「どうした?。腹でも痛いのか?。」
戦闘用へリの爆音の中、カロンブライブが話し掛けた。
俺は何も言わず、只、目の前に広がる景色に息を呑んでいた・・・。

SILENT LINE

巨大なクレーターの周りには、恐らく無人兵器と思われる部隊が展開している。
どうやら、俺達より先に弾幕を張っている連中がいるようだ。
俺は息を大きく吸い込んだ。

「これが・・・始まりなんだよな・・。」

「ん?。なんか言ったか?。」
カロンブライブが不審そうにこちらを見た。
俺は軽く首を振ると、座席に供えてあった通信機でセラスとの通信を試みた。

「セラス・・聞こえるか?。俺だ。」
『OK、聞こえる。感度は良好みたい。』
向こうでセラスの声が聞こえる。
「ああ、ところで、到達ポイント付近の敵機の数はわかるか?。」
『ちょっと待って・・・・・・・・一・・三・・・ざっと五六機よ。』
「分かった。」
『ねえ、レナード・・・お願いだから無理はしないで。』
「お前の口からそんな言葉が聞けるとは、思っても見なかったよ。」
『あ・・遊びで言ってんじゃないんだから、真面目に聞いてよ!。』
急に早口になって喋りたてる。
昔から何かあるとすぐにムキになる。そういうところは、いまだ変わっていないな・・。
「了解。カロンもいるし、危なくなったら退避するよ・・・それじゃ」
『うん、頑張って』

俺はセラスとの通信を切った。
そろそろ、投下ポイントだと操縦士は言った。
俺はACの戦闘モードを起動すると、飲んでいたコーヒーを一気に飲み干した。
「さあ、始めるか。」
ハッチが開く・・。辺りには味方のヘリが数機、輸送機を取り囲み、
遥か地上では、爆発の閃光と移動する機体の影が動いていた。
隣では、カロンが既に全ての準備を整えていた。
「行くぞ!。」
カロンの掛け声と共に、俺達は宙に飛び出した・・・。

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最終更新:2007年10月23日 21:18