メイドのシャロン外に出る!

シャロン・バートレット、13歳。
彼女はまだ中学生ながら、既に職を持っており、給料をもらっている立場だ。
一代で莫大な金を生み出した河本家。シャロンはそこに、メイドとして仕えている。
メイド…とはいっても、世話する人間は、河本家の娘、湖ただ一人だ。
更に彼女は学校に通ったりしょっちゅう出歩く為、シャロンは暇な時間が多い。
そんな時は屋敷内にて機械をいじったり、他のメイドとお話をしたり、デュエルや一般教養の勉強をしている。
しかし今日、彼女は外を歩いている。
理由は、上司であるメイド長、メアリーの言葉だ。
「シャロン、たまには外に出て色々と学んでみるのもありですよ
街を彷徨くだけでも面白いものは沢山ありますし」
それは命令などではなく、人生の先輩としてのアドバイスだろう。
だがその言葉に思うことがあったのか、彼女は早速執事服を脱ぎ、たまにしか着ない私服を着用した。
黒いシャツに青いGパン、そして白いフードつきのパーカー。
執事服よりかは良いと、湖がくれた服だ。
彼女は、どうにも他人のファッションにはうるさいところがある。そのくせ自分の見た目には全く気にしないという変なところも。


とりあえず町中をブラブラしていたシャロンの目の前に、一人の少女が現れる。
というより、吹き飛んでくる。
セーラー服を着た、小学生くらいの女の子は…シャロンの方に飛んできて…そして。
「にゃう!?」
シャロンに受け止められて、…そのままぐったりと倒れこむ。少女も気絶はしたが、目立った傷はない。
すぐさま少女を近くのベンチに座らせた後…シャロンは、少女が飛んできた方向を見つけた。
そこにも、セーラー服を着た小学生がいた。眼鏡をかけて、髪の毛を右側にくくった少女だ。
彼女は腕組をして、吹き飛ばした少女に向けてこういった。
「どうだ!!私の名探偵っぷりを思い知ったか!!」
すぐさま周りのギャラリー―全員同じセーラー服を着た、少女たちばかりだ―が、探偵は関係ないと口を揃えてツッコみを入れる。
だが、名探偵はそんなことを気にせず、ただ勝利の余韻を味わっていた。

(……デュエルか)
シャロンはそう判断した。常識的に考えて、小学生が小学生を吹き飛ばすことはありえない。
それに名探偵の体もどちらかというと小柄だ。
だとしたら、シャロンの方に飛んできた小学生はARデュエルで吹き飛ばされたのだろう。
となれば安全だ、ARデュエルは身体的な痛みはそれほどない。ただ映像の関係でこのように気絶したりするときはあるが。
しかし、ARデュエルは安全ではあるとはいえ、気絶した少女の心配もせず、自らの立場を誇示し続ける事は、余り褒められた行為ではない。
それは子供故に許される事かもしれないが、だが、許されるうちに直さなければならないのだ。
「さあ!!次は誰が相手だ!!」
そう息巻く名探偵の前に、シャロンは現れた。
「私が相手になりましょう
自分を負かした相手を厭わない駄目な子には、お灸を据えないと!」
「む! 貴方は…湖さんところの!
こりゃあ相手にとって不足はないですね!!」
向こうは自分を知っているらしいが、自分は彼女を覚えていない。
「私はシャロンよ、貴方は」
「雪本ありか!名探偵よ!!
……私がふっ飛ばした子を世話してくれたのには感謝してる!」
だが!と凄んだ後、ありかはARゲイザーとデュエルディスクを構えた。
「悪いが私は貴方を倒さないといけないのよ!」
「…面白そうね、すぐに決めてあげる!」

LP4000でデュエルは開始される。先行はシャロンだ。
だが、彼女が手札を見ていると…急に、ありかの横にいた少女が話しかける。
ありかと同じく眼鏡をかけてはいるものの、彼女と違い知的さを感じる、利発そうな少女だ。
「シャロンさんでしたね…このデュエルは学園内のデュエル
つまり、一般的な校則にもとづいてデュエルをしてもらいます
罰則をしたら、それ相応の罰を受けてもらいますよ」
「その判定は風紀委員のフウちゃんがしてくれるは!
ふっふっふ!この特殊ルールと私のデッキの前に、貴方は勝てるかな!?」
そういうのはデュエルが始まる前に言って欲しいが、始まってしまったなら仕方がない。
「私はマドルチェ・マジョレーヌを召喚
…ここの学生じゃないから制服を着てなくても問題はないよね」
「ええ、問題ありません」
フウは小学生離れした冷静な声でそういった。
「じゃあ、私はデッキから2枚目のマジョレーヌを手札に加えるカードを2枚伏せてターンエンドよ」

シャロン 手札4枚
マドルチェ・マジョレーヌ 伏せカード2枚

「それじゃ!私のターンだ!!」
冷静なシャロンとフウと違い、彼女はとっても元気だ。
「ふっふーん!私は魔法カード「名推理」を発動!
このカードの効果は―
「私はレベル4を指定するわ」
ありかが魔法の効果を言う前にシャロンはレベルを指定した。
だがありかは挫けない。
「ふっ! 確かにレベル4を普通なら指定するだろう!
しかし私のデッキはレベル4がそんなにいないのに引いちゃった!!」
ありかのデッキの一番上に、アレキサンドライドラゴンがいたのだ。勿論墓地行きだ。
「き、気を取り直して…私は聖刻龍アセトドラゴンを召喚!
更にアセトドラゴンをリリースし、シユウドラゴンを特殊召喚!
アセトドラゴンの効果で墓地のアレキサンドライドラゴンを守備表示で召喚する!
そして、シユウドラゴンでマジョレーヌを攻撃だ!」
龍が魔女に襲いかかる、だが、魔女は読んでいた。
「罠カード、くず鉄のかかしを発動する!」
「ぐう!これはどうしようもない…カードを2枚伏せてターンエンドだ!」
ありかには策があった、次のターンアレキサンドライドラゴンは破壊されるだろう。
だが死者蘇生でそれを復活させ、手札のレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを召喚し
更にスターブライトドラゴンを通常召喚し… 等と策を巡らせていた時だった
「私は血の代償を発動する」
(あ、終わった)
ありかは諦めた。マジョレーヌと血の代償。その2枚から想像されるのは…ティアラミスだ。
だが、その予想は外れる。
「校内での殺傷事は禁止です!たとえそれが自傷行為でも」
「え…駄目なのこれ」
こうなってしまってはどうしようもない。血の代償は諦め、攻めてシユウドラゴンだけでも破壊しよう。
「私は手札からヴェルズ・マンドレイクを特殊―」
「そ、そのモンスターは服を着用してませんね!」
フウは顔を赤くしながら言う。…言われてみればそうである。
「……ヴェルズ・オ・ウィスプを通常召―」
「校内での火遊びは禁止です」
「ヴェルズ系殆ど駄目じゃないか…」
さて、ここでありかのモンスターではあるが、よく考えてみれば聖刻龍は鎧のようなものをつけている。
確かにこれは全裸ではない。 …ナルホドうまく考えたものである。


結局シャロンは、マドルチェパーツだけではどうしようもならず敗北してしまった。
ああ私もこの探偵娘に馬鹿にされるのか…そう思っていた彼女だが
「変なデュエルでごめん!本当は私が負けてたわ!」
意外にも、ありかは殊勝な事を言い出した。
「……実はありかさんが吹き飛ばしたあの子、ちょっと素行が悪かったの…
それで、風紀委員長であるありかさんがデュエルで成敗したわけ」
「…ただテンション上がっちゃって、彼女以外に敵はいないのに
次は誰だー!とか言っちゃったんだ」
素行が悪い…?ふとシャロンは、いまだに目を覚まさない彼女を見つめる。
見た目は可愛い女の子だ。だが、その可愛らしい体の中に、何か黒いものを抱えているのだろう。
「まぁ、小学生でも色々あるんだよ!けどここから先は任せて!」
しかし、そんな黒いものも、ありかの明るさがあれば晴れる気がした。
「…そういう理由だったら、なんか悪いことしたわね」
「いいや デュエルは楽しいからね! …受けない手はないさ!」
そしてシャロンとありかは、再戦を約束し、別れた。
(…外に出て街を歩く……なるほど、そういうのも結構楽しいな)
シャロンはメアリーに感謝しながら、自分の居場所に帰っていった。




































部屋のベッドの上。
フウは、下着姿になりながら、眠っている。
寝息を立ててすやすやと眠ってはいるが、しかし、彼女の小さな体には、明らかに暴行の後があった。
その隣で……先程ありかが吹き飛ばした少女が、全裸で喘ぎ声を上げている。
秘所を指でこすられるたびに、彼女は声を上げる。
だが、その声に拒絶や否定の意思はない。 彼女は心の奥底から、その愛撫を楽しんでいた。
「…ふふ、ごめんね
…貴方を悪い子にしちゃって」
指を動かしながら、ありかは少女に話しかける。
今のありかに、少女らしさはない。 部下に褒美を与える彼女は、淫魔だ。
「…お陰で強いデュエリストに出会えたわ……
ふふ、これはご褒美よ」
少女は腰を激しく揺らし…悦んだ。
…そんな様子を、いつの間にか起きたフウは…ずっと眺めていた。
眺めながら…彼女は自分の秘所に手を伸ばしていた。
声を押し殺して処理をしないと、壊れてしまいそうだからだ。
壊れてもありかは自分を捨てたりはしないだろう。だけど、壊れて彼女のいうことを聞けないのは、もう…嫌だ。
「……!……!!!」
リリカの部下になったありかは、自分の部下を持っている。
そしてリリカが自分にするような事を、自分も、部下にしているのだ。
「…次は誰を調査しようかな?」
ありかはリリカが出会う以前よりも、探偵らしくなっている。
だが、彼女は果たしてそれでいいのか、それを確かめるすべは…ない。

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最終更新:2012年11月07日 17:24