EVOKE -舞- セルド編第4話

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メイド服の少女「…… …… ……くす…(去り行くヒロと結香の二人を静かに見送りながら、ほくそ笑んでいた)」


玩具屋の隣の建物の屋上にただ一つの影が佇んでいた。


ヒロ「あ、またね!(手を振りながら結香を見送る)…この辺で飯でも食うかな(歩き出す)」

結香「そう思ってくれて…ボクも嬉しいよ…♪…グゥ~…あ、また…//(自分のお腹を恥ずかしそうに押さえて)もう帰らなきゃだね。ヒロお兄ちゃん、今日はありがとう♪また一緒に散歩しようねっ!じゃあ、バイバイっ♪(手を振りながら走っていく) 」

ヒロ「………!(……なんて、素晴らしい笑顔なんだ……)(結香の笑顔を見て)…そう思ってくれて嬉しいよ!…俺にとっても…結香ちゃんは大切な友達、だからね! 」

結香「…だって、ヒロお兄ちゃんは―――――――――ボクの大切な友達だもん♪(街灯の光を帯びたその無邪気な微笑みは、ヒロが今まで見た彼女の笑顔の中で一番輝いて見えた) 」

ヒロ「…へぇ…そんな大事なものを俺にくれるなんて…うん、このしおり、大切に使わせていただきます!(ニッコリ) 」

結香「えひひ…♪そのしおりはね…『お兄ちゃん』がボクにくれたものなんだ。…『お兄ちゃん』は散歩と本を読むのが大好きで、散歩して見つけた四つ葉のクローバーを、こうしてしおりにしていつも本に挟んでたんだ。ほんとは3枚あって、一枚はお兄ちゃん、あとの二枚はボクが持ってるの。だから、ヒロお兄ちゃんにもおすそ分け、だよっ♪ 」

ヒロ「…お、これは…四つ葉のクローバーじゃないか!運気が上がりそうだな…ありがとう!(ニッコリと結香に) 」

結香「ヒロお兄ちゃんも、美味しいもの食べさせてくれたり、一緒に散歩してくれたりありがとうっ♪…そうだっ!ヒロお兄ちゃん、これあげるっ♪(ヒロに渡したそれは、四つ葉のクローバーの押し花のしおりだった)」

ヒロ「…そうだね!…いろいろ楽しいものが観れたよ…ありがとうな(結香に微笑む)」

結香「今日は楽しかったなぁ~…♪(綺麗な大通りを見ながら)」

ヒロ「…結構暗くなったなー…そんなに時間たってたか(周りを見て) 」


もう日は暮れていて、街の大通りには煌びやかなライトアップが点灯されていた。


結香「うん、気をつけるー!またね♪(手を振りながらヒロと店を出ていく)」

ヒロ「ん、そうだね!(立ち上がる)茶菓子、ご馳走さんでした…(老爺に一礼) 」

老爺「ああまたいつでも来なさい。茶菓子もたくさん用意するからのぅ。楽しみにしとるよ。 それじゃあお兄さん、結香ちゃん、さようならじゃ。風邪には気をつけるんじゃぞ。(微笑みながら) 」

結香「う、うん…そうだね。おじちゃん、お菓子ごちそうさまっ。今度は友達いっぱい連れてくるねっ♪ じゃあ、帰ろうか、ヒロお兄ちゃん。 」

ヒロ「…お、そろそろ晩飯時かな?(結香の腹の虫を聞いて微笑む) 」

老爺「(結香の腹の虫が鳴いたのを聞いて笑いを零す)そろそろ暗くなってくるのぅ…今日はもうお家へ帰りなさい。家族の方にもよろしくの。 」

結香「『お兄ちゃん』と一緒に来たあの時ボクは6才だったね。それからはずっと友達と一緒に来てたけど…。 …グゥ~ ……あ…//(突然腹の虫がなる) 」

老爺「おおそうか…元気にしているようなら何よりじゃ。早く『お兄ちゃん』の顔も見てみたいの。あの時来たのは確か10才くらいだったから…今はまたとても大きくなったんじゃろうな…。(目を瞑り天井を仰ぐ) 」

ヒロ「…(お兄ちゃん?…兄貴がいたのか…初耳だな)(結香を見て) 」

結香「(『お兄ちゃん』の言葉を聞いて体がピクリと痙攣する)……『お兄ちゃん』は…今は旅に出てるから、わかんない。…で、でもねっ!元気にしてると思うよ…!ちゃんと『手紙』も送ってくれるんだ~♪(それから徐々に表情が和らぎはじめる) 」

老爺「ふぉふぉ…そうかい…。昔からその優しさも変わっとらんのぅ…。(涙を袖で拭う)君の『お兄ちゃん』もそうじゃった。…そうじゃ、『お兄ちゃん』は…元気にしとるかの?(結かに) 」

結香「おじちゃん…。(ヒロに続いて、老爺の表情を見る)…ボクはこれからもずっと、おじちゃんのお店が大好きだよっ♪大きくなっても、また新しい友達を連れて遊びに来るねっ♪(満面の笑みを浮かべる) 」

ヒロ「じいさん…(老爺の顔を見て)(結香を微笑ましそうに見ている) 」

老爺「ワシはのぅ…子供たちが、この店に来て、楽しそうに玩具で遊んでいる姿を見るのが好きなんじゃ。けどそれと同じくらいになぁ…前にこの店に来てくれた子供たちが、大きくなってまたここに顔を出してくれることが…ワシにとって、何よりも幸せなんじゃよ。(微笑ましい顔を見せる。その眦には涙が浮かんでいた) 」

結香「うん、おじちゃんの言うとおりだねっ。わぁ~…(その他の玩具にも、目を輝かせながら見ている) 」

老爺「メーカーは確か佃煮オリジナルじゃったかの?(すっとぼけ)ふぉふぉ…その元気ぶりはかわっとらんようじゃの。いやいや、それでよい…。子供も大人もみな、元気が何よりじゃ。 」

ヒロ「なるほど…懐かしいおもちゃがたくさんあるから、昔を懐かしむ大人とかが来そうな気するんだけどねぇ…(古き良きおもちゃ…俺昔何して遊んだっけか…?(玩具の並ぶ棚を見て) 」

結香「ふぅ~ん…ボクはおじちゃんのお店が大好きなんだけどなぁ~。…あっ!これ懐かしい!(玩具の並ぶ棚へ手を伸ばし大きな箱を取り出す)昔友達みんなと遊んでたなぁ~、バトルドーム♪すりーでぃーあくしょんげぇーぃむ♪(´▽`) 」

老爺「近頃は新しい玩具屋もたくさんできて、客はめっきり減ったのぅ…。じゃがそれでも、近所の子供たちは時々ここへ来てくれて、玩具で遊んで行くのじゃよ。ここは売っている玩具をその場で遊んでいいのが売りなんじゃよ。(ゆっくりとした口調で) 」

ヒロ「(懐かしいおもちゃばっかりだな…)…あ、どうも…(お茶をすする) 」

結香「わぁい♪(嬉しそうにういろうを食べる)もひもひ… 全然変わってないね~。(きょろきょろ見渡しながら)」

老爺「粗茶じゃが…。(二人に温かいお茶とういろうを差し出す)」


玩具屋の中は多くの古い玩具で埋め尽くされていてとても狭く、二人は奥の畳の部屋に招かれた。




ヒロ「ん、うぃっす!(手を引かれながら中へ)」

結香「えへへ~、わ~い♪ヒロお兄ちゃんもはいろっ!(ヒロの手を引っ張り店の中へ)」

老爺「ふぉふぉ、元気がええのお兄さん。(ヒロに微笑みながら)そろそろ店を閉めようとしてたが…まあよい、せっかくじゃから中へ入りなさい。茶菓子をもてなそう。(二人を招きながら店へ入る) 」

ヒロ「へぇ、馴染みのおもちゃ屋さんの…あ、どうも、ヒロです!(元気よく老爺に) 」

老爺「おお…大きな友達じゃのぅ。はじめまして、この玩具屋の店主をしている者じゃ。結香ちゃんのことは、昔からよく知っているのじゃ。(ヒロに) 」

結香「ここね、昔ボクがよく来ていた玩具屋さんなんだ。それでね、おじちゃんがこのお店の人なんだよ。(ヒロに)久しぶりだねおじちゃん!おじちゃんも元気そうでよかったぁ♪…あっ!おじちゃん、ボクの友達のヒロお兄ちゃん。とっても優しくしてくれるんだぁ~♪」

ヒロ「…ん?知り合いかい?(老爺を見て結香に) 」

老爺「ん…?(背後を振り返る)その声は…もしや結香ちゃんかね?お、おお…ずいぶん大きくなったのぅ…!(嬉しそうな笑みを浮かべ) 」

結香「…あ、ヒロお兄ちゃん。ここは―――――!万屋のおじちゃん!(懐かしそうにその老爺を呼んで大きく手を振る) 」

老爺「ふぅ…(玩具屋から一人の老人がのっそりと出てくる)いい夕陽じゃの…(細い目をして遠い夕陽を眺める) 」

ヒロ「あ、本当だ…ん?どうしたんだい?(足を止めた結香を見て) 」

結香「あはは…!もうすっかり夕方だね。……あ…――――(その玩具屋を目にして歩みを止める)」


綺麗な店が立ち並ぶ中で、一軒だけ、かなり古びた玩具屋があった。看板には『万屋-吉-』というかすれた文字が。


ヒロ「そうだねぇ…うん、俺も楽しいよ!一緒に歩いているうちに、時間を忘れちゃったよ!(微笑み返す)」

結香「あはは、結構歩いたね。ヒロお兄ちゃんと散歩するのは楽しいよ♪(笑顔で微笑みながら)」


そうして二人は楽しい会話を交えながら、街の長い大通りをかれこれ30分ほど歩いていた。


ヒロ「へぇ、楽しいお店か!…そりゃ楽しみだ!(手を引かれながら結香に続く)」

結香「えへへ、ありがとう。この辺にも楽しいお店はいっぱいあるからね♪いこいこっ!(ヒロの手を引っ張り歩きだす)」

ヒロ「あ、散歩か!…うん、いいよ!面白そうだしね!(ニッコリ)」

結香「ボクもヒロお兄ちゃんに会えてちょっとびっくり!ううん、いつもの散歩だよ~♪…そだっ、ヒロお兄ちゃんも一緒に散歩しよっ?ねっ?」

ヒロ「うん、どういたしまして!(微笑み返す)…今日は買い物しにここに来たんだけど、まさか結香ちゃんに会えるとは思ってなかったなー…結香ちゃんも買い物かい?」

結香「もひもひ… ちょっぴりお腹空いてたからね。わぁ、ありがとう♪んぐんぐ…。(ドリンクを受け取って飲む)…ぷぁ…!ヒロお兄ちゃんありがとう♪ごちそうさまでした。(にっこり)」

ヒロ「お、めっちゃいい食べっぷりだなぁ!今日も元気なようで何よりだ!飲み物もいるかな?(スポーツドリンクを取り出す)」

結香「ふぇ!?い、いいのっ!?…じゃあ、いただきますっ!かぷっ(カレーパンを頬張る)」

ヒロ「ハハハ、よくわかったね…そっか、カレーの匂いかっ!(ハハハと笑う)…どうだい?一つ(紙袋からカレーパンをもう一つ取り出し、結香に差し出す)」

結香「こんばんはっ♪(ぺこり)美味しそうなパンだね!この匂いは…くんくん… …あっ、カレーパンだねっ!」

ヒロ「…んぉ?(歩み寄ってきた結香を見て足を止める)…あ、結香ちゃんじゃないか!こんばんは!(ニコッとする)」

結香「るん~♪…はふぇ?…あ!ヒロお兄ちゃ~ん!(歩みを止めて体を傾げ、前方からくる人物がヒロだと認識して手を振りながら歩み寄る)」

ヒロ「うーむ…これはなかなか…(カレーパンを食べながら結香の前の方を歩いている)」

結香「るん♪るん~♪(賑わう大通りをスキップしながら進んでいる)」


――キュラリア・街中の大通り――

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最終更新:2015年03月20日 21:33