その日、ハレがバナナを収穫していると見知らぬおねーさんが話しかけてきた。
「ねえ、君。ちょっと、聞きたいことがあるんだけどいいかな」
とりあえず、一房丸呑みしようとしているグゥをを止めてからはしごを下りる。
「え、なに?」
「このあたりで近頃、変な出来事がなかった?」
随分おかしなことを聞くおねーさんだ。
「なかったと思うけど・・・」
「そう、ありがとう」
おねーさんは歩いていった。

「・・・・・・・」
「何だよその目は」
グゥがなにかイヤな目でハレを見ている。
「いや、ハレは彼女を見捨てるのかと思ってな」
「はぁ?」
「彼女が何を捜しているにせよ不慣れなジャングルでは見つけるのは大変難しいだろうな」
「そうだけど・・・」
「彼女が何も言わなかったのは初対面のハレに迷惑をかけたくなかったからであろう。だが、そういう人に助けの手をさしのべてもいいのではないか?」
「うっ」
「まあ、ハレも現代っ子だ。他人に無関心でもしょうがあるまい」
「あー、もうわかったよ」
おねーさんの姿はまだ見えていた。

おねーさんは最初はハレの助けを断ったがグゥがまた、とうとうと語ると少し考えてからハレ達の手を借りることにした。
このおねーさん、時空管理局というところから来た高町なのはという人で何でもロスト・ロギアとかジュエルシードとかを探す仕事をしているらしい。
ロスト・ロギアとかジュエルシードの話は人類の未来に関わるとか大げさな気もしたけど、なのはがかなり真剣だったのでハレはつっこまないことにした。
「それで、そのジュエルシードってのはどんなことをするの?」
「私が知っているのはね・・・・くっついた生物を巨大化させたり・・・」
なのはの後ろで巨大化するグゥ
「暴れて周りにある物を壊したり」
なのはの後ろで暴れるグゥ。
「周りにある物を吸収したり、融合したりってこともあったわ」
壊した物を飲み込むグゥ。
ハレはグゥを引きずって、少しなのはから離れたところに行く。
「お前、昔なのはさんになにかしたんじゃないだろうな」
「まさかー、グゥーはー、何もー、してませんよー」
置いておかれたなのはが手をメガホンにしてハレを呼ぶ。
「ねー、ハレ君。どうしたの」
「あははははははは。なんでもないですよ。なんでも」

グゥの事はひとまず置いておくことにした。
ハレが一番の狩りの名人である長老ならそういうことには気づいているのではないかと思いついたので長老に会いに行くことにした。

長老に会うとなのはの顔が引きつった。
反応の仕方がわからないというようだ。
「まさか・・・ジュエルシード?胸毛に関わる願望をかなえようとしたの?」
「そう思うのもわかるけど長老の胸毛は前からあんなだし」
「ほんと?」
「ほんとです」
長老の胸毛は相変わらずもさもさいっている。
「でも、何でこんなことに」
「それは、言葉では語り尽くせないいろいろなことがあったんです」
少し遅れてグゥが来た。
「よぉ」
「ひぃ!!!グ、グゥ様」
「今日はお前に聞きたいことがあってきた。全て包み隠さず話すがいい」
「は、はい。仰せのままに」
長老は青ざめて震えだす。
「ねえ、ハレ君。何で、長老さんはグゥちゃんをあんなに恐れているの?」
「それも、言葉では語り尽くせないいろいろなことがあったんです」
ハレはため息をついた。

グゥのおかげというか、グゥのせいというか、とりあえずそういうことで長老はいろいろ話してくれた。
森の南の方で動物が突然少なくなったらしい。
長老達は明日、森を調べに行くそうだ。
「もし、ジュエルシードだったら危険ね。早く南の方を調べに行かないと」
なのはは今度は危険なことになるのでハレ達をおいていこうとしたが、またグゥがもっともらしいことを話すとハレ達に協力をたのんだ。

南の森は本当に静かだった。
鳥や虫の声も聞こえない。
動物が全て消えてしまったようだ。
だから、その音にすぐに気づいたた。
「何の音だと思う?」
「地面を揺らしているような、叩くような・・・・走っているような・・・・」
地響きが最高潮になると、森の中をかき分けて巨大なマンイーターが現れた。
「うわああああああああ。なのはさん、なのはさん。あれ、あれ・・・・・あれ?」
いつの間にかなのはがいなくなっていた。
「あれ?」
巨大マンイーターも消えている。
「グゥ、なのはさんが消えた!」
一方グウは何もないところに向かってノックするように手を動かしている。
「むう」
おもむろに何もないところに向かって渾身のパンチ。
何もないところがガラスのように割れ、何もないところに穴がいきなりできた。
「行くぞ。ハレ」
「ちょっ・・・・まて」
有無など言えずグゥに引きずり込まれる。
「うわーーーーーー」

なのはは巨大マンイーターが現れたとき、はっきりとジュエルシードの反応をみつけた。
すかさず広域結果を作る。
「レイジングハート!セットアッ・・・・」
横に、結界の外にいるはずのハレとグゥがいた。
「なんで二人とも広域結界の中に?」
「いやそれが・・・・」
グゥは我関せずとマンイーターを観察している。
「おお、アレか」
グゥ手を叩く。
「何か知ってるんですか?グゥさん」
ハレの首から機械のような音が出そうだ。
「うむ、あれはグゥが夜の散歩をしていたときだ。空から何か青い石が落ちてきてな。それを拾ったのだ。さらに散歩を続けていると、かわいそうなマンイーターがいたので、その青い石をやったのだ」
「お前のしわざかーーーっ」
グゥの首をつかんでぶんぶん振り回す。
「はっはっは。大きくなったなー」
「なりすぎだーーー」

なのはは少しくらくらしてきたが、目の前のジュエルシードとマンイーターを片付けるのが優先だった。
「二人とも逃げて。ここは私がなんとかするから」
首にかけているジュエルシードに手を当てる。
「レイジングハート、セットアップ」

「ハレ、お前、なのはの変身シーン見ただろう」
「な、みてない」
ハレの顔が赤い。
「ほんとうかー?」
「ほ、本当さ」
グゥが一回りおおきくみえる
「ほうとうにー?」
ハレはグゥの目が見られなかった。
「・・・・見ました」
「やーい、エロガキー」
「やかましーーー」
普通は見えない物を見えるようにした本人が怪しげに踊っていた。

バリアジャケットを装着し終わると何故か二人が言い争っていた。
その二人をかばい、なのははレイジングハートを構え砲撃を始める。
思ったよりも効果がない。
「なら、ディバインバスター。シューーート」
マンイーターの花びらの一部ががちぎれ飛ぶ。
これも効果は少ない。
「まあ、待て」
グゥがなのはを止めた。
「この、広域結界とやらも端はあるのだろう。そこにアレが行ったら外に出られるのではないか?そうなるとまずいのだろう?」
「そうだけど」
巨大マンイーターの力なら広域結界の端まで行けば結界を破壊もできる可能性は十分に高い。
だから、それまでに倒してしまわないといけないのだがランクを落としている今のなのはではマンイーターの進行速度が破壊スピードを上回っている。
もし、結界から外に出られたらハレの村に被害が出る。
「だから、ここはやつを足止めしながらがよかろう。そのために、巨大ロボットを使う」
「はぁ?そんなものあるわけ・・・」
そのときハレはグゥの目の中に何かが動いているのを見た。

「えー、またここ使うの?物置代わりにするもんじゃないね」
「ねえ、ねえ、これはどこに置くの」
「ここたいね。副座にするっちゅーとった」

「またそれかーーーー」
目の前が暗くなった。

そこは、いかにもなコクピットの中だった。
なのはは後ろのシートに座ってあたりをきょろきょろ見ている。
「さあ、ハレ。あれを倒すのだ」
「なにいってんだよ。だいたいな、いくら俺たちが乗っても大きさがグゥじゃなー」
「よくみろ」
「ん?」
窓から外を見ると地面遙か下。
おまけにグゥの体はリベット打ちの金属らしき物になっている。
「これくらい大きくなれば十分だろ」
「ま、まあ、これなら」
なのはがおそるおそる口をはさんできた。
「あの、私は何をすればいいのかな」
「その杖を持って、先ほどのように攻撃すればいい」
「こう?ディバインバスター」
グゥロボの口が開く。
桃色のビームが放たれマンイーターを茎を削る。
「ええ?で、でもこれならいけそう。ハレ君。あいつを押さえて」
「え?う、うん」
グゥロボを走らせ、マンイーターと四つに組ませる。
「なのはさんて順応早いですね。突然魔法を使えるようになったってことありませんでした?さっきの変身とか・・・」
「今は余計なことはいわない」
「はい」

ビームの連射がマンイーターを焼いていく。
マンイーターはもがくがグゥロボのパワーはつよい。
パワーに対抗できないマンイーターは触手の半分でグゥロボを殴り出す。
「いだだだだだだだだだだ」
ハレは両方の頬に激痛が走った。
「言い忘れたが、人機一体の極意を促すためにロボへのダメージはハレの痛みに変換するようになっている」
「余計な機能をつけるなーー」
ほっぺたが赤く腫れ上がっている。
「でも、これじゃハレ君が持たないわ。グゥちゃん。どうにかならないの?」
「仕方ないなー。必殺技を使おう」
「そんなモノがあるなら最初から使えよ」
まだ叩かれているハレがうめく。
「こういう物は順番があるだろう。そこのボタンを押すがいい」
赤いボタンが押されるとグゥロボの口が開き・・・・マンイーターを飲み込んだ。
コクピットに付けられていた引き出しが開きジュエルシードが出てくる。
「だーいしょーりー」
「大勝利じゃねーーー」
後ろの座席ではなのはが膝をついて疲れ果てていた。

「それじゃ、ここでお別れね」
夕日をバックに後始末をすませたなのはとハレは最後の挨拶をしていた。
「二人のおかげで回収できたわ。ほんとにありがとう。それから・・・」
なのははハレの肩に手を当てる。
グゥを見たあと、ハレの両目を真剣に見つめる。
「グゥちゃんがロスト・ロギアに指定されても私いろいろどうにかできないと思うからハレ君、しっかりね」
「へ?」
なのは足下に、光の羽を作ると空の向こうに飛び上がっていった。


「なんで俺がーーーー」
スコールが降り出した。

おしまいおしまい

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最終更新:2007年08月14日 21:21