第12話

風がそよぐ場所


~前回までのあらすじ~

絶対に覆らないものはある
けれども・・・それはいつか・・・

~タウン~

シェマ「・・・そろそろ帰ってきてもいい頃ですね」
ロンガ「そうだな」
ウル「・・・」

シェマ「ウル長老?」
ウル「う うむ・・・ 実は 夢をみての・・・」

シェマ「ま・・・ まさかとはおもうのですが・・・ ひょっとして・・・」
ロンガ「ん? おお! 帰ってきたぞ」

ベル「ただいま 戻りました」
ナイジ「・・・」

エルナ「・・・」

ウル「皆のもの よくやってくれた ワシにも 伝わっておったよ」
エルナ「はい 婆様・・・」

シェマ「・・・と いうことは・・・!!!」

シェマ「ムーを倒したのですね!!」

エルナ「・・・」コクッ

シェマ「すばらしい!!!!!
    早速島民に一連のことを知らせましょう!
    島の英雄の帰還のお祝いの準備を!
    いやぁ 今日は忙しくなりそうです!」
ロンガ「シェマ 少し黙ってろ」
シェマ「なぜですか!一人の犠牲も出さずに
    災厄を未然に防いだのですよ!」

ウル「・・・ エルナや アニャムーのことだね」
エルナ「・・・うん・・・」

エルナ「ムーは 皆で倒したわ けど アニャムーは・・・
    私を庇って・・・ 私・・・ 私のせいで・・・」
シェマ「・・・な・・・ なんと いう・・・」
ロンガ「空気を読め」

ナイジ
「(・・・誰のせいでもないんだ エルナさんは悪くない
 けど それを 言うには オレはまだ 未熟すぎた・・・)」

エルナ「それに・・・ 今まで聞こえていた モンスター達の声も
    聞こえなく ううん 分からなく なって・・・」
ウル「なんと・・・」

エルナ「ムーは 私たちと戦うとき 私のことを指してこういったの
    シャローム・・・
    婆様! これも 婆様たちから受け継いだ力に 何か関係があるの?」
ウル「・・・ そのことも 話すときが来たようじゃの・・・」

ロンガ「・・・ ヴァシアタの長老一族の伝承・・・か・・・
    確かに・・・ 広くは受け入れられないかもしれん
    だが 時代は変わっていくものだ
    もうだれも それを知ったからと言って 責める者はおらんだろ」
ウル「・・・ いずれ 話すつもりじゃったよ・・・ エルナ
   ここにいる皆も 心して聞いておくれ・・・」

ウル「1000年前・・・ ムーと戦い力尽きたとされるヒノトリ・・・
   それは 各地の伝承からも 知っておる者もいると思う」
レアル「・・・」
ベル「ヒノトリ・・・銀の月とイダルによって生まれたモンスター・・・」

ウル「そのヒノトリを制御する目的で 共に戦った一人のブリーダーがおった
   それが シャロームという女性じゃ・・・」

ウル「壮絶な戦いの末 ムーとヒノトリは力尽き
   ムーによる 終わりなき破壊は免れた・・・
   ・・・しかし・・・」

ウル「ヒノトリを生み出すために使われた銀の月の力が失われたことにより
   空に浮かぶ6つの月が大地へと降り注ぎ
   大災厄が起こってしまったのじゃ・・・」
マッカム「それが 第1の 災厄 か」

ウル「その混乱で この事実を知るものは そう 残ってはいなかった
   もちろん 良いことではない・・・ じゃが・・・」

ウル「その事実を知っていた 一部の者達は その責任を
   シャローム達に追求したのじゃ・・・
   中には ひどく憎んだ者もおったじゃろうて・・・」
シェマ「大英雄になんということを・・・!」

ウル「シャロームは 迫害された・・・ しかしどこか
   その責任を感じておったのじゃろう 何も 言えなかったのじゃ」

ウル「じゃがシャロームは死んではおらなんだ
   世界の復興のため 各地を飛び回り ある土地に根付いた
   それが ヴァシアタ・・・ そして 子孫を残した・・・
   ワシら ヴァシアタの長老一族を・・・」

エルナ「婆様が・・・ 私が・・・シャロームの・・・」

シェマ「大英雄の末裔であらせられたとは・・・!
    なぜそのようなことを秘密にしておられたのですか!」
ウル「・・・怖かったのじゃ・・・
   ワシは シャロームが ムーの恐怖から世界を救ったとは
   考えておるが・・・
   結果的に 第1の災厄を引き起こしたことに 変わりはないからの」

シェマ「・・・た たしかに・・・!言われてみれば・・・」
ロンガ「ギロッ」
シェマ「・・・」

ウル「子孫達は シャロームのことを 誇りに思いつつも
   それを周囲の者たちに言い出せずにおった・・・
   ワシも 同じこと・・・」
ロンガ「ハハ」

ロンガ「ガ~~~~ッハッハッハッハッハ!!!」
ウル「な なんじゃ急に!」

ロンガ「婆さん! それは気にしすぎってもんだ!!!
    なあ!若造!!」
シェマ「え? あ そうです その通りですよ!」

ロンガ「時代は流れた! 当然そこに生きるヤツらも移ろい行く!
    もうそんなことをいちいち掘り下げて責めるヤツなんざぁいない!」

ナイジ「・・・そうだよ・・・ 誰がそんなことするもんか」
ベル「今の私たちが あるのも」
レアル「シャロームのおかげもあるわけですからね」
マッカム「・・・オレは 血筋で人を判断したりはしない・・・」

ウル「・・・ありがとうの 爺さん・・・皆・・・」
エルナ「・・・みんな・・・ ありがとう・・・」

ウル「・・・さて・・・ エルナよ・・・
   おぬしは これからどうするのかの」
シェマ「力が無くなったといっても ブリーダーとしての功績や経験・・・
    それを考えると引退なされるのはあまりに惜しい・・・」

ロンガ「おっ! ウルの婆さんが引退して エルナに長老をまかす!
    ってのはどうだ! ガッハッハ!なんてな!」
ウル「エルナがいいというのなら ワシはそれでもかまわんよ」
ロンガ「ガッハ・・・」

エルナ「・・・」
ナイジ「・・・」

エルナ「・・・」
ナイジ「・・・え オレ?」

エルナ「ナイジさんを見ていて 感じたことがあるの
    ナイジさんは その モンスターの声を聞くことが出来なくても
    どこか いつも通じ合っているような・・・
    月の石の絆とかじゃない 言葉が分からなくても・・・
    気持ちを通わせていた・・・」

ナイジ「そ そうなのか チモック」
チモック「キー!!」コクコクコクコクコクコク
ナイジ「マヂかよ・・・」
ベル「気づいて なかったの?」
レアル「ある意味才能ですね」
マッカム「・・・オレはそれが当然のことだと思うが・・・」

エルナ「それでね 思ったの 私は モンスターの言葉が分かる
    だから それ以上に分かり合おうとすることを
    自然と やめていたのかもしれない・・・って」
ウル「何を言うか エルナとアニャムーは ちゃんと分かりあっていた!
   アニャムーを見ていればそんなことは一目瞭然じゃったろうに」
エルナ「そうじゃないわ! アニャムーとは分かり合えていた・・・
    だけど・・・ だけどもう一度 はじめからやり直してみたい
    ・・・そう 思ったの」
シェマ「そ それは・・・ ブリーダーをやり直すという・・・」

エルナ「ううん シェマさん まずはナイジさんが
    どうやってモンスターと分かり合ってるか・・・」

エルナ「助手としてナイジさんのファームにお世話になろうと思ってるの」
ナイジ「うんうん・・・ え・・・」

ウル「うむ!よろしい! では早速手続きをしてもらおうかの 爺さん!」
ナイジ「え」
ロンガ「そうだな!ガッハッハッハ!」
ナイジ「え え」
シェマ「では私の方も関係各所にそのように伝えておきましょう!」
ナイジ「え え え」

エルナ「というわけで よろしくね ナイジさん・・・ ううん
    ナイジ!」


ナイジ
「(未来がわかることはつらいことなのかもしれない
 オレだって怖い夢をみることだってある
 けどエルナさんは それがこれから本当に起こることなのか
 そうでないのか・・・ わからない・・・
 そんな恐怖と ずっと ずっと・・・
 ・・・力を持つことが どういうことなのか・・・
 彼女の笑顔をみて いろんなことを考えてしまった・・・)」















ナイジ「あれ・・・ ということは オレ どこで寝ればいいんだ・・・」


~ファーム~

エルナ「と いうわけで これからお世話になります エルナです」
リトバ「あ アタシの方が先輩なんですからね!
    たとえエルナ様といっても特別扱いはしませんよ!」
エルナ「はい リトバ先輩っ!」
リトバ「ゔっ・・・ やっぱり普通でいいです・・・」

フラセール「まぁ わからないことがあったら何でも聞いておくれよ」
ティッキ「ティッキだよー!!」

ナイジ「道具箱で寝るか・・・」ガサゴソ・・・

リトバ「あ そうだ ナイジさん 手紙がとどいてましたよ」
ナイジ「ん ああ どれどれ ウル長老からだ」ガサッ

ウル「エルナがブリーダー活動を中止したことに伴い
   エルナの管轄をナイジ おぬしに任せようと思う
   詳しくは同封の書類と 明日集会所で話すからの
   よろしくたのむぞい もちろん エルナのこともな
   ふぇふぇふぇふぇ」

ウル「追伸 もともとの管轄が無くなるわけではないぞい」

ナイジ「・・・世の中悪魔だらけだ・・・」
リトバ「どうしたんですか? どんな内容だったんですか?」
エルナ「あ!私も気になるな!」
ナイジ「だぁー だめだめ! これはゴクヒ指令なんです!」
ティッキ「そんなことよりこれみてみてー!
     これを使うとドゥルバードの卵の黄身と白身が
     キレイに分けれるんだよー!」
フラセール「もしかすると コイブミかもしれないなぁ!」
エルナ「えっ じゃあ私ナイジのこと なんて呼べばいいのかな」
リトバ「おじいちゃん じゃないですか?」
ナイジ「んなわけあるかぁー!」
ティッキ「ほめてほめてー!!」
最終更新:2011年10月16日 09:26
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。
添付ファイル