―――かつて、戦争があった。
一つのコロニーの独立運動に端を発した紛争が、世界全土を巻き込む全面戦争となったのだ。
世界は地上の『地球連邦軍』、そして宇宙(そら)の『宇宙革命軍』とに二分された。
両軍は魔導師と魔導支援機器・『デバイス』を戦争の主力にし、それに伴い魔法科学を急速に進歩させていった。

戦火が日を追うごとに拡大していく中、この戦争に介入してきた一つの勢力があった。
次元世界管理組織・『時空管理局』である。
介入の主な理由は、管理世界内で行われた戦争の仲裁、並びに使用が禁止されている質量兵器の存在が確認された為であった。
時空管理局は両軍の内部に停戦と質量兵器使用の中止を要求。
だが、戦争に勝つことのみを考えている両軍がそんな要求を飲むはずもなく、管理局の意思とは裏腹に戦争は激化していった。
局員達の間で全く好転しない世界情勢が延々と続くのではと囁かれ始めた頃、一つの事件が起こった。
連邦軍の軍事施設を訪れていた時空管理局局員が、革命軍の仕掛けたテロにより死亡したのである。
この事件を切欠に管理局最高評議会メンバーはついに武力行使での停戦強制を決定。
連邦軍、革命軍に時空管理局を交えた三つ巴の争いが始まった。
もちろん、時空管理局の提唱する『停戦の実現』はその兆しを見せることはなく、ただ悪戯に、魔導師達の死体が増えてゆくだけであった。

時空管理局の武力介入が始まって八ヶ月。
戦争は膠着状態に陥り、世界全体に張り詰めた空気が満ちていた。
そんな中、最初に動いたのは革命軍だった。
革命軍は次元世界そのものに甚大な被害を及ぼす『コロニー落とし作戦』、並びに悪魔のロストロギア・『闇の書』を切り札に、地球連邦政府と時空管理局に対して降伏を迫った。
これに対して時空管理局は闇の書の封印を最優先事項と捉え、XV級船艦三隻を投入。
戦時中ということもあり、早々に闇の書をアルカンシェルで葬り去ろうとしていた。
一方、連邦軍は極秘に開発していた決戦兵器・高性能デバイス『ガンダム』を導入。徹底抗戦の構えをとった。
導入されたガンダムの、その中でも『ガンダムX』の戦果は目覚ましかった。
革命軍のコロニーを搭載したサテライトキャノンで次々と撃ち落とし、単機でおよそ35%を破壊したのだ。

……だが、このサテライトキャノンの一撃一撃が、新暦史上最大の悲劇の銃爪となった。
勝利を焦った革命軍は守護騎士吸収により闇の書を強制起動。
闇の書は過去の例に漏れず暴走を開始し、管理局のXV級船艦を全て制圧した。
更には革命軍のコロニーの管制までをも乗っ取り、戦争の二大勢力をいとも簡単に鎮圧したのだった。
この事態に恐怖した連邦軍は、ガンダムXのサテライトキャノンで闇の書の管制人格を破壊。
一瞬勝利を確信した連邦軍だったが、司令塔を失ったコロニーはそのまま暴走を続け……
ついには、第15管理世界の人類の故郷である地球に、致命的なダメージを与えてしまった。
更にコロニー落としの衝撃による大規模次元震までもが発生。
100億を誇った人口のほとんどは失われ、次元世界自体の存続さえ危うい状態となった。
もはや、戦争に勝ちも負けも無かった。

戦後、戦争の舞台となった第15管理世界は時空管理局の完全な指揮下に置かれ、戦後世界――『アフターウォー』と称されるようになった。
この名は新暦最大の悲劇の象徴として、次元世界中に広まっていった。

そして、15年の時が流れた―――

魔導新世紀リリカルなのはXtrikerS―エクストライカーズ―

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最終更新:2008年01月17日 22:38