『マクロスなのは』第23話『ガジェットⅡ型改』


第1管理世界 ミッドチルダ首都クラナガン 某所

「今日の晩、ちゃんと来られるんだね?」

MTT(ミッドチルダ電信電話株式会社)の音声回線を前に女が確認するように問う。
それに回線の向こう側にいる誰かが応える。

『へい、アマネのやつがようやく管理局のレーダーのセキュリティホールを見つけやして』

「でかした!」

『でへへへ、姉(あね)さんに褒められるとうれしいですわ~』

「バカ!あんたを褒めたわけじゃないよ!それで、こっちには何で来るつもりだい?」

『え~と、輸送船で「キリヤ」って船です』

「「キリヤ」って・・・・・・ありゃ先代が30年も前に盗んだダサいポンコツ船じゃないか!もっとましな船はないんかい!?それともうちの次元海賊は首領の私がいないと運営が傾くほど資金難なの!?」

『いえいえ、そんなことないです!あっしにはよくわかりませんが、アマネによればセキュリティホールを抜けるのにあのヒョロっとした形とタイアツコウゾウだったかが重要みたいで―――――』

「あ~もう!わかったわかった!とにかく来なさいよ!そうじゃないとせっかく手に入れたこいつが無駄になるんだからね!!」

『それはもう。アマネもそのカワイコちゃんを思う様に犯してやりたいって張り切ってますわ』

「あの子の期待に応えられそうだよ。この機体は」

次元海賊の首領である女はそう言うと、ブルーシートにかけられた管理局の最新鋭戦闘機を撫でた。

(*)

同時刻 機動六課 訓練所

そこでは模擬戦が最終局面を迎えようとしていた。
魔力を前面に押し出して攻撃を放ってきたスバルの攻撃と、自らの魔力障壁がぶつかり合ってスパーク。放電現象によって周囲の空気の一部がオゾンへと変わったのか、鼻の粘膜に刺すような痛みが一瞬襲う。しかしその痛みはバリアジャケットのフィルター機能が瞬時に遮断した。
それでも自らの嗅覚は上方を推移し始めた動体の動きを見逃さなかった。
ティアナがどんなに頑張ろうと空は自分のフィールド(領域)であり、シロートの接近に気づかぬ訳がないのだ。

「・・・・・・レイジングハート、シールドパージ」

『Alright.』

なのはの指示にスバルを受け止めていたシールドがリアクティブ・アーマー(爆発反応装甲。被弾した場所の装甲が自爆し、弾道を反らしたり減衰して無力化する機構)のように自爆。爆風と煙幕によってスバルの攻撃を完全に無力化する。
しかし自分に自由落下程度で挑んで来ようとは・・・・・・

(遅すぎ)

なのはは降ってきたそれを物理的に掴んだ。
そして指先の接触回線から、急ごしらえで作ったらしい詰めの甘い対ハッキングプログラムをオーバーライド。友軍以外の他者の魔法を拒絶するオートバリアを無力化する。
続けて彼女は、オートバリアのなくなったティアナに浮遊魔法をかけて勢いを殺した。
シールドパージからここまで100分の1秒未満。落下距離に換算すればたったの10センチにすぎない。
日々相対速度が音速近くなる(対ゴーストや対バルキリーでは軽く2~3倍を超える)空戦に対応出来る・・・・・・いや、しなければいけないなのはにとってそれは亀のごときスピードでしかなかった。

(*)

突然白煙に包まれ、視界ゼロとなったことにティアナは狼狽する。しかしなのはがいると予想される場所から声がした。

「おかしいな・・・・・・2人とも、どうしちゃったのかな?」

決して怒った口調でも非難する口調でもないなのはの言霊。一定方向から聞こえるという事は自分は静止状態にあるらしい。思考する内にも白煙が晴れていく。
最初に目に入ったのは恐怖で引きつる相棒の顔だった。そして、『どうしたのだろう?』と思う間もなく、冷たい風ががそこを洗った。
なのはの素手で受け止められたスバルのデバイスと自身の魔力刃。
そして魔力刃を握る拳から滴る〝血〟。
それは視界とは裏腹に、自身の頭を白煙で満たした。

「頑張ってるのはわかるけど、模擬戦はケンカじゃないんだよ。練習の時だけ言うこと聞いてるフリで、本番でこんな危険な無茶するんなら・・・・・・練習の意味、ないじゃない・・・・・・」

なのはの一言一言が重くのし掛かる。
今まで丁寧に教えてくれた人に、自分は今何をしている?
銃を突きつけている。
これはいい。ここはそういう所だ。
無茶して怪我させている。
これは・・・・・・弁解の余地はなかった。

「ちゃんとさ、練習通りやろうよ。ねぇ?」

「あ、あの・・・・・・」

しかしなのははスバルの弁解を聞こうとせず、こちらを見る。
その瞳のなんと虚ろなことか。
この優しく、時に厳しい彼女が、こんな生気の抜けた顔をするのか。
その瞳と血とは、ティアナを混乱させるに十分な力を持っていた。

「私の言ってること、私の訓練、そんなに間違ってる?」

なのはの問いかけに、ついにティアナの混乱は頂点に達した。

『Ray erase.(魔力刃、解除)』

唯一自らを空中に縛っていた魔力刃が解除。浮遊魔法で軽くなった体を生かして跳び、なのはから離れたウィングロードに着地する。
しかしそれだけでは冷静さを取り戻すには足りなかった。

「私は、ただ、なのはさんに、認めてもらいたくて・・・・・・さくら先輩みたいにちゃんとした教導を受けたくて─────!」

こんがらがったティアナの思考にはもう一貫性がない。
口とは違い、体はカートリッジを2発ロードし、まだなのはに攻撃を放とうとしていた。

「・・・・・・少し、頭、冷やそうか・・・・・・」

向けられる指先。そこに桜色の魔力が集束していく。

「なのはさ─────は!?バインド!?」

止めに入ろうとしたスバルは、己の両腕がいつの間にか封印されていることに驚愕する。

「じっとして。よく見てなさい」

この時、なのはが他にレイジングハートに向かって何か呟いたが、スバル以外の感知するところになかった。

「クロスファイヤ─────」

「うぁぁーーー!ファントムブレイ─────」

「シュート」

なのはの宣言と共に桜色の砲撃が放たれた。
しかしクロスミラージュが砲撃に使おうとした魔力を流用してシールドを緊急展開。なんとか減衰する。その後貫通したそれはティアナの体を炙ったが、重度の魔力火傷は回避した。
本当なら砲撃プログラムに容量を取られてシールド展開用の緊急プログラム作動すら間に合わない間合いであったはずだが、なのはに命令を受けたレイジングハートのハッキングにより、時限作動していた。
これで戦闘意欲は削いだかに思えたが、ティアナはまだ諦めていないようだった。無理やり攻撃態勢に入ろうとしている。もはや魔力を生み出す体力がないのかカートリッジを湯水のように消費して足しにする。

「お願い、私は負けられないの!!」

しかし願いとは裏腹に生成される魔力をなかなか成形させることができず、オレンジ色の魔力が重力井戸から解き放たれた大気のように空中へと拡散してしまう。どうやら実質的な戦闘不能状態であるようだった。
一方なのはは再び魔力を収束し始めていた。
しかし今度のそれに教育的な理由は感じられない。
先ほどのようにティアナの最高状態に合わせて撃とうとしているわけでもなく、実のところリミッター状態の今のなのはが最も撃ちやすいAA出力の砲撃魔法でしかなかった。
しかしそれはフェイトや守護騎士のような親しい人種でもその事実には気づけなかっただろう。なぜなら彼らはなのはが訓練時に魔力の出力を下げて使うとき、本人ですら気づけないような特殊な癖がある事を知らないからだ。だがここにはその乱心に気づけ、かつ対応出来るだけの能力を持った者が2人いた。

(*)

まばたきの瞬間、なのはの目前に浮く収束中の魔力球が破裂した。

その瞬間スバルにはそのぐらいにしか認識できなかったが、直後遥か遠方から聞こえてきた重い発砲音をたどると、観戦していたさくらがビルの窓から魔力球を狙撃したのだとわかった。
そしてティアナの所には高空よりやってきた一陣の風が舞い降りていた。

「この大バカ野郎!歯ぁ、食いしばれっ!!」

EXギアの腕のみを外したアルトの一撃がティアナの頬に炸裂した。
顔に一切のダメージを残さぬよう、足場であるウィングロードから足を踏み外さぬよう、芯まで突き通すように掌(てのひら)で張り飛ばす早乙女家の技はまさに芸術的であった。
その一撃によって彼女の意識は完全に飛び、ウィングロードの上に横たわった。

「ティア!」

狙撃以来バインドから解放されていたらしく、スバルは立ち上がると同時にマッハキャリバーを吹かして親友の元へと駆ける。
その後ろからなのはが厳かに告げた。

「・・・・・・模擬戦はここまで。今日は2人とも、撃墜されて終了」

スバルは振り返りなのはを睨みつけるが、何も言えなかった。

(*)

その後意識不明になったティアナの搬送作業、その他のゴタゴタで次に行われる予定だったライトニングの模擬戦も中止。
そのまま解散となった。

(*)

2146時 訓練場前

そこではなのはが、ホログラムのプログラムエラーの修理と最終確認をしていた。
どうやらリアリティの追及のし過ぎでそれぞれのマトリクスに過負荷がかかり、オーバーロード気味だったようだ。
彼女は構成情報を減らしたり、多少のコマ抜けを看過するようプログラムを改良していく。
ホログラムの訓練場でこれほど大規模なものはコストの問題で世界初の試みであったため、まだノウハウの成熟には時間が要るようだった。

「待機関数を1ミリ秒のループに繋いで・・・・・・よし、終了!レイジングハート、プログラムのチェックをお願い」

『Yes my master.』

デバックの進行を表すバーがゴールである100%を目指して伸びゆくのを眺めていたが、後ろからやってきた気配に振り返る。

「誰?」

「い、いよぅ」

突然こちらが振り返ったのに驚いたのか、その人物はラフに挙手した。

「ア、アルトくん!?」

直後背後からレイジングハートのデバックの終了と問題なしの報告。そしてご丁寧に作業用のホロディスプレイまで閉じて〝お仕事〟の終了を完璧に演出してくれた。
絶対の信頼を置く己がデバイスの反乱になのはは全面降伏。仕事に逃げるのをあきらめて問題に向き合わざるを得ないと観念した。

(*)

同時刻 ミッドチルダ 千葉半島沖合100キロメートル

その場所に一隻の次元航行船がワープアウト(次元空間から出てくること)していた。黒い船体の中央辺りに突き出た艦橋には輸送船「キリヤ」の文字。
作られたのが40年も前の船で、さらに他世界の次元航行最初期の設計であったために勘違いな設計が多数存在する。
例えば次元空間を当時その世界の理論では水中のような高圧の流体の世界だと考えており、船体のデザイン、そしてその強力な耐圧構造はそれに則して施されている。そのため船体の形状は魚雷型で、スクリューが無いことを除くと潜水艦にしか見えないし構造も同じである。
現代では次元空間のワープバブル(次元空間の時空エネルギーに対抗するために張られるバリアのようなもの)の中は宇宙空間のようなもので、我々のよく知る管理局所属の次元航行船、巡察艦「アースラ」などは見ての通り流体内部を航行するような構造ではない。そのため外装の装備などが充実し、船型を制限されず〝ハイセンス〟なデザインとなる。
そのような事情な現代ゆえ、先ほどの次元海賊の面々もこの艦を前時代的なひょろっとした艦としか認識できないのも仕方ないことだった。
だが現代のそのような認識が次元海賊に幸いする。実はこの輸送船「キリヤ」は次元空間から直接深海1000メートルにワープアウトしており、時空管理局の太陽系すべてを網羅するほどのワープアウト検出用防空ネットワークに引っ掛からないのだ。
セキュリティホールとは言えまさに灯台下暗しとはこのこと。さらに一度ワープアウトして入ってしまえば、海上船舶程度の船籍の偽装は次元海賊の組織力をもってすれば比較的容易で、ワープアウト数分後には水中から浮上して堂々とミッドチルダに待つ女首領との合流ポイントへと向かった。

(*)

「さっきティアナとスバルがこっちに謝りに来てたぞ。なんでもお前がオフィスにいないから先に俺のとこに来たらしい。『今日はもう遅ぇからなのはに謝まるのは明日にしとけ』って言っておいたんだが・・・・・・」

なのはと訓練場から宿舎への道を歩きつつ伝える。

「うん、ありがとう。・・・・・・でもごめんね。監督不行き届きで。それに私のせいでアルトくんやさくらちゃんにもにも迷惑かけて・・・・・・」

「確かにあれはお前らしくなかった。特に2発目。1発目はそうだな、ああするのが一番だっただろうよ。殴って殴って徹底的に型を叩き込む・・・・・・オレの知ってる稽古はそういうものだ」

幼少時代、寝ても覚めても歌舞伎の稽古で殴られ続けた記憶がフラッシュバックを起こして一瞬言い淀むが、今自分がその吐き気を催しそうな指導方法を認めようとしている、さらには先ほどティアナに実施したことに気付いて居たたまれなくなった。
それに教えられてもいないのにあの平手打ちをしっかりマスターしていたことにその業を怨まざるを得なかった。かといって歌舞伎で言うこの「うつし」と呼ばれる真似の技術が自身が幾多の戦場を駆け抜けるのに1役も2役も買っていたことも事実であることが、大人の階段を上る青年の心を複雑にかき乱した。
しかし自分のことで精いっぱいでそんな青年の機微を感じ取る余裕のないなのははその2発目について漏らし始めた。

「・・・・・・私、怖かったの」

「怖いってティアナがか?」

「そう。あの時のティアナ、無茶を通して道理を通す。・・・・・・まるで昔の私みたいだった」

「・・・・・・お前の撃墜事件のことか?」

「うん。無茶してた自分のことを思い出したら撃墜された時の痛みとかリハビリの苦痛を思い出して、気付いたら頭真っ白になっちゃって」

「それで怖くなって撃とうとしてしまった、と?」

「そうだよ。いくらティアナでもクラスAのリンカーコア保持者なんだから、攻撃の意思表示をしている以上、〝出力を落とした〟砲撃で昏倒させようとしたあの判断は戦術的に正しかった―――――」

「おい待て。お前、それは本気で言ってるのか?」

「もちろんだよ。でもやっぱり判断力が鈍ってたのかな。さくらちゃんは放出しちゃったティアナの魔力に私の砲撃が引火するのを防いでくれようとしたんだよね。あの時は助かったよ~。そうじゃなかったらティアナを2,3日病院送りにするところだ―――――」

「ほんとうにらしくないな!高町なのは!!」

「え・・・・・・?」

「俺に嘘をつくだけでなく自分を正当化するとはな!・・・・・・お前には失望したぜ」

踵を返して足早に去ろうとすると、納得できないらしいなのははこちらの肩を掴んで

「ま、待って!どういうことかわからないよ!!」

と、呼び止めてきた。

「なら教えてやる。あのときのティアナは誰が見ても脅威にはならなかった。お前がそれを見間違えるはずがない!それに2発目が出力を落とした砲撃だっただと?フェイト達ならわからんが、残念ながらお前の教導をくぐってきた俺やさくらはだませないぞ。その前には怖くて撃ったと言ったか?・・・・・・見くびるなよ。これでもお前とは何百時間も一緒に飛んできたんだ。他にどんな理由があるか俺には皆目見当がつかないが、お前が言った理由だけではないはずだ!違うとは言わせないぞ!」

有無を言わさぬ口調で言い放つ。例え自らに魔法を教えてくれた師であろうと、今の彼女に背中を任せたくなかったからだ。
直後近くにあった街頭の電灯が消え、運悪く通過する厚い雲によって月明かりすら遮断されて辺りは相手の表情すら読み取れないような真っ暗闇になった。

「・・・・・・あ~あ、流石はアルトくんだね。本当のこと言うとね、あの時私が2発目を撃とうとしたのはティアナが怖かったわけじゃないの。実はね、ティアナの無茶を見ていろいろ痛い思いをした撃墜事件のことを思い出したら、あんな痛い目を将来するかも知れないぐらいなら、その前に無茶すれば絶対なんとかなるって言う幻想・・・・・・かな?それを〝潰しちゃおう〟って思って。私なら魔導士生命を終わらせないぐらいの手加減ができるって考えちゃったんだよね~」

先ほどとは打って変わって声色は明るい。しかし彼女が言ってるとは信じられないような内容と表情が読み取れないせいで病的な、はたまた別人が言っているように聞こえて恐怖を誘う。

「お、おい、お前―――――」

ただならぬ雰囲気になのはに近寄ろうとすると、逆に彼女の方から一瞬で間合いを詰められて胸倉をつかまれていた。しかし何か言う前にちょうど差し込んだ月明かりに照らされた真っ赤になった彼女の双瞳(そうとう)で見上げられ、何も言えなくなった。

「私が今どれだけひどいことを言ったか分かる!?アルトくんなら分かるよね!?私は今までそんなことにならないように教導してきたはずなのに!・・・・・・でもあの時はそう思っちゃったんだ。1週間か1カ月ぐらい病院送りにして懲らしめてやろうなんて―――――んっ!?」

気がつくとアルトは護身術の要領で彼女の両肘を横に払い、その姿勢を崩したところで彼女をしっかりと抱き寄せていた。なんの打算もない。しかし彼に眠っていた記憶、すでに他界した母にそうされると落ち着くことを思い出した故の行動だった。
腕の中で震える彼女を感じると、彼女が生身の女の子であることを認識せざるをえなくなる。それはアルトにおのずと何を言えばいいのかを教えてくれた。

「わかってる。大丈夫だ。完璧な人間なんて居やしない。お前が間違ったときには今日みたいに俺たちが止めに来てやる。だからお前も、お前を信じる俺たちを信じてほしい」

「・・・・・・アルトくんは・・・・・・アルトくんはこんな私をまだ信じてくれるの・・・・・・?私、ティアナを傷つけて、それを隠そうってアルトくんを騙そうともしたんだよ!?」

「ああ。確かに褒められたことじゃない。だが俺はお前を、お前の心根(こころね)を信じる。だからお前も俺たちを信じてくれ。できるよな?」

「・・・・・・うん。ごめんね。・・・・・・ううん、ありがとう」

胸の中でなのはは確かに微笑んだ。そして震えは、確かに収まっていた。

(*)

5分後、ようやく落ち着いてお互い離れたのはいいが、まだ解決していない問題も多い。なのはは意を決すると、アルトに尋ねる。

「ティアナとスバル、どんな感じだった?」

「うーん・・・・・・やっぱりちょっと気持ちの整理がつかないみたいだったな」

苦い表情での答えになのはは再び俯いてしまった。
その場を生暖かい潮風が舐める。と、不意にアルトは口を開いた。

「なのは、お前の教導が間違ってないことは、受けてきた俺達が保証する。だが撃墜事件のことを話してくれてないとなかなか伝わらないし、わかりにくいだろうな・・・・・・」

「うん。いつも最後に話してたけど、フォワードのみんなに明日ちゃんと話すよ。私の教導の意味と、さくらちゃんの教導との違いも」

しかしそれは叶わなかった。

静寂に満ちていた海辺に、けたたましいサイレンが鳴り響く。
2人はアイコンタクトすると指揮管制所のある六課の隊舎へ走った。

(*)

「AWACS『ホークアイ』から警報。千葉半島沖合い50キロの地点にガジェットⅡ型が12機出現しました。しかし機体性能が、従来のデータより4割ほど向上しています!」

隊舎の指揮管制所に集まったロングアーチスタッフと各隊長に、夜間勤務だったシャーリーが報告する。

「ガジェットはどこに向かっとるんや!?」

はやての問いにシャーリーは回答に詰まる。

「それが・・・・・・レリック反応もなく、ガジェットもその場から動きません」

映し出されるガジェット達の航跡は、その場をぐるぐる旋回飛行している事を示していた。

「フロンティア航空基地は?」

「現在出撃待機のみで出撃を見合わせています。理由について先方の回答によれば、あれが敵の陽動である可能性があり、主力、もしくは別働隊の出現に備えるとのことです」

「うーん・・・・・・こっちの探知型超長距離砲撃で十分届くけど・・・・・・」

探知型超長距離砲撃とは、レーダー基地又は観測機、この場合AWACSに正確な砲撃座標を送ってもらい、その座標を元にここから砲撃すること。これによりSランクのなのはの集束砲『スターライト・ブレイカー』なら理論上、射程は500キロにもなる。
しかし砲撃主のリミッター解除を強要するこの手段は、六課において最後の手段に部類される行動であった。
はやては拙速な判断をやめ、集まった3部隊の隊長に助言を請う。

「つまり、あいつらは『落としてくれ』って言ってるんだよな。だったら直接落としに行ってやろうじゃないか!」

アルトの過激な物言いに

「まぁまぁ」

とフェイトがいさめる。

「アルトくんの理論はどうかと思うけど、直接行って落とすのは賛成だな。スカリエッティならこっちの防空体勢とか、迎撃手段を探る頭もあるし。なのははどう?」

「こっちの戦力調査が目的なら、なるべく新しい情報を出さずに、今までと同じやり方で片付けちゃう、かな」

3人とも通常の迎撃を推奨。ならばはやてに、それを拒否する理由はなかった。

(*)

機動六課第2格納庫

そこは3週間前からサジタリウス小隊が占有しており、今も小隊付きの整備員達が右往左往していた。
しかし道に迷っているわけではない。彼らは自分の仕事に専念しているだけだ。
バルキリーの装備は普段軽々と扱っている印象があるが、人間にとってそれは特大サイズだ。
そのため彼らはせっせと、武器庫からガンポッド、ミサイル類をリフトで往復して運び出し、ジャッキ・クレーンを使って装備していった。
特にさくらのガンポッドが曲者だ。
バルキリーの装備の中でも最大といってよいほど大型で長大なこのライフルは、もはや通常のリフト、クレーンでは運べない。
そのため出撃時のみフロンティア基地から持ってきた特殊なトレーラーで武器庫から出され、離陸前にバルキリー自らトレーラーから取り出して装備してもらう。
もはやこうなると、バルキリーが直接武器庫に取りに行けばいいではないか?と思われるかもしれない。だが、そうは問屋がおろさないのだ。
小隊が借りている武器庫は、六課の自動迎撃システム『近接多目的MFS(ミサイル・ファランクス・システム)』のミサイル保管庫であり、地下にある。
そんなところに10メートルというデカイ図体のバトロイドがノコノコ入って行くとどうなるか。
ミッドチルダ製のミサイルはカートリッジ弾が爆薬に相当するので誤爆や誘爆は故意でない限り〝100%あり得ない〟(これが魔導兵器のもっとも優れた点である。)が、もし操作を誤って施設(特に自動装填装置類)を少しでも壊したらその費用は天文学的な数字になるだろう。となればトレーラーを1台持ってきた方が安上がりだった。

「アルト隊長遅いですね・・・・・・」

さくらが狭いVF-11Gの機内で、腕時計を睨みながら呟く。
アラートが鳴ってから20分、そして自分が機体に収まってから既に10分が経過していた。武装の搭載もほとんど終わっており、普段ならとっくに空の上のはずだった。

『さぁ、どうしてかねぇ・・・・・・んだが、誤報だったらただじゃおかねぇ!』

天城が不機嫌そうにこちらの呟きに応える。

「・・・・・・どうしました?なんか語気が荒いですよ」

『ん、あぁ。今日は俺の毎週楽しみにしてる連続ドラマの放送日でな・・・・・・いいところでアラートメッセージがテレビ画面をオーバーライドしやがったんだ!』

『チキショー!よりにもよって一番いいシーンでよぉ!!』などと嘆いている。
直接VF-1Bのキャノピーを遠望してみると、ヘルメットの上から頭を引っ掻いていた。
そんな天城にあきれていると、やっとアルトが現れた。
キャノピーの開閉弁を開けて、肉声で呼び掛ける。

「出撃しますか?」

「ああ、今すぐ出撃するぞ!準備急げ!」

アルトのよく通る声が格納庫に木霊し、整備員達の動きが更に慌ただしくなった。

(*)

『ロングアーチからサジタリウス小隊へ。滑走路はオールクリア。発進を許可します』

「サンキュー、ロングアーチ。」

アルトは通信に応えると、バックミラーで〝後ろ〟を確認する。

「発進するが大丈夫か? ・・・・・・おーい、フェイトぉ?」

後部座席に座っていたフェイトは驚いたように隊舎の玄関からこちらに向き直ると

「うん、大丈夫だよ」

と頷いた。
今回六課の迎撃戦力であるなのは、フェイト、ヴィータはサジタリウス小隊のバルキリーに分乗していた。
現場が約100キロ以上先であり、彼女らなら音速飛行が可能だが、魔力の消費がもったいないためこのような采配になっていた。
しかし、フェイト達が搭乗する前に玄関でひと悶着あったようだ。
アルトは何が起こったか知らなかったが、ティアナがシグナムに殴られたことだけは遠目でもわかった。

「・・・・・・よし、〝あっち〟の方も気になるだろうが発進するぞ」

アルトは告げると、脚(車輪)のブレーキを解除。スラストレバーを最大に上げて滑走路を滑る。
夜間発着用のライトが後ろに流れていく。
元々VF-25用に六課に増設されたこの滑走路は問題なく離陸をアシストし、鋼鉄の鳥達を無事真っ暗な空に送り届けた。

(*)

クラナガン郊外 地下秘密基地

そこではスカリエッティが事態の推移を見守っていた。

「今度は何の実験?」

そういって隣に並んだのは言わずと知れた知才、グレイス・オコナーだ。

「ガジェットⅡ型の改修型の性能評価だよ。ガジェットには今までオーバーテクノロジーは搭載していなかったからねぇ~」

スカリエッティの示す図面にはガジェットの全体図が表示されている。
動力機関こそ変わっていないものの、中身は別物だった。
OT『イナーシャ・ベクトルキャンセラー』
OT『アクティブ・空力制御システム』
『新世代型エネルギー転換〝塗装〟』(どうやら既存のガジェットにも搭載できるように新たな合金・・・いや塗料を思いついたらしい。)
OT改『高機動スラストクラスター』
『マイクロミサイルシステム』etc・・・etc・・・
エネルギー転換塗装という既存の装甲は〝金属〟という固定観念にとらわれない逆転の発想にも驚いたが、特にグレイスの目を引いたのは『ユダ・システム』の1行だった。

「あら、もう完成させたの?」

グレイスが何を完成させたのか言わずともスカリエッティにはわかったようだ。

「ああ、1機だけだがね。あれには観測機材をたくさん外装したから、できるだけ戦闘を避けるよう言い聞かせてある」

脳のニューロンを真似たマイクロバイオチップは作りにくくてね。
そう言い訳するが、作ってしまうところがこの男のすごいところだろう。
しかしレーダー画面でガジェットⅡ型改部隊が接敵したのは、管理局の部隊ではなく通常の海上船舶だった。

「あら?実験相手は管理局じゃないのね」

「彼らは次元海賊だよ。海底に直接ワープアウトして管理局の防空ネットを抜けてきたようだ。このまま見逃すのも癪だから、実験相手になってもらおうと思っただけさ。それに私は管理局以上に次元海賊が大嫌いでね。ちょうどいい素材に出会えたものだよ」

「そう・・・・・・」

グレイスは戦闘中のガジェット部隊と次元海賊、そして管理局のスクランブルらしい3機のバルキリーに視線を投げ、

「幸運を」

と呟いた。

(*)

千葉半島沖 45キロ海上

そこではサジタリウス小隊の3機がきれいなデルタ編隊を組んで飛んでいた。
しかしその足取りは極めて速い。なぜならAWACS『ホークアイ』を介して5分ほど前からガジェット達が活性化。通りかかった一般船籍の船に攻撃を開始したようだと通信を受けたからだ。
その船は通信機が壊れているのか応答がないが、AWACSからの高解像度写真を見る限り応戦する力はあるらしく魔力砲撃の光跡がいくつか確認できていた。しかしどうも船籍に記された遠洋漁業船には見えなかっため、政府機関その他に確認をとっているという。
暗い海上に鮮やかな青白い光の粒子を曳きながら飛行する3機は、ついにそれを目視した。
月明かりに照らされたその漆黒の船は甲板から煙をあげながらもジグザグに波をかき分け、よってたかるガジェットに対して乗員が魔力砲撃でなんとか応戦していた。
その時、AWACSから続報が入る。

『こちらホークアイ、その船の本当の所属がわかった。どうやらミッドチルダ政府と極秘で会談したどこかの世界の外交官の次元航行船らしい。まだ政府機関に再確認しているが、おそらく間違いない』

「了解した。・・・・・・こちらは時空管理局、フロンティア基地航空隊のサジタリウス小隊と機動六課だ。これより貴艦の離脱を援護する」

デバイス間で使える短距離通信で送ると、その返信はすぐに来た。

『こちら輸送船「キリヤ」、支援に感謝する!しかし我々はここからは動けない。まだ待ってる人が来てないんだ!』

「外交官のことですか?もしそうなら私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの名において必ず時空管理局が責任を持ってそちらの世界に送り届けます。なのであなた達は至急戦闘地帯からの退避を」

次元航行部隊に深いコネがあるフェイトがその外交官らしい人物の送還を確約するが、キリヤ乗員は

『外交官・・・・・・?ああ、そういうことか・・・・・・いや、我々は必ず姉さんを連れて帰る!あと10分でいい、待たせてくれ!』

と譲らなかった。バックミラーを介した目配せにフェイトは頷き、さくらの機体に乗るなのはも「仕方ないね」と頷いて見せる。VF-1Bの後部座席に座るヴィータもため息とともに両手でお手上げのジェスチャーをした。なら、彼らの行動は決まっていた。

「ホークアイとロングアーチへ、これより輸送船「キリヤ」の防空戦闘を開始する」

『こちらロングアーチ、現場の判断を尊重します』

『こちらホークアイ、船舶の退避前でも交戦を許可する。なお、おそらく外交官の機体と思われるアンノウン機が2機、そちらへ向かっている。到着予定は5分後。それまでキリヤを防衛せよ』

「『『了解」』』

6人の声が無線を介して唱和し、戦闘態勢に移る。

『こちらサジタリウス2。これより中距離援護体勢に入ります』

『スターズ1、サジタリウス2に続きます』

編隊が崩れ、VF-11Gが離脱する。
そしてガウォークに可変すると、キャノピーからなのはを出した。
他2機も前進を維持しながらガウォークに可変。キャノピーを開ける。

「じゃあアルトくん、またあとでね」

「ああ、気をつけろよ」

出ていくフェイトを見送ると天城のVF-1Bからもヴィータが出ていく所が見えた。安全確認と共に再びキャノピーを閉めると、敵を見据える。
この時点においてもガジェットはこちらに対しまだ何のアクションも起こさなかった。

(・・・・・・不意打ちになりそうだし、こりゃほとんどミサイルでカタがつくかもな)

今回ガジェットは速くなったといっても所詮音速レベルで、ミサイルにとってそれはちょうど狙いどころだった。

「天城、まずミサイルで半減ぐらいしておこう。目標はこっちで設定する」

『了解』

アルトは天城の機体のFCS(火器管制システム)との接続を確認すると、ヘルメットのバイザーに現場空域を拡大投影し、視線ロックをかけていく。

(・・・・・・こんなもんか)

アルトは敵機の約4分の3(5分前に増援が来て現在は全体で25機)をレティクルに収めた。

「ミサイルで撹乱後、ガジェットをキリヤから引き離すぞ。各隊、準備は出来てるか?」

アルトの呼び掛けに各自ゴーサインを出す。

「よし!戦闘開始!」

VF-25とVF-1のランチャーポッドから一斉に発射されていくミサイル。
それらは流れる川のように敵めがけて飛翔し、アルト達も続く。
だがガジェットの対応は予想外のものだった。
いままでミサイルにはレーザーで迎撃していたが一転、フレアとチャフ(レーダー撹乱幕)で回避に走った。
マイクロハイマニューバミサイルの誘導は赤外線とレーダー探知が併用されている。
ガジェットは元々魔力推進のため排熱量が少ない。そこで大気摩擦による熱で誘導するために赤外線感度を最高にまで引き上げている。だがそれすらアクティブ空力制御システムによって極小にまで減らされてしまっていた。
そしてチャフで更にレーダーが効かなくなったミサイルはどこへ行くか。
無論、最大熱源になったフレアだった。
通常このような事がないように、多少はAIが補正する(同一目標に重複したミサイルが、相互リンクによって本物を思索する。結果的に分かれた熱源全てに当たりに行ったり、可能性の最も高いものに向かっていったりする。第25未確認世界において目標1機に対し、複数発のミサイルを割り当
てるのはこのため)ようプログラミングされていたが、管理局はオミットしていた。
なぜならガジェットはいままでミサイル対抗手段(フレアやチャフ、ECM)を装備しておらず、命中精度の低下を看過して、誘導プログラムの簡略化によるコスト削減と効率の向上を優先したためだ。
おかげでミサイルはそのほとんどが散らされ、無益に自爆する。また、たとえ命中しても一発では落ちなかった。

『なんじゃこりゃ!?』

天城の悲鳴が耳朶を打つ。
どうやら装甲も機動力もかなり底上げされているらしい。
ミサイルの命中痕には、転換装甲特有の〝ただ汚れただけ〟に見える被弾痕が残り、多数束ねられたスラスターによる緊急回避もやってのけていた。
しかし驚くべきことは、この介入に対する反応がそれだけで終わったことである。ガジェットは相変わらず海上で回避運動を続けるキリヤに攻撃を続け、こちらに対して迎撃態勢にすら着こうとしていなかった。

「なめやがって!!」

ファイターのVF-25は最寄りのガジェットに推力全開で急接近すると、ガンポッドを放つ。ガンポッドから毎分300発という速度で58mm高初速徹甲弾が放たれ、至近であればバルキリーの転換装甲をも5、6発で貫徹する運動エネルギー弾が敵に向かって飛翔する。
命中直前、ガジェットの要所に付けられたスラスターが瞬いたと思うと機体全体が瞬時に数メートルズレて、それら弾丸は当たることかなわなかった。ガジェットはもともと人間よりも小さいサイズで、それほど質量もない。そのためある程度強力なスラスターであればこのような機動をさせることは難しくないし、数メートル軌道を変えるだけで小さいガジェットには命中を避けることができた。
しかしアルトはあきらめない。
よけられたと見るやスラストレバーを45度起こしてガウォークへと可変すると、その形態だからこそできるヘリのような立体機動で肉薄していく。そして極めて至近になったとみるや、さらにレバーを45度起こしてバトロイドへ。頭部対空魔力レーザーで敵の機動を制限し、その間にPPBをガジェットと同じぐらい大きなその拳に纏わせて抜き放つ。放たれた右ストレートはガジェットに命中し、反対方向へ吹き飛ばした。間髪いれずにガンポッドを構えなおすとスリーショットバースト(3点射)する。殴られた時点で転換装甲を完全に抜かれていたガジェットは、オーバーキルと言う言葉がぴったりなぐらいに3発の砲弾によって紙屑のように引き裂さかれ、その構成部品を大気中にまき散らした。
即座に離脱。索敵を開始する。残りの3人もそれぞれ1機ずつ落としたらしい。レーダーに映っていた機体が25から21に減っていた。

『『中距離火砲支援、いきまーす!』』

なのはとさくらの宣言と同時に一筋の桜色の魔力砲撃と、青白い光をまとった76mm超高初速徹甲弾の弾幕がガジェットの前にばら撒かれ、その攻撃を抑制する。
そこまでしてようやくガジェットも重い腰をあげたようだ。おもむろに5機のガジェットが反転、迎撃態勢に入る。

『たった5機かよ・・・・・・拍子抜けだぜ・・・・・・』

敵にもっとも近かった天城のVF-1Bがミサイル数発とともに先行する。しかし次の瞬間にはその認識を改めることになった。
ガジェット5機は先行してきたミサイルをスラスターをフルに使ったジグザグ機動で無理やり回避すると、ぐうの音も出ないうちにVF-1Bに肉薄。散開したかと思えばリング状に展開して機体を包むと、一斉に中心にいるVF-1Bに向かってミサイルを放った。
この間2秒。天城にできたことと言えばエネルギー転換装甲にフルにエネルギーを回せるバトロイドに可変することと、魔法の全方位バリアを展開することだけだった。
着弾、そして大爆発。
全方位バリアは爆発の衝撃波をコンマ数秒受け止めて崩壊し、VF-1Bを包む。

「天城!大丈夫か!?」

『な、なんとか・・・・・・』

アルトは瞬時に多目的ディスプレイのJTIDS(統合戦術情報分配システム)のステータスを見る。VF-1Bには損傷はないようだったが、魔力炉とエネルギーキャパシタのエネルギーを使い切っているようだった。これでは当分戦えない。
そしてそうしている間にも〝観測機器を外装した〟ガジェット1機の率いる5機は次なる目標、VF-25に向かっていた―――――

To be countinue・・・・・・


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次回予告
ユダシステムと対峙する管理局勢
彼らは果たして次元海賊の脱出を阻止できるのか!
そしてすれ違ってしまったなのはとティアナ達の行く末はいかに!
マクロスなのは第24話「教導」

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最終更新:2011年10月17日 18:37