TG再び! 終わりのはじまり

美琴がナオミへのリベンジを果たしていた頃―――

進はnovの中心と思しき巨大な建物にたどり着いていた。
古代の遺跡のような外観であったが、あちこちを未来的な機械が覆っている。

進「ここにヒカリがいる・・・のか?」

疑問を口に建物を見上げる進。

オルバ「その通りですよ、黒剛様」

そんな進の前にnov3機士の1人・オルバが姿を現す。

オルバ「ようこそ、我らがnovの中心へ」
進「お前!? ヒカリはどこだ!」
オルバ「もちろん無事でございます。こちらへどうぞ」

激高する進の言葉を冷静に受け止めたオルバは着いて来いという。

進「なに? 案内するとでもいうのか?」
オルバ「ええ。ここまで来られた以上、その方が話がはやいでしょう」
進「罠ではない、と思えるほど俺はお前達を信用していない」
オルバ「ご安心ください。ここまで彼女を追ってきた勇気に敬意を表し、きちんとご案内いたしますよ」

進はオルバに従い古代遺跡のような建物の中を進んでいく。
荒れ果てたnovの地において、その建物はさらに荒れ果てていた。
崩れかけている古代の建物を機械が補強し、なんとか形を保っているという印象だ。

オルバ「ここはnovの首都の中心であり、聖地ともいうべき場所です」
進「聖地?」
オルバ「少し話をいたしましょう。我らがnovについて」

歩みを進めながらオルバは語る。

オルバ「novの街はどうでしたか?」
進「・・・・・・ひどいものだった」

進は印象をそのまま答えた。
何人か住人を見かけたが、皆少なからず機械の身体を持っており、心身共に疲れきっていた。
中には進を憎悪の目で見るものいた。
街は荒れ果て、住人は疲弊しきっており、まさしく滅んでいく最中。
そんな印象だ。

オルバ「novが創造神クンリニン=サンにより、異次元の彼方へと追放されたのはご存知ですね?」
進「ああ、そういう伝説があると聞いた。それに、お前達の口からもな」
オルバ「異次元の最奥へと追放されたnovはその過酷な環境に悠久のときを曝され、
    今やもう首都であるこの街―『ホ・マシン・チ』―を残すのみとなってしまいました」
進「お前達の境遇には同情するが、だからといってmayを滅ぼされてたまるか」
オルバ「我らもまたこのまま滅びを迎えるわけにはいきません。その点については、平行線でございますね」
進「・・・・・・あんたは、あのじいさんほど俺を敵視しないんだな」
オルバ「そう見えますか? これでも自制心は強い方だと自負しております」

つまり、オルバもまた内心ではやはり進に強い嫉妬と憎悪を抱いているのだ。

オルバ「すべては運命だったのございます」
進「運命、だと?」
オルバ「novを異次元の最奥へと封印していたカクリバン空間が消滅し、
    度重なる異次元からの侵略によりmayの次元の壁の崩壊しかかっています。
    そして時を同じくして、我々は首都の中心でこの遺跡を発見いたしました」

オルバの視線が遺跡の通路へと向けられる。
つられて進も遺跡の内部を見渡していた。

オルバ「ここは、伝説に消えたnovにおいても神話の中でのみ語られていた皇帝の陵墓でございます」
進「皇帝の墓? ここが?」
オルバ「ええ。今となっては空想の産物と思われていた存在。古代のnovを治めた皇帝。
    わたくし達はカクリバン空間の消滅と共に、この陵墓もまた封印が解かれたのだと考えております」
進「どういうことだ? ただの遺跡というわけではないのか?」
オルバ「かの皇帝は創造神クンリニン=サンのnov追放に抗い、封印されたとも言われています。
    カクリバン空間の消滅により、その封印が弱まったのでしょう」
進「なるほど。なんとなくわかってきたぜ。お前達の目的は、その封印を完全に解くこと、か」
オルバ「その通りでございます。カクリバン消滅、次元の壁の崩壊、皇帝陵の出現。
    わたくし達は、これらの出来事をを運命だと信じました。novを古代からの苦しみから解放する最後の好機だと」
進「確かに、出来すぎている気はするが・・・・・・」
オルバ「novに残された最後の力を結集し、novを復活させる。そう決めたのでございます」

オルバが語る事件の顛末。
だが、mayの住人である進にとっては到底受け入れられない話だ。

進「それを俺に話してどうする? さっきあんたが言ったように平行線だ。
  お前達がmayを滅ぼすというのなら、全力で阻止する」
オルバ「生存競争とはそういうものでございましょう」
進「共存する道を探すつもりはないのか?」
オルバ「ヴォウの言ったとおりでございます」
進「そうか・・・・・・」

ヴォウと同じだ。
オルバも語り口こそ穏やかだが、mayを憎み滅ぼそうとしていた。

オルバ「そろそろ陵墓の中心ですね」

オルバの言葉の通り、通路の先に開けた空間があった。
進の視線の先。
空間の中心に奇妙なオブジェが見える。
『へ』の字を直角に立てたような奇妙な角度で立っているそのオブジェのさらに先。
カプセルのようなものに囚われたヒカリの姿があった。

進「ヒカリ!」
ヒカリ「コクゴー・・・?」

思わず駆け出す進。
その声にカプセルの中のヒカリも顔を上げる。

進「待ってろ、今助けてやる!」
オルバ「そうはまいりません」

カプセルに駆け寄る進の前に、オルバが立ちはだかる。

オルバ「彼女は、この計画の要でございます」
進「ヒカリをどうするつもりだ!」
オルバ「銀河大戦の勝者である彼女は、ヌメロン・コードを制御する鍵。お返しするわけにはまいりません」
進「銀河大戦? ヌメロン? 何を言っている?」
オルバ「サーキットが完成しつつある今、皇帝陛下の復活も目前。黒剛様。あなたには最後の生贄になってもらいましょう」
ヒカリ「コクゴー、ダメ!」

オルバが左腕を胸の前で構えると、その前腕が変形しデュエルディスクを形成する!
デュエリストなら自分の願いはデュエルで通すしかない、というようにオルバはデュエルディスクを構える。

オルバ「わたくしのリベンジマッチ、受けていただけますか?」
進「当然だろう。デュエリストならな!」


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最終更新:2015年08月26日 23:40