまわっている間にも、 衣擦れの音は「その時」が近づいていることを教える。 ---- と同時に、ひとつの心配が頭をもたげた。  ・・・いいんだ。大丈夫。怖くない。 好きだって、抱かれていいって思ったじゃないか。 上田だって人間だ、そんなに常識はずれに大きいわけじゃないだろう。 っていうかまず下着姿になるのが普通だし、それなら見たことあるし、 だいたいいきなり・・・その、ソコ見せられるわけじゃないし、 そんなに今から緊張したらいざって時にどうなるんだ!しっかりしろ!奈緒子! 「・・・YOU」 ベッドの淵が沈んだ。 鼓動が高まるのが、自分でもわかった。 ゆっくりと振り返る。 いつもシャツやセーターに隠されていた肩のライン。 部屋に揃ったたくさんの健康器具は伊達じゃないのか、うっすらと割れた腹筋。 ---- そして、  ・・・そして。 想像をはるかに超えた、その・・・その部分。 あまりの衝撃に硬直する私。 上田さんは、全裸だった。 [[NEXT>>>ピラニア5]]

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