あの数日間の出来事、ありえないほどつらかった。

 人を信頼すること、人に裏切られること。俺が今まで思っていた渋谷は、狭くて息苦しい、ただ退屈な街だった……でも違った。

 みんなと出会えてよかったと思ってる。

 今までは見えなかった何かが、見え始めたような気がするから。

 パートナーを信頼しろ。俺はお前を許さないけど、俺はお前を信じる。


 それと、俺達……生き返る世界を間違えたみたいだ。狙ってやったんじゃないだろうな、ヨシュア?


 魔法少女リリカルなのは -It's a Wonderful World-


 今俺達がいる世界はミッドチルダっていって、魔法技術が発達した世界だって聞いてる。
 おかしいだろ? 俺達がもといた世界じゃ、魔法はただの空想の産物だったんだからな。

「ネク! この機械、襲ってくるよ!?」
「クソッ、俺達こいつらに何かしたか?」
「身に覚えが無いから困ってるんだろ……」

 どういうわけか、この世界でもバッジは使えた。
 だから今みたいに、機械……ガジェットだっけ? それが襲ってきても、何とかなった。


「しかし三人とも珍しい名前やな……特にビイト君、ホントはこれ偽名かアダ名のどっちかやない?」
「そ、そんなんじゃ「ほんまに?」……すいませんでした。尾藤大輔之丞です」

 ビイトが名前のこと聞かれて、敬語で謝ってたのには思わず笑ったな。
 あの後俺に言ったみたいに「ダセーからビイトって呼べ!」って言ってたからみんなビイトって呼んでたけど……
 もしそう言ってなかったら大輔之丞とか呼ばれてたのか?


 俺達が地球に送り返されるまでの間も、色々な事があったんだ。
 手続きとかでしばらく時間がかかるって言われてたから、その間は機動六課の世話になってたよ。

「そういえばネクっていつもヘッドフォン着けてるわよね。どんな音楽聴いてるの?」
「元はといえば人との関わりが嫌だったから着けてたんだけどな……聴いてみるか?」

 その後ティアナにヘッドフォンを貸したんだ。最初のうちはノリノリで聴いてたんだけど、途中で orz ←こんな感じになってた。
 確か『ツイスター』って曲の「偉い? で? 辛い? ってか(もう)凡人風」ってフレーズのあたりか。
 あのフレーズで何でああなったのか今でも分からない。


 もちろんただ送り返されるだけっていうのも癪だったから、六課の仕事も手伝った。
 バッジやサイキックもちゃんと使えたから、何とか足手まといにはならずに済んでる。

「黒いカエル……まさか、ネクさんが言ってた『ノイズ』!?」
「シキ、これどういう事!? 何でノイズがこんな所にいるのよ!」
「知らないよ! こんなの死神がいない所に出る訳が……まさか!?」

 まあ、さすがに禁断ノイズが出てきたことには驚いた。こいつらがいるって事は、死神が誰かミッドチルダに来てたって事だからな。


「管理局のヘクトパスカル共に告ぐ! お前ら全員ここで4ね!」
「……ネク、あいつ本当に死神か? 実はただのバカだとかじゃねえのか?」

 ……で、出てきた死神はお前が倒したはずのあのオブジェ死神。ここには生き返る途中の参加者とUGで死んだ奴らが集まるようにできてるのか?
 しかもあいつは、スカリエッティって奴と手を組んでた。もしかしたらそっちで言うコンポーザーみたいに、次元世界を牛耳る存在にでもなりたかったのかもな。


 それから俺はなのはさんとパートナー契約をして、スカリエッティが動かしてる戦艦……ゆりかごだっけ。それに乗り込んでる。
 シキやビイトと契約したままの状態って事は、多分複数人と契約しても大丈夫なんだろ。
 それに、生きてる人間との契約もヨシュアの時に出来てる。だからなのはさんとも契約できたんだと思う。
 ……それは今は置いといて、それからどうなったか話すよ。
 ヴィヴィオを助けたのはいいけど……あのオブジェ死神とまた戦うハメになった。

「ゼタ遅ぇ! ゼタ遅ぇ! ゼタ遅ぇんだよ!!」

 何回か戦って分かってはいたけど、やっぱりあいつは強い。UGで戦った時も、もう少しで消されるところだったくらいだ。
 でも、俺達は負けられない。こいつを何とかしないとゆりかごは止まらない。
 動力炉も潰れてるし、制御する役のヴィヴィオも助けた。それでも止まらないのは多分、こいつが何かをしたからだ。

「全力!」「全開!」
「「スターライトォ……ブレイカァァァァーーー!!」」

 そして、俺達は――――


 ――――さて、今までネク君が語ってくれてた物語だけど、多分この全容が日の目を見ることはもうないんじゃないかな?
 何でって? これを文に起こす人が他の物語を書くのに忙しいから、この物語にまで手が回らないんだよ。
 その「他の物語」が一段落つけば何とかなると思うけど、望みは薄いね。だからこう言うべきかな?


「魔法少女リリカルなのは -It's a Wonderful World-、多分始まりません」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年01月30日 09:33