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夏×コタ美

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匿名ユーザー

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「・・・あむ、あむあむ」

ウチは犬上小太美。
ちょっと前、ネギ子と一緒に闘ってから、この麻帆良学園に転校してきたんや。
こっちには強い奴がぎょーさんおるし、ウチを置いてくれてる夏兄ちゃんや千津雄兄ちゃんもええ人で、ほんまありがたいわ。
あ、でもちょっとあやか姉ちゃんは苦手やなぁ・・・ええ人なんやけど。
この前もなんや明日太と一緒におったから、部屋帰ってきて「何かあったん?」って聞いただけでなんやえらい怒ってもーたし。
綾香姉ちゃんはよぉわからんなぁ・・・・あれ?

「あー・・・やっぱりや・・・」

ウチ、さっき会うた新田先生にアンパン買うてもうたんやけど、中のあんがえらい少なかってん。
ご馳走してもうたもんから文句言うたら罰当たるけど、やっぱりガックリ来るわ・・・うぅ。

「あれ、小太美じゃないか。 どうかした?」

「あ、夏兄ちゃん・・・」

はわわ、夏兄ちゃんなんでこんなとこおるん?!
慌てて耳と尻尾隠したけど、見られてへんよね?!
あうう、顔にアンコついてもとうし・・・『だらしない』って思われてもたらどないしょう・・・

「ん? 小太美、ちょっとじっとして」

「ふぇ?」

「口の横。 拭いてあげるから動いちゃ駄目だよ?」

「ん~・・・・」

う゛~、やっぱりご馳走してもろたアンパンに文句言うたから罰が当たったんや・・・
ウチ、夏兄ちゃんに嫌われてもた、絶対嫌われてもうた。
やってウチ、女の子やのに闘いの修行ばっかりでガサツやし、ご飯食べるときもしょっちゅう『行儀悪い』ってあやか姉ちゃんに怒られとるし。
きっと夏兄ちゃんもウチのこと嫌なんや、ウチが夏兄ちゃんやったら絶対嫌やもん、ウチみたいな女の子。
ウチなんかが、夏兄ちゃん好きになったりしても、夏兄ちゃん、きっと迷惑なだけやもん、きっと・・・

「・・・美、小太美? どうしたのさ、何か変だよ? どこか痛いの?」

「な、なんでもないねん、なんで、も・・・ひぐっ、えぐっ・・・」

「なんでもなくないじゃないか! どこが痛いの、言ってごらん?」

やめて、夏兄ちゃん、やめて。
ウチのこと、無理して構ってくれんでええから。
優しゅうせんといて、お願いや。
やないとウチ、ウチ・・・

「・・・あかんの」

「え?」

「夏兄ちゃん、ウチに優しすぎや・・・そんな優ししたら、あかんねん・・・ウチ、アホやから、夏兄ちゃんのこと、好きになってまうから、やからぁ・・・・・・っ!!」

あかん、もう言えへん。
お願いや、夏兄ちゃん、わかって。
ウチ、優しゅうされたことないねん。
やから、夏兄ちゃんが「親切」でやってくれとるだけのことでも、めっちゃうれしいねん。
でもな・・・、ウチがこれ以上、“勘違い”してまう前に。
ウチのこと、なんとも思うてないって、ちゃんと言うて・・・

「・・・まったくもう、馬鹿だなぁ」

ぎゅっ・・・

「ひゃっ・・・・・?!」

「いい? 僕は、誰にでも優しくできるような人間じゃないんだ。 僕は、“小太美だから”、優しくできるんだよ?」

優しく言い聞かせてくれる、お母さんみたいな声。
涙がぽろぽろ出てきて、何も言えへんかった。

「だから、そんなふうに自分を責めないで。 僕は、小太美が僕を好きって言ってくれて、本当に嬉しいから」

「ほ、ホンマに? ホンマに、そうなん?」

夏兄ちゃんは、嘘ついたりせえへん。
わかっとるのに、不安で不安でしゃーなくて、ホンマかどうか念を押してまう。
嫌なはずやのに、夏兄ちゃんは笑って、ウチの目を拭いてくれて、それで――――――――

「誓いを立てましょうか? お姫様」

「え――――?」

「さぁ、目を閉じて・・・」

ちゅっ・・・




――――それはまるで、誰もが子供の頃に読んだ、王子様とお姫様が結ばれるシーン。
小さな狗族の女の子は、自分が憧れていた王子様と、めでたく結ばれたのでした。
めでたし、めでたし・・・・・・・・

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