現状の概要

前線に投入された主人公が白いヤツにやられて大怪我

怪我が治ったらMSが人間の女の子に見え、会話が出来るようになる

中にパイロットがいなくても主人公の指示でMSが動く事が発覚

MS娘達と訓練をしながら仲を深めていく

白いヤツに借りを返す

シナリオ冒頭

前文
この作品に登場する設定・世界観は「機動戦士ガンダム」を
元にしたものですが、当該作品の世界ではなく
また別の世界線でのお話です。
ですので、一部「機動戦士ガンダム」と異なる設定が
あることをご了承ください。



;;背景:宇宙

宇宙世紀0079年
我らがジオン公国は地球連邦からの独立を目指し
戦争を仕掛けた。

しかし、物量で勝る地球連邦に苦戦を強いられ続ける。

そんな状況で作りだされたのが
これから俺が搭乗する事となる
モビルスーツと呼ばれる人型機動兵器だ。

このモビルスーツが投入されてから戦局は大きく傾き
ジオン軍は優勢であったが
地球連邦軍の大反攻により、戦いは苛烈さを増していった。

;背景:格納庫

主人公
「うぅ、これから初出撃か……どきどきするなぁ」

訓練機には何度も搭乗し、
シミュレーションも飽きるほどやってきた。

しかし、初めての実戦
しかも最前線に配置される事になった俺は
緊張からか息苦しさを感じていた。

;;立ち絵表示:隊長 表情:通常 位置:中央

隊長
「新入り! おいっ! 新入り!!」

主人公
「はッ! はいぃ!!」

隊長
「しっかり作戦を聞いておかないと貴様、死ぬぞ?
と言っても今回、貴様は私の後ろで援護をしていれば良い」
主人公
「はっ? 援護……ですか?」

隊長
「不服か?」

新入りの癖に、と馬鹿にしたような目でこちらを見る

主人公
「っ! いえ!
隊長の背中、喜んで守らせていただきますっ!!」

隊長
「うむっ、よろしく頼むぞ
敵の数はそれほど多くない
気を抜かなければ何も問題は無いが……」

主人公
「はっ、何か問題が?」

隊長
「万が一、私が敵に撃墜された時の話だ
もしも今回、そのような事態になったら貴様は撤退しろ」

主人公
「はっ……? それは一体……どういう?」

隊長
「万が一の話だ、私は死ぬつもりなど全く無いがな
さて、そろそろ出撃命令が出るぞ。準備を始めろ」

;;立ち絵非表示:隊長
;SE再生:警報音

出撃を命じる警報が鳴る。
隊長がさっき言っていた事が胸に引っかかる。
あれってつまり……隊長が撃墜されたら

『見捨てて逃げろ』ってことだよな?

隊長との会話で和らいでいた緊張が再び訪れる。
なんだか嫌な予感がするな。

深呼吸をし、アッガイと呼ばれる
モビルスーツのコックピットのハッチを開け
腹の底に溜まった不安を吐き出した。

主人公
「ふぅ……よろしくな、相棒」

気を紛らわせるため
そんな事を言いながら言いながらコックピットに入る。

パイロットシートに座ろうとした瞬間
誰かに笑われたような気がした。

主人公
「……? 通信か?」

確かに今のは恥ずかしいけど……

;;SE再生:通信音
;;立ち絵表示:隊長 表情:通常 位置:真ん中

隊長
「新入り、大丈夫そうか?」

主人公
「はい。
以前、水陸両用モビルスーツ操縦訓練の際
このアッガイに搭乗しましたから」

隊長
「ほう、そいつは頼もしい
……さて、ではそろそろ出撃するぞ。私について来い」

主人公
「了解」

;;立ち絵非表示:隊長

パイロットシートに座りシートベルトを締め
モビルスーツを起動する。
隊長や他のパイロット達が出撃していく

あぁ、どきどきする。怖いなぁ
でもさっきまで感じていた息苦しさは感じない。

主人公
「すぅー……っ、はぁ」


「大丈夫だよ、肩の力を抜いて行こ? 相棒さん」

むしろ心地良さを感じる

主人公
「アッガイ、出撃しますッ!!」

;;背景:戦場
;;立ち絵表示:隊長 表情:通常 位置:真ん中

隊長
「よし、ちゃんとついてきてるな。新入り」

主人公
「はい。隊長の背中を守るって約束しましたからね」

隊長
「ははっ、では今回、貴様には敵の爆撃機の破壊を命じる
 ……気を抜かないようにな」

主人公
「了解しました。
ところで隊長
出撃した時よりアッガイが減っているようですが」
隊長
「作戦をちゃんと聞いていなかったのか
今回は前線で敵の戦力を削ると同時に
連邦を偵察する任務も兼ねているのだよ」

溜息をつきながらも隊長は説明をしてくれる。

主人公
「なるほど、では偵察部隊が戻ってくるまでに
ここの戦力を削っていればよろしいのですね」

隊長
「そういうことだ、私の背中は頼んだぞ。……ふふっ」

;;立ち絵非表示:隊長

………………

…………

……

そんな事を言っていた隊長だったが
これといって援護する必要も無く
連邦の戦車を次々と撃墜していった。

;;立ち絵表示:隊長 表情:通常 位置:左

隊長
「さて、そろそろ偵察部隊が戻ってきても良い頃なのだが」
主人公
「……ふぅ、それにしても凄まじいですね」

俺達が破壊してきた戦車や爆撃機の部品がそこら中に転り
火が起こっている。

隊長
「ああ…………」

;;立ち絵表示:モブパイロット 表情:通常 位置:右

パイロット
「偵察部隊、戻りました」

隊長
「ご苦労、それで木馬とやらはあったか」

パイロット
「ハッ、我々が調べた限りでは見つかりませんでした。
しかし、妙なモビルスーツが現れたという情報が」

隊長
「ほう、それは連邦のブイ作戦……
とやらに関係しているのか?
是非見ておきたい……が、今は撤退するぞ」

ブイ作戦……? どこかで聞いたことのあるような作戦だ
しかしここで撤退とは、今は戦力が不足している……
という事なんだろうな

主人公
「了解」

返事をし、撤退の準備を進める

パイロット
「了か……うわぁ!!」

撤退しようとしていたところに
偵察へ行っていたパイロットが悲鳴をあげる。

主人公
「っ!? なんだ?」

機体を振り向かせるとコックピットに
ビームサーベルが突き刺さっているアッガイの姿があった

パイロット
「……たぃ……っちょ……」

;;SE:爆発音 画面効果:揺れ
;;立ち絵非表示:モブパイロット

隊長
「ッッ! 新入り!! 撤退しろ!!」

爆発したアッガイの煙の隙間から白い機体が見えた。
見たことの無いフォルムと顔だ。
これがさっき言っていた妙なモビルスーツ……?

連邦もモビルスーツを作り出したという事か……

;;立ち絵位置変更:隊長 位置:真ん中

隊長
「新入り! 今すぐ撤退しろ! これは命令だ!」

主人公
「……っ! りょ、了解! 」

;;立ち絵非表示:隊長
;;エフェクトで移動している事を表したい

声を荒げた隊長が俺と白いヤツの間に入る。
隊長の気迫と白いモビルスーツの恐怖に呑まれ
俺は基地へ向けてモビルスーツを走らせる。

先ほど見たあの白いモビルスーツが頭から離れない
ヤツを見た瞬間
まるで悪魔を目の前にしたような恐怖を感じた。

新米パイロットの俺でもわかる
あの白いヤツはとてつもなく強い。

今まで戦ってきた隊長ならよくわかるはずだろう

;;背景:黒

……あの場から逃げ出す直前の光景が頭の中で再生される。
;;立ち絵表示:モブパイロット 表情:通常 位置:真ん中

偵察から戻ってきたアッガイが爆発し

;;立ち絵非表示:モブパイロット

隊長は躊躇無く白いヤツの前に立ちふさがった

;;隊長の立ち絵表示 位置:真ん中

なぜ?
今回は偵察任務で武装も最小限しか用意していないはず
勝てるわけがない

それなのになぜ? 俺が足手まといだからせめて逃がした?
それで俺は、隊長を見捨てて逃げるのか?

;;隊長の立ち絵非表示

………………

…………

……

;;背景、再び戦場

主人公
「……悪いな
ここまで走らせたけどやっぱり戻って戦う事にしたよ」

もう逃げ出さない事を決意した俺は
見えない何かに話しかけながら
元来た道へと向きを戻し、再びモビルスーツを走らせた。

……もう遅いかもしれない
けどこのまま逃げ出すのは嫌だ!

目を瞑り、勇気を振り絞る。

;;背景:黒 立ち絵表示:アッガイ 位置:真ん中

頭の中でへんてこな帽子をかぶった女の子が
こちらに笑いかけてくれていた。

;;立ち絵:アッガイ非表示
;;背景、戦場 また移動している事をエフェクトで表したい
――そして俺は、うなり声を上げながら走り出す
  “白い悪魔のいるあの戦場へ”

;;背景:黒

………………

…………

……

;;背景:戦場

隊長
「――グッ……なんて装甲と機動力だ」
『連邦のモビルスーツは化け物だ』と噂で聞いたことがある

隊長
「まさかこんな場所で
連邦のモビルスーツの性能を見せ付けられるとはな……」

機体の腕も切り落とされ
撃ち続けたバルカンも弾薬が尽きてしまった。

隊長
「私もここで終わり……か」

白いヤツがビームライフルを構えるのが見えた。     
覚悟を決め瞼を閉じる。

かつての恋人の姿を思い描く。
胸に仕舞い込んだロケットを握りしめ、もう一度
中に詰まった思い出を楽しみたくなるのを我慢した。

;;背景:黒 上から黒くなっていく効果

………………?
撃って……こない……?

主人公
「隊長っ!! ご無事ですかっ!?」

;;背景:戦場

瞼を開けると
白いヤツを抑え付けているアッガイの姿があった

あの機体、この声……あの新入りが……

隊長
「……っな! 貴様、どうしてここにいる!
撤退しろと命じただろう!?」

主人公
「命令違反して申し訳ありません。
ですが撤退の途中、約束したのを思い出しまして」

隊長
「約束、だと?」

主人公
「わからないならそれでいいです。
基地に戻ったら処罰でもなんでも受けます!
だから一緒に基地に帰りましょう!」

隊長
「っ! あ、ああ!
増援は頼んである。だから貴様は無理をせず時間を稼げ!」
主人公
「了解っ!」

………………

…………

……
;;主人公に視点変更
;;一瞬背景を黒くし、背景:戦場 表示

主人公
「っ! ぐぅ!!」

;;画面効果:揺れ

抑え付けていた白いヤツに蹴り飛ばされてしまう
その衝撃で体のあちこちが痛む

主人公
「でも! それでも!!」

体勢を整え、もう一度白いヤツに挑みかかる

;ガンダムさんと戦闘イベント

主人公
「……っつ……うぅ……
ハハッ勝てるわけ、無い、かぁ……
それもっ、そうだよなぁ……」

;;画面が赤く点滅? 目に悪そう……
;;SE:警告音 鳴りっぱ

コックピット内
警告音がやかましく鳴り響き俺が負けた事を告げる。
勇ましく白いヤツに挑んでこのザマか

恥ずかしい最期だったな……

ああ、戦いの衝撃で体中が痛い……
くそっ、隊長、アッガイ……ごめ、んなさい……

う……ははっ
警告音が段々俺を笑っているように聞こえてきた

ちくっしょうっ……結局、隊長も助けられず時間も稼げずに
俺は、ここで終わりなのかよっ……!

;;SE:警告音停止 背景:黒

堕ちていく意識の中

;;立ち絵:アッガイ 表情:通常 位置:真ん中

へんてこ帽子の女の子の姿が脳裏に浮かび、消えていった

;;立ち絵:アッガイ非表示


;;背景:戦場

「――っ! 負けるもんか、絶っ対に負けるもんか……
ぅあぁっ!!」

;;立ち絵:アッガイ 表情:怒り 位置:左?

「無理だよ。僕と君では性能が違いすぎる」

そう言いながら白いMSは迂闊にもこちらへ近づいてくる。

「MSの……性能の違いでっ!
勝負がついてたまるかぁぁああっ……!!」

さっきの戦闘で体のあちこちが痛む。
手足がまだくっついているのが奇跡のようだ

でも、負けたくない。負けられない。
相棒を殺されてたまるか!

初めてあたしに話しかけてくれた。相棒になってくれた。

隊長さんを助ける為に
勇気を出してこの子に立ち向かった相棒の為にもっ!
やられてたまるか!!

;;SE:金属を叩く音?(ガンダムの顔を2回殴っているのを表現したい)

「っ! マスターは何をしているんだ!」

「いまだっ!」

やけくそで目の前の白いMSを2回殴りつけると
隙が出来たのでその隙を利用して抱きつく。

「えへへぇ、これでキミは何も出来ないね」

慌てて背中のビームサーベルを掴もうとする
白いMSの邪魔をする。

「何をするつもりだ! 僕をどうするつもりだ!」

「もう少しで増援が来るらしいからね。
それまでおとなしくしてもらうよ」

「そんな脅しで……! くっ、離せぇ!!」

盾で背中をガシガシ殴ってくる。痛い

でも我慢しなきゃ
あと少しで隊長さんが呼んだっていう増援が来てくれる
それまで、絶対に離さない!

「……っ!?」

;SE:MSの足音っぽいの

……!! MSの歩く音!
あたし達が出撃してきた方角から!
隊長さんが呼んだ増援が来てくれたんだ!!

「随分無茶をやらさられてるみたいねぇ」

助けに来てくれたザクちゃん達がそんな事を言いながら
あたしと白い子を囲む

抱きついた手を白いMSから離し
「っうしょぉ!! このぉっ!! これでもっ!
ってあれぇ!?」

最後の力を振り絞ったワンツーからの頭突きをお見舞い!
と思ったら頭突きのタイミングで
白い子は高く飛び上がり撤退していった。

あっ、あの子ビームライフル忘れていってる。

「何よ、あたし達が来た意味ないじゃない!」

「んーん、ザクちゃん達が来てくれて助かったよぉ」

「そっ、そう! あんたが助かったならそれでいいわ!」

「えへへぇ、ザクちゃんありがと」

そろそろエネルギーが尽きちゃうや
相棒くんは大丈夫かなぁ?

「あは……もう限界、あとは、お願い
相棒く……じゃないや、
あたしに乗ってるパイロットをおねが、い」

あはっ……これで一安心か……な……

プシュウーッ
あは、安心したら口から煙……出ちゃった……

「あたしにパイロットを頼まれてもねぇ……ってちょっと!」
;;背景:黒

………………

…………

……

パイロット
「ひどいな……頭から出血しているようだ
基地の救護室に運ぼう」

パイロット
「あぁ、それと機体も回収して格納庫へ
修理もしておいてやるんだ」

………………

…………

……


;;背景:白

主人公
「――っぅ……うぅ」
気がつけば目の前には真っ白な天井が広がっていた。
いつの間に寝てしまったんだろう?
というかそもそもここは……

?「おお、気がついたか」

近くから声が聞こえる。声の聞こえた方に目をやると
白衣を着た年配の男性がこちらを覗き込んでいた。

主人公
「……あの、ここはどこ……なんでしょう?」

医師
「は? 医務室じゃよ医務室
お前さんは一週間ここで眠っていたんじゃ」

主人公
「はっ? いっ、一週間!?」

嘘だろ? 医務室で一週間も寝たきり……?
状況がいまいち理解できない。
重い頭を必死で働かせる

;;背景:宇宙→背景:格納庫 立ち絵:アッガイ→背景:戦場 立ち絵:隊長
;;背景:黒

……っ! そうだ、思い出した
こないだの出撃で俺はあいつ、白いヤツに負けたんだ

でも、なぜ俺は生きているんだ? 隊長は無事なのか?
あの白いモビルスーツはなんなんだ?

くそっ、頭が混乱してきた。
でも、ここでいつまでも寝ているわけには……

;;背景:白

ベッドから降り、立ち上がろうとする。

;;画面効果:ふにゃふにゃーってなるアレ

主人公
「……っぐ……ぅ」

医師
「これっ! 無茶しなさんな
一週間寝たきりの状態だったんじゃ
骨や筋肉が衰えてろくに動けないじゃろ」

医師の忠告を聞きながらベッドにもたれかかり身体に喝をいれるよう
息を大きく吸っては吐いてを数度繰り返し、姿勢を正す。              
……よしっ、まだ身体は重いがなんとか動けそうだ。

主人公
「いえ、この通り体調も良くなりましたので
自分は兵舎に戻ります」

両腕を横に大きく広げ上半身を左右にひねって見せる
背骨がミシミシと音を立て
一瞬身体が崩れそうになるが気力で持ち直す。

医師
「んなわけあるか!
……まぁ体調が悪くなったらまたきなさい」

主人公
「ありがとうございます。お世話になりました」

謝意を伝えてから気がついた

主人公
「あっ、先生」

医師
「ほっ? どうしたね?」

主人公
「うちの隊長……第二偵察隊の隊長は知りませんか?
俺と一緒にここへ運ばれたはずなのですが」

医師
「ああ、その男なら確かにここへ運ばれてきたが
あの日は負傷者が多くてなぁ

比較的、怪我も軽いようだったのでな
別の医療施設に移ってもらったよ」

主人公
「そうでしたか、ありがとうございます」

そうか、隊長も無事だったんだな。
良かった。

……そういえば
こないだ乗った機体ってどこに置いてあるんだろう

確か白いヤツにやられてその後
俺は眠ってしまったんだったか……

先日のことを思い出せるかもしれない。
あの日乗った機体を探そう。

………………

…………

……

;;背景:格納庫

うーんと、確かあの時乗っていたのはアッガイだったよな?

;;立ち絵:アッガイ 表情:通常

おや?こんなところに女の子が……
でもこのへんてこ帽子、どこかで見たような……

基地に女の子、しかも見覚えがある。
それだけで俺の足は自然とその少女に向かっていた。

主人公
「ねぇ君、こんなところでどうしたの?」


「!?」

;;立ち絵アッガイ:上下揺れ

目の前のへんてこ帽子の女の子が呆然としている。
いきなり話しかけて驚いているようだ

主人公
「ああ、驚かせてごめんね。
モビルスーツの格納庫に女の子がいるのが珍しくてさ
どうしたの? お父さんに届け物かい?」

;;アッガイ表情:哀

少し泣きそうになっているけど……
もしかして道に迷ってしまったのかな?

主人公
「うぅん、何か言ってくれないと
お兄さん困っちゃうんだけどなぁ……
どうしたもんか……」

とにかく
この子から話を聞いてみないことには始まらないよな……

でも今は女の子が喜びそうな物は持ち合わせていないし……

いかにも場違いな少女に困っていると
後ろから声がかけられた

整備士
「あのー、さっきから誰とお話してるんですか?」

主人公
「えっ? あぁ丁度良いところに
この子なんですけど
うっかり格納庫に迷い込んじゃったみたいで」


「あ、あの……」

整備士
「えっ?」

小さく肩を反らし、女の子の方を指す。
けれど整備士は俺の指す方を一瞥し
怪訝そうな顔をこちらに向ける

主人公
「えっ……」

どういうことだ?
見えていない……?


「あたし! あたしっ!!」

必死に何かを訴えかけようとする少女と
整備士をきょろきょろと見比べる。

俺を不審がる整備士

;;↓大文字で強調

?「あたしがっ!! アッガイですっっ!!!!」

大声で叫ぶ自称アッガイの女の子
叫び声に気付いていないらしく
未だこちらを不審そうに見つめる整備士

主人公
「あ、あの……この女の子が自分はアッガイです。
と言っているんですけど……」

整備士
「さっきから女の子の姿なんて
どこにも見当たりませんけど……」

アッガイ
「ほんとにアッガイだもん!」

主人公
「ほら!! 今の! 聞こえませんでした!?」

整備士
「はぁ……からかうのはやめてくださいよ」

からかっているのは整備士さんの方じゃないのか?
本当に見えていない?
どういうことだ……?

そそくさとその場から
去って行く整備士さんの背中を見つめる。
本当に、どういう事なんだよ……

主人公
「いや、そういうわけじゃ……あぁ行かないでぇ」

うぅ、どうしよう
とても個性的な女の子と二人きりになってしまった。

;;アッガイ表情:通常

アッガイ
「ねぇねぇ、お兄さん?」

俺の気持ちを知ってか知らずか
自称アッガイの女の子が話しかけてきた。
この子マイペースだな

主人公
「うん? どうしたのアッガイちゃん」

アッガイ
「お兄さん、こないだあたしに乗った相棒くんでしょ?」

あたしに……乗った!?
生まれてこの方、女の子に乗ったことなんて無いが……

主人公
「相棒……? あぁ、アッガイに乗った時
そんなこと言ってたなぁ……ってどうしてそれを」

アッガイ
「だから! あたしはっ!
あの時のアッガイだって言ってるでしょー!」

この女の子が俺の乗っていたモビルスーツ、アッガイ!?
にわかには信じられないが
機体に話しかけたことを知っている。

更に他の人間には見えていない……本当にこの子は……?

主人公
「本当の本当に
君は俺が乗っていたアッガイって事でいいのかな?」

アッガイ
「そうだよ?」

さっきからそう言ってるじゃん!
と言いたそうに返事をする。

主人公
「それじゃあ、聞きたいんだけどさ」

アッガイ
「うん、なんでも聞いていいよー!」

主人公
「どうして俺は無事なんだ?」

自称アッガイ、自称俺の相棒を信じて聞いてみる。

悔しいが俺はあの白いヤツに敗れたはずだ。
時間稼ぎも程なくしてあっさりと
その筈なのに俺はどうして生きているのか

自分はアッガイだと主張している目の前の少女なら
目を覚ました時からずっと疑問に感じていた
あの日の出来事を全て知っている気がする。

アッガイ
「ん、んっとね? 説明し辛いんだけど……」

アッガイ
「相棒くんが、あたしを操縦しなくなった時からかな?
あたし、きみを殺されたくない。
負けたくないって思ったの」

アッガイ
「そしたら身体が自分の意思で動くようになって
あの白い子と戦えたの」

アッガイ
「戦えたと言っても時間を稼げただけで
逃げられちゃったんだけどね」

……アッガイが、勝手に戦った?
どうして、というかどうやって?

主人公
「うーん、わかったようなわからないような」

アッガイ
「説明下手でごめん……」

主人公
「でもどうして
モビルスーツが自分の意思で動けたんだろう?」

アッガイ
「わからない、けどあの時
相棒くんを守らなきゃ! って思って」

主人公
「そう……じゃあどうして俺を守ってくれたの?」

アッガイ
「あのね!
きみがあたしに乗った時よろしくって言ってくれたでしょ!
それがすっごい嬉しかった!
隊長さんを助けに行くとき勇気を振り絞っていたのを見て
相棒くんを守りたいって思ったの!」

主人公
「……」

隊長を助けに行くとき……?
あっ、今思い返すと恥ずかしいな

そこまで思い出して気がついた。
俺はこの子の姿を見たことがある。

あの時、俺の頭の中に浮かんできたへんてこ帽子の女の子だ

もしかしてこの子、本当にモビルスーツなのか……?

だったらアッガイに伝えなくちゃいけないことがあるよな
恥ずかしいけど

アッガイ
「相棒くんどうしたの? 元気ないみたいだけど」

主人公
「……ありがとな、助けてくれて。
それと俺、マシオって言うんだ。マシオ・フルヤ」

;;アッガイ表情:喜

アッガイ
「!! えっ、あ! いや、こっちこそありがとう!!
そっその! マ、マシオくん!!」

なんだか様子がおかしい、というよりおもしろい

アッガイ
「えっと、じゃあ改めまして! あたしはアッガイです!
型式番号はMSM-04だよ!」

主人公
「うん、よろしくね。アッガイちゃん」

少し照れてしまうが手を差し出す。

アッガイ
「いやぁ、人間のお友達が出来たのなんて初めてだよぉ」

なんて言いながら俺の手を握り返してくれた。

主人公
「ははっ
俺もモビルスーツの友達が出来るのは初めてだよ」

……ふと格納庫に設置されてある時計に目をやる。
随分と話し込んでしまったみたいだ
そろそろ兵舎に戻って休みたい。

主人公
「アッガイちゃん、俺そろそろ兵舎に帰るよ」

;;アッガイ表情:通常

アッガイ
「え? うん、わかったよ
マシオくんまたね!」

主人公
「うん、またね」

;;立ち絵非表示:アッガイ

格納庫から出て行くとき
こちらを見ていた整備士さんたちがちらりと見えた。

……まぁ一人で何かと話をしていたら
そりゃそうなるよな……

重い身体を引き摺って兵舎に戻る。
うぅ、視線が痛い。

;;背景:黒

………………

…………

……

;;背景:兵舎内、自室

主人公
「はーっ! やっぱり自分の部屋はおちつくなぁ」

食堂で夕食を摂り
風呂に入って一週間ぶりに自分の部屋に戻ってきた。

横になろうとベッドまで歩いたとき、
机に何かが置かれているのが見えた。

……? おや? 机の上に2枚紙が……手紙か?

主人公
「辞令……?」

上にあった辞令には今日から三週間休み
体調を整えろという内容だった。

そして次の一枚

『辞令
 U.C.0079年、○月×日を以て
 マシオ・フルヤ二等兵を上等兵へと任命する。』                

あれっ? どうして俺、昇格するんだ?

ベッドに横になり瞼を閉じる。

;;背景:黒

辞令に書かれていた日付は確か……
白いヤツと戦った翌日だったな

自分がどうして昇格されるのか考えてみる。

増援が来るまで白いヤツを足止めしていたから?
でも、それはアッガイがやったこと
……くそっ、そんなこと基地司令に言っても笑われるだけだ

気に食わない
俺の実力が認められたのなら
今頃飛び跳ねて喜びを表すがこれは他人が勘違いした評価だ

あの日、俺はあの白いヤツにすぐ負けてしまい気を失った。
時間稼ぎすらろくに出来ないまま

主人公
「はぁ、俺はまだまだダメパイロットなんだな」

だったらせめて……

主人公
「これから三週間でパイロットとしての腕を磨いて
今度こそあの白いモビルスーツに勝ってやる」

そんな決意を固め、眠りに就いた。

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最終更新:2012年11月13日 23:37