退屈な日々が終わりを告げる。
空から現れた敵の増援を迎撃に、なのはがヘリから飛び降りていく。
時間と共にアルファが収集しては表示してくる情報に、思わずナニが勃ちそうで、
任務なんかクソ食らえと飛び出していきたくてしかたがない。
それはあまりにも希薄だけど、思い出すには十分な向こう側の世界の空気。
必死に自制を続けた果てに、ようやくヘリがリニアに追いついた。
さぁ、待ちに待った殺し合いだ。
魔法少女リリカルなのはStrikerS―砂塵の鎖―始めようか。

第5話 ひよっこどもの初陣、荒れ狂う心

「さぁて新人ども。隊長さんたちが空を抑えてくれているおかげで安全無事に
降下ポイントに到着だー。準備はいいかー!!」
「「「「はい!!」」」」

予想通りに現れた敵の増援を迎撃しになのはがヘリから飛び出していって何分すぎたか。
自制するのに必死だったせいで覚えていない。
アルファが送ってくれたなのは達の情報があまりにも魅力的すぎたから。
どんなに貧弱で脆弱だろうと全身が悲鳴を上げるほどに渇望したものがあったのだから。
衝動的にヘリを叩き壊してでも行きたくなる意識を必死に抑えつける。
やがて必死に自制に傾けていた意識を現実へ引き戻してくれたのは、
ヘリパイロットのそんな声と、ひよっこ4人の返事だった。

「凄腕さんも新人どもの面倒しっかりみてやってくださいよー。」
「覚えておこう。アルファ、セットアップ。」

そんな言葉をヘリパイロットに返したけれど、ほとんど生返事に近かっただろう。
既に意識は目の前の獲物に傾き始めているのだから。
宣言と同時にバリアジャケット(バトー博士の言うところのボロキレ)が
瞬時に展開される。
すぐに状態を確認。
全身のカラーリングは緑、若干の迷彩効果あり。
頭を保護するのはゴーグル付きのタンクメット。追加パーツとしてアルファと
同型の触覚あり。普段から被っているものとデザインに変更はないようだ、触角以外は。
上半身を覆うのはトランサーシールド。あの世界ではこの上ないほどの貴重品で、
その存在は都市伝説に近く、市場に出回った試しは1度として存在せず、
ほとんどの攻撃を受け止めるどころか片っ端から弾きとばす馬鹿げたプロテクター。
どこかの赤い戦車に乗った有名なハンターが着ていたというが真偽の程は分からない。
殺して殺して殺し続ける日々の果てに、右から左へ物を渡すような感覚で
次々と命を守るプロテクターは壊れて使い物にならなくなってプロテクター屑となった。
プロテクター屑のリサイクルを生業としていたトレーダー達にそんな過程で生まれた
冗談のように膨大な量のプロテクター屑を何度も持ち込んだ果てに、
たった1度だけこっそり横流ししてくれて、彼女と戦ったときにも身に着けていた
思い出深いプロテクター。それが上半身を覆っている。
下半身を覆うのは破ける度に直して、やがて馴染んできたと思えば再び破けては
ズタボロになって、本当にボロキレになるまで履き続けた果てに買い換えてと
延々繰り返したカーゴパンツと何足履き潰したかさえ数えることさえ愚かしいほどに
履き潰してきたアーミーグリーブ。
その上から全身を覆うのはトレンチコート。このコートの中にどれだけの数の武器と
弾薬とクスリと手榴弾を格納してはあの荒野を走り続けてきただろう。
そういえば、腰の弾薬ベルトがないな。
あれほど身につけ続けていたのに。
腕を覆うのはパワーグローブという名の四六時中ドンパチやっている街キャノンエッジで
販売されていたガントレット。向こうのようにパワーサポートの機能はないようだが、
これでもかとばかりに見慣れた形状には安心感を覚える。
唯一違和感があるとすればトレンチコートの背中に折り畳まれて格納された上翅と下翅。
肩甲骨のあたりから生えたような感覚のそれには
無作為なようで緻密なまでに計算されつくした翅脈が奔り、
身体に連動して脈動するかのように青い光が翅脈に沿って迸る。
なるほど、まさにゴキブリじゃないか。
全身を覆う黒い装甲と追加の足がないだけで。
バトー博士なら『吐き気を催すこの独特のフォルム、ゴキブリにピッタリだよね。』とでも
褒め言葉のつもりで笑いながらそう言うだろう。
だが、同感だ。
実に機能的で戦闘用で殺戮に便利な俺向きの装備だよ、これは!!

「ハンター1、先にでるぞ。」

言葉と同時に格納されていた背中の翅が左右に展開され凄まじい勢いで振動を始める。
まるでフレアーのように脈動する青い光を振りまきながら・・・・・・。
無意識にタンクメットのゴーグルを下ろす。
これで空を飛ぶ準備はできた。
後は空に踏み出すばかり。
バトー博士を信じるならば、物凄い言い回しが続いたけれど要約すれば、
『地面があるのと変わりなく』動けると言った。
バトー博士は決して嘘をつかない。
ならば決して揺らがぬ絶対の完璧なる信頼をもって俺は応えよう。
かけらも疑わずに踏み出した俺は、開放されたハッチから文字通り『歩いて』空に出る。
数歩『歩いた』とき、その足は間違いなく確かに立っていた。
なにも存在しないまっさらな空の上に・・・・・・。
まるで地面を歩くのと変わらない感覚で・・・・・・。

「あは、あははははは、アハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

この狂ったような笑いは俺が出しているのか。
時間も場所も忘れて身体が勝手に地面をのた打ち回ってしまいそうだ。
ああ、どうして、どうしてこんなにも狂ったような笑いが止まらないのか。
人間としてはかけらも理解ができなかった。
けれど、ハンターの思考と、遺伝子にまで刻み込まれた殺し合いの記憶は
笑いが止まらぬ理由を明確なまでに理解していた。
あまりにも単純で考えるまでもないこと。
それは、より戦いに向いた装備が手に入ったということへの歓喜の笑い。

ふと気がつくと、コールサインを叫びながらティアナとスバルが飛び降りていき、
バリアジャケットを展開・・・・・・っておい、なんで先に展開してから飛び降りない!!
飛び降りるときに下から対空射撃で蜂の巣にされるとか考えないのかよ!!
狂ってた俺も悪かったが、それでも砲座が見えないからって油断しすぎにもほどがある。
ってキャロとエリオも真似するな!!
着地して足を止めるな!!
初お披露目のバリアジャケットとかいう服に感動している暇があったらさっさと動け!!
リインフォース曹長(で正しいのか?)ものんびり一緒に飛ぶな!!
曹長だろあんた!!
死にたくなければ足元まで気をまわせ!!
案の定、足元であるリニアの天井越しの攻撃に慌てている。
ってティアナ、射線の先に味方がいるときにトリガー引くんじゃねぇ!!
スバルも出撃前にガジェット多数言われていたのに、躊躇いもせず中に飛び込むな!!
リニア壊すな!!
だから足を止めるなって!!
他にも言いたいことが山のようにありすぎて・・・・・・。
ああ・・・・・・。
もういいや。
ひよっこが多少死に掛けてもいい勉強だろう。
どうせ払うのは自分の命なのだし。
なんだろう、彼女を殺してからずっと抱え続けていた感覚とは別に、
体のどこかから抜け出していく火炎放射機や高出力レーザーよりも
熱く轟々と燃えているようで、冷凍弾よりも冷たいかのような感覚は・・・・・・。
ああ・・・・・・、死ねばいいのに・・・・・・。


ひよっこどもを眼下に収めながら、リニアを見つめる。
発作的に銃口をひよっこどもに向けそうになる。
かなり危ういところを必死に押さえ込みながら思考をどうにかアルファのほうへ向けた。
まずはアルファに追加された機能を試しておかねばならない。
そうだ、まずはアルファのほうへ気を回してひよっこどものことは一時忘れておこう。
それが一番全員にとってマシな選択のはずだ。
発作的に205mmキャノン弾種爆裂とかスリーバーストとか叫びそうな心を押さえ込む。
そうだ。少しぐらいサボっても大丈夫だ。
下でひよっこどもが勉強しているのだから多少サボっても問題ない。
アルファの機能把握をしても・・・・・・問題は・・・・・・ない。
そんな思考を必死に繰り返しながら、ふっと深呼吸をして、アルファに視線を向けた。
さて、なにはともあれアルチュウでヤクチュウでクレイジーでデンジャラスな道具に
なんでも変形できるとバトー博士が請け負ったサポートデバイスの機能だが、
どうやって運用したものか。
手榴弾などの投擲系は場面次第で運用可能。
しかし、拾うというアクションが必要になることを考えると他の装備で代用が望まれる。
回復カプセルおよびドーピングタブなどの錠剤系は飲んだ跡で吐き出すか、
あるいはハラワタを切り裂いて取り出すハメになるからやや殺し合いには不向き。
それ以前に320kgの錠剤って飲み込めるのだろうか。
・・・・・・あれ?
内容物はどうなっている?
そして、エバ・グレイ博士の作ったあれはどういう扱いになる?
思考するのとほぼ同時にアルファに宣言していた。

「アルファ、回復ドリンク、1回。LOVEマシン3113、1トリガー。G3A3。」
「了解しました。マスター。」

変形するアルファを片目に、躊躇わず左腕のパワーグローブを脇に挟んで
左手を引き抜きながら、剥き出しになった腕を食いちぎる。
当然のように滴り落ちる血。
後から聞くところによると、バリアジャケットはプログラムとかいうので魔力から
作っている関係から一部だけを服みたいに簡単に着脱できないそうで、
俺が当たり前のようにやった行為にデバイスマイスターでもある通信士のシャーリーが
真っ先に卒倒しかけたらしく、メカニックスタッフが一斉に大混乱に陥ったそうだ。
やがて重厚な稼動音が止むと、右手に収まったアルファは1本のドリンク剤になっている。
さて、問題はここからだ。
蓋を開けて、躊躇うことなくドリンクの瓶に口をつけて一気に傾ける。
中身は・・・・・・ちゃんと入ってる!!
一気に嚥下する。
アルファが次の道具へと変形を始める。
だが、そんなことはどうでもいい。
今、気になるのはこの食い破った傷口だ。
さぁ、どうなる?
目の前で始まった光景はあまりにも見慣れすぎて聴き慣れすぎたモノ。
軋むような音と共に塞がっていく食い破った傷口があった。

「マスター、変形完了しました。」

アルファに言われるまで意識が跳んでいたのだろうか。
ほんの数秒に過ぎないが記憶が欠落しているような・・・。
目の前の現実に脳が焼き切れでもしたか。
実際は快楽物質が凄まじい量を分泌されたようで絶頂状態あるいは軽い気絶であったと
視界に奔るアルファが送ってくれた俺自身のバイタル上には表示されていた。
ふと、手元のアルファを見れば、まぎれもなくサイバーウェアの研究者である
エバ・グレイ博士が作り出した不思議な機械LOVEマシンとなって手元に納まっている。
L・O・V・Eの4つのチップの配列から為る不思議な機械。
チップの配列によってあまりにも構造と原理を超越した効果を引き起こすことが、
アイなんていうあの世界で最も幻想じみたコワレた言葉にぴったりで、
チップ自体のアナグラムも合わせてLOVEマシンと
開発者のエバ・グレイ博士本人さえ呼んでいたそれが手元にある。
LOVEマシンの後に告げた3113とはチップの配列。
つまりLチップ3番、Oチップ1番、Vチップ1番、Eチップ3番の配列。
効果はスピードタブと呼ばれる神経伝達物質の分泌量を増やす錠剤と同じ効果。
この世界では麻薬とでもいうのか。
脳の安全装置が機能できる時間を確保した上での神経伝達速度を加速する薬は・・・・・・。
スピードタブの量が20mgと50mgのものがあるが、3113は20mgのほうだ。
もう、躊躇わない。
トリガーを引く。
それと同時に周囲の時間が遅くなっていく感覚に襲われる。
ああ、この感覚は数え切れないほどに覚えがある。
何度と無くお世話になったスピードタブのそれだ。
バトー博士、あなたは本当に天才だ。

「マスター、G3A3への変形完了しました。周辺の詳細情報を継続して送ります。
なのは達が敵増援の迎撃を終えたようです。」

アルファに言われるまでのほんの数秒、再び狂ったように笑いっぱなしだったようだ。
通信越しにリインフォース曹長とシャーリーとはやてが物凄い勢いで絶叫している。
ああ、なにをそんなに慌てているんだ・・・・・・って目の前で人が発狂したように
笑い続ければ騒ぎもするか。
しかし、なんてなんてなんて素晴らしい。
どうしてこんなに笑いが止まらないのか。
ハンターの思考が、遺伝子が、馬鹿げたほどに積み上げられた経験が歓喜に絶叫し、
人間らしい思考を侵していく。
まさにWhoop-de-doodleってやつだ。
ああ、そうかそうなんだな、お前ら。
ならば、もっと盛り上げてやろう。
お前らの性能テストとアルファの性能テストも兼ねて。
なんせ目の前に獲物があるのだから。
もっともアペリティフにすらならないかもしれないがな!!
視界に捉えたのはAMFによって戦うことさえままならず、
リニアから放り出されたエリオとリニアから飛び降りるキャロの姿。

「召還に似た強大な魔力収束が観測されています。」

アルファがそんなことを言っていた気がしたけど、既に俺の身体は加速していた。
さすがバトー博士、まさに落ちるのならば天井知らず。
具体的に魔導師でもわかるように説明するなら詠唱時間0の魔力消費0で
ソニックムーブとかいうやつを使ったのに近かったらしい。
後でフェイトとエリオに反則呼ばわりされたがそんなに異常なことなのか?
気持ち程度にきつい程度の動きでしかないだろうに。


「ご、ごめんなさい。」
「そんな・・・・・・・こっちこそ・・・・・・。」
「おい、イチャついてるクソガキどもとクサレペット!!
片っ端から生爪剥がして片っ端から生皮剥いで、全身に釘と鋲と杭撃ち込んで
磔にして指先から順に切り刻んで膾にしてミンチメーカーにかけて
焼き尽くされたくなかったら黙って言うことを聞け!!返事は!!」
「「はいであります!!」」
「キュクルルル!!!!」

キャロのことしか目に入っていなかった僕の真横から響いた凄まじい言葉に、
いつの間にと思うよりも早く返事をしていた。
ほとんど条件反射で。
物凄く怖い人だっていまさら気がついた。
ドラゴンまで震え上がるっていったいはんたさんってどれだけ怖い人なんだよ。
言われた内容の意味に任務終了後、冷静になって気がつくとキャロと2人して
真っ青になって抱き合いながら震えっぱなしだったのだけど。

「キャロ!!打撃力、機動力、貫通力、使えるブーストは!!」
「あ、あの・・・・・。」
「誰でもわかるように簡単明瞭正確に一言で答える!!」
「2つ同時に全部使えます!!」
「だったらエリオに打撃力と機動力ブースト!!!!
AMFは俺が片っ端からはがしてやるから、エリオはトップスピードのままで
とっとと突っ込んで片っ端からぶち壊せ!!返事は!!」
「「はいっ!!」」
「リニアの上で呆けているひよっこ共、さっさと前に走らないとマジで殺すぜ!!
アルファ!!ひよっこ4人と六課の管制メンバーに位置、距離、予想耐久力および
残存勢力数以外の全情報をオミットしてデバイスに転送。88mm砲、弾種エレキ!!」
「了解しました。マスター。」

横で重厚な音を上げながら複雑な変形を繰り返すはんたさんのデバイス。
フリードを足場に僕の後ろではキャロが涙目になりながら詠唱をしている。
ストラーダを構えた僕の周囲に物凄い量の情報がウィンドウで開いていく。
そんな・・・・・・。
こんな状態だったのに、僕達って・・・・・・。
意図的に削られていたのか、それとも本当に分からなかったのか。
とにかくどちらか分からないけれど、情報の嵐ともいうべき情報量の中で
まだまだたくさんの敵が残っていることだけは分かった。
僕を投げ落とした目の前の大きなやつだけで終わりじゃないとも。
ジャキンと背筋が凍りつきそうなまでに冷徹な音が響き、
音のしたほうを見ればはんたさんのデバイスが
巨大な大砲(他になんていえばいいかわからない)になっていた。

「ブースト完了しました。」
「それじゃエリオ、さっさと行け。ファイエル!!!!」
「ストラーダ!!ソニックムーブ!!」

聞いたこともない凄まじい炸裂音と共に冗談じみた速度の魔力弾が飛んでいく。
それを追いかけるように、僕は飛んでいった。
魔力弾が着弾すると同時にAMFの上から紫電がほとばしり、
あれほど驚異的だったAMFが停止していく。
同時に脅威だった相手の攻撃も・・・・・・。
雷を使えばこんなに簡単だったなんて、どうして気がつかなかったんだ!!
そんなことを考えている間にはんたさんの声が響く。

「2発目!!!!!!!!ファイエル!!!!!!!まだまだ続くぞ!!!!」

はんたさんの魔力弾がリニアの壁を横から貫いて紫電をほとばしらせる。
その度に複数のガジェットドローンが一斉に機能障害を起こし始める。
同時に傍らに表示された敵耐久力の本当の意味を知った。
はんたさんの攻撃で相手は動かない人形になった。
敵の耐久力が表示されるおかげでどれだけ攻撃すればいいか分かる。
おかげで攻撃の無駄が無くなる。
これならまだまだ加速できる!!

「作戦目標クリアー。継続して索的および警戒を続行します。
管制室、レーダーレンジ内に敵影ありませんが、問題はありますか?」

気がつけば背後にガジェットドローンの残骸が溢れていて、
はんたさんのデバイスのアルファ(そういえばインテリジェントデバイスなのかな?)が
そう告げていた。
え?
この残骸って・・・・・・僕がやったの?


「車両内・・・・・・・および・・・・・・上空のガジェット反応・・・・・・全て・・・・・・消失。」
「スターズF・・・・・・レリック・・・・・・無事確保。」
「車両の・・・・・・コントロールも・・・・・・取り戻した・・・・・・ですよ。今止めまーす。」
「ああ・・・・・・ほんなら・・・・・・ちょうどええ。スターズの3人と・・・・・・リインは
ヘリで回収してもらってそのまま・・・・・・中央のラボまでレリックの護送・・・・・・
お願いしようかな。」
「ライトニングは・・・・・・どうします?それとハンターは?」
「現場・・・・・・待機。現地の局員に・・・・・・事後処理の引き継ぎ。よろしくな。
ああ、はんた!!絶対に絶対に現地局員血達磨にしたりしたらあかんからな。」
「それなら腕の1・・・・・・。」
「あかんて!!」
「了解しました。」

コレは夢コレは夢コレは夢と壊れたように呟きっぱなしのシャーリー。
他の課員も呆然としながら報告を口にする。
まさか六課の管制システムと同じかそれ以上の性能持ってるとか
デバイスに言われたらデバイスマイスターとしては悪夢やしなぁ・・・・・・。
知識無い私らでも常軌を逸してると分かるのに。
しかし、はんた、最初こそ狂ったみたいに笑い出したりしてヤバイ思ったけど、
戦いだしたらもっとヤバかったわ。
なのはちゃんのときとか地上本部のときはまぐれやったと思い込もうとしたんやけど、
やっぱ本当に戦いになれている。
バトー博士みたいな物凄い言葉使ったんも苛立ちからやろうか。
私らはリミッターついてるし、戦いが楽しいとか思うたことはない。
それにひよっこのフォワード4人が育っていくのが見ていて楽しい。
けれど脊髄反射で殺し合いができるという彼の目にはどう映るのだろう。
まさに戦って獲物を屠るために生まれたような狩猟者(ハンター)には・・・・・・。
しかし、見れば見るほど台所の黒いあれと紙一重やなぁ。
はんたのバリアジャケットって・・・・・・。


どこかの施設において・・・・・・。

「刻印ナンバーⅨ。護送体勢に入りました。」
「ふぅむ。」
「追撃戦力を送りますか?」
「やめておこう。レリックは惜しいが彼女達のデータが取れただけでも十分さ。
1人だけデータをほとんど取らせなかった魔導師がいたが、
陸曹、いや空を飛んでいたから空曹かな、戦いなれた砲戦魔道師といったところだろう。
実に粒ぞろいだ。フフッ・・・・・・。」

そう言って白衣の男が邪悪な笑みを浮かべる。
とても楽しそうに・・・・・・。

「それにしてもこの案件は実に素晴らしい。私の研究にとって興味深い存在が
揃っている上に、この子達を、生きて動いているプロジェクトFの残滓を
手に入れるチャンスがあるのだから・・・・・・フフフフフフフフ。」

どこかの暗い施設の中、男の笑い声が延々と響き渡った。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年01月21日 20:22