ジョイス・キャロル・オーツ
(Joyce Carol Oates)
(1938年~ )

略歴

 ニューヨーク州ロックポート出身の女流作家。1960年にシラキュース大学を卒業、1961年にウィスコンシン大学で英文学の修士号を取得した。すでに在学中から創作を始めていた。1963年に処女短編集を発表し、以来60年代を代表する作家となった。カナダのウィンザー大学で英文学の教師を務めながら執筆を精力的に行い、その作品数は現代作家の中で最も多作な作家と呼ばれることもある。その後プリンストン大学教授となった。短編の名手とされるが、長編にも優れた作品がある。彼女の作風は、平凡な人間の内面に潜むグロテスクなものや、残忍さなどを自然主義的手法で描き出すものである。

作品

 『北門のかたわらで(By the North Gate,1963)は処女短編集。これによって文壇に登場するきっかけをつかんだ。他に短編集としては『奔流に(Upon the Sweeping Flood,1966)、『愛の車輪(The Wheel of Love,1970)、『結婚と不貞(Marriges and Infidelities,1972)、『ナイトサイド(Night-Side,1977)、『心を集めるもの(The Collector of Hearts: New Tales of the Grotesque,1998)などがある。
 『かれら(Them,1969)は代表作で全米図書賞を受賞した。1930年代の不況に喘ぐ一家を描いた。
 『ブラックウォーター(Black Water,1992)ではケネディ家第三の悲劇「チャパキディック事件」(ケネディ兄弟の末弟エドワード・ケネディが飲酒運転により事故を起こし、発覚を恐れて通報をしなかったために死なせてしまった事件)を描いた。
 『フォックスファイア(Foxfire: Confessions of a Girl Gang,1993)は1950年代のニューヨークを舞台とした、勇敢な少女たちの物語。
 長編には他に『贅沢な人々(Expensive People,1968),『ワンダーランド(Wonderland,1971)、『私をお好きなように(Do with Me What You Will,1973)、『暗殺者(The Assasins: A Book of Hours,1975)、『チャイルドワルド(Childwold,1976)、『朝の子(Son of the Morning,1978)、『ブラッズムア・ロマンス(A Bloodsmoor Romance,1982)などがある。
 他に詩集として『不明の罪(Anonymous Sins & Other Poems,1969)、『天使の炎(Angel Fire,1973)、『タイムトラベラー(The Time Traveler,1989)、『テンダーネス(Tenderness,1996)がある。
 エッセイにはD・H・ロレンスを論じた『敵意ある太陽(The Hostile Sun: The Poetry of D.H. Lawrence,1973)、『オン・ボクシング(On Boxing,1987)などがある。



最終更新:2010年10月22日 22:34