混沌の皇子

人里離れた森の奥、ひっそりと佇む古城の広間。

城の主である少女・リリカは頬杖をつき、アンティークのロッキングチェアを揺らしていた。
その傍らには古城に不似合いな袈裟を纏った僧、そして彼に付き従う一人の女性。

「珍しいわね。総統が直々に私達に用だなんて」
「……」
「…何か言いなさいよ。相変わらずつまんない男ね」
「月蓮様は貴方のように卑しい輩と話す口など持たないわ」
「幹部に向かって何よその口のきき方は!」
「私は月蓮様以外の指図は受けない」
「ていうかなんで幹部でも無いあんたがここに居るのよ!」

ひとしきり吠えた後、リリカは広い部屋を見渡して溜息をつく。

「…それにしても、邪神結社幹部も随分減っちゃったわね」

リリカは立ちあがり、所在なく歩き回った。
靴音がコツコツと響く。

「エレナも美紗も揃って足洗っちゃったし、ファトスも消えちゃった。残ったのは私とアンタだけなんてね」
「感傷か?其方らしくもないな」
「…別に。代わりのオモチャなんていくらでも居るわ。あんたと違ってね」





「…集まってくれたようだね」

ドアの開く音が三人の間の静寂を破った。
部屋に入ってきたのは白いスーツに身を包んだ金髪の美青年…。
邪神結社総統・通称『白の彼』だ。

「君達もさっき話していた通り、もう残る幹部は君たちだけになってしまった」
「幹部じゃないのも居るけどね」

メリアを横目で睨むリリカ。

「総帥としての僕の不徳の致すところだ。すまないと思っているよ」

申し訳なさそうに俯く『白の彼』。
月蓮が口を開く。

「…して、我々を召集した理由とは?」
「その事なんだ。幹部は自由に動いてもらう方針とはいえ、組織としての力不足は否めないからね。
 新しい幹部をスカウトしてきたんだ。紹介するよ」

『白の彼』は振り返り、虚空に向かって呼びかける。

「来なよ」

『白の彼』の背後、何も無かった空間に突如として亀裂が走った。
ゆっくりと広がってゆく裂け目の奥から、赤い服を着た青年が現れる。
ナポレオンジャケットにネックチーフといった出で立ちは、ヨーロッパの貴族を思わせる。
部屋に降り立った彼は、その鋭い眼でリリカたち三人を睨みつけながら無愛想に名乗った。

「…オーカス・ファイゲンバウムだ」
「『ファイゲンバウム』ですって!?」

男が名乗ったその名に、リリカが驚いた声を上げる。

「その通り。君たちも知っている大幹部、オスカー・ファイゲンバウムの忘れ形見さ」

オスカー・ファイゲンバウム…かつて邪神結社最高幹部として君臨した男。
「カクリバン」と呼ばれる異空間にこもって、邪神復活の為「心の闇」の研究を続けていた。
先の戦いにより崩壊したカクリバンと運命を共にした筈だが…。

「オスカー…」
「あの大幹部に息子が居たとはね…」
(…誰?)

幹部二人がオスカーを思い出す中、話について行けず一人首をかしげるメリア。

「…貴様らの話は父上からいくらか聞いていた」

オーカスは月蓮とリリカを交互に見て、フンと鼻で笑った。

「破滅思想のネガティブ坊主に、雑魚侍らせて得意になってる猿山の大将か」
「……」
「貴様、月蓮様に向かって何たる無礼を!!」
「さ、サルですって!?」

オーカスは幹部の二人を罵倒すると、メリアの方を見た。

「お前は…」
「私は月蓮様の僕、メリ…」
「まあいい。俺が忠誠を誓うのは父上と邪神結社のみ。貴様らと慣れ合うつもりは無い」

メリアの返事を無視し、早々に踵を返すオーカス。
彼が指を鳴らすと来た時と同じように空間が割れ、自動ドアのようにオーカスを迎え入れる。

「くれぐれも、俺の邪魔になるような事はせん事だ。今日はそれを伝えに来てやった」

亀裂の向こうの世界へと帰ろうとするオーカス。

「待ちなさいよ」

その背中をリリカが呼び止める。
オーカスは振り返ると、鬱陶しそうな表情で深くため息をついた。

「まだ何か用か」
「いくら大幹部の息子だからって、あんたみたいな七光男がいきなり幹部だなんて…認めないわ」
「だったらどうした。なんなら試してみるか?」

オスカーは次元の裂け目からデュエルディスク取り出し、腕に装着する。

「来るが良い、虫ケラ」
(…オスカーの息子で幹部のポストを与えられる以上、闇のデュエルに関するなんらかの力を持っているはず。
 万が一負けでもしたら、ろくな事にならないに決まってるわ。
 こいつなんかに負ける気はしないけど、そんなリスクを負う事は無いわね…)

一人思索を巡らせるリリカ。その思惑を知ってか知らずか、オーカスは彼女を挑発する。

「…どうした、憶したか?」
「フン、誰があんたなんか…」

虚勢を張るリリカとオーカスの間に、卒塔婆型デュエルディスクを装着した月蓮が割って入る。

「…拙僧がお相手しよう。
 其方が幹部となる以上、その力は確かめておかねばなるまい」
「ほう、貴様か。
 貴様は父上と互角の強さと聞いている。少しは楽しめそうだな」

二人の視線がぶつかり合い、火花を散らす。
デッキを装着し、今にもデュエルが始まろうとした矢先…

「お待ちください、月蓮様!」

今度はメリアが割って入る。
オーカスはまた溜息をついた。明らかに格下の乱入者を、「空気を読め」とばかりに睨みつける。

「この程度の輩、月蓮様の手を煩わせる事はありません」
「…三下は引っ込んでいろ」
「誰が三下だ!私は月蓮様の僕、メリア・ハイブリッジ!
 今ここで、私とデュエルしろ!」

息まくメリアをたしなめるように名前を呼ぶ月蓮。

「…メリアよ」
「退けません!こいつは月蓮様を侮辱しました!その愚かさを後悔させてやります!」
「まあいい。…現れよ、『カクリバン・フィールド』」

オーカスが指を鳴らすと同時に、三度現れる空間の亀裂。
亀裂の向こうの空間はどんどんと広がってゆき、古城の広間は異空間へと姿を変える。
ロープのぶら下がった枯木、でたらめな点滅を繰り返す信号機…不気味なガラクタが転がるゴーストタウン。
上空にはどんよりとした灰色の雲が漂っている。

「何よこれ!」
「…闇のデュエルか」
「その通り。ここは『カクリバン・フィールド』。彼の能力によって再構築された、呪われし地カクリバンの残骸さ」
「ここ私の城なんだけど…」

オーカスとメリアはデュエルディスクを構え、対峙する。

「我が故郷『カクリバン・フィールド』でのデュエルで敗れし者は、次元の狭間へと飲みこまれる。
 貴様に闇のデュエルを受ける覚悟はあるのか?」
「勝つのは私だ。月蓮様への非礼を地獄で詫びるが良い!」

「「デュエル!!」」



メリア
手札:5 LP:4000
場:

オーカス
手札:5 LP:4000
場:



「ハンデだ、先攻はくれてやる。貴様の力、見せてみろ」

オーカスの言葉に、メリアの瞳がギラリと輝いた。

「…その言葉、後悔することになるわよ」
「どちらでも結果は変わらん」
「果たしてそうかしら?」

デュエルフィールドに、無数の建造物が並び立つ。
大きな塔の周囲には、魔法文字でできたリングが浮遊している。

「《魔法都市エンディミオン》。魔力を増幅するフィールドよ」
「…美しいカクリバン・フィールドに無粋な物を…。【魔力カウンター】か…?」
「そんな悠長な戦術じゃないわ。私はさらに、《召喚僧サモンプリースト》を召喚、その効果を発動!!」

《サモンプリースト》の呪文詠唱と同時に、メリアの足元から巨大な「本棚」が現れる。

「《王立魔法図書館》を特殊召喚。さらに…」

メリアは本棚から一冊の本を選び出す。
緑色のハードカバーには、サイケデリックな色でポップな文字とイラストが踊っている。

「《トゥーンのもくじ》を発動。この効果でさらにもう一枚の《トゥーンのもくじ》を手札に加える」
「…読めたぞ、貴様のデッキ」

オーカスがククク、と笑う。

「魔法カードでデッキを圧縮し、《王立魔法図書館》のドロー効果で相手に反撃の隙を与える事無くエクゾディアを揃える…。
 通称【図書館エクゾ】か」
「よく知ってるわね。易々と先攻を渡した愚かしさが身に沁みるかしら?」
「…先行一ターン目でエクゾディアを揃える…確率論ではそれ程高くは無い事は、貴様も知っているだろう」
「それは初手に《図書館》無いケースを含めてでしょう?既に布陣は揃っているわ」
「…所詮は運否天賦、戦略も駆け引きも無い醜いデッキだ。俺の手札に《エフェクト・ヴェーラー》等は無い。
 存分に独り遊びを楽しむが良い」
「それじゃ、遠慮なくやらせてもらうわ。…《一時休戦》を発動!!」

嬉々として魔法カードを連続発動するメリア。
その様子を見て、観戦中のリリカは呆れた様子で呟く。

「…ドヤ顔しちゃってまあ。えげつないわね、あんたの部下」
「しかし、気になるのはオーカスの方。やけに落ち着いた様子だが…」

数分が経過し、ようやく魔法カードの連発を終えたメリア。
4枚の手札を残して、「ふう」と一息をついた。

「カードを使いきったようだな。手札4枚、デッキは残り5枚。
 その手札が全てエクゾディアパーツだと仮定すれば、次のドローで残りを引き当てる可能性は20%と言った所か」
「いいえ、100%よ」

メリアが不敵に笑う。

「レベル4の《サモンプリースト》と《王立魔法図書館》でオーバーレイ!
 現れよ、《ラヴァルバル・チェイン》!」

フィールドに現れたのは溶岩の鎧を纏った竜。
メリアはオーバーレイ・ユニットを取り除き、その効果の発動を宣言する。

「デッキから《封印されし右腕》を選択してデッキトップに置く!!」
「…ほう」
「御明察の通り、私の手札は全てエクゾディアパーツ。次のターンのドローフェイズで、エクゾディアが完成するわ。
 …そして覚えているかしら、私が既に《一時休戦》を発動していた事を。
 貴方のデッキは知らないけど、ワンターンキルを試みても無駄な事よ」
「虫ケラごときが、舐めたマネをしてくれる…」
「この無礼な新参者に、私が灸を据えてやります!…見ていて下さい、月蓮様!」



メリア
手札:4 LP:4000
場:《ラヴァルバル・チェイン》

オーカス
手札:6 LP:4000
場:




「…決まったわね。戦闘ダメージを与えられない以上、このターンで決着をつけるのはほぼ不可能よ」
「メリアちゃん、なかなかえげつない戦法だね。…でも、彼はそんなに甘い男じゃないよ」

ギャラリーがざわめく中、オーカスのターンが始まる。

「俺のターンだ。まずは《ライトレイ・グレファー》を召喚、その効果を発動。
 手札を一枚捨て、デッキから光属性モンスターを一体除外する」

オーカスの場に現れた筋骨隆々の白い戦士。
その足元に伸びる影から、瓜二つの姿をしたもう一体の白い戦士が現れる。

「さらに手札の《邪帝ガイウス》を捨て、《ダーク・グレファー》を特殊召喚」

白と黒の戦士がフィールドに並び立つ。
メリアは呆れたような顔で笑った。

「そんな戦士を並べて、オセロでもする気かしら?
 何をしようと、このターンで私を倒す事なんてできないわ。私のターンのドローフェイズでゲームエンドよ」
「…『このターンで倒す事は出来ない』…その点は認めてやろう。だが、もう一つは間違いだ」
「何を…!?」
「俺の墓地にあるのは《グレファー》のコストに使った《光帝クライス》《邪帝ガイウス》の二体。
 …墓地に存在する光・闇属性モンスターの枚数が等しい時、そのどちらかの属性のカードをすべて除外して特殊召喚する事が出来る」

手札から一枚のカードを選び出すオーカス。
禍々しいオーラに包まれたそのカードは、裏側のままでも一際の重圧を放っている。

「カクリバン・フィールドを統べる混沌の騎士、今ここに降臨せよ。
 《カオス・ソルジャー―宵闇の使者―》!!」

「カオス・ソルジャー!?」
「《宵闇の使者》が特殊召喚に成功した時、除外した属性によって効果を発動する。
 俺が除外したのは、闇属性の《邪帝ガイウス》」

オーカスの合図により、剣を投擲する《宵闇の使者》。
剣はメリアの手札を貫くと、そのまま背後の壁に突き刺さる。

「相手の手札をランダムに一枚、エンドフェイズまで裏のまま除外する。
 …どの部位かは知らんが、次のドローフェイズでお前の手札に《エクゾディア》が揃う事は無い」
「舐めた真似をしてくれるわね。…だけど、除外された手札はエンドフェイズには戻ってくる…。
 貴方の寿命がわずかに延びただけの話よ」
「…この効果を使ったターン、俺はバトルフェイズを行えない。カードを一枚セットし、ターンエンドだ」



メリア
手札:3 LP:4000
場:《ラヴァルバル・チェイン》

オーカス
手札:1 LP:4000
場:《カオス・ソルジャー―宵闇の使者―》《ダーク・グレファー》《ライトレイ・グレファー》伏せ魔法罠*1



「私のターン!」

手札に加わった《封印されし右腕》。メリアは鼻を鳴らした。

「これで私の手札にエクゾディアパーツは4枚。
 ケチな小細工をしてくれたけど、もはやターンエンドを宣言するだけで決着が着くわ。悪あがきご苦労様ね。
 …さて、それじゃ私はこれでターンエ…」

メリアの表情が凍りついた。
ターンエンドを宣言しかけた瞬間、煙のように消えてゆくメリアの手札。

「て、手札が…!!」

塵となったカードを追い伸ばした手も、ただ空を切るばかり。
全ての手札を失い崩れ落ちるメリアを見下ろし、オーカスは一枚のカードを示す。

「《宵闇の使者》を媒介に、《魔のデッキ破壊ウィルス》を発動させてもらった」
「ウィルスカード…!!」

わなわなと肩を震わせ、唇を噛むメリア。

「…メリアのデッキには、墓地に落ちたパーツを回収するカードは入っていない…」
「それじゃ、どう足掻いたって勝てないじゃない!」

「…罠カード一枚で戦術そのものが瓦解するデッキなど紙束に過ぎん。
 一ターン目で殺せなかった不運を恨むんだな」
「ぐ、くうぅ…ッ!!」

どんなに悔しがろうと、彼女のデッキにこの状況を打開する術は無い。
涙目でターンエンドを宣言する彼女を、オーカスは冷酷に見下ろした。



メリア
手札:0 LP:4000
場:《ラヴァルバル・チェイン》

オーカス
手札:1 LP:4000
場:《ダーク・グレファー》《ライトレイ・グレファー》


「俺のターンだ。…魔法カード《混沌の種》を発動。
《ライトレイ・グレファー》の効果によって除外された《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》を手札に加える」

「『開闢の使者』…ですって」
「…あのカードはオスカーの…」

オスカーのデッキを知るリリカと月蓮が呟く。

「墓地の《宵闇の使者》と《光帝クライス》を除外!
 父上より賜りし混沌の騎士…《開闢の使者》よ、顕現せよ!」

紺碧の鎧に混沌のオーラを纏い、フィールドへと降り立つ伝説の剣闘士。
主に似た冷酷な眼差しで、メリアを見据える。

「《開闢の使者》で《ラヴァルバル・チェイン》を攻撃!
 開闢・双覇斬ッ!」

《開闢の使者》の剣技により、真っ二つに斬り裂かれる《ラヴァルバル・チェイン》。
メリアのフィールドを守る物はこれで無くなってしまった。

「《開闢の使者》が戦闘によってモンスターを破壊した時、もう一度続けて攻撃する事が出来る。
 終わりだ、ザコめが」

剣を構える《開闢の使者》と二体の《グレファー》。
オーカスの号令と共に、丸腰のメリアへ斬りかかる。

「邪神結社に弱者は不要。カクリバン空間の塵となるがいい!」

「ぐあああぁっ!!」



メリア
手札:0 LP:0
場:


オーカス
手札:1 LP:4000
場:《カオス・ソルジャー―開闢の使者―》《ダーク・グレファー》《ライトレイ・グレファー》



「忘れてはいまいな、このデュエルにおけるルールを」

ライフポイントを失い崩れ落ちるメリア。その背後の空間に亀裂が走った。
亀裂の向こうの暗黒は、ブラックホールの様にその体を吸引する。

「こ、これは!?」
「…カクリバン・フィールドは弱者の存在を許さない。デュエルで敗れた者を空間の外へと排出する…自浄作用といった所か」

既に半身を飲み込まれ、必死にもがくメリア。
抵抗も空しく、その体はどんどん暗黒空間に吸い込まれてゆく。

「月蓮様ぁーッ!!」

手首だけになったメリアが、叫びと共に飲み込まれてゆく。
やがてメリアを完全に吸い込むと、空間の穴は閉じてしまった。
同時にカクリバン・フィールドは消えてゆき、景色はリリカの部屋へと戻る。

「狼藉が過ぎるぞ、オーカスとやら。メリアをどこへやった」

オーカスへと詰め寄る月蓮。
その眼光に、リリカは背筋を凍らせる。

「ほう、貴様もそんな顔をするのか。残念だが、奴の行方は俺にもわからん。
 海の底か、未開の奥地か…宇宙空間かもしれんな」
「外道が…!!」

「はい、そこまで」

睨みあう両者の間に、『白の彼』が割って入った。

「オーカス、嘘は良くないよ」
「…フン」

『白の彼』の言葉に、そっぽを向くオーカス。
静寂を切り裂くように、「ボチャン」と言う水音が響いた。

『月蓮様ぁー!ここは一体…!』

続いて、聞き覚えのある声が響く。
リリカが声のする方向の窓を開けると、中庭の噴水には放心状態のメリア。

「…ザコの癖に、悪運だけはあったようだな」
「オーカス、其方…」
「次元の狭間の先がどこに繋がるかは分からない…。しかし、範囲をある程度コントロールする事は出来る。
 ザコとは言え総帥の手前、少々手心を加えてやったまでだ」
「……」
「勘違いするんじゃないぞ。貴様を敵に回すと後々面倒だろうからな」
「…何それ、ツンデレって奴?」
「貴様…!この俺を愚弄するか!」

リリカの軽口に青筋を立てるオーカス。
幹部たち三人の様子に、『白の彼』は相好を崩す。

「さて、顔合わせも済んだね。
 幹部も君たちだけになってしまった。結社の為、存分に働いて欲しい。
 …もっとも、君たちにはそれぞれの目的がある事も知ってるけどね」

『それぞれの目的』…。

(愚かなる衆生を滅びをもって救わん)
(世界を私だけの物にして、毎日楽しく暮らしてやるわ!)
(父上の遺志、必ずや俺が果たしてみせる)

その言葉に、各々は胸の内に秘めた思いを反芻する。
三人の前に立つ『白の彼』は、厳かな調子で組織の理念を復唱した。

「全ては邪神の名のもとに」

「「「全ては邪神の名のもとに」」」

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最終更新:2013年08月28日 22:47