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アスタ→刹那♀

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匿名ユーザー

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さて、人の心とはそも誰にも計り知れぬもの。
特に色恋に関しては何をかいわんや。
たとえ自分に振り向いてくれないことがわかりきった相手でも、好きになってしまったものは仕方ない。
とはいえ、自分に振り向いてくれない相手を想い続けるというのは、辛いものだが。

「おーい刹那さん、ちょっと今日剣術の修行付き合ってくれねーかな?」

そう言いながら、刹那の席に近寄っていったのは神楽坂明日太。
剣術の稽古を口実に、少しでも刹那と一緒にいたいという魂胆である。
だがもちろん、色恋に疎い刹那がそんな明日太の企みに気付くこともなく。

「あ、かまいませんよ。 ちょっと待ってていただけますか?」

即座に了承。
明日太は心の中でしっかりとガッツポーズを取りつつ、何気ない様子を装って礼を言う。

「マジで? ありがとうな刹那さん!」

「いえ、明日太さんがこんなに熱心に剣術に取り組んでくださるのは、私も嬉しいですから」

そういってにっこりと微笑む。
その無邪気な愛くるしい笑顔に心の中で悶絶しつつ(実際に悶絶したら当然マズイので)、刹那の帰り支度が整うのを待つ。
刹那が教科書をすべてカバンにしまい、行きましょうか、と言った、そのとき。

「せっちゃ~~~ん! 一緒に帰ろ~?」

――――なんでだよ、と、明日太は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
声の主は、明日太の親友にしてルームメイトの、近衛木乃雄。
刹那と幼馴染であり、刹那が――――多分自覚はないだろうが――――好きな相手。
なぜ他人の明日太がそんなことがわかるのか。
それは簡単なことだ。

「わ、若様っ?! は、はい今す・・・・・・あ・・・・・・」

やっぱりだ。
多分、「今すぐ行きます」と続くはずだった言葉を飲み込んで、申し訳なさそうに明日太を振り返る刹那。
こういう顔をされたときが明日太は何より辛い。
一つ目の理由は、やっぱり自分よりも木乃雄が大切なのか、という嫉妬。
二つ目は、たとえそれが刹那の責任感の強さからとはいえ、後ろめたそうな表情を自分に向けられることへの悲しさ。
そして三つ目は、刹那さんを悩ませることがわかっているのに、自分は刹那さんを好きになったのか、という自己嫌悪。
だが、それらを悟られないように押し隠しながら、無理に残念そうな笑顔を作り、

「あー、気にしないでいいって刹那さん。 俺のはまた今度でいいからさ、木乃雄と一緒に帰ってやってくれよ――――アイツ、刹那さんと帰れないとすぐしょげちまってさ、大変なんだわ」

嘘をついた。
それも二つ。
一つ目の嘘は、『また今度でいい』という自分の気持ちへの嘘。
二つ目は、刹那と帰れずに寂しい思いを噛み締めることになるのは、木乃雄ではなく、自分であるという嘘。
もう、つきなれてしまった嘘。
でも、つくたびに胸が痛む嘘。
その嘘を感づかれないうちに、刹那の背中を押して、誰よりも一緒にいて、誰よりも信頼して、誰よりも大切な恋敵のもとへ送り出す。
幸い、刹那は明日太の胸のうちに気付くことなく、すみません、と一礼して木乃雄のところに行った。
その背中を見送って、しばらく立ち尽くした後、帰るか、と刹那の机に立てかけていた自分のカバンを拾い上げ、教室を出た。
階段を降り、下駄箱から靴を出し、玄関を出、校門をくぐる。
急に吹いた強い風にあおられ立ち止まり、ふと空を見上げる。

「・・・何やってんだろうな、俺」

自嘲気味につぶやくと、見上げた青空がわずかににじんだ。

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