光がロリコンになる軌跡・前編

「バトルフェイズ、
ドラグニティ・レヴァテインでダイレクトアタック」
デッキのエースモンスターにそう命令した石奈なの。
彼女はこの発言の刹那、勝利を確信した。
敵フィールドにはモンスターも、伏せカードも…そして手札もない。
丸腰のデュエリストに、レヴァテインの強烈な一撃が叩きこまれた。
「ぐぅ!! 我らの…負けか!」
敵デュエリスト…ライトロード使いの、怪しいケープに身を包んだ(恐らく)女性。
彼女のLPは0となり、ここに一組の勝者と敗者が誕生した。
「ふう…やっぱりライトロードは強いわね。
だけど、裁きの龍さえ落とし込めば問題はないわ」
事実、彼女は二度の裁きの龍を、見事に奈落の穴に落としこんでいた。
だが、今のなのには、勝利の余韻を味わっている暇も、ましてや勝利の喜びを感じる暇もない。
なぜなら、先程彼女が倒したケープの女は、デュエル前にこう言ったのだ。
勝てたら、学友の石化を解く方法を教えよう。 と。
「約束よ、私の仲間を救う方法、教えて。
後あの憎たらしい教師は貴方達にあげるわ、電波具合が丁度良さそうだし。」
しかし、ケープの女は言葉で答えない。
彼女はデュエルディスクにカードを設置し、何かを発動させる。
「大寒波」
デュエルディスクの中には、デュエル中でなくても視覚的な要素を楽しむために、ソリッドビジョンを発動させるものがある。
相手はそれを使って、猛吹雪を起こしたのか。
「逃げる気?」
いや、違う。 …ソリッドビジョンから発動した吹雪は、「冷たい」
物凄く冷たい空気が、なのの小さな体を襲う。
「…体が、…動かない!」
体が凍っている。
なのがそう認識するのにそう時間は掛からなかった。
本来なら慌てたり、冷静さを失ってしまう場面だろう。
だが、冷凍は瞬時になのの意識を奪う。
無理矢理落とされていく意識の中、なのは最後にこんな言葉を聞いた。
「はははは!! 貴方はロリぃ割りに非常に強い力を持っている!
悪いが体を冷凍保存して、我ら「ライトロード」の一員になってもらうぞ!」


秘密結社ライトロード。
その辺のデュエリスト相手に裁きの龍をぶっ放し、ライトロードの強さを知らしめる集団。
その構成員の一人である女性「エリン」は、なののサイコパワーに目をつけていた。
勿論、女性自身もサイコデュエリストだ。
だが彼女は、小手先の魔法カードしか実体化できない。 大寒波も、子供一人を冷凍するくらいが関の山だ。
「ふははは! 本来は敗者のみを我らが集団に入れるのだが。
しかし、貴様の力は我らが集団には必要不可欠。 申し訳ないが、勝っても負けてもドローでも連れて行く事にした!」
そしてエリンは、凍ったなのを脇に抱え、アジトに戻ろうとした。
しかし、彼女一人で人間を持ち上げる事はできず、結局アジトの構成員に手伝って貰ったのは、別の話。

氷漬けにされたなのは、エリンのサイコフィンガー(エリンの妹命名)によってエッチな目にあい、
一緒に寝たりして段々と洗脳されていった。 とかなら嬉しがる人もいるかもしれない…。
が、残念ながら実際は単なる睡眠学習、催眠に近いものだった。
それでも、心の闇を持つ少女一人をライトロード脳にするには十分だった。

ライトロードの真の目的は、ルミナス、オネスト、裁きの龍、光の援軍などを無制限に緩和し
純ライトロードの時代を取り戻すことにある。
その手順の一つとして、デュエルアカデミアの支配がある。
その為には有能なデュエリストが必要だ。
故に、なののサイコパワー。 …一つの学校の全校児童を一瞬で石化する力が、必要だった。
下手な鉄砲も数を打てば当たる。 彼女の力を使ってカードショップやその辺のデュエリストを石にし、
全員洗脳すれば、何人かは優秀なデュエリストに当たるだろう。
石化を解く方法はまあ、ゆっくり探せばいいだろう。

エリンは早速なのを投入した。
なのは今や、完全なライトロード使いだ。
更に、子供ながらプレイングも有能だ。 現に女性ライトロードも、ウォルフやドラグニスなどで牽制しても、
「裁きに奈落を温存される」という、非常に嫌なプレイングをされた。
(まずは小手調べ、大量石化は彼女の負けが込んでから使わせる事にするか!)
エリンの思惑は的中。
力を使わなくとも、何人かのデュエリストをライトロードに組み込む事に成功した。
…可愛い女の子は全て石にされたのが誤算ではあるが。
洗脳の一部に「レプティレスによる石化」のプログラムを組み込んだのが原因だろうか。



快進撃を続けるなのだったが、エリンは、彼女がピンチになったとの情報を聞く。
奈落の落とし穴に、裁きの龍を二つ落とされた。
デジャヴュだ。 裁きの龍が使えない以上、ライトロードの負けは近い。
(……広範囲石化パワーを使う時が来るのか!)
しかしエリンが辿り着いた時、…なののLPは5000も残っていた。
対する少女……データによると「里崎 文」という少女は、LPが400。
杞憂だった。 裁きの龍がいなくとも、400くらいならなんとかなる。
そしてなのの手札にはオネストがいる。 モンスターはおらず、魔法もブラフのライトロード・レイピアだが。
しかし文のフィールドにも、モンスターはいない。
(……なんとかなる…か?)
だが、エリンは知っている。
「デュエルに絶対はない」

「なのちゃん! 洗脳なんて貴方には似合いませんよ!
なのちゃんは私がレイプするんですから…私のタァーン!!」
敵は変態だった。
発言もだが…しかし、プレイングが変態だった。
「まず、私は手札からセームベルを召喚!
セームベルの効果によりミンゲイドラゴンを手札から特殊召喚!
ミンゲイドラゴンを除外し、手札からレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを特殊召喚。
効果発動! レダメで、墓地のデルタフライを蘇生!
デルタフライの効果によりセームベルのレベルを3に上げ、この二体でエクシーズ!
No.17 リバイス・ドラゴンをエクシーズ召喚!」
「お前はサイバー流か!」
積み込みを疑う程華麗なプレイング、それにより召喚される、二体の巨大龍。
デュエルに絶対はない。 …手札にカードがある限り、逆転の手はあるのだ。 だからハンドアドバンテージは怖い。
「リバイスドラゴンの効果でセームベルを取り除き攻撃力を500アップ
そして…攻撃!」
「んぅ……!!」
丸腰のなのに、レッドアイズと、リバイスドラゴンの攻撃が加えられる。
2800+2500の5300。 なののLPは一気に0になった。
そしてなのは、そのまま気絶してしまう。 洗脳されている状態で気を張り詰めて、体力の限界を向かえたのだろう。
「くそ! あんなに強い奴がいるなんて…我が組織に欲しいところだが」
今はなのの保護が最優先。
エリンはすぐさま彼女を抱きかかえ、逃げようとする。
しかし、文がそうさせない。
「待ちなさい!多分美しいお姉さん!
貴方なのちゃん連れ込んであんな事やこんな事する気でしょう!私にも覚えがある!
警察を呼ばれたくなければ大人しく裸になってM字開脚でダブルピースしてもらいますよ!」
小さな体で元気な事だ。 …ん?小さい体?
そのキーワードで、彼女は妙案を思いつく。
「どさくさに紛れて何を言うか! 大寒波を発動!」
エリンは、なのを捕らえた時のように冷気を発動させる。
「ひゃう!! 冷たい!冷たくて気持ちが良い!!」
文の体が凍って行く。
「ああん! 動けない私はこれから美人のお姉さんに好きか……てぇ」
そして彼女は、気持ち良さそうな表情のまま、一体の氷像になった。
エリンのサイコパワーの大寒波は、子供くらいなら凍らせることが出来る。
……要するに文サイズなら、お持ち帰りできると言うことだ。
「組織のためとはいえ、これじゃ単なるロリコン女じゃないか」
だが、後悔はしていない。
短期間で子供のデュエリストを二人も手に入れる事が出来た。
デュエルアカデミアに潜入させる事ができる駒を、手に入れることが出来た。
「さて……我らの野望に一歩、近づいたぞ、
ふふふ……ははははははははあ!!!」

そして彼女は笑いながら、二人の少女を持ち上げようとする。
しかし、自分に人間を持ち上げる力がない事を思い出し、彼女はまたしても、部下を呼び出す羽目になるのだった…。




続く

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最終更新:2011年04月07日 22:39