彼岸島――本土から孤立したその島は、いつから『地獄』へと化してしまったのか……。
謎の吸血鬼ウィルス――ある化け物の血液を媒介に、それは瞬く間に島中に広がった……。
『雅』。全ての元凶にして異端の吸血鬼。首を落とされようと決して死ぬことのない不死身の吸血鬼。
静かに衰退していく、ありふれた過疎の島でしかなかった彼岸島。そんな光景はある日突然、本当に唐突に終焉を向かえ――そして地獄が始まったのだ。
『人』は諦めなかった。島民はレジスタンスを結成し、雅の勢力に対抗する。
それでも――圧倒的な戦力差だけは埋めることができなかった。邪鬼(オニ)と呼ばれる、ウィルスに感染した者が進化した異形。人を遥かに上回る怪力と体躯を持つ彼らを倒せる者はいなかった。ただ、二人を除いて――。
島民を救ったのは二人の戦士――。といっても一人は18の青年で、もう一人は9歳の少女である。
だが、青年『明』は類まれなる剣技を武器に。少女『なのは』は不思議な魔法の力を武器に、幾体もの邪鬼を、吸血鬼を屠っていった。
そして最終決戦――。

雪の広野は一面に紅く染まっている――。おびただしい数の死体が転がり、彼らの血が染めているのだ。
人間と吸血鬼。双方が争い、そして倒れた。
血と唾液と尿と、そして涙と――。ありとあらゆる体液と臓物は、雪の上でも異臭を放っている。
そして今、立っている吸血鬼は雅のみ。他の吸血鬼は全て骸と化し、もはや動くことはない。
「駄目!私の魔法でも通用しないよ!」
なのはが飛び退った。その顔には僅かながら怯えが見える。
「あいつ……ワクチンが効いてないのか……!?」
明も驚いているようだ。雅を弱らせる吸血鬼ウィルスのワクチンも効果ははっきり確認できない。
「ハッ!そんなものか人間ども!」
白髪は乱れ、紅い眼からは血を流し、身体の前面はなのはのディバインバスターで焼け焦げていた。
それでも雅は笑っている。口の端から鋭い牙を覗かせながら――。
「もう駄目だよ……俺達みんな死んじまうんだ……」
泣き言を漏らすのは明の友人『加藤』だ。本名ではないが、それはあまり重要ではないので割愛する。
「馬鹿野郎っ!まだ明やなのはが必死で戦ってるんだ、俺達が諦めてどうする!」
加藤を叱るのは『ケンちゃん』。本名(ry)。
だが、再生を続ける雅に対し、徐々に明となのはの戦意も挫けてゆく。
その空気を引き裂いたのは一人の男。
「明、なのはちゃん!」
「西山!?」
それは明の友人、文房具屋の跡取り息子の西山だった。
「あったよ、デバイスが!」
「でかした!!」
西山が二人に手渡したのは――。
「丸太!?」
そう。それはどこから見ても、何の変哲もない丸太だった。
「西山さん、何でこんなの!?」
「忘れたのか?俺は文房具屋の息子だぜ!」
その答えはまるで繋がりのない――しかし不思議な説得力があった。
「信じるぜ、西山!」
明は丸太を構え、雅に突進していく。
『LordCartridge』
丸太の音声と共に、丸太の中心がスライドし、カートリッジがロードされる。
「ぐぁぁぁぁぁ!!」
明の振り回す丸太は見事に雅の頭を潰す。
「今だ!なのはちゃん、とどめを刺すんだ!」
明がなのはに向かって叫ぶ。だが――。
「そ、そんなこと言ったって丸太だよ!?」
そう、彼女には丸太をどう扱えばいいのかわからなかったのだ。
『Let's shoot it, Starlight Breaker』
「ええええええ!?そんなこと言われても!」
『I believe master』
どうやらこの丸太はインテリジェントデバイスらしい。なのはは戸惑いつつも、丸太を構える。
「行くよ!ええっと……丸太くん!」
『Yes,mymaster』
なのはの言葉に丸太が力強く答えた。
「スターライトブレイカー!!」
丸太を桜色の魔法陣が囲み、収束された魔力が丸太の中心から解き放たれる。
「ぎゃあああああ!!!!」
スターライトブレイカーの直撃を受け、断末魔の悲鳴と共に雅が完全に倒れた。
「強ェ!!」
ケンちゃんと加藤が歓声を上げた。それはこれまでとは見違える程の威力だった。
「でも、何なんだよ。あの丸太」
「聞くな!俺は文房具屋だ!」
それは不思議な(ry)。
「さすが明!さすがなのはちゃんだぜ!」
誰もがなのはと明の勝利を喜び、それを疑おうとはしなかった。背後の雅の腕がなのはへ伸びようとしていることにも気付かず――。
「なのはっ!危ない!」
その危機を救ったのは、上空から降り注いだ雷と氷。
「フェイトちゃん!はやてちゃん!」
「助けに来たで、なのはちゃん!」
間一髪、フェイトとはやての魔法により、今度こそ雅は完全に消滅した。
「ありがとう、でもなんでフェイトちゃん達が?」
なのはの疑問に満を持して西山が答える――。
「こんなこともあろうかと、時空管理局に応援を要請しておいたんだ!」

「凄ェ!!」

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最終更新:2007年08月14日 21:26