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列車より響く叫び声~迫りくる卸し金~

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列車より響く叫び声~迫りくる卸し金~ ◆2V9iuI0CbI(ルートA-2)




場所は列車最後部の車掌室。揺れ動く車内。
その電車独特のゆれを感じながら赤髪の青年。クレア・スタンフィールドは自身が異常な事態に巻き込まれていると自覚した。

「何だここは?車掌室のようだが………見覚えの無い機械が多いな。本当に列車か?」

クレアは車掌室の操作盤を見るが、どのボタンが何をするボタンか全く理解が出来ないでいた。
しかしそれは当然でもある。
クレアが車掌を務めていたのは1931年のフライングプッシーフット号の事件までだ。
従って21世紀の電車の操作盤など見ても理解できるはずが無かった。

「………まあいい。それより………どうなってる?あのギラーミンが撃ち殺した男…………俺が殺したはずだぞ。何故生きていた?
不死者だったのか?……考えても仕方無いか。それよりもこの首輪をさっさと外さないとな。窮屈で仕方が無い」

クレアは車掌室を出ると適当に座席に座り列車が駅に辿り着くのを待つことにした。

「殺し合い………ね。シャーネがいないのは安心だがフィーロの奴はいるのか。……まあフィーロなら問題無いだろう。もっとも
仮にシャーネがいたとしても、簡単に死ぬ事はないだろうが」

クレアは独り言を呟きながらくつろぐ。
そしてそこに一つの影が忍び寄っていた。



――ここは何処?

詩音が気がついた場所。
そこは列車最前部の車掌室だった。

――いきなりこんな閉鎖的な空間に飛ばすなんて……それにどういうこと?確かにあの梨花って奴は自分で頭を刺して死んだはず
――まさか……でも確かギラーミンって奴は死んだ人も生き返らせられるって言ってた…………それなら悟史君も生き返る?
――死んだ人が生き返るなんて……ありえないって思ってたけど………古手梨花は生き返った?
――ううん。死んでなくて単純に治療してただけだったのかも。あんな男を簡単に信じたら駄目よ。
――……だけど冷静考えてみて。頭に何度も包丁を突き立てた人間が生きてると思う?普通…………死ぬ。
――けど生きている。それならまさか………それに私をここに運んできたのだって、普通じゃなかった。何か不思議な力。
――それなら……やっぱり本当?悟史君は生き返る?ううん。生き返らせられる。絶対に生き返らせて見せる。

詩音は自問自答をするが、結論は出る。

――私………優勝してみせる。悟史君見ててね。私が必ずあなたを生き返らせてあげるから。

優勝を決意し、デイバックの中から武器になりそうな物を二つ取り出すと後部座席のほうへ歩き出す。
もちろん他の参加者を探す為にだ。
そして一両目、二両目、三両目………と探し、いよいよラスト一両に向かうという時。


――いたっ!

詩音はすぐに伏せてゆっくり身を潜め、隣の車両から呑気に椅子に座っている男の観察を行う。

――男。それもかなり若い。ここから銃で撃つ?だけどガラス越しだし外したら大変。それに弾数にも限りがあるし、ここは……

詩音は銃をデイバックに戻し、ナイフをスカートの中に隠すと男への接触を試みる。
あくまでも一般人の恐怖に怯える少女を装い、微妙に足がふらつく演技も忘れずに。

「あのぉ」
「?誰だお前は?」
「わっ………わたしっ!……あっ」

詩音は足がふらつき壁に寄りかかる。
あくまでも自然な動きを心がけて。

「そっ……園崎詩音といいます。助けてください」
「……詩音という名前か。お前まさか俺に助けを求めているのか?」
「?……はい」

――何?落ち着いてると思ったけど、変に傲慢な感じがする。

「そうか。分かった。助けてやろう。素直に助けて求めるなら俺はいくらでも助けてやる」

即答だった。
その様子には思わず詩音も少し呆れてしまう。

――なに?落ち着いてると思ったけど、ただ慢心してるだけの馬鹿?これなら簡単に殺せそう。

「どうした?腰でも抜けてるのか?」
「えっ?あの」
「しょうがないな」

男は席を立つと詩音の元へと歩き出す。

「そういえば自己紹介が遅れたな。俺はクレア・スタンフィールドという名前だ。クレアと呼んで構わない」
「はっ、はい」

――何?向こうから来るの。チャンスね。よし、向こうが手を伸ばしてきたら一気に立ち上がって刺すわ。

詩音はさりげなく左手をスカートの中に隠したナイフを探ると同時に、クレアの右手が詩音に伸ばされた。

「ほら!立てるか」
「はっ、はい。ありがとうございます」
「別に礼を言われる事じゃない。早く掴まれ」
「はい」

――今だっ!


クレアが詩音に手を伸ばし、握るように促した瞬間。
クレアの重心が僅かに前に傾く刹那。
詩音は狙い済ましたように左手に握り締めたナイフをクレアの胸部へと突き出した。
そしてそれは吸い込まれるようにクレアの心臓を………











「えっ!」

貫かなかった。
詩音の左手から感じる感触は刺した手応えではなく鈍い痛み。
握り締めたナイフの感触も失われていた。
そしてそのナイフはクレアの右手に握られていた。

「…………………えっ!」

そこで詩音はようやく理解した。
クレアはナイフが突き出された瞬間にナイフの間合いの外まで跳び、そのままナイフを蹴り上げ、
宙を舞うナイフをクレアがキャッチしたのだ。
その一連の鮮やかな動きに詩音は動揺を隠せなかった。

「さて。どうやらただの女じゃないようだが………何者だ?」

――どっ、どうしよう。不意討ちが………でも落ち着いて。まだ銃がある。何とかもう少し距離をとってから銃を出さないと。
――それにはどうしたらいい?………何とかこの場を誤魔化さないと

「ちっ、違いますよ。わっ、私……怖くて怖くて、それで………」
「怖くて信用できなくて俺を狙ったか。それにしては手馴れた動きだったが」
「そっ、そんな……」
「残念だったな。だが上手いやり方だ。普通の奴なら確実に殺せていたな。しかし残念だが俺は普通じゃない」
「普通じゃないって……そんなっ!わっ、わたし………本当に……うっ、うう」

クレアの問いに詩音は目に涙を浮かべながら誤解だと訴える。


――落ち着け!もう少し、何とか信用させないと

「…………なるほど」

クレアは詩音の様子を見るとナイフを地面へと落とす。

「分かったよ」
「えっ!本当ですかっ!?」

――掛かった!

詩音は表で涙と喜びが混じった声を出しながら内心で悪魔の笑みを浮かべる。
だがそれは大きな勘違いだった。

「これ以上ナイフで脅しても口を割りそうにないからな。少し拷問をさせてもらう」
「えっ!?」

――拷問?本気で言ってますか?園崎家じゃないんですよ。第一こんな道具が無いところで何をするつもりです?

詩音はクレアの行為を馬鹿だと思いながらも動きを目で追う。
だがクレアは自分に関心が無いように車掌室のドアを空けると、更に窓の鍵に手を伸ばしていた。

――車掌室の窓を開けて何をするつもり?………もういいや。さっさと撃ち殺しちゃえ。

詩音は視線を下に移すとバッグに手を入れ、黒光りする銃を取り出す。
そしてすぐに再び顔を上げ、銃を車掌室に向ける。

「ごめんなさい。死んでくださ………えっ!?」

しかし詩音が視線を上げるとそこにはクレアの姿は無い。
ただ開け放たれた窓から列車の走行音が響くだけだ。

「隠れてるつもりですかっ!」

詩音は勢いよく車掌室に入り左右確認を行う。
しかし隠れている様子は無い。元より隠れるスペースなど無いので当然ではあるのだが。

「………どういうこと?まさか窓から飛び降りた!?」

詩音は急いで確認の為に開け放たれた窓から外を見渡す。

「居ない?まあ飛び降りたりしたら大きな音がするから気付くはずだし……だけどどこに……」

詩音は外を見渡しながら無意識に肩辺りまで窓の外に出す。
しかし当然クレアの姿は見つからない。

「一体何処に?………っっっ!!!???」


言いかけて詩音は急に変な感覚に襲われる。
肩に腕を回されたと思うと、一気に窓の外へと引っ張り出されたのだ。

「えええええええっっっ!!!???」

驚きと混乱。しかし詩音は何とか状態を確認すべく上を見上げる。
するとそこには信じられないような体勢から電車の上部にある金具に足を引っ掛けて自分を羽交い絞めにいているクレアの姿があった。

「えっ?ちょっと!どうして!?」
「ふっ」

クレアは少し笑うと一気に金具から足を外す。

「きゃあああああああぁぁああぁぁああぁぁぁあぁぁああぁあぁあ!!!!!!!!」

自然落下で地面へと顔が近づいていく。
このまま落下すれば間違いなく死ぬ。
その恐怖に冷や汗が体中から吹き出る。

「っと!」
「ひいいいいぃぃっっっ」

だが線路に落ちる事はない。
クレアはすぐに後部の金具に引っ掛け、そのまま接触ギリギリの位置で上手くバランスを保っている。

「あっあっ」

しかし詩音は未知の恐怖に怯え、完全に冷静さを失っていた。

「さて、もう一度聞こう。お前は何者だ」
「あっ、あっ」
「そうか」

口を聞きそうに無いと感じ、銃を握ったままの詩音の右手を線路に当てようと近づける。

「んっ!?ううぅぅぅっ」

詩音は咄嗟に握ったままだった銃を捨てるが、クレアは容赦なく線路へ右手を近づけていく。

「あっ、あっ、いっ、……いうううぅぅぅぅぅ!やめてえええええええぇぇぇっっっ!」
「ほう、なら答えろ」

クレアは詩音の右手が路面と接する寸前で止めて話を聞く。

「はっ、はい」

詩音は自分が殺し合いに乗った理由。自身の素性。
もう一人の園崎性の魅音と姉妹である事。そしてその仲間である前原圭一、竜宮レナ、北条沙都子、古手梨花の事を全て話した。


「ほう。つまりお前は死んだはずの梨花が生きているから悟史という奴も生き返らせる事が出来ると思ったわけか」
「そっそうよっ!だから悟史君を生き返らせる!絶対に」
「だが、それは無理だ」
「えっ!」

悟史の名を出し、ほんの僅かに語尾が強くなった詩音に、クレアは容赦ない現実をたたきつけた。

「その梨花という女は不死者だ。間違いない。俺はチェスというガキを何度も殺したから知っている。何度殺しても生き返る
不死の肉体を持つ人間だ。その古手梨花も同じ人間だ」
「なっ!じゃあ、……悟史君は」
「不死者でないなら生き返りはしない。当たり前だ。なぜなら俺に出来ないことを出来る奴など世界に居るはずがないからなっ!」
「うっ、嘘に決まってる。不死者なんているはずがない。死なないなんて絶対にっ!」

クレアの言葉に詩音は必死で反抗する。
だがクレアはその言葉には聞く耳を持たない。

「色々と情報を聞かせてもらった。それではさようならだ」
「えっ?ちょっと……何を……?」
「じゃあなっ!」
「えっ…………きゃあああああああああぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁあああああぁああっっっっっ!!!!!!!」

言葉と同時にクレアは羽交い絞めにしていた両腕を一気に解いた。
つまり身体の支えが無くなったのだ。
支えを失った詩音の身体は顔面から路面へと落下する。
超高速で走る列車から路面へ落ちたらどうなるかなど、想像するに難くない。
詩音は悲鳴を上げながら、近づいていく死を目の当たりにし。

漆黒の闇の世界へ意識が消えていった。




クレアは何事も無いような顔で列車の出入り口の手前に立っていた。
列車が駅に着くのにもうさほど時間も無い。
デイバックを肩に担ぎながら、地図で場所を確認する。

「C-4か。とりあえず降りるとするか。早く着替えがほしいしな」

呟くと同時、列車が駅に辿り着きクレアは若干焦り気味でプラットホームを下りる。
そしてそっと後ろを目配せすると、先程拷問を行わせてもらった少女が横たわっていた。
実は先程クレアは最後に詩音を落としたのは単なる悪ふざけ程度のつもりだったのだ。
無論顔面が路面に叩きつけられる寸でのところで首根っこを掴んで落下を食い止めたのだが、詩音は恐怖で失神してしまっていた。
それでそのまま車内に戻すとそのまま横にしたのだ。
ただクレアには予想外の出来事があった。
詩音は恐怖で下半身から体液を出してしまっていたのだ。
それは詩音の下着をミニスカートを濡らし、下半身を中心に作った水たまりは偶然にも立てひざを突いていたクレアの右足部分を
汚してしまっていたのだった。
返り血を浴びながら平気で虐殺を繰り返す事が出来るクレアでも、この液体には流石に嫌悪感を持ってしまう。
そのためほんの僅かではあるが、クレアは早足気味で歩いているのだった。

「着替えは………服屋か。地図には無いが……………まあ探せばあるだろ」


【C-4 駅内 一日目 深夜】

【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:健康 右足膝下が濡れている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式 園崎詩音の支給品0~1 確認済支給品1~3 サバイバルナイフ
[思考・状況]
1:とりあえず着替えを探す
2:本気で助けを求めてくる奴は助ける
3:一応フィーロを探す

[備考]
古手梨花を不死者と認識


【C-4 電車内 一日目 深夜】

【園崎詩音@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康 精神にトラウマの可能性有り 下半身がびっしょり
[装備]:無し
[道具]:支給品一式 USSR マカロフ の予備マガジン×5
[思考・状況]
1:気絶中
2:クレアが怖い

[備考]
死者を生き返らせるという言葉と古手梨花が不死者という言葉に半信半疑になっています。

園崎詩音の支給品のUSSR マカロフ(9/8+1)@BLACK LAGOONはB-6からC-4駅前のどこかの線路沿いに落ちています。
使用可能かどうかは不明です。








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