ID: > FEAZtM0氏:寝・逃・げでリセット!

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「未来と連絡が取れなくなっちゃったよぉ・・・」 つかさが今にも泣きそうな声で言ってくる。突然の告白に戸惑う私に笑顔でみゆきが事情を説明してくれる。 「つまり、私たちは同じ時間を永遠にループし続けてるのです。その間の記憶がリセットされて」 「ちなみに今は15498回目に該当するわ」 かなたさんも笑顔である。私は何が起きてるのか理解できない。 「なにそれ」 「かがみさんにもあったと思いますよ。特にコミックマーケットに行ったときなどに違和感が」 確かにあった。 「記憶がリセットされる前に行った体験が既視感を感じさせたのでしょう」 さて、どんな記憶だったか。私は回想の海に漕ぎ出した。 人、人、人。見渡す限りの人の海。こんな大人数会場に入るのかね? 私はそう考えながらもこなたの言葉に相槌を打つ。私たち3人は今日何をすべきかの申し送りを受けた。 「我々SOS団は今日はコミケにて不思議探しをやるよ!」 こなたが元気よく言う。私はいつものことなので気にしていない。 SOS団とはこなたが学校に無許可で立ち上げた同好会で正式名称を『スクールライフを大いに盛り上げるための最強の団』という。私たちはこの団の名前を名乗っている限り常にヘルプシグナルを発しているわけで不思議極まりない。履歴書に『部活動、SOS団』なんて書いた日には一発で不合格になれるだろう。 さて、私以外の3人+1体は履歴書にかけないような身の上を持っている。 まずはつかさ。簡単に言えば未来人。初めてうちに来たときは私の机の中から出てきて、あんたはド●えもんかと思わず突っ込んで以来なぜか柊家の末娘として生活している。 続いてみゆき。簡単に言えば超能力者。思い出したくない記憶なので以下省略。 次はかなたさん。幽霊である。なぜか私とつかさとみゆきにしか見えない不思議な幽霊だ。 最後にこなた。自分の願いを実現することができるという意味不明な能力を持っている。自分の能力に自覚が無いのはこなただけで後は自覚している。 閑話休題。話を戻すわ。 「不思議って言ってもレアなグッズを探すだけでしょ」 私が言うと、こなたが 「いや、普通のも当然買うよ?」 そういうことを言いたいんじゃない。そしてこのときにくらりときた。この大量の人ごみを見たことがあるような気がする。去年のものじゃない。かなたさんとみゆきが加わってるからね。 会場が開場(駄洒落じゃないよ)してからはこなたが指示するルートに入るまでの記憶が無い。無我夢中といったところだろう。つかさが流されてないことを祈るわ。 「えっと、A-11ってここかな・・・」 こなたの指示通り私は同人誌を買っていく。表紙だけ見ると・・・まぁ普通の本ね、中身は知らないけど。 端っこでこなたから渡されたやたらと甘ったるい清涼飲料水を少量口に含む。トイレが近くなると困るのでガバ飲みはできない。去年の経験は生かすわよ。 「次はB-4か・・・。少しあるわね」 飲み物をポーチに入れてから、どんな本が売られているのだろうかと思って周りを見回す。表紙だけを見るなら放送禁止レベルにあたるものは少ない。・・・少しあるのがまことに遺憾。 私はルートに沿って次の店へと歩を進めていく。こなたが考えたルートは流石だ。通り難いところは回避してある。 さてこなたはというとその人ごみ周辺の店を徹底的に回っている。身長を生かして見事に抜けていく。いやはやアホ毛が無かったら探せてないような気がするね。 みゆきさんは対策本部のような感じで荷物保管をしている。 つかさはというと、 「つかさはまた西館に流されたみたいね」 上空のかなたさんが空中でまわりながら言う。いや、幽霊といえそれは移動手段としては反則でしょう。 「商品買えないし――いや買いたくも無いけど、こうやって楽しんでいくしか方法が無いんだもの」 まぁわかる話ではあるけど・・・ 「とりあえず、つかさの救助に行ってくるわ」 「よろしくね」 かなたさんが宙を舞って消えた。 さて、現在地はと確認するとB-1にいた。Aエリアを無事抜けたらしい。 「ふぅ」 とため息をつきながらふと横を見ると、あの本があった。私は恐る恐る題名を読む。 「呪縛」 ・・・なんていうか、スルーしていいかな。私。とか考えたのだがそうは問屋がおろさなかった。隣にはもう一冊の本が置いてあった。 「呪縛2」 その名前を確認した瞬間私はまたくらりときた。呆れでは無い。私は既に中身を知っているような気がする。私はそんなわけが無いと頭に言い聞かせつつ本をとってぺらぺらとページをめくる。別に好奇心ってやつよ、他意はないわ。 「!!」 去年は中身に驚いていたが今回はそこに割くシナプスは無かった。いや中身は前作をはるかに陵駕してるわけだけど、私が驚いたのはそこじゃない。 中身が私が予想していたのと全く同じだったからだ。 今思えば一番わかりやすい違和感を無視してたわけだ。あぁ情けない。当時の私は偶然とし、冷静を装い本を置いてB-4を目指したのだから。 あとはいろいろなところで本を買い、みゆきさんが待機している集合場所に戻った。 「やっぱりコミケは・・・厳しいね・・・」 つかさが肩で息をしながら言う。 「かなたさんの案内がなかったら私戻れてないよ・・・」 「ははは・・・」 もうなんて反応すればいいのやら。 そうこうしているうちにこなたが戻ってきた。 「いやぁ、人ごみに突撃するのは疲れるねぇ」 まぁなんだかんだで一番厳しいルートを自ら選んで言ってるんだから当然。 「じゃあ午後の日程いってみよう! 今回もみんなで回ろうね」 「では、行きましょうか」 本を閉じてみゆきさんが立ち上がる。休憩時間なしでこなたは大丈夫なの? 「問題ないよ。もう慣れてるし」 まぁこなたのスタミナゲージは一日走り続けても切れることが無いのは重々承知していることであり、さらにコミケという祭り(本人談)の真っ只中なので火事場力とまでは行かなくても、それ相応の普段以上のパワーは出てるんだろう。 そして今年もアニメイトの店長さんはそのエネルギーで目玉焼きが焼けそうなぐらいの熱気をかもし出しながら商品を売っている。 他に特筆すべきことは無い・・・と思う。回想終わり。 「かがみさんはそんなに違和感を感じてなかったのですね。意外です」 いや、一回が結構大きいような気がするけど。 「私はあの日だけで7回違和感を覚えました」 そんな情報は要らない。 「とりあえず、つかささんとかなたさんとで話し合いの場を設けました」 私はのけ者か。 「その結果、ここ最近時間の流れがおかしくなっている事に気がつけました。おかげで確信しました」 何を? 「私たちが8月15日から31日の間をループしているということを、です」 ますます意味がわからなくなってくる。 「終わりなき夏、といえば格好良いですが私たちには9月が来ません。当然未来も無いわけです。未来との音信不通はここに問題があるのではないかと」 いや、そんな物理的常識を軽く超越されても納得なんて到底できないけど、 「つまり永久にこの17日間を体験し続けるわけです。日付が9月1日になった瞬間人の記憶も含め全てのものがリセットされてまた15日がやってくるというわけです。寝ているうちに」 人の記憶ってそこまで簡単に消せるものではないような気がするけど。 「そこで泉さんの能力が登場します。他に心当たりはありませんし」 「で、私は何をすれば」 「それがわかれば苦労はしませんよ・・・」 「さて、かがみが大体の事情を飲み込めたところでちょっと説明させてもらうわね」 かなたさんが口を突っ込む。 「過去のシークエンスにおいて必ずしもやった行動が一致しているわけじゃないわ」 説明を求めた覚えは一切無いですけどね。 「気にしないでよ。とりあえず今のところコミケには毎回行ってるわね。つかさが人ごみに巻き込まれなかったシークエンスも2回あるわ」 2回あったのね。正直驚き。 「そしてかがみが呪縛を買ったシークエンスは1281回。ちなみに呪縛2は3471回、両方買ったシークエンスはこれらとは別に723回」 ・・・買ってたことあったんだ。しかもこんなに。 「極めつけとしては、私たちがこのことに気がついた回数かしら」 何回? 「8769回目ね。最近のシークエンスの方が気がつく確率が上がってるみたいね」 「既視感、違和感、たくさんありましたから」 みゆきがうなずきながら言う。「 「しかし過去のシークエンスで私たちは陥った状況に気がついていたのに元に時間に戻れなかったわけです」 「そういうことになるわね」とかなたさん。 だから今つかさが泣いているわけだ。知らぬが仏。そしてまた記憶と2週間分の成長を失い元通り・・・また気がついて泣くことになる。 また、アホな話を聞いてしまったな。 時が流れるのは早く感じてもう8月30日。といってもまた戻ることになるのであればまだ3週間近くあることになる。わかりにくい。 その間に何度も私の家やみゆきの家に突撃してはゲームをし続けていた。 今喫茶店で4人+1人は額を集めて話をしている。 「これで大体この夏は楽しんだね。他にやりたいことある?」 こなたが笑顔で言う。その笑顔は納得しているようで、それでいてなんだか後ろめたさが残っているような顔だった。 全員が黙り込む。私としてはエンドレスサマーを何とかしなきゃいけないわけで、こなたがやり残していることが何か脳内検索をかけている最中。 「じゃあ今日はこれでおしまいにしよう。明後日学校でね」 そういうとこなたは自分の分の料金を置いて席を立ちテーブルを離れた。 私は焦った。このままこなたが帰ったら何も解決しない。15499回目がやってくる。 こなたがやってないこと―― もうわからない。適当でもいい。ダメもとで言ってしまおう。 「こなたは宿題やったの?」 自動ドアの手前にいたこなたを呼び止める。音量をミスったせいで店内にいた全員が私に奇異の視線を浴びせる。 「うん?」 「あんたのことだから絶対に終わってないはずよ! 今回は写しにきてないじゃない!」 「そういえばそうだねぇ」 頭をかきながらこなたが返事をする。 「つかさも確実にまだよね」 「うん」 最終日残してまだ終わってないって言うのもどうかと思うけど今はこなたのほうに全力を費やさなきゃいけない。 「みゆきは終わってるだろうけど折角だから来て」 「わかりました」 余裕の表情で返してくれる。 「かなたさんも来てください」 小声でかなたさんにささやく。 「でもどこでやるのでしょうか?」 みゆきが質問してくる。 「私の家でいいわ。課題全部を持ってきて一気に片付けましょ」 みゆきが首肯する。つかさもうなずく。かなたさんもうなずいた。 「わかった。明日よろしくね!」 こなたが笑顔になった。後ろめたさが落ちたような気がする。 その日、その朝。どうやらアタリを引いたらしい。 なぜなら私には思い出があった。この夏休みの。 そして昨日は8月31日。今日は9月1日だ。 昨日は1部屋に4人+1体が入るから若干手狭だった。 「丸写しはダメですよ」 本を右手に持ちながらみゆきが言う。 「解き方を理解していないと、指されたときにわからなくて恥ずかしい思いをすることになりますから」 こなたとつかさが手首を動かし、私は特に何もしていなかった。 まぁ、今までやっていなかった本人が悪いのよね。 そんな記憶を教室で思い出していたら、あっという間に放課後になった。 私は隣のクラスにいく。いつものこと。 教室の扉をあけると目の前にみゆきがいた。 「うわっ」 「そこまで驚かれなくても・・・」 「うん。ゴメン」 「そんなことより少し話したいことがありますのでお願いします」 拉致された。離れた廊下まで。 「考えれば単純なことだったわね」 こなたがやっていないこと、それは夏休みの宿題だった。それが終わっていないから夏休みを終わらせたくなかった――いや、宿題が延長されたから夏休みも延長したという感じかしら。宿題から寝逃げしてリセットするなんて・・・ね。 「そのとおりだったみたいね」 かなたさんも同意を示す。みゆきが言う。 「早いうちに宿題を写しに来ればよかったのですが」 「いや、そういう問題じゃないから」 「そういえば、あとでかがみさんは泉さんに謝っておいてあげてください」 「どうして?」 「流石に公衆の面前で『宿題やってない』なんて言われたら・・・」 「そうね」 そして私たちは教室に戻った。こなたが鞄を肩に持って立っていた。私は目の前まで走り寄って言った。 「こなた、一昨日はゴメン!」

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